欧州関連

トルコ、スキージャンプと射出装置の組合せで強襲揚陸艦から「バイラクタルTB3」を運用か

Baykar社でゼネラルマネージャーを務めるハルク・バイラクタル氏は今月7日、強襲揚陸艦「アナドル」から艦載機仕様の無人航空機「バイラクタルTB3」がどうやって発艦するのかを示す画像を初めて公開して注目を集めている。

参考:Haluk Bayraktar ANADOLU LHD konuşlu Bayraktar TB3 SİHA’yı paylaştı

トルコはスキージャンプ台と発艦を支援する射出装置の組合せで艦載機仕様のバイラクタルTB3を強襲揚陸艦から発艦させる?

トルコ海軍はスキージャンプを備えた強襲揚陸艦「フアン・カルロス1世」の設計を流用した強襲揚陸艦「アナドル」を建造してF-35Bを運用予定するつもりだったのだが、ロシア製防空システム「S-400」導入の影響でF-35プログラムから追放されてしまい計画が御破算になってしまった。

そこでトルコ海軍は強襲揚陸艦「アナドル」に国産の無人航空機を搭載して活用するつもりでトルコの防衛産業企業Baykar社でゼネラルマネージャーを務めるハルク・バイラクタル氏も「アナドルへの着艦に耐えられる新しい無人戦闘機(UCAV)を1年以内に開発する」と明かしていたが、ゲブゼ工科大学主催の航空宇宙サミット(今月7日)に登場した同氏はスキージャンプを備えたアナドルから艦載機仕様の無人航空機「バイラクタルTB3」がどうやって発艦するのかを示す画像を初めて公開して注目を集めている。

ハルク・バイラクタル氏が公開した強襲揚陸艦「アナドル」の画像にはUAVの発艦を支援する射出装置が描かれており、艦載機仕様のバイラクタルTB3はスキージャンプが発生させる揚力と艦首に設置された巻取り式のケーブルによる加速力の補助を受けて発艦するのだろう。

出典:GTU HUK

あと注目すべき点はハルク・バイラクタル氏が公開した画像に描かれたバイラクタルTB3の大きさだ。

バイラクタルTB3はバイラクタルTB2をアナドルへの着艦に耐えるよう構造強化を施し主翼を折りたたみ式に変更したものだと思われていたが、公開画像に描かれたバイラクタルTB3の翼幅はアナドルの大きさ(最大幅32m)から考えるとバイラクタルTB2(翼幅12m)よりも4m長い約16m前後ということになる。

出典:Savunma Sanayii Başkanlığı トルコの無人航空機「バイラクタルTB2」

同社の最高技術責任者(CTO)を務めるセルチュク・バイラクタル氏も現地メディアのインタビューに対して「バイラクタルTB3の重量は1,200kg(機体重量なのか最大離陸重量なのかは不明)になる」と明かしているので、翼幅の件とわせるとバイラクタルTB3はTB2(最大離陸重量650kg)よりも大型化しているのはほぼ確実だ。

ただ大型化していると言っても米国製のMQ-9リーパー(翼幅20m/最大離陸重量4,760kg)と比較すればまだ小さい方だが、MQ-1プレデターと肩を並べる程度には大型化されているので航続距離や滞空時間、各種攻撃兵器の携行能力が格段に向上しているのかもしれない。

出典:public domain MQ-1プレデター

果たして今回公開された画像はバイラクタルTB3の大型化を示唆するものなのか意図的に仕組まれたフェイクなのかは不明だが、スキージャンプと発艦を支援する射出装置の組合せは恐らく世界初の試みなので多くの関心を集めるだろう。

しかしMQ-1プレデター並にバイラクタルTB3が大型化されても敵航空戦力による妨害に弱いという欠点は変わらないので、この組合せをトルコがどの様に運用するつもりなのか非常に気になるところだ。

関連記事:トルコ、主翼が折り畳めるバイラクタルTB3で強襲揚陸艦を空母に変身させる

告知:軍事関係や安全保障に関するニュースが急増して記事化できないものはTwitterの方で情報を発信します。興味のある方は@grandfleet_infoをフォローしてチェックしてみてください。

 

※アイキャッチ画像の出典:GTU HUK

英国、主力戦車のアップグレード「チャレンジャー3」を1,210億円で発注前のページ

JF-17対MiG-35、中国とロシアがアルゼンチンの戦闘機需要を巡って激突か次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ドイツ、次期主力戦車「MGCS」開発計画に参加する新しいパートナー国を今年9月に発表?

    ドイツの国防当局者は9月に開催されるMGCSプログラムの独仏協議後に新…

  2. 欧州関連

    英空母クイーン・エリザベス、インド太平洋地域展開前の最終テストを行うため母港から出撃

    英海軍の空母クイーン・エリザベスは5月1日、インド太平洋地域への展開に…

  3. 欧州関連

    米海軍、ギリシャとトルコの衝突防止のため帰国途中の空母打撃群を派遣

    米海軍は中東での任務を終了して帰国途中だった空母「ドワイト・D・アイゼ…

  4. 欧州関連

    トルコ、実戦で効果的だった電子妨害システム「KORAL」の後継を開発中

    トルコのエルドアン大統領は12日、防衛産業企業アセルサンの新しい施設の…

  5. 欧州関連

    口だけのEUに踊らされたギリシャ、トルコに対する武器禁輸措置は不発

    ギリシャ政府が提案していたトルコに対する武器禁輸措置はEU主要国の支持…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    どっかの島国よりトルコの方はG7に相応しいんじゃね

    8
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      そうだね、どこかの国よりトルコを招待するべきかもね。

      10
        • 匿名
        • 2021年 5月 09日

        (誤)どこかの島国
        (正)どこかの半島国

        こういう事だと思う。

        31
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      釣りだと思うので突っ込むと、両国の名目GDPは2020年の時点でトルコが7195億4千万ドル(世界19位)なのに対してどっかの島国は5兆0486億9万ドル(世界3位)
      (註・参照元は「世界経済のネタ帳」より)

      どうせボケるなら、統計位は調べような(白目)

      25
        • 匿名
        • 2021年 5月 09日

        上の方で「どっかの島国の名目GDP(2020年)は5兆0486億9万ドル(世界3位)」と書きましたが、正しくは「5兆486億9千万ドル(世界3位)」でした。

        お詫びの上、訂正致します。

        11
          • 匿名
          • 2021年 5月 09日

          ちなみに、その島国のT都のGDPが9654億ドル。
          トルコ1国よりも上ですね。

          7
            • A
            • 2021年 5月 09日

            昔そのT都以下だったロシアは約1兆,4735億だからけっこう頑張っているね。

            4
              • 匿名
              • 2021年 5月 10日

              購買力平価GDPだと日本とロシアと差は大きく縮まるけど、それでも依然として日本より下。
              ﹙2020年の購買力平価GDP:1位中国241,428億us$、2位米国209,328億us$、3位インド89,071億us$、4位日本 53,130億us$、5位ドイツ44,968億us$、6位ロシア40,965億us$、11位トルコ25,465億us$﹚

              そんな経済力で、ロシアはよくあの軍事力を構築出来るなぁ。
              過去の蓄積があるとはいえ。

      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      そういえばG7に招待されたどこかの半島の南側の国は、自国を(北側が敵対国なので事実上)島国だと考えているのだとか

      10
        • 匿名
        • 2021年 5月 09日

        考えていないぞ。
        当該国現政権は北は友邦と考えているから。

        それに、当該国民からすると、何故か島国は侮辱の対象。

        8
          • ゆう
          • 2021年 5月 09日

          どこかのK国は、半島は侮蔑単語らしい。
          『半分』の島国だから、らしい。
          うろ覚え。間違いだったらすみません。

          2
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      ノーベル賞受賞数もどっかの国が1つなのに対してトルコは2つ。
      極東のちんけな島国は幾つかって? たった25(外国籍除く)ですが何か?

      13
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      確かにどっかの島国は軍事研究はトルコより劣っているかもしれないけど、曲がりなりにも自由と平等を標榜しているし、少数民族迫害を国策にしていたりしていないからよっぽど「どっかの島国」の方がマシなんだよなあ・・・。

      10
        • 野嘗
        • 2021年 5月 10日

        ???????

        日本:防衛装備庁 人員1800人

        トルコ:国防産業庁 人員500人

        1
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      そういうのもういいから…
      他のサイトでやってくれ…

      23
      • 2021年 5月 09日

      どこかの島国は空母に無人機には出来ない航空作戦も出来るF35Bを搭載するんですが・・・・・・

      2
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      そうだね、飯は不味いし世界三大料理に数えられるトルコの方が
      …え? そっちじゃない?

      1
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    機体重量が軽いからこの程度の補助で十分なのかな
    そしてケーブルならスキージャンプの曲面にも対応できると
    動力は油圧か電気か、いずれにしても蒸気よりは扱いやすいし値段も安そうだ
    TB3とセットで空母を持ちたい途上国にはかなり魅力的だろうね
    なんなら日本含めた先進国にとっても必要な装備かもしれない

    8
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      >機体重量が軽いからこの程度の補助で十分なのかな

      あと離陸速度が低い事も。
      対気速度での値なので、空母の場合は合成速度分だけより低速での射出

      >動力は油圧か電気か、いずれにしても蒸気よりは扱いやすいし値段も安そうだ

      方式としては、あと空気圧式や火薬式も。
      旧海軍のカタパルトは、圧縮空気や火薬の燃焼によりピストンを動かし、
      その時の短距離なストロークをワイヤーと動滑車で増大して航空機の射出に利用しています。
      そのような仕組みでさえ、約5tの機体を約150km/hまで加速することが可能でした。
      今だと、モーター直接駆動で巻き取っても上記程度は出来るかも?
      バイラクタルTB2の巡航速度が約130km/h、離陸速度はそれより低速でもokでしょうし、バイラクタルTB3も傾向は極端には変わらないでしょうから、ワイヤー方式でも離陸速度や重量面では問題なさそう。

      10
        • 匿名
        • 2021年 5月 09日

        スロープに合わせて、カタパルトのレールが曲線になっているのが、気になるね。

        2
          • 匿名
          • 2021年 5月 09日

          だからかな?
          気密性の必要な蒸気カタパルトだと、スキージャンプとは相性悪そうですね。

          1
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      満載F-35C(31t)と比較すると、離陸重量が1/20以下。
      (1/2)mv2 なので、仮に離陸速度が同じでも必要エネルギーは1/10といったところか。

      「空母のカタパルト」と言っても、出力が1桁小さくて良いのならもはや完全に別物。これなら作れるという国は30ヶ国以上あると思われ、今後の海軍トレンドの一つになるかも。

      3
        • 匿名
        • 2021年 5月 09日

        今回はスペックを拾うのが難しいのでダメかもしれないけど、その手の計算するなら翼面荷重で考えた方が良いよ。

        L:揚力、ρ:空気密度、S:翼面積、V:飛行速度、CL:揚力係数
        とすると、揚力は L=0.5 * ρ * S * V^2 * CL

        離陸するには、Lが最低重量分だけ必要で、それをSで割ると翼面荷重に相当。
        なのでρとCLの条件が同等な場合、離陸速度は翼面荷重の平方根に比例して増大します。

    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    バイラクタルは、人名なのか、軍旗なのか、たまたま人名が軍旗だったのか、人名をバイラクタルに変えたのか、いつもよく分からない。

    9
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      二重の意味をこめてんでしょ?
      バイラクタルという人とバイラクタルというトルコ語の単語の二重の意味でさ

      1
        • 匿名
        • 2021年 5月 09日

        日本で言うなら「幡」さん、ってところでしょうね。

        1
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    まるで鳥人間コンテスト。ほかに使い道が無いから仕方ないけどF-35を逃したのは痛いな。

    12
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    ケーブルによる引き上げは、グライダーみたいですね
    学生の頃良く乗っていました、懐かしい

    8
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    >>ゲブゼ工科大学主催の航空宇宙サミット(今月7日)に登場した同氏はスキージャンプを備えたアナドルから艦載機仕様の無人航空機「バイラクタルTB3」がどうやって発艦するのかを示す画像を初めて公開して注目を集めている。

    大学主催のサミットで発表できるのがすごいな
    日本じゃ絶対無理

    21
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    アナドルもオリジナルのフアン・カルロスから結構変わってるな
    しかしこの一族はF-35Bから避けられる呪いでもかかってるのか…

    3
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      イラストの揚陸艦は、火災発生時のアナドルから艦上構造物が増えていますね。
      艦のバランスが崩れそう。

      2
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    バイラクタルは、フィードバックされた実戦データに基づいて、自社UAVの性能と運用の
    拡張を企画できる強みがあるため、現行のUAV開発では最先端のひとつといえそう。
    UAVを常備して、強襲揚陸艦を多目的化するアイディアは、他国への刺激にもなると思う。

    3
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      揚陸艦や空母からの発艦のアイデアはこの前からあったと思うが、さすが最先端の国は早いわ。
      個人的には、スキージャンプ無しで離発着出来ればなお良いと思う?

      2
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    離陸速度が高くないなら、最後尾から加速したら自力で離陸出来そうにも見える。

    2
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      滞空型だと推力もあんまり大した事ないから無理じゃない?

      1
        • 匿名
        • 2021年 5月 09日

        そんな貴方には、旧海軍も志向したRATOをどうぞ。

    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    アナドルを、あなどるな!

    8
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      山田くん、座布団全部持ってて。

      6
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    強襲揚陸艦でUAV運用ってのは、まぁ皆が考えること。
    UAVの種類によっては小さい揚陸艦も十分利用出来るだろうし、無人機開発のニーズが世界的に高まる方向なんだろうね。

    3
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    戦力として有効に機能するなら
    日本もいずも型にドローン搭載しそうだな

    3
      • A
      • 2021年 5月 09日

      出来れば最上に搭載したい。
      よみがえる航空巡洋艦!

      3
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    発艦はいいとして、着艦はとうするの?

    3
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      降着装置で対応でしょうね。
      多少破損しても良いなら、ネットで捕獲という手も使えるかな。

      1
        • 匿名
        • 2021年 5月 09日

        重量が重くなっているので、着艦装備も考えているのでは(適当です)。

    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    陸上機から艦載機向けの降着装置に変更したら
    重くなるのはまあ道理ですから、大型化もするんですかね。
    飛ばすだけなら火薬式で瑞雲でも零式水偵でも飛ばしてた訳ですから。

    2
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    巻き取り式のワイヤーって運用は1機ごとにワイヤー引っ張ってきて装着するのかね?
    戦闘機じゃないから連続発艦する事も無いんだろうけどクッソ面倒くさそうだな

    2
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      巻き取り終わったら上の方にあるから、巻き取り機を解除したら概ね元の位置に落下してくるかと。
      むしろ勢い付けすぎないように、エンジンブレーキ的な事をする必要があるかな。
      モーターへに繋げていると、モーターが発電機的な事をして、ブレーキの役目果たすかもしれないけど。

      2
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    グライダーの離陸方法と似てるから参考にしてそうだな。

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 軍事的報道

    国産防衛装備品の海外輸出が実現!フィリピンが日本製警戒管制レーダー「J/FPS-…
  3. 欧州関連

    再掲載|導入自体が間違い?タイフーンを導入したオーストリアの後悔
  4. インド太平洋関連

    日米からのオファーがない? 韓国空軍、日本のF-35整備拠点利用を否定
  5. 軍事的雑学

    打つ手なし? ドイツ軍兵士は一般的な乗用車を「プーマ歩兵戦闘車」と思い込まされ訓…
PAGE TOP