米国関連

米国がウクライナへの安全保障支援を発表、18輌のHIMARSを追加提供

国防総省はHIMARS×18輌が含まれた「ウクライナへの安全保障支援(総額11億ドル)」を28日に発表、これでウクライナ軍が受け取るHIMARSの総数は34輌に増加するが、米軍在庫からの提供ではないため引き渡しに時間がかかる見込みだ。

参考:$1.1 Billion in Additional Security Assistance for Ukraine

今回の安全保障支援はウクライナ軍を中長期的に強化することが目的で、PDA経由で実行されていたものとは性格が異なる

国防総省が28日に発表した「ウクライナへの安全保障支援」は総額11億ドルで、HIMARS×18輌、HIMARS用弾薬、ハンヴィー×150輌、牽引用戦術車輌×150輌、重機運搬用トラック×40輌、トレーラ×80輌、レーダー×20基、カウンタードローンシステム(Titan C-UAS×12基らしい)、通信装置、光学機器などが含まれている。

出典:Graphics by Lance Cpl. Stephanie Varela III Marine Expeditionary Force

HIMARS本体の追加提供が含まれているので、今回発表された18輌の引き渡しが実行されればウクライナ軍が運用できるHIMARSの総数は34輌になる計算だが、今回は大統領権限による「ウクライナ軍支援パッケージ」ではなく、ウクライナ安全保障支援イニシアチブの資金を活用した「ウクライナへの安全保障支援」なので注意しなければならない。

バイデン大統領は「議会の承認手続きなしに米軍在庫から何でも自由に当該国に送る権限=大統領権限(PDA)」を有しており、この権限に基づきウクライナへ米軍在庫からの装備提供を続けてきたが、今回の支援は「米産業界から調達する装備を提供する権限=ウクライナ安全保障支援イニシアチブ(USAI)」に基いたものなので、上記の装備品は全て企業調達からの提供になる。

出典:Photo by Lance Cpl. Nicholas Guevara

つまり18輌のHIMARSは米軍在庫からではなくロッキード・マーティンが新たに製造したもの=提供までに時間がかかるという意味だ。

国防総省も「今回発表の支援は中長期的にウクライナ軍の能力を強化するための投資だ」と述べており、PDA経由で実行されていた「支援パッケージ」とUSAI経由で実行される「安全保障支援」とでは性格が異なるのだろう。

関連記事:バイデン政権がレンドリース法でウクライナ支援を行わない理由
関連記事:米国がウクライナ支援パッケージを発表、HIMARS向け弾薬やHARMを供給

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. William Chockey

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コメント

    • せい
    • 2022年 9月 29日

    遂に新車が送られるのか。
    今はウクライナは急いでこれをクレって物がないのかな?
    航空機や長距離対空パッケージなんかはそろそろ不安そうだけど、いずれ渡るといいね。
    後は兵隊をじっくり教育して、ジワジワ攻めるのがいいのかな。

    23
      • k
      • 2022年 9月 29日

      旧ワルシャワ条約機構加盟国が所有するソビエト製ジェット戦闘機の類でしょうか?
      どれくらい既に引き渡されたのか知りませんが。

      本当はソビエト時代に配置されていたスカッドミサイルのような短距離弾道ミサイルも欲しいのでしょうね。
      現在の製造国がロシアに友好的な国しかないだけに、無理なのでしょうが。

      6
      • りんりん
      • 2022年 9月 29日

      >急いでこれをクレって物

      戦車を始めとした機甲戦力は、圧倒的に不足しているはず。
      ポーランドから供与されたT72やロシア軍から鹵獲したものがあるとしても、今回の反攻でウクライナ軍もかなりの損失を被っているはず。
      すでにロシア圏以外の供与可能なT72は大多数が供与済みと言われており、以後の調達をどうするかが問題。
      東西対立時は供与用の戦闘機や戦車がいろいろとあったんですけどね、いまはその手のものが無くなってしまっているのが痛い。

      9
      • zerotester
      • 2022年 9月 29日

      メーカーもぼーっとしていたわけないので、HIMARSを製造していたはずで、在庫はある程度あるのかもしれません。車体は汎用トラックですし、18両作るのに何カ月もかかるとは思えません。搭載する電子機器がネックかもしれませんが。

      2
        • 虹色バナナ
        • 2022年 9月 29日

        国防総省がHIMARSの引き渡しに数年掛かると発言してるから、管理人の見立ては合ってると思う。

        8
    • bbcorn22
    • 2022年 9月 29日

    この辺が行き当たりばったりのロシアとは違うところだな。
    すでに戦後を見据えての援助。
    ウクライナは自動的に実質的に米の軍事同盟国となる。
    二度とロシアの侵略を許さない軍事大国がロシアの西隣に現れる。
    それはロシアを永遠の敵とするウクライナ。

    60
      • きっど
      • 2022年 9月 29日

      >それはロシアを永遠の敵とするウクライナ
      この調子だと、敵たるロシアが何時まで残っているのかも怪しそう
      新車のHIMARSが到着する前に崩壊していてもおかしくないし、デカい北朝鮮として延々と存在するかもしれない
      もしも崩壊してしまった場合、どの様に崩壊して、その後どうなってしまうのかが想像できないな
      まあ、再び頭Zな奴等が再興させないとも限りませんし、残ると考えて対処するべきですが

      18
      • 匿名
      • 2022年 9月 29日

      疑念と敵愾心に燃えるポーランド君を忘れてはいけない…

    • 名無し
    • 2022年 9月 29日

    辞めて!ロシア君のライフはもうゼロよ!

    10
      • 鳥刺
      • 2022年 9月 29日

      ちゃんと「DEAD」表示が出るまでは全力で。

      25
    • 名無しさん
    • 2022年 9月 29日

    そういえば砲には砲身寿命があるけど、ロケット砲にも類似する性能寿命とかあるのかな?
    まぁウクライナであれだけ走り回れば車両寿命もごりごり削れそうだし、中・長期的に見て
    代替車両も必要になるし、それを考えたら今回の支援も大事なものか。

    個人的には発射機も大事だけど、そこから発射する弾薬の生産状況がどうなっているのかが気になる。

    4
      • 月虹
      • 2022年 9月 29日

      HIMARSは発射するロケット弾のサイズごとに発射コンテナを交換できる様になっていてコンテナ自体もグラスファイバー製であるので戦車や自走砲の砲身交換より作業は容易だと思います。仰る様に他は旋回装置を含む車両の整備ですがベースがFMTV(中型戦術車両ファミリー)の6×6 5tトラックになっているのでアメリカから保守部品さえ供給して貰えれば装軌車両よりはメンテナンスがしやすいと思います。

      ウクライナがHIMARSで使用しているGMLRS弾の年間生産能力は約1万発程度であり、生産元のロッキード・マーティンは「要請さえあれば増産に対応する」と表明している。アメリカ政府はウクライナ戦争を今後、数年続くと見通しており兵器製造の各社には増産指示の検討をしていると思いますがアメリカ国内ではインフレが急速に進行しており、資材調達に影響が出る部分が懸念材料でしょうか。

      18
    • ななし
    • 2022年 9月 29日

    これ、「ロシアが壊したってHIMARS、

    1
    • ななし
    • 2022年 9月 29日

    これって、「ロシアが破壊したってHIMARS、ほとんど生き残ってますよ。在庫送る必要ありませんよ」ってメッセージやん。

    メッセージ性えっぐいわ。

    19
    • 名無し
    • 2022年 9月 29日

    そういや最近のロシアはもうHIMARSぶっ壊したと大本営発表する事すらなくなったな。
    ドネツクルハンシク方面やヘルソン方面の基地は今もガンガン吹っ飛ばされているのに。
    戦闘機やヘリもコンスタントに落とされているし、もう越境攻撃すら迂闊に出来なくなっているのでは。

    14
      • ナイトアウル
      • 2022年 9月 29日

       追うつもりも無いけどMig-29を2機撃墜、そしてHARMが搭載されていたとかネット記事にあったわ。

       どこかの時点でロシアが所持する大型爆撃機・長距離ミサイル・長距離ロケット・UAV・電子戦装備・マルチロール機の逐次投入じゃ無くて集中運用で自国領に接近したウクライナ軍に大打撃を与えないのかって思ってるんだけどな。
       どうせ損害受けるなら相手に打撃を与える使い方をして欲しいし訓練不足や装備不足、疲労蓄積している地上軍を支援するつもり有るならある程度の地ならしはすべきなんだけどな。

      1
        • 名無し
        • 2022年 9月 29日

        陸軍には無茶苦茶な作戦やらせてるけど、空軍に対しては撃墜覚悟でウクライナのS-300を何とかしろとか吹っ掛けてないのかね、プーチンとその取り巻きは

        1
      • 匿名
      • 2022年 9月 29日

      例の、イランから買ってきたドローンがそれなりの成果出してませんでしたっけ?
      数日前の記事やコメント欄で「厄介な存在になるかも」とサラッと報告されてたのを見かけましたが…

    • AAA
    • 2022年 9月 29日

    アメリカから輸送車両を送ってもらえるウクライナに対してロシアは民間車両の徴発が始まる模様
    ロシア経済壊れるやろ・・・
    レンドリース法10月運用開始だからまだレンドリースなしの支援なんだよなあ

    12
      • けい2020
      • 2022年 9月 29日

      第二次大戦のレンドリースでも、ソ連の輸送車両の大半がレンドリース製になるぐらいで
      自国生産した兵器・車両なんかも材料段階からレンドリース供与されていたというね
      ソ連単体では何も出来なかったのに、ロシア国民は勘違いしてるんだろうな

      8
    • ナイトアウル
    • 2022年 9月 29日

     画像のM131A1って間違いじゃないのか。

     隣国ほどでは無いにしろ新規にHIMARS導入する事で現時点でもGMRSでのそれなりに射程がある攻撃、将来的にはER GMLRSやPrSMによる100km超の精密攻撃の可能性を考えたらRHC-155の契約みたいに将来への備えだな。再度の侵攻はは無理だろうが表面上はロシアはどんな兵器を作って対抗策とするんだろうな。

     HIMARSをより活用するために既に実用レベルにあるはずの射程150kmあって貫通力もある地上発射小口径爆弾 GLSDB)辺り提供したって良いと思うんだけど射程なのか開発企業による制限なのか全く話に上がらなくて不思議。

    • 58式素人
    • 2022年 9月 29日

    記事に出ている「Titan C-UAS」は良いものみたいですね。
    日本でも同等品があると良いなと思います。
    各国の支援の中に125mm戦車砲弾を見ませんが、
    ウクライナは自国生産ができているのでしょうか。
    戦車戦の話もあまり聞かないので、戦車砲弾よりも
    野砲の砲弾やロケット弾の方がより必要なのかな。
    或いは、ロシアからの鹵獲品で当面はOKなのかな。

    2
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