欧州関連

英首相候補のトラス氏、地球滅亡の危険があっても核兵器による報復を命じる

英新首相の座をスナック財務相と争っているトラス外相は24日、Times Radioのイベントで「地球滅亡を引き起こす可能性があっても核兵器による報復を命じる覚悟がある」と示唆、会場の民衆は大きな拍手でこれを支持した。

参考:Cheers as Liz Truss says she’s ready to press nuclear button and unleash ‘global annihilation’

本当に「核兵器で敵に報復する」を選択するのかは9月5日に選出される新首相だけにしか分からない

イベントの司会者は「あなたが首相になればNumber10(ダウニング街10番地)のプライベートな部屋に通され、目の前に最終手段の手紙=トライデントを搭載する艦長への命令書と呼ばれるものが並べられるだろう。核兵器による報復を命令すれば地球規模の滅亡を意味する。私は核兵器のボタンを押すかどうかは尋ねないが、あなたはイエスと答えるだろう。この仕事に直面した場合きっと自分なら気分が悪くなるだろう」と述べて「あなたならどう感じるか?」と質問。

これにトラス外相は「首相としての重要な義務であり、私はそれを行う準備が出来ている」と答えたため、会場の民衆は大きな拍手でこれを支持した。

英国は225発の核弾頭と潜水艦発射弾道ミサイルを搭載するヴァンガード級原潜を4隻を保有しており、敵の核攻撃で政府が破壊され首相や内閣のメンバーが死亡した場合に備え「ヴァンガード級原潜の艦長がとるべき行動」を指示する最終手段の手紙が存在する。

出典:CPOA(Phot) Thomas McDonald/OGL v1.0

英国の新首相は就任直後に「最終手段の手紙」を書いて封印、直ぐに前首相の手紙と交換され未開封のまま破棄されるため、首相以外に艦長へ指示内容を知ることは出来ない。

この手紙の内容についてBBCは「4つの選択肢(核兵器で敵に報復する、報復を行わない、艦長の判断に委ねる、可能であれば同盟国=米国もしくはオーストラリアの指揮下に入る)がある」と言及しており、この中から新首相は選択肢を選んで手紙をしたためると報じているが、これが本当かどうか誰も確かめることが出来ないため謎だ。

出典:Liz Truss

つまり司会者が言及した「気分が悪くなる仕事」とは「地球規模の滅亡を意味する報復指示を手紙にしたためる作業」のことを指しており、トラス外相は「私はそれを行う準備が出来ている」と答えたため「核兵器による報復を命じる覚悟がある」という解釈することができ、国内外のメディアは「保守党党首の最有力候補は地球滅亡を引き起こす可能性があっても核兵器のボダンを押す準備が出来ている」と報じて注目を集めている。

まぁ核兵器による報復を躊躇すれば核抑止が成立しないので「正常な判断」と言えるが、本当に報復を選択するのかは9月5日に選出される新首相だけにしか分からない。

関連記事:英外相、NATOは中国の脅威に晒される台湾を保護すべきと主張

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain

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コメント

    • 戦略眼
    • 2022年 8月 25日

    我が国の政治家に、その覚悟があるか?

    6
      • 2022年 8月 25日

      ないでしょうね。

      16
      • 名無し
      • 2022年 8月 25日

      核報復をする能力をが無いのに、その覚悟があると言われても意味がない。

      76
      • ホントにねw
        我が国には核もSLBM原潜もないんで覚悟もクソも能力もない。

    • 無無
    • 2022年 8月 25日

    その中身は本人しか知らないだろうし、拍手していいのかは分からんが
    核保有国に覚悟のない指導者など務まらないのはだけは分かる
    たしかサッチャーは、フォークランドで空母が沈められたら核を撃っていただのの後日談はあるが、やっていたら黒歴史になってたろうな

    25
      • ななし
      • 2022年 8月 25日

      ロシア応援団は戦術核ならセーフとか謎理論を語ってるけど
      イギリス人の気質からしてそんな甘くは無いよな

      34
        • 2022年 8月 25日

         でもリアルな問題、仮にロシアがウクライナで戦術核を使った場合、欧米がロシア領土に核攻撃できますかね・・?
         冷戦時代に衛生の打ち上げかなにかをロシアへの核攻撃と勘違いして報復核直前まで行ってしまったなんて話しも聞いたことがありますし、ロシアのおっちょこちょい核管理じゃ、辺境に落とそうとした西側核にも反応して全面反撃なんてことも・・・。(それにつられて西側も全面反撃・・・)

         無難なとこは、一時期話題になった、ロシア同盟国・ベラルーシへの核攻撃ですかね・・?
         ベラルーシ国内のロシア駐屯兵力に核攻撃とか・・・・・?

        3
          • G
          • 2022年 8月 25日

          イギリスは過去に平時における抑止力として最低限必要な核弾頭数は180発、本年度の危機的状況下での最低限必要数をら260発と見積もっています

          これは長年核を保有し続け、アメリカと軍事的にも最もつながりが深く、日本と違って対東側の前線から遠くに位置し、しかも核保有の負担が大きく可能な限り削減したい状況下にあってなおイギリスが抑止力として意味を持たせるために最低限必要な数としたもの
          つまりロシア軍を無力化するための最小数ということであり、逆に言えば威嚇のみではない実戦を見据えての配備ですので有事の際にためらうとは思いにくいかと

          ちなみにもし仮に日本が核抑止力を持つ場合、アメリカとの繋がりがイギリス以下であり、対ロだけでなく対中の最前線でもあり、核運用実績がない日本はそれ以上の数が必要だと思われます

          13
          • バクー油田
          • 2022年 8月 26日

          まずロシアがウクライナで戦術核を使った場合、ロシアは国連の常任理事国から台湾のように引き摺り下ろされ、ロシアは第二次世界大戦で勝ち取った特権的地位を国際社会で失いますのでそこで自制が働いてると思います。
          それでも使った場合、欧米は報復でウクライナ領内のロシア軍に対して戦術核を使えればエスカレーション無く報復が可能なんですが、
          そんな事をしたらゼレンスキーが当然キレ散らかしますので出来ませんよね。
          ウクライナの民間人も巻き添え食らいますからね。
          戦争初期に、その場合どうするかは公表はしないが決めてると確かNATOの会見で言ってましたが
          多分ウクライナのロシア軍に対してはNATO空爆を開始して全部潰し、戦術核はロシア領内には落とさずに、激戦でお馴染みのマリウポリから更に東側に行くと独ソ戦でお馴染みのロストフがアゾフ海にありますので、ロストフの目と鼻の先で、ロストフから目視できる距離のアゾフ海に威嚇で落としたりすると何となくエスカレーションさせないように配慮した戦術核に対しての適正な報復になるかなと思います。
          ロストフのロシア市民は核爆発を目撃しますので、そこでロシア国民のウクライナ戦争に対する認識がロシア政府の言う「ただの特別軍事作戦」という軽い認識が全くの間違いという事が分かりますから、プーチン政権は政変で倒れるという流れを期待するかもしれません。

          1
            • 2022年 8月 26日

             大変興味深いご意見ですが、一点・・、

             ロシアを国連常任理事国から引きずり下ろすには、最低でも国連加盟国の3分の2の賛成は必要かとは思いますが・・、

             ロシアがウクライナで核使用後でも、各国はこれに賛成するでしょうか・・?

             日本や欧米諸国や私などは、即刻の常任理事国からの追放を支持しますが、ロシアの息のかかったアフリカ諸国、表向きはロシアと共同歩調を取る中国と、その息のかかった諸国・・・、それらでおそらく反対決議をする国が3分の1を優に超えるのではないでしょうか・・・?

             この辺の勝算も、実は欧米諸国はすでにお持ちなのでしょうか・・?
             
             このへんのことが、気になります・・。

            3
    • 2022年 8月 25日

     こっちからは撃たないが、おまえが撃ったら間違いなく撃ち返すってのは、結局抑止力の基本だからなあ・・。(特に核の場合は・・)

    45
    • tarota
    • 2022年 8月 25日

    「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」
    ありそうですけどね

    4
    • むむ
    • 2022年 8月 25日

    お互いの脳天に銃突き付けながら初めて対等に会話ができるんだよな・・・

    26
      • 2022年 8月 25日

      酷い話ですけど、そのとおりなんでしょうね・・・。
      片方が酒を持ち寄って会話しようとしても、撃たれるだけなんでしょうね・・・。

      18
    • 折口
    • 2022年 8月 25日

    英国は先制核使用を否定していないとはいえ、欧州防衛のために(つまり独や東欧諸国に進軍したロシアを止めるために)英国の核を使うことはないという見解も過去に示しています。これは英国の核使用=英本土が侵攻をうけたか陥落した場合のみという意味です。この状況下において英国は既に消滅の危機に瀕し国民も「敵の銃弾で死ぬか核戦争で敵もろとも死ぬか」という状態なのだから、「世界を終わらせるか、思いとどまるか」という問いはナンセンスでしょう。この場合、世界を滅ぼすかどうかの問いは英国に侵攻した敵国に投げかけるべきものです。
    (付け加えると英海軍の核パトロールは米国同様に指導者からの最終命令による核使用とは別に、英本土からの放送電波途絶時にも艦長判断で仮想敵国に核を撃つ権限が認められているので、首相がやらなくても英国が滅べば勝手に報復が実施されるんですよね)

    23
    • ブルーピーコック
    • 2022年 8月 25日

    正しくMAD(相互確証破壊)である。原爆を落とされ、落とした国の核の傘で守られた日本では感情的に許容できない人が多いだろうが。
    かと言ってトルーマンみたく開き直った態度で指パッチンして「こんな調子で決めたよ」みたいなこと言われても、それはそれで困るが。

    5
    • Hal
    • 2022年 8月 25日

    そりゃ実際どうするかは置いておいて、核攻撃に対しては核で報復するって言っとかないと、凄まじい金をかけてる割に終末兵器として以外に使い道の見出しにくい核兵器が抑止力ですらなくなってしまうから正しいよ
    ロシアみたいに先制核と言うわけでもなし、核に対して報復するってだけならエスカレーションにもならない

    5
    • たまねぎ
    • 2022年 8月 25日

    相互確証破壊なんて冷戦期の遺物、米中が経済的あるいは軍事的威嚇で小競り合いすることはあっても、
    核兵器の恫喝なんて北朝鮮やイランの体制維持以外に使い道なんてないって半年前まで思ってました。
    平和ボケと言われればそうなんですが、人類が前世紀から大して変わってないことを痛感して悲しいですね。

    2
    • サメ
    • 2022年 8月 25日

    まあ、艦長へ判断委ねるってのだけは選択しないでほしいな笑
    ところでアメリカもしくは「オーストラリア」なんだカナダじゃなくて

    • うた
    • 2022年 8月 25日

    ソ連の「死の手」システム と同じだな。

    しかしもし、人の居ない所に戦術核を落としたら、西欧一致して、本気でプーチン斬首作戦に出て良いと思う。

    • うた
    • 2022年 8月 25日

    アマプラでウルフズコールって映画を見たよ。これは英国でなく、フランスだけど。

    • 2022年 8月 26日

    首相が決断したとして、今度は現場の指揮官、さらには実際に発射ボタンを押す兵士は押せるかな。
     その昔の映画「ウォーゲーム」の序盤で訓練であることを隠して核ミサイル発射命令を出した際、結局
    現場では発射ボタンを押せなかった、というのは半分実話らしいし。

      • 無無
      • 2022年 8月 26日

      哨戒中のソ連SLBM原潜が世界大戦勃発かと勘違いして核を撃とうとしたとき、三人の上級士官の合意が必要なのが、うち1人が強硬に反対したため発射されず、大惨事を防いだ実話がある
      くだんの士官は結果軍を追われたが、今日では人類を救った英雄として高く評価されています、
      命令に従うのは軍人としては正しいが、人間としてどうなのか、
      ここが大切でしょう

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