英国のRoyal Air Force(王立空軍または英空軍)は、世界で「最も長い歴史」を持つ空軍として有名だが、その内情は厳しそうだ。
参考:Will the Royal Air Force Have Enough F-35s to Do Its Job?
英国は138機もF-35Bを調達する気がない?60機あれば十分?
英空軍は最近、160機目のユーロファイター・タイフーンを受け取り、1990年代から続くタイフーン調達が終了した。
現在、155機が保有しているタイフーンの内、最初に導入された53機は「搭載機器」や「ソフトウェア」の問題で能力が限定的な「トランシェ1」タイプで、単座型の24機は実戦任務から外れ保管されているが、複座型はコスト削減の方針により廃棄される。
さらに約40年に渡り活躍してきた戦闘機「トーネード」は、今年の3月に退役してしまったので、英空軍には102機のタイフーン(トランシェ2とトランシェ3の合計)と、導入が始まったばかりの第5世代戦闘機F-35Bが17機しかない。
軍事情報誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」は、英空軍の戦力はこれから回復基調に入り、10年程度で264機の作戦機を運用できるようになると主張しているが、これはトランシェ1(単座型24機)を含めた126機のタイフーンが10年後もそのまま運用され続け、計画通りF-35Bが138機調達されたらの話だ。
英国は2019年時点で48機のF-35Bを発注する予定だったが、現実には33機しか発注を行っておらず、英国はF-35Bを138機調達するつもりがないという見方が根強く残っている。
それを裏付けるように英空軍の元パイロット、デビッド・シンプソン氏によれば、英空軍は2015年、F-35Bを60機調達し新たに5個飛行隊を編成(12機×5個(内1個は訓練部隊)する計画を立案していたので、138機ものF-35Bは不要だと述べた。
彼は整備や訓練の関係上、2隻のクイーン・エリザベス級空母が同時に任務につくことは無く、空母に派遣されるF-35Bは最大でも3個飛行隊(36機)までで、残りの飛行隊は陸上基地で運用される。
そもそも、クイーン・エリザベス級空母の実戦配備はスローペースで進行中(1番艦の作戦能力獲得は2020年中、2番艦は2022年以降)なので、F-35Bの調達を急ぐ必要がなく、米海兵隊のF-35B分遣隊をクイーン・エリザベス級空母に搭載し運用する「クロスデッキ」も進行中なので、もし米海兵隊F-35B分遣隊がクイーン・エリザベス級空母に同乗するれば、その分、空母に派遣する英空軍のF-35B飛行隊の数も減る。
補足:米海兵隊のスティーブン・R・ラダー中将は2019年5月、メリーゴランド州で開催された会議の場で「海兵隊のF-35Bと、英海軍空母との組み合わせによる共同軍事作戦は、素晴らしい方法になる」と発言した。この発言は、2021年から英空母「クイーン・エリザベス」へ、米海兵隊のF-35B分遣隊を派遣する予定になっており、これに基づいた発言だと見られる。
一応、60機調達するF-35Bを補完する意味で、最大30機までの追加発注が検討されているが、138機のF-35Bを英空軍が導入するという話には48機も足りず、もし英空軍が138機のF-35を調達するなら、残りの48機はF-35A(退役したトーネードの任務をカバーできるという意味)を導入したほう良いだろう。
最後に彼は、タイフーンのトランシェ1(単座型24機)は、プロジェクト・センチュリオンから除外されているため2030年までには退役するだろうと付け加えた。
補足:プロジェクト・センチュリオンとは、退役するトーネードから対地攻撃任務を引き継ぐため、タイフーンに長距離巡航ミサイル「ストーム・シャドウ」や、空対地ミサイル「ブリムストーン」などの対地攻撃兵器の運用能力や、長距離空対空ミサイル「ミーティア」の運用能力を付与するためのプロジェクト
このようなシンプソン氏の話を総合すると、10年後の2030年代、英空軍は102機のタイフーンと60機~90機のF-35Bを装備し、計162機~192機程度の戦闘機戦力を保有していることになる。
NATO主要国と英国の戦闘機保有数を比べた場合、2019年時点の「119機」はイタリア(159機)よりも少なく、2030年までに192機まで戦闘機を増やしたとしてもフランス(303機)に遠く及ばない。
日本とあまり変わらない防衛費を支出(2018年度:日本454億ドル、英国472億ドル)しているにも関わらず、戦闘機は119機(日本:330機)まで減り、主力戦車は予算不足を理由に148輛(日本:640輛)まで削減されるというのは、やはり核戦力(核弾頭付きトライデントミサイルを搭載したヴァンガード級原子力潜水艦4隻や後継艦のドレッドノート級原子力潜水艦の建造)の維持に予算を奪われ、通常戦力の調達や維持にしわ寄せが来ているのだろう。
通常戦力の装備ですら、右肩上がりにコストが上昇を続けているので、このまま行けば英国軍の通常戦力は、ますます規模が縮小していく可能性もある。
本当に英国軍は大丈夫なのか?
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo courtesy of Lockheed Martin by Dane Wiedmann
F-35Bの件は日本にとては朗報かも? 調達時期が早くなる可能性がある意味で、値段は・・・
青組でも制式空母(カタパルトあり)を運用してる国はアメリカだけ、趨勢がフラットデッキの強襲揚陸艦、軽空母って方向?
視界外ミサイル、超音速ミサイルの配備が進んでるから空母の運用形態も変わっていくんでしょうね。
フランスのシャルル・ド・ゴール級も一応カタパルトありの制式空母では?
イギリスやドイツすら自衛隊未満の状態って欧州の安全保障大丈夫なのか
日本がもし、いずも級を練習空母として、次に中型空母を2隻ぐらい保有する事になったらどうなるんでしょうね
搭載機はF-35B(もしかしたらC)しか選択肢が無いと思いますが、例えば30機×2隻として60機になる
F-3の枠を削る事だけは避けてもらいたい
ただですら、現在アナウンスされているF-2の分そのままの90機でも少な過ぎる
そもそもF-2の調達予定数は130機でしたし、F-15改の後継もF-3でしょう
飛行隊数も増える方向性ですし、F-3は最終的に200~250機が調達されると見てますが
とはいえ、2040年以降の話ですから、今から見積りを立てる必要は有れども、実現までは遠い話ですが
そのとらぬ狸の皮算用にも劣る楽観の根拠はなんなんだろうね…
楽観というよりは、F-35の調達数が42機から147機へと増えた流れをそのまま適用して、中ロの軍備増強への対処を加えた程度ですが
最初F-35がF-4代替で導入された時も、42機で終わらずF-15pre-MSIPの代替で追加されると言う公算が強く、事実そうなったので
F-3はF-2の代替枠とはいえ、F-2の代替が終わる頃にはF-15 MSIP機も寿命なので、F-3開発に失敗するか、安全保障環境の激変でもない限りは追加調達で計200機前後になるのは自然な見方かと
日本の今の戦闘機数って350くらいじゃ無い?
147機がF-35で決定していて、約100機の近代化改修したF-15 MSIP (80年くらいF-15はもつと言われる) があること考えると、F-3は100機位が現実的だと思うよ。
日本のこれからの財源考えると近代化改修したF-15をF-3で置き換えるのは難しいと思う。
F-15Jの機体がいくら持とうと、現状性能寿命が無くなっていくのでミサイルキャリアーへと改装予定なのに、F-2置き換え後も現役に留めるのは予算と人員の無駄かと
国産戦闘機技術の維持も考えれば、何かしら製造ラインを維持する必要も有りますし、F-3後期型なり別設計のF-4なりを調達して置き換えを図るかと思われますが
予算についても、今期防でF-35AとBを計45機で年9機調達、次期防で計63機で年12~13機調達予定なので、本体購入だけでも年1000億以上の枠が有りますので、中露などの周辺国の脅威が有る間は防衛予算も増えるでしょうから予算が無いということはないはず
いずも型は練習艦で次に本格空母が控えてる・・・と予想してる方が多いが多分それは無いと思う。
そこまで行くと空自機の派遣ではなく海自自身に戦闘飛行隊が(戦闘機操縦士の教育も含めて)必要になってくるし、新たに建造する空母に割り当てる人員の工面を考えても予算・人的リソース双方の点から見て現状では不可能に近い。
政府や防衛省の考える海自空母の役割は対潜作戦時における敵勢力による妨害の排除と艦隊防空だろうから敵陣への爆撃を目的とする米空母と違ってそれ程の数は必要無く、海軍基準での一個飛行隊(12機)程度載れば必要十分でしょ。
同感です。
航空機運用に徹した「空母」の建造が当面考えられていないのは、防衛計画の大綱を見れば明らかです。
ただ、護衛艦・掃海艦艇部隊として再編される掃海隊群向けに、「大型多用途艦」として事実上の強襲揚陸艦が建造される可能性はあるでしょう。
これは「おおすみ」型後継艦の前に、先ずは艦齢20年を越えた「うらが」型掃海母艦の代替として検討されるのではないでしょうか?
思考実験としては面白いですね。
まず60機の艦載機の購入費が大体1兆円前後でしょうか。
てことはイージス艦5隻分くらい。
防衛予算が増えなかったら護衛艦の刷新が滞りますね
空母はあれど護衛艦が無いと言う状態に
防衛予算が潤沢でも無い限り無理ゲーですな
もはや無用の長物になってしまったBMD関連の出費が痛いよな・・・。
海自が、人員、予算現状のまま、空母航空団を保有する方法が、一つだけあるんですよ。
海自は、外国の海軍と違い、海軍の花形、象徴である艦船を捨てて、実戦的集団としてP-3C&P-1哨戒機を二桁後半も保有しています。
なので、実戦的装備の哨戒機を捨てて、花形たる空母と艦載機に予算をオールインすれば、一隻分程度なら人員も予算も目処が立ちます。
見た目だけで強く無いやつですね。
対中国とシーレーン防衛がこれから比重を上げる日本ではやらないと思います。
ああその方法は考えなかったな。柔軟な思考回路持ってますね。
でも哨戒機部隊全部をすりつぶしても足りないんじゃ? 単純化して機体価格だけしか考えず、全機P-1×90機としても1800億。F-35Bがバーゲンプライスで100億としても18機。ライトニング空母1隻分にしかなりませんぜ。
それよか護衛隊群を1つ潰すってのはどうでしょ。
皮肉っぽく言えば、頭が良いと思ってもらえると考えてる人でしょうか
皮肉の効能には、皮肉と見せかけてどこかに生産的な点があるとか、
単にユーモアとして面白いかとかあると思うけど、
貴方のには何も無くてつまらないから、自己満足でしか無いと思うよ
純粋な賛辞だったんですけど、悪意をもっての解釈には通用しないってことですね。性格悪いよ。
クロスデッキを前提に考えるのならF-35Bが少なくても良いのはわかるけど戦闘機の数を減らすのはどうなんだろう?
テンペストの無人化に賭けてるのかな?
DDHとDDは全て売却して資金と人員を捻出、DDGは空母打撃群に編入、FFMを各地方隊へ1個隊ずつ配備…くらいになるのではないでしょうか?
なんか情けなくなってきますけど(笑)