西アジアと北アフリカの安全保障に焦点を当てるISWNewsは27日、アゼルバイジャンがトルコの支援を受けて9月末~10月初旬にアルメニアに大規模侵攻を行うと予想している。
参考:Azerbaijan’s massive military invasion of Armenia
ザンゲズール回廊を手に入れるためだけにアルメニア領に侵攻するとは考えにくいが、、、
今月13日に発生したアルメニア軍とアゼル軍の大規模な軍事衝突は停戦が守られているがアゼル軍がアルメニア領の一部を占領した状態が続いており、恐らくアゼルバイジャンはパシニャン政権に「ナゴルノ・カラバフ地域をアゼル領の一部だと認める協定への署名」もしくは「2020年の停戦協定に含まれるアゼル本領と飛び地(ナヒチェヴァン自治共和国)を結ぶ回廊=ザンゲズール回廊の設置」を求めている可能性が高いのだが、ISWNewsは「アゼルバイジャンがアルメニアへの大規模侵攻を行う」と予想している。
ISWNewsの分析によれば過去2週間にアゼル軍が相当量の兵力と装備をアルメニア方面(フュズリが集積拠点になっているらしい)に移動、兵役を終えたばかりの予備役を再召集、首都バクー周辺で防空システムの配備、トルコもアルメニア国境近くに部隊(数千人規模)を移動。
さらにアゼルバイジャンのハサノフ国防相が24日「アルメニアに対する軍事作戦」を再び実施する可能性を示唆、これを受けてアルメニアの米国、英国、フランス大使館は「アゼルバイジャンに面した国境地帯」「アルメニア南部」への移動や滞在を控えるよう自国民に警告しており、この一連の動きについてISWNewsは「アゼルバイジャンが大規模な攻撃を準備している証拠で何か特別なことが起きない限り、アゼルバイジャンがトルコの支援を受けて9月末~10月初旬にアルメニアへの大規模侵攻を行う」と主張している。
アルメニアはイランとの国境に近い南部地域にザンゲズール回廊を設置するとイランと接続が事実上切れてしまい、イランの最高指導者も「ザンゲズール回廊が設置されると非友好国のトルコとアゼルバイジャンに囲まれる」と難色を示しているため、アルメニアは停戦協定で義務付けられた回廊設置を半ば放棄しており、これを保証したロシアも何の措置も講じないためアゼルバイジャンは「自力でナヒチェヴァン自治共和国までの道を確保する」と公言していたことがある。
ただ2020年の停戦義務違反を理由にアルメニア領に侵攻すれば国際的な批判に晒される可能性が高く、イランは既に「国境の変更は容認できない」と主張してアルメニア南部と国境を接する地域に機械化部隊を配備しており「ザンゲズール回廊を手に入れるためだけにアルメニア領に侵攻する」とは考えにくいが、アルメニアは安全保障の後ろ盾をロシアから米国に乗り換える動きを見せているので「今しかない」とも言えなくはない。
まぁISWNewsの主張は「状況証拠を積み上げた予想」で軍事組織や諜報機関の情報とは信憑性が異なるが、中々興味深い話(管理人的に侵攻する可能性は低いと思っている)だ。
関連記事:ザンゲズール回廊を巡る駆け引き、イランが機械化部隊をアルメニアとの国境地帯に配備
関連記事:ウクライナ侵攻で結束するNATO、ロシアの失墜で空中分解寸前のCSTO
※アイキャッチ画像の出典:President.az/CC BY 4.0
ここでナゴルノ・カラバフを超えて侵攻したら流石にライン越えでしょう。あるいはトルコのアメリカに対するいやがらせとして、この噂を流しているのか。ただアルメニアとトルコは絶望的な関係性と考えればアゼルバイジャンによる侵攻も十分あり得ますか。
しかしアルメニアも今さらアメリカを後ろ盾にする、というのなかなか難儀ですね。すぐそこにロシアというヤバい国があるから仕方なかったとはいえですが。
そうするとアメリカvsトルコの先鋭化が起きますか。そしてロシアがどうにもならなくなっているので代わりに中国が絡みだしたら、もういよいよぐちゃぐちゃですね。
これ、今はウクライナvsロシアに世界が手一杯ですが、この戦争が終わったとき大変なことになるんじゃないんでしょうか。
ロシアが行ってきた役割を中国が担うんなら、それはそれでありかも。
絶対やぶ蛇になる。
アゼルバイジャンもやりすぎたら制裁が来るだろうとは思うが、ただこれ制裁するにしてもアゼルバイジャンの輸出品がバクー油田のエネルギー資源なので、簡単に制裁できないだろうと国際社会の足元見てる感じですね……止めるとすれば、今やりたい放題しても後でツケを払わせる、という形にすることくらいか。
しかし、関連記事に出てくる「アルメニア軍が負けた理由、アゼル軍による補給路狙いとシリア内戦の教訓軽視」(2020.11.12)はウクライナでも話題になっている要素がきっちり出てきていて、いわゆる「戦訓」として重要な印象を与えますね。規模が違えど同じことが起きると。
そもそもがアルメニアがアゼルバイジャンを侵略したのが原因で、(ロシアを後ろだてにして)
それについてアルメニア・国民は全く反省しないどころか、さらに侵略できると思ってるのが末期かと
ロシアが張り子の虎って判明した現実では、アルメニアは自業自得って扱いを受けるだけかと
イランはアルメニアの味方してるわけじゃなく、自国の国益のために動いてるだけだから
展開によっては切り捨てるでしょう(国内の女性問題の炎上がすでにやばいですし)
トルコはNATO捨ててSCO入りそうな勢いだなマジで
Nato脱退はともかくeu加入はご破算になるだろう
別に上海協力機構に入ってもNATOを離脱しなければいけない理由ばないと思いますよ?
SCO側が加入にはNATO脱退が条件と言ってます
言っているのは現状ロシアだけでは?
もちろんロシアが簡単にトルコの加盟を認めるとは思いませんが他の加盟国が望みロシアにとって利益になる条件を出せればNATOに加盟したまま参加する可能性はあると思います。
う~ん、アゼルバイジャンにはどうか自重してもらいたいところですが、ジョージア然りダゲスタンやチェチェン然り、何かもうコーカサス全体が火薬庫感を醸してますからね。ここをうまくいなしたところで後年どこかが爆発して全部燃えるんじゃないかなという気も…。
ユーゴスラビア内戦は、セルビアがコソボを強制的に併合しようとしてコソボが反発して独立宣言をしたことをきっかけに始まり、その火種はマケドニア、クロアチアなどユーゴ連邦構成諸国に飛び火して長い内戦となりました(スレブレニツァの虐殺など一部の過激なセルビア人によるジェノサイドも発生した)。
ユーゴではNATOや国連が介入したものの終結には10年7ヶ月もの期間がかかり、セルビアは2022年現在もコソボの独立を認めておらずその火種はくすぶったままです。
アゼルバイジャンとアルメニアの紛争をきっかけにウクライナに義勇兵を派遣しているチェチェン独立派が独立に向けた行動を起こしたり、ジョージアもロシアの手引きにより分離・独立宣言をしたアブハジアや南オセアチアを奪還する為に侵攻する可能性もゼロとは言い切れないでしょう。チェチェンのカディロフ大統領が「ロシアのウクライナ侵攻作戦は間違っていてモスクワのクレムリンに作戦訂正を助言する為に必要であれば赴く」と語っていますが内心はチェチェン独立派の活動活発化に焦っているのかもしれません。
ブラフだと思いたいけどねぇ
軍事的には既に決着ついてるし、外交的にもアルメニア首脳部は既に譲歩の姿勢を示してる
それにイランの介入があった場合アゼルじゃ流石に勝てんだろ(イランも不穏とはいえ、介入する力は有るだろうし)
イランが介入した場合アゼルを支援する国が増えるから余計複雑になる
既にアゼルを支援しているトルコとイスラエルが本気で支援するだろうし、イエメンでイランと対立してるサウジとUAEがアゼル側につくかもしれない
さらに核問題を抱えてるアメリカがアゼルへ消極的支持に回る可能性もある
なんだかWW2の前みたく感じますね。そこら中火種はある。勝った体の侵攻後の補償や利益に味をしめてる?
アルメニアは小さなロシアってぐらいは、
国民も根本的に勘違いしたままなのでもう駄目じゃないかと
アゼルバイジャンはイシュカサナーから南を占領して、
アルメニアがやったように自治共和国とかにしてもよい
そしてそれが出来るぐらいは、国力・戦力のが差がある現実
ロシア国民が自国が強いと思い違いしたのと同じ(過去に勝てたのはレンドリースのおかげ)
アルメニア国民も自国が戦争すれば勝てると未だに思ってる
ロシア国民と同じようにアルメニア国民に現実を理解させないと駄目だろうな
アルメニアを小ロシアと言うのにアゼルバイジャンにはロシアと同じ事をしろとか、矛盾が激し過ぎませんかね
また国力が劣る敵対国から奪うのを正統視する赤い思想は西側国民として賛同しかねます
回廊の設置は両国の合意した事項ですからね
侵攻して改めて勝利し、回廊の設置を強制させて撤退を目指すのが既定路線でしょう
アゼルバイジャンから侵略してる脳内構図になってそうですが、
アルメニアがソ連ロシアを後ろ盾に侵略して占領し、アゼルバイジャン人を虐殺・大量追放した結果ですよ?
その祖国奪還とアルメニアに懲罰的反撃するのがロシアと同じこと?
そしてアルメニアは負けてからの、調停条件の回廊設置を無視してるなら
徹底して負かしてアルメニア国民を教育し直さなければ、また無視するだけでしょう
自称ナゴルノ・カラバフ共和国の奪還までなら祖国奪還が成立しましょうがアルメニア本国への侵攻は明確な侵略戦争です
何故なら国際社会がアルメニアの本土を承認していますからね
古地図を根拠に侵略戦争を行っても国際社会から承認を得られないどころか制裁を受けるのはクリミアで某国が実証していますよ
「古地図」には引っ掛かっちゃいましたね。ソ連崩壊後のことだから高々30年前、故郷を追われた人々はずっと難民として生活してた。「古地図」なんてものじゃない。生々しい現実の地図です。
>> 回廊の設置は両国の合意した事項ですからね
と書かれていますが、回廊の設置を守っていないのはアルメニアの方です。
ほったらかしにせずになんとかしろよ、という感じの今回の行動でしょう。
非資源国は生き残りをかけて技術開発を行い多国間で協調していくが、資源国は資源の分配で揉めて強権化した政権が戦争を行うので後れていくってことですか…。
イランは今動けるのかな?
下手すりゃアゼルバイジャンのワンサイドゲームになりかねないような
侵攻の可能性は高いと思います。特にアゼルは一度戦果を得て味を占めているわけですから、最低でもアゼルバイジャン民主共和国時代の版図を取り戻そうとするでしょう(場合によってはアルメニア征服もあり得ます)。
トルコに関しては中長期的には地域大国を目指しているのは確実ですが、中露と徒弟を組むかはちょっと微妙ですね。ジョージ・フリードマンの100年予想では日本とトルコが手を組んでアメリカと戦っていますが(笑)。
記事の内容と離れてしまいますが、フリードマンの100年予想でのポーランドも日本トルコと組んで戦うシナリオでしたね。
地球同期軌道の軍事ステーションを日本が持ってたりと内容も面白かったです。
ロシアが役に立たないと判ってしまった以上、
アルメニアとしては停戦監視の部隊を小規模でも良いからすぐに米国に送ってもらいたいでしょうね。
(送ってくれるかは別として)
本土への侵攻なんてすればそれこそアゼルがロシア扱いされかねないのを理解するべき。
いかなる場合でも力による現状変更は認めてはならないし、問題があるならたとえ何年かかろうと外交で解決しろ。
アルメニア救出を名目に一方的にウクライナから停戦、撤退すれば一番丸く収まるんじゃねえの
ザンゲズール回廊の設置を保証したロシアは何の措置も講じないし
イランは「国境の変更は容認できない」という
であるならば、アゼルバイジャンは、イランと国境を接しないルートで、
ナヒチェヴァン自治共和国まで回廊を確保すればいいとなるかもしれない
(そんなことになれば、逆に「アルメニア南部」が飛び地に)
管理人さんが言うように、侵攻の可能性は低いのだろうとはおもうが
「今しかない」という誘惑に抗えない可能性も・・・
アゼルバイジャンのアルメニアに対する感情は皆さん、お話されていますが1918年の事件を紹介です。
リンク
恐らく、損得の話ではないのでしょう。