トルコのBaykar社はウクライナの主権を守る戦いを全面的に支持しており、ハルク・バイラクタル最高経営責任者は「まもなく空対空ミサイルが統合されたTB2がドローンの迎撃に使用できるようになる」と明かした。
参考:«Bayraktar» dronus Ukrainā drīz varēs izmantot pret kamikadzes lidrobotiem
TB2にも空対空ミサイルの統合が進んでいるというのは初耳、都市上空に常時待機させておけばShahed-136を迎撃チャンスがあるかもしれない
ロシア軍がイラン製無人機「Shahed-136」をインフラ攻撃に使用し始めたことでウクライナは大きなは被害を被っており、この問題についてハルク・バイラクタル最高経営責任者は「いかなる場合でも対抗策を準備しておく必要があり、我々はウクライナの主権を守る戦いを全面的に支持している」と述べた。
さらに「まもなくTB2やAkinciに空対空ミサイルが統合されドローンだけなく敵機の迎撃に使用できるようになる。現在テストが行われている最中だ」とも明かしており、長時間の滞空性能とEO/IRセンサーを生かしてウクライナ軍のTB2が「Shahed-136狩りに使用できるようになる可能性」を示唆したため注目を集めている。
Akinciは国産の空対空ミサイル(MerlinとPeregrine)が搭載される予定だったので驚きはないが、TB2にも空対空ミサイルの統合が進んでいるというのは初耳で、重量的に短距離のMerlin(推定射程65km/140kg)を1発携行するのが限界だろう。
TB2の飛行速度はShahed-136と変わらないため、戦闘機のようにShahed-136を追いかけて撃墜するというな芸当は期待できないが、24時間以上の滞空性能を生かして攻撃を受けやすい都市上空に事前展開させ、Shahed-136の接近と同時にインターセプトコースで飛んでいけば目標を迎撃するチャンスぐらいあるかもしれない。
因みにAkinciなら地上配備型レーダーで捕捉するのが困難なShahed-136を搭載されたAESAレーダーで上空から監視でき、発見した目標をMerlinやPeregrineで迎撃できるのだが、量産が始まったばかりなのに発注が殺到(トルコ以外にアゼルバイジャン、パキスタン、キルギスなど)しているので、直ぐにウクライナ軍がこれを手に入れるのは難しいだろう。
バイラクタル Akinci | |
全長 | 12.2m |
全幅 | 20.0m |
エンジン | 450馬力×2基もしくは750馬力×2基 |
重量 | 1,350kg |
最大離陸重量 | 6,000kg |
ペイロード | 1,500kg |
巡航速度 | 240km/h |
最高速度 | 361km/h |
航続距離 | 7,500km |
滞空時間 | 24時間+ |
最大高度 | 12,192m |
運用高度 | 9,100m |
ハードポイント | 8ヶ所 |
AkinciはUAV専用の精密誘導兵器MAMシリーズ、国産対戦車ミサイルL-UMTAS、国産精密誘導キッドを装着したMk.81/Mk.82/Mk.83、国産バンカーバスターのSARB-83とNEB-84、国産巡航ミサイルSOM-A(射程250km)、国産の空対空ミサイルMerlin(推定射程65km)、国産の空対空ミサイルPeregrine(射程不明/AIM-120D相当)、国産対レーダーミサイルAKBABAなどを運用をすることが可能で、どちらかと言うと情報収集・監視・偵察(ISR)任務よりも直接戦闘に特化した無人機だ。
AkinciはTB2(500万ドル以下)より相当高価だと噂されているが、MQ-9(4,940万ドル/米空軍が2021年に16機発注した際の機体単価で地上管制装置などは含まれていない)も安価だと言われているので、サウジアラビアやアラブ首長国連邦もAkinciに関心を示しているらしい。
追記:AkinciやTB2に統合されるのはSungurと呼ばれる迎撃弾(地上発射で射程が8km/重量は不明だが相当軽量)らしい。
関連記事:トルコ、MQ-9に匹敵する新型無人航空機「バイラクタル Akinci」の実戦配備を開始
※アイキャッチ画像の出典:Baykar
戦闘機がミサイルキャリアーと言われて久しいし、ドローンに任せられるとこは任せれば良いね。
とはいえ対空ミサイルで対ドローンはコスパ悪いなぁ。
機関砲とか、現行空対空ミサイルより小型安価な対ドローンミサイルとかあればなぁ
ドローンにはドローンでBARCAPですか。
滞空時間的にはいいかもしれませんね。
撃墜コストは…機銃搭載してしまえばどうでしょう?
機銃を乗せたドローンは既に登場しているけど、対人用っぽいんだよね。ぶんぶん飛び回って狙いにくい敵ドローンより、地面をとことこ走る敵兵を撃った方が戦術的にも合理的。本記事の趣旨である空対空ミサイルの装備も「Shahed-136に対処できるかも」というぐらいで、本命は敵戦闘機や敵戦闘ヘリの撃墜だと思う。
トルコ、結構無人機の進んでますね。ハベルサンという会社の小型偵察ドローン「バハ」も開発中で、このドローン民生品改造タイプからの派生品みたいで、地上部隊の目として機能するようです。日本も、次世代のコンセプト打ち出して欲しいですよね。
参考
リンク
リンク
ハベルサンの無人機紹介
リンク
無人対無人の戦闘に入るのか
近未来に双方が完全な自律型になれば、もはやSFの領域が現実
現在のウクライナは両軍とも強力なSAMのせいでドローン同様地上レーダーで捕捉しづらい近接航空支援を何とかやってるような状態だけど
Akinciの滞空時間24時間+と射程100㎞前後のAAM能力を組み合わせて、前線そばの空域で敵レーダー等から地形の陰に隠れて低空で待機、前線からの通報で速やかに上昇して敵を補足して打ちっぱなしAAMで攻撃再び速やかに遮蔽に逃れるみたいな戦法で近接航空支援すら粉砕できたりしないかな
高性能なEO/IRセンサーで敵ドローンを発見できるのか気になるところ ある程度の高度で移動しながら索敵することが効率的であるならばインフラ設備付近にMANPADS部隊を展開して迎撃指示が出せるかもしれない
flight radar24でトルコのエーゲ海沿いのイズミール辺りを見ると。昼夜問わず24時間2機くらいのTB2がウロウロしてる。航路跡を見ると自動飛行っぽい。
ギリシアとギクシャクしてるからか、3交代でオペレーターが監視してるのだろうけど。モニターを注視するだけの仕事で退屈しないのか心配になる。
ATASかSungur空発型みたいなのとかでは?
単純計算で10発積めるし。
小型ドローンの対処は撃墜する技術よりコストと自動化が問題だと思う
その点からすると、大型ドローンに携帯対空ミサイルなりを積むのは悪くなさそう
ただ、原理的に常時十数機は空中待機させとく様な運用にせざるを得ず、今度はそっちで頭抱えそうでもある
手段としてはベター・繋ぎであって、やっぱりレーザーなりマイクロ波なりで地上から迎撃出来るようにするのがベストか
もっとも、そっちはそっちで、いつ開発終わって配備出来るんだ?って致命的な問題があるが
日本だと完全無人よりも平時も運用しやす有人機に、二式水戦のようなフロート搭載して迎撃用の機銃と無人機の発艦機能を搭載したお安い機体を開発する方が、対応力がありそうな気がする。
無人機が必要なら改造して無人機にすれば良いし。
日本の場合、洋上運用する事になるだろうから当たり前の様に海水を浴びまくる水上機ってのは運用含めたらおよそ「お安い機体」にはなり得ない様な…。
大戦中とは「航空機のスピードレンジ」が全然違うので、離着水というスピードハンデも当時より重いし。
もはや気球にRWSつけるほうがいいのでは?
ここで話題のSMASHについて
UAVに搭載させたものをKyivにtransferするとある。
本当なのか?
動画のドローンだと機動性が無さそうだが、量は十分確保できるのだろうか?
リンク
考えてみるとTB2もSHAHED-136と大差ない速度で追っかけて撃墜とか難しそう。
守備範囲や迎撃コストや対象の特性によって有効度か変わるから、1種類の兵器でOKとかでなく、複合的重層的にカバーした方が良さそう。
もちろん安くて効果が高いコスパが高いものを厚く配置するんだろう。
ウクライナが防空ミサイルシステムを欲しがるのは人的被害に対して安全策でコスト以外では優秀だからか?
それと西側が戦闘機は供与してくれない実績があるからかな?
それとも戦闘機は守備範囲は広いけど労力がかかり、人的コストや調達コストのせいで何機も落とせないから?
対空型無人機とそれに搭載さた散弾とか搭載した速度早めの迎撃用無人機で敵ドローンを迎撃とかできないのかな?