英国防省は7日、BAEシステムズとラインメタルが共同で設立した装甲車輌企業「RBSL:Rheinmetall BAE Systems Land」に対して主力戦車「チャレンジャー2」のアップグレード作業を8億ポンド(約1,210億円)で発注したと発表した。
参考:British Army to possess most lethal tank in Europe
チャレンジャー3規格へのアップグレード契約を締結した英国、1輌あたりの改修コストは8.2億円
英陸軍が保有する主力戦車「チャレンジャー2」は1998年に登場して以来一度もメジャーアップグレードを施されていないためNATO加盟国や潜在的な脅威対象のロシアが保有する主力戦車よりも性能が劣っており、特に夜間の交戦能力や英国以外に採用例のない120mmライフル砲、走行中に目標に主砲を発射することを想定していない旧式の射撃管制システムなどチャレンジャー2が劣る点を挙げれば切りがなく、メイ前政権時代のモーダント国防相も「完全に時代遅れ」と認めている。
この問題を解消するためチャレンジャー2のアップグレードが企画されBAEシステムズとラインメタルが独自の案を提案、英陸軍の評価テストまで済ませていたのだが英国の安全保障体制の抜本的な見直しや英国軍の再編計画、ジョンソン政権への移行が重なりチャレンジャー2のアップグレードに関する決定は先送りされ続けた。
その間にBAEシステムズとラインメタルは英国に装甲車輌企業「RBSL:Rheinmetall BAE Systems Land」を合弁で設立してチャレンジャー2のアップグレードを共同で行うことになり陸軍への提案が1本化されてしまったのだが、ジョンソン政権が今年発表した安全保障体制の抜本的な見直しや英国軍の再編計画で陸軍のチャレンジャー2は79輌削減されことになったものの残り148輌にはチャレンジャー3規格と呼ばれるアップグレードが実施されるが確定した。
今回の話はチャレンジャー3規格へのアップグレード作業をRBSLに8億ポンド(約1,210億円)で正式発注したということなのだが、1輌あたりの改修コストは8.2億円で以前予定されていたアップグレードコストの2.5倍(以前の計画では1輌あたりの改修コストは約3.2億円と言われていた)に達しており、戦車や重装甲車輌への継続的な投資が途絶してエコシステムが失われた環境下で実施されるアップグレードがどれだけ高くつくのかをよく物語ってる。
現地メディアは英国よりも経済規模が小さいイスラエルが主力戦車「メルカバMk.4」を維持して頻繁なアップグレードを行えるのは単価と効率の問題だと以前から指摘しており、潜在的な敵に陸続きで囲まれているイスラエルは陸上兵器への継続的な投資が行なわれているため戦車や重装甲車輌を常識なコストで維持することが出来るのだが、チャレンジャー2の本格的なアップグレードを20年も放置してきた英国には戦車を常識なコストで維持するためのエコシステムが失われているという意味だ。
この問題を解決するためには米国やNATO加盟国と主力戦車を共同調達することが最も効果的だと英国メディアは主張していたが、英国政府はチャレンジャー2のアップグレードを実行するための契約を締結したのでもう後戻りは出来ない。
因みにチャレンジャー3規格のアップグレードパッケージにはラインメタル製の120mm滑腔砲「L55A1」や新しい射撃管制システムへの換装が含まれており、全天候型の光学・赤外線センサーを採用することで課題だった夜間の交戦能力も飛躍的に向上見込みだ。
さらに防御面でも新しいモジュラー装甲、レーザー警告システム、アクティブ防護システム(APS)の採用が予定されておりチャレンジャー3は米国のM1エイブラムスやドイツのレオパルト2に匹敵、一部の性能については両者を凌駕すると英国防省は説明しており、2027年までに初期運用能力を獲得(2030年頃に完全作戦能力を獲得する見込み)する予定らしい。
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※アイキャッチ画像の出典:UK Ministry of Defence
イギリス国旗って洒落たデザインなのに、なんでサムネの戦車は悪趣味なんだろ。アメリカとか星条旗見せ方上手いんだなと思った
ブリティッシュエアウェイズもアエロフロートも、両方、国旗がたなびく尾翼デザインだけど、絶対、ロシア人のほうが美的センスが高いw
産業革命で料理の味覚と一緒にセンスを失ったんだよ。もしくはフランスから入ってこなかったか
良く言って合理的を貫いてきたから、プロパガンダ的な物の見せ方を学ぶ機会がなかったというべき
日本みを感じます
俺「もう主力戦車にライフル砲使うやつはいないのか」
インド「いるさ!ここに一人な!!!」
「1輌あたりの改修コストは8.2億円」
これなら車体前面複合装甲(チャレンジャー1・2はなしで本形式の弱点)、パーキンスCV12・1500馬力エンジンにラインメタルの主砲を組み合わせた現代版MBT-80を新規生産したほうが良いのではないか?
10式以上に生産数が期待できない上開発生産能力が失われてだいぶ経つ英国で今更新規で作ろうもんなら10式なんぞよりも遥かに高価な戦車になる
30億で済めば御の字レベル
エイブラムスとレオパルトの現最新型を1部超える性能って確かに今なら最強の戦車候補になる性能だけど完全作戦能力獲得が30年は流石に遅すぎないかね…
その頃には独仏の次世代型新型戦車が見えてきてる頃でしょ
なんか英国軍の一部をロボット化するとか言ってたしそれに合わせてるとかじゃない?
人を乗せなければ意外と戦車が強くなりそう
記事にも書かれてるけど、今までアップグレード無かったのに今になってアップグレードって大丈夫かね・・・?
新造した方が早くて安くて高性能だったりしない・・・?(小声)
そもそも、現在の欧米諸国に戦車の新造ラインって稼働しているのだろうか?
米独ともに冷戦期に生産した車体のアップグレードしかしていないし……
10式戦車が1輌7億だからね。
1が抜けてる。17億でしょ。今現在なら20億でも驚かない。
目標が7億
初年度実績が9.5億
最近だと低率生産が災いして15億
数字を目の当たりにすると、継続的に新モデルを出す理由もうなづける
ちなみに90式戦車は、調達初期が約11億で、最安値が約7.9億。
こちらは量産効果で価格が低減しています。
15億なんか嘘だと思ったら2018年の予算で5台73億円で1台14.6億円だった。この金額って高価な複合装甲とか弾は入ってないよね外国に売るのは無理そうだな。
複合装甲は入っているかと。
…別予算で請求していないよね?
日本の拘束セラミック装甲、製造のハードル高い様だけど、
同時に高性能なのはコロンブスの卵というか、秘伝は真似し易いから秘するものというか、
とにかくノウハウ流出したら日本戦車の戦力が相対的に低下するので、門外不出扱いみたいです。
米国からの打診も断ったとs氏が回顧してたことも。
30年間が空いたから前回のサプライチェーンなんて残ってないだろうけど、そもそもBAEとラインメタルだから、新規に自分のとこで作れそう。
乗りものニュースの記事によると、「約200人の熟練技術者の仕事が確保されるほか、サプライチェーン全体で450の雇用が生まれる」とも書いてありました。
長期的には後継車両どうするの?とか、今頃チャレンジャー2のアップグレード?とかいろいろ思うところはあるけど、
まずは雇用と技術を守るという選択も含んだ、意味深い決定みたいですね。
◆乗りものニュースの記事
リンク
雇用に配慮しつつ非常に手堅くまとめた感じですね。
少数ではあるが将来にわたって独自の機甲戦力を維持するというイギリスの意思を感じます。
ライフル砲でAPFSDS発射するとかなかなかイカれた設計だな
チャレンジャーがチーフテンの性能向上型みたいなものだし、それ由来の戦車砲なので元々はAPDS用だったからね。
APFSDSは後からの対応だから仕方ないです。
74式戦車も同様ですよね。
いやライフル砲からAPFSDSやらHEATFSを撃つのは全然普通。ほとんどのライフル砲にはAPFSDSが用意されてるよ。25mmの機関砲にすらね
日本の潜水艦が、これのはず。
生産・維持等の技術伝承のため、定期的に製造している。
また、ライセンス生産も「ライセンス生産許可しなければ、自分たちで作る。それだけの技術力はある」ことを示せば、価格交渉できるらしい。
>また、ライセンス生産も「ライセンス生産許可しなければ、自分たちで作る。それだけの技術力はある」ことを示せば、価格交渉できるらしい。
うろ覚えですが、90式戦車の戦車砲がそんな感じみたいですね。
試作した国産砲の方が若干性能上だったけど、極端な差も無かったので当初の予定通りRh-120のライセンス生産となり、その際の価格交渉に利用されたと。
日本が戦車を15~20年おきに開発しているのも開発力が途絶えたときのデメリットが大きいからでしょ
もう裏では10式のアップグレードと次の戦車開発どうするか(というか戦車という兵器自体どうするか)が話されてるんじゃない?
10式改にはどんな改修が必要か誰か教えてクレメンス
ベトロニクスの入れ替えと、装甲の強化、必要なら135mm砲の搭載?
他国の主力戦車はたいていトロフィーシステムみたいなアクティブディフェンスシステムが付いてるし、改修するとしたらその辺かな
そろそろ無人砲塔を…
10式はトロフィーぐらい?あんまり重くすると意味がないような。
それより、90式の更新かな。10式のシステムとトロフィーを載せてUAVと衛星と通信可能とかなんとか。砲は先走って大型化して大丈夫かな。
翼幅2m以内のUAVへの対空攻撃は、戦車の機関銃と歩兵戦闘車の機関砲の仕事になるかも。
電子機器の更新は当然として、
16式機動戦闘車との役割分担を明確にする方向に行くと思う。
装輪式の、軽量・必要な武装・安価・維持しやすい等に対し、
履帯式だから、重装甲化・重武装方向に行く気が。
ただ、砲を現在以上としても、長砲身化は小回りが利かなくなり、大口径化は砲弾数の減少となるので、しないだろう(現状でとりあえず十分)。
また、アクティブディフェンスシステムは、初動対応となる高機動戦闘車に必要だろうけど、10式には必要性が薄いと思う。
数多久遠なるアホ作家が戦車不要論者で「戦車なんて廃止して必要になったら30年後くらいにまた作ればいい」とか言い張ってたが、自称元自衛官が一度失った技術やノウハウが沸いて出てくると思ってるんだから呆れたもの。
次期戦車に関しては米軍の新型戦車が使う主砲口径に設計が左右されるだろうから現時点では具体的には何も決まってないんじゃないかな。
ここでもちょくちょく戦車不要論者が出てきてるからなぁ
えっ?30年間戦車に触れてない兵と指揮官で機甲戦を!?
製造中止ではなく廃止だから、そうなるよね。
民も官も、現役では恐らく知見持っている人がいない状態で、手探りでの開発になりそう。
できらぁ!(できない)
30年も間が空くと、それまでノウハウ持ってた人が引退してること多いからねえ
引退どころか鬼門に入られてることもあるかと。
飛行機がこのパターン。
そもそも数多氏は高射佐官で陸自の考える機甲戦力自体を否定している
陸自は海空自港湾飛行場を防護出来ればそれでいい、逆にそれに全力を注ぐべきと言う考えで機甲戦力も基地防護だけに全振りしろと言ってる
実際日本の防衛環境考察したらそうなるのも頷けるし、逆に陸自幹部が反発するのも頷ける
日本の場合は、戦車関連だと90式改が先行かな。
ここでは、10式との共用新型APFSDSが予定されています。
そして新型砲弾を10式APFSDSより低性能にするとは思えない﹙10式相当だと高腔圧化の影響でRh-120では耐えられない﹚ので、
恐らく90式戦車に対して戦車砲と射撃管制システムなどの更新がメインになると思います。
モジュール装甲の更新までするかは分かりません。
プラズマ焼結のセラミック装甲が実用化しているだろうから、換装することで防御も大幅向上が望めるでしょうが。
昔s氏が述べたタイムテーブルに従えば、防御力は倍増だったかな。
開発中のアクティブディフェンスシステムは、どうだろう?
せめて後日対応出来るようにしてくれたら御の字ですが。
「90式戦車﹙改﹚」と「10式と90式の徹甲弾共通化」について初期に触れられていたやつ。
開示請求が切っ掛けだった模様。
リンク
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>10式相当だと高腔圧化の影響でRh-120では耐えられない
Rh120の設計最大腔圧は707MPa
最大運用腔圧が672MPa
JM33の腔圧カタログ値は
21℃時 平均515MPa、最大530MPa
高温時 平均610MPa、最大630MPa
10式の腔圧カタログ値は
21℃時 平均640MPa
高温時 最大707MPa
高温時は破裂する危険と背中合わせだけど、Rh120でも何発かは撃てるかも。
むしろ今更新戦車なんか開発してる様じゃもう日本はお終い
とっととUAV中心の組織に改変しなきゃ陸自は存在価値なしだわ
米中露独仏土「は?」
現実では世界中で新型戦車作りが始まってるんだけどね
おっ延命か!嬉しいな
ところですごい記念塗装ですね!
CGじゃない?
派手なばんつみたいでちょっとセンス疑うな。
>>継続的な投資が行なわれているため常識なコストで維持することが出来るのだが・・・
これはこれで一歩間違うと壊れた蛇口のような既得権益化された投資になって単価と維持管理費の高騰スパイラルに陥ってる
アメリカの様になるリスクもあるから
事業管理って難しいよね
8.2億円ねぇ。アメリカからM1の最新バージョン買った方が後々のことも
考えるとお得なんじゃない。イギリスなら良心的な価格で購入できそうだし
エイブラムスは今や20億
微妙なライン
今更120mm…と思ってよく読んだら滑腔砲じゃなくてライフル砲だった
やはり独自の英国面…
西側各国が105mmライフル砲を使用している時に120mmライフル砲を使用していて、
その後各国が120mm滑腔砲に置き換えても120mmライフル砲を継続使用だから、
英国面の発露であると共に、貧乏が悪い感じも。
エンジンの改修は?
非力なエンジンとトランスミッションがそのままとか、ないよね?
エンジンはそのまま
換えるのは主砲、視察装置、モジュラー装甲、アクティブ防御システム、砲塔基部をNATO標準に改良だし
いや、エンジンも改良型に換装、サスペンションも新型に交換です。
残るのは、車櫃のみかな?
一番要らねえチーフテン由来のシャーシだけ流用してチャレ3名乗るとかどっかのヴァイパーさんそっくりやな
ここまでやんならエイジャックス派生で120TKGやりゃええんとちゃうの
どうせ主装甲はチョバーム系だろしIFVに外装するアドオン装甲と大差ないやんけ
MBTの中ではチャレンジャー2のデザインが一番好き
今回の3もなかなかなブリティッシュマッチョで……良いねぇ惚れボレしちゃう
早くタミヤの1/35が欲しいな。
機甲戦力を地上走行型攻撃ヘリと勘違いしてそうな本邦のガンギマリMBT10式戦車も悪くないんだけど、やはり戦車はゴリマッチョが一番好き
チャレンジャーとイタリアのアリエテのデザインも好きですね。楔形装甲もいいけれど、前面が上に傾斜していると精悍に見える(個人の感想です)。
砲塔と車体の筐体以外はほぼ全取っ換えの状態で(砲、エンジン、サスペンション、FCS、装甲も追加ではなくて入れ替えられる可能性あり)、正直ここまでやるならばレオ2、M1のその時点での最新モデルで良いのではないか、コスパ悪そう…
リンク
各々の部材は、砲以外自国で開発した物が有るからということなんでしょう。
a new turretとあるので、砲塔全体も新造かも。
公開されている画像だと既存の砲塔のセンサーと砲を入れ替えたLEPのデモンストレーター的な奴しか見当たらないですけど、砲塔全体が新造だとしたらこれなのかもですね。
130mm砲のデモンストレーターなのになぜかシャーシがChallenger2なのは謎でしたけど、近代化改修プランのための開発を兼ねていたとしたら納得、130mm砲が載るならばより軽量で反動も少なく砲弾が小型の120mm砲も問題なく載るだろうし。
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改修コストの2.5倍以上っていつのどれとの比較なんだろう誰か分かる人いるのかな?改修内容が増えているなら、搭載機器を高性能な物にしているなら、数両に変化があるなら、完了までの期間が短くて急いでいるとかコストアップ要因は色々あって単純に比較出来る物ではないと思う。検索下手なのは分かっているが海外サイトとか見てみたけどあんまり比較出来そうなデータはないように思えた。
エコシステムに関しては別の会社が作っていた物を作ってくれとかは製造業では普通にある筈だし、技術がある所なら低コストで良い物すら作れる時もある。多少の無茶を通すならエコシステムを維持した方がマシだろうし、常識な資金投入して5年位待てるって言うなら一から構築でもいける気がするんだよね。後、エコシステムとか技術もっている企業ですら様々な失敗しているケースが多い現状でエコシステム維持しているから安く作れる事になるのかってのは考えないといけないんじゃないかな。
>自称元自衛官が一度失った技術やノウハウが沸いて出てくると思ってるんだから呆れたもの
良くわからない理屈やな、自衛隊に行ったら製造業の勉強しなきゃいけないの?発言する事に問題(現実的な選択かは別として)はないだろう。そんな突拍子がない発言があるから、それに対する反論として様々な話が出てくる訳だし毒にも薬にもならないなら別に構わないでしょ。
世の中にスタートからゴールまで全ての事を把握している奴なんて限られてるんだから、無責任な発言するなと言ったら世の中のほとんどの奴が発言する資格失う。それはここに書き込む人も同じ。開発から製造、運用まで精通し、過去の戦術戦略もわかり、政治や素材や力学等あらゆる事に精通した上でないと完璧に近い答えなんて出せる訳がない。
毒にも薬にもって・・・「毒」だろ、間違いなく。
元とは言え自衛官がそんな基本的な事も理解出来ないアホなのかって事になれば自衛隊に対する評価に関わる。
それともなにかい?「一度失った技術は沸いてこない」ってのは製造業の勉強をしないかぎり知る由の無い高度な専門知識だとでもおっしゃる??
本人が元自衛官だと名乗ってる、つまりその道の専門家なのだと箔をつけている以上はその発言には責任が伴うんだよ。