英国のトラス外相は27日、NATOは世界的な脅威に対処するグローバルな方針を採用すべきで「台湾のような民主主義国家も保護すべきだ」と主張した。
参考:UK’s Liz Truss: NATO should protect Taiwan too
NATOは欧州の安全保障に役割を限定すべきではない、日本やオーストラリアと協力してインド太平洋地域の脅威にも対処すべき
英国のトラス外相は4月上旬、ロシアのウクライナ侵攻を受けて「国際的な安全保障条約の枠組みを再構築する必要があり、プーチンの言いなりになるような時代遅れの協定(NATO)は必要ない。もし我々が関与するのであれば我々の条件に基いて行動する。このアプローチの下では中国といった新しい脅威も認識する必要がある」と言及していたが、27日にトラス外相は更に踏み込んだ発言を行い注目を集めている。
トラス外相は英国の外交政策に関する演説の中で「NATOは欧州の安全保障に役割を限定するのではなく世界的な脅威に対処するグローバルな方針を採用すべきだ、日本やオーストラリアといった同盟国と協力してインド太平洋地域の脅威にも対処しなければならず、台湾のような民主主義国家を守らなければならない」と発言した。
さらにプーチンがウクライナで勝利すれば「武力で他国を侵略できる」という間違ったメッセージを中国に与えることになるため、ウクライナとロシアの戦争は「我々(民主主義)とロシアの戦争」だと主張して戦闘機をウクライナに提供する必要があるとの認識を示したが、英国自体には戦闘機を提供する計画がなく「他の国と協力してウクライナに必要な装備を送りたい」と政府の報道官が明かしている。
まぁ戦闘機の供給問題は1ヶ国でどうにかなる問題(供給する国と生じたギャップを埋めるの支援など)ではないので置いておくとしても、トラス外相は「台湾をNATOは保護すべきだ」と言い始めたのでウクライナの戦いでロシアが負けるようなことがあれば、武力による現状の変更に民主主義国家が一丸となって抵抗する方式が成功を収めれば中国にとっては無視できないだろう。
因みにウクライナが西側諸国からの支援を引き出して生き残れたのは「ウクライナ国民が命がけで主権と自由を守る姿勢を示したからだ」という指摘もあるので、武力による現状の変更に民主主義国家が一丸となって抵抗する方式とは「まず当該国が抵抗する強い意思=主権や自由を守るためなら犠牲を支払う覚悟がある」という部分を示す必要があり、他の民主主義国家が勝手に「自分たちを守ってくれる」という意味ではないので注意が必要だ。
関連記事:ロシア正教会、ウクライナ民族を抹殺するのがロシア軍兵士の任務
※アイキャッチ画像の出典:Liz Truss
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ちょっと考えてみた。
ロシア軍がこのままウクライナでズタボロになった場合。
→中国が手のひらを反して「自由主義国家を守る」とかいって参戦し、勢い余ってロシアを攻めこむ。
→アメリカや欧州は自分たちの陣営に参加するので大げさに反対できない。
→中国がロシアの人口の少なく資源のある場所をむさぼり取り込む。
→戦後のロシア救済と称して、実効支配を続ける。
→大中華帝国のできあがり。
こっちの方が自由主義国の台湾進攻よりもリスク(というか、批判)が少なそう。
自分なら、こっちを選ぶ。
>中国が手のひらを反して「自由主義国家を守る」とかいって参戦し、勢い余ってロシアを攻めこむ。
それをやるとロシアと同じ「力による現状変更」になるので、西側諸国は普通に中国を批判すると思います。
あと、ウクライナでロシア軍がボロボロになっても、ロシアの核戦力は健在なので中露は核戦争になりそうですね。
そもそも、中国がロシアを攻めて実効支配するメリットが殆どありません。
現状のままでもロシアは中国依存度を高めているので、中国は戦わずしてロシアを手駒にすることができます。
中国がロシアに攻めこむのは普通に悪手だと思いますよ。
中国はロシアと違って金あるから、核戦力の整備だけは一定水準保ってそうなのが怖い
ロシアのはソ連時代の核弾頭しかないからどれが爆発するかお楽しみのロシアンルーレット
欧米諸国は武力による現状の変更を良しとしないので、ロシア侵攻を行えば、中国が大規模な経済制裁を受けるのは必須。
習近平周辺以外は、親ロシアしかいない土壌でロシアに攻め込めば、危うくなるのは習近平の首なので、ロシア侵攻はあり得ない。
仮に大規模にロシア侵攻を行い、ロシアの北限まで占領した場合、中国はベーリング海峡を挟んでアメリカと国境を接するリスクがある。
国内的な義として、国家統一を名目する台湾侵攻とは違い、ロシアへの侵攻は国境上にある河川の中州の取り合い程度(これも08年に解決済)。旧ソ連領の再興を掲げるロシア兵の正当性以下。
ある意味、ソ連方式ですね。
ナチと一緒にヨーロッパを荒らし回ってたくせに、ナチに侵略されたら途端に掌返しで連合国側に。
中国の国家戦略としては論理的で正しいのですが、
・核兵器使用を宣言してるような核大国相手にはハイリスクすぎる
・習近平がプーチン崇拝者
主にこの2点が中国の対ロシア方針がブレブレになってる原因かと
経済大国になった中国には失うものが多すぎて、国家理性があるうちは核戦争は選択肢にないかと
日本もぜひ…竹島と尖閣と北方領土の件で
少なくとも竹島には関わりたくないでしょう
民主主義国家をこれ以上分断、減らさないためにも権威主義からお互いを囲える枠組みがほしい
ウクライナへの武器支援って「防衛」用途に思えるんだけど、それでも日本は支援できないものなの?
(もちろん、実際に出来るとは思ってないです。理屈は通るのでしょうか)
状況によってはやろうと思えばできるだろう。かつて南スーダンで韓国軍が包囲された時に自衛隊が弾薬を供与したくらいだし(その後突き返してきたけど)。
防衛装備移転三原則は法律じゃないし、政治的な決定があれば例外扱いで曲げる事はできるだろう(決して柔らかい物ではないが)。
ただ、大規模に表立って武器弾薬をウクライナに供与するのは、難しいだろう。
日本は常にロシア・中国・北朝鮮・韓国の四国と交戦のリスクを抱えているのだから。
そうです。だからこそ、日本は憲法9条を改正して、正式な軍を保有するべきなのです。
軍事的に弱い国は容赦なく攻撃されて、多くの死者を出し都市が破壊される。これは今のウクライナを見れば誰でも分かります。
日本がウクライナのような侵略を受けない為には、日本も強力に武装して、敵対国を脅す必要があるのです。
それと同時に「人道」用途でもあると思うんだよね、ロシア占領地での虐殺をみるに
政治家に現状を変える気さえあればがいれば、これを機に大きく体制を変えれそうなのに残念でならない
(80年前の太平洋戦争での日本軍の加虐性と絡めてロシア批判したら左派も反対しづらいだろうし)
返信ありがとうございます。
やるかやらないかは国の偉い方が決めるとして、やはり議題には上げるべきだと改めて思いました。
核保有についても(良いか悪いかはともかく)早々に首相が閉じてしまったのが残念です。
弾薬供給と返却の件…忘れていました。世間は供給より返却で揉めていた?印象があります。
イギリスは相当踏み込んで来ましたね。だが正論だ。
西側にとってロシアの侵略を挫折させる事はもはや前提で、その上で中共を如何に抑止するかが本題な訳で。
ちなみにロイター配信の記事によると「G7は世界経済の半分を占めている。中共が国際ルールを守らなければこれ以上の成長は望めない」「国際ルールを破るとどうなるか、ロシアの事例で示した」とも発言したとのこと。メッチャ強気だな…
まぁイギリスの自信のほどはさておき、各国の自衛力が重要というのも正論だし、日本の場合は対中依存を少しでも引き下げる事も必要だろうね。
今回のウクライナ侵略において資源と支援の板挟みで右往左往しているドイツは、明日の日本の姿と言っていい。
>「G7は世界経済の半分を占めている。中共が国際ルールを守らなければこれ以上の成長は望めない」
イギリスはG7以外の国を蔑ろにしているような気が。
極端な話ですが、中国が開発途上国を味方につけたら、政治的・経済的影響力は中国の方が上になります。
今後は開発途上国の方が経済成長するので、中国は開発途上国に先行投資していますしね。
トモダチ作戦の時は原発の危機情報の共有等で、一時的にせよ米国の不信を招いたことがあるが
実戦では、まさに自分の自由と権利を命懸けで守る姿勢を見せなければ
いくら日米同盟といっても機能しない可能性がある。
今回の戦争で、だいぶ国民の意識も変わってくると思うが、
自由を守る強い意志と能力を持ち続けることができるかだけでなく
同盟国のために他国で自国兵が血を流すこと、他国民の血を流すリスクと責任に耐えられる政治家が育つか
というのも課題になるかも。
大国による戦争は起きてしまった時点で世界に大きな悪影響を与えるのだから、変な気を起こさせないようにすることから始めるって感じかな
こうなってくると戦争の当時国を除けば、内心一番ロシアに恨み言を言いたいのは実は中国説だったりして
そうでなくとも隙間風が吹き始めてたところに、明確に次は台湾だと認識され西側の介入が濃厚になってしまったんだから
NATOやバイデンが早々に「ロシアがウクライナに侵攻してもNATOは参戦しない」と表明したことがロシアに間違ったメッセージを与えたと思えます。中国に対して同じ失敗をしないことは大事でしょう。台湾はさらに微妙な立場ですからね。
なるほど、既にロシアから西側諸国の企業が撤退したあと中国の華僑が乗り込んで商売している、ロシアを乗っ取った方がいい。台湾より資源があるからおいしいよ。中国さんはこちらの仲間になってちょうだい。
それは第2のソ連を作るだけになる可能性が高いですね…
ソ連が崩壊したときにも「じゃあもうNATOいらなくね?」という論争がありましたから、軍事大国ロシアという仮想敵国を失うことになれば、同じような論争は当然起こるでしょう。存続したとしても、2014年以前のようなグダグダの組織に逆戻りしてしまうかもしれません。「次の敵は中国だ」という主張はウクライナ戦争終結後を見越した、NATOの結束を維持するためのプロパガンダだと思います。
もちろん日本にとって好都合であることは間違いありません。
その理屈を通すには少なくともイギリスにとってNATOの維持にメリットが生じることであるか
もしくはNATOの存在自体が自己目的化してるか、ということを示さないといけないと思うの
その投稿だけ見た印象としては、大国主義的な視点に乗っかってヨーロッパないし欧米という括りを膨張志向の大国主義(ないしその連合)として捉えてるように見えるし
もしそうであるなら根本的なとこから間違ってると思う
「ウクライナに戦闘機を送る必要がある」
→でもイギリスからは送りません。NATOの他国が送ってください。
「台湾を中国から守る必要がある」
→でもイギリスは守りません?NATOの他国が守ってください?
西側の戦闘機を送ってもすぐには使えないですからね。ウクライナ軍で「西側の戦車でも2週間あれば習得できる」と言ってる人も、戦闘機は半年かかると言ってました。
イギリスはスターストリークや榴弾砲などたくさんの武器を支援していて、しかもスピード感があるので頑張ってると思います。金銭的寄付(公式・個人含む)もイギリスが一番多くて全体の47パーセントを占めると発表されていました。
国際的な安全保障条約の枠組みを再構築する必要があり、プーチンの言いなりになるような時代遅れの協定(NATO)は必要ない。
この発言が前段にあるので特に矛盾していなのでは?
AUKUSの枠組で米英は台湾問題を含む対中国に関して一体では?
オーストラリアへの艦隊派遣駐留も検討されてますから、イギリスは台湾への武力侵攻阻止に積極的に関与する方針と思います。
近い将来に日本も台湾と一緒にNATOへ加盟してほしい
ロシアはもう旧枢軸国と化し、中国も時間の問題。経済的な依存は危険だし軍事、外交的にもとても共存できない
課題は文字通り山積みですが、日本は台湾と共にNATOと組むべきだと思う
そのまま何もしないでいると中露の影響圏に組み込まれてしまう…
イギリスやフランスはともかく、東欧の国々が中国と事を構えるために動くようには思えないな
フランスが対中国の矢面に立つとは思えないな。良くて中立の立場を取るか、あるいは台湾、日本への武器の供給に反対したり議論を先延ばしにして援助を遅延しようとするんじゃないかな。
中国とは経済的な繋がりが強いし、イギリスに欧州の主導権を取られるのは我慢ならないだろうから。
管理人さんの
>武力による現状の変更に民主主義国家が一丸となって抵抗する方式とは「まず当該国が抵抗する強い意思=主権や自由を守るためなら犠牲を支払う覚悟がある」という部分を示す必要があり
という部分が非常に今回のウクライナ戦争で分かった重要な部分と思います。
日本はこれまで、「そもそも陸自が出張る段階になった時点で日本は終わり」という戦争観が一般的にあったかと思います。
勿論空・海は強いですが、幾ら軍備を揃えても日本の軍事基地は民間の土地と隣り合わせであり、第一撃の奇襲でこれらを破壊するために事前に侵攻を企画してる国が日本国内に爆弾等を貯め込み、開戦と同時に戦闘機・潜水艦・通信施設等々に思わぬ大打撃を与える事は可能と思います。
そうなって上陸を許した場合、「陸自が出張る段階で終わり」の諦観が蔓延していますとその時点でゲームセットで降伏する、降伏してなくても、陸自以外は誰も陸戦の準備をしていませんし、民間も陸戦の心得が無いので予測不能な動きを行い、逃げる車の渋滞で陸自が動けないといった負けのスパイラルで今回のウクライナのような粘りのある戦いは無理でしょう。
つまり、米軍が日本に対してAWACSのデータリンクや無限兵站を行う決断をする前に電撃的に国土は制圧されてしまうリスクがあります。
従って、日本は「陸自が出張る段階では終わり」「陸自は離島防衛など局地戦用」という位置づけから、「本土決戦の為の軍備」に位置づけを変え、国民にも本土決戦の場合の動き方の手ほどきや、「仲間の国の支援を受ける為に国土防衛の為に戦うべき」という啓蒙、有事法制の充実整備をしていく必要があると思います。
日本の憲法9条+専守防衛という非現実な国防方針では、
侵略された時に本土決戦100%ですからね
領海侵入されても、上陸されて領土侵入されても敵対的な攻撃行動しなければ
自衛隊が攻撃することは出来ませんし、警告を無視されてもそれ以上対処方法が想定されてない
上陸されて橋頭堡作られても、法的に対処するのは自治体になりかねないのがヤバい
ウクライナを巡る国際社会の貢献と限界は、そのまま台湾をめぐる対応になっていきそうですから、こういう水平展開は絶対必要でしょうね。過去の経緯やら米国との関係やら反証は色々あれど、法的にはウクライナも台湾も非同盟国という点で同じですからね。しかも台湾は国連非加盟でありそもそも多くの国には国家承認さえされていない。
とはいえ西側の安全保障専門家やロシア情報機関の内通者の見解では、ロシアが先に侵攻をしてしまったことでむしろ中国は台湾を平定するチャンスを失ったと見る向きが多いようです。
米国や米軍のリソースがヨーロッパ方面で釘付けになってる今こそ準軍事的には好機なのですが、中国は何も世界大戦を戦い抜いてまで台湾を平定したいと思っている訳ではなく、あくまで14年のクリミア併合のような「グレーゾーン事態かと思っていたらいつのまにか完了していた征服」をやりたいと思っているというのが西側やロシアの認識だそうです。そこへいくと世界中の政府や防衛当局が警戒態勢になっている今中国が何かすれば即座に厳しい制裁や広域の台湾支援が実施されることは間違いないですから、実質的にZ戦争終結後数年間は何もできなくなるという訳です。中国にとって、域外の国が台湾有事に介入してきた時点で征服戦争は半分失敗です。
人民解放軍を総動員して米軍が対応するより前に全てを終わらせてしまうというシナリオも指摘されているのですが、ロシアに対する厳しい制裁とその効果は中国にも生々しいメッセージとして伝わっているはずで、余程条件が整わない限りこちらは行われないでしょう。
台湾に関しては短く見てもまだ数年単位で時間はあるので、今すぐ供与できる軍の在庫を数えるより、台湾を支援できる法的枠組みや平時の兵器輸出や派兵の議論をするべきではないでしょうか。
最後の段落は同感です。
日中関係においても、小規模な衝突が自動的にアメリカの全面参戦につながると楽観的に考えている人はいますから。
侵略に対して自分でできる抵抗もしないのなら、それは相手の主張を全面的に受け入れるからだと思われても当然なのです。
中国共産党は北京政府が成立した1949年10月1日から百周年になる2049年10月1日までに台湾を支配下に置く事を悲願にしている。現時点では大量の弾道ミサイルを台湾軍の滑走路に飽和攻撃すれば制空権を取れる可能性があるが台湾側のクラスター爆弾による攻撃で台湾本島上陸は不可能。
しかし、2040年までに中国本土の経済規模のGDPはドル換算でアメリカを抜く可能性が高い。また、2040年までに技術的にも無人戦闘車や無人戦闘ドローンや戦闘ロボットが実用化される可能性が高い。つまり、中国本土の人民解放軍は2040年までに台湾本島への上陸能力を獲得する可能性が高い。アメリカ軍は軍事的に救援もできないし軍事物資も運び込めない。空母が弾道ミサイル攻撃されるので台湾本島に近づけないし沖縄本島の嘉手納基地から救援しようとすれば嘉手納基地の滑走路が弾道ミサイルの飽和攻撃を受けるので短距離離陸・垂直着陸能力のあるF35Bのような戦闘機しか使えないからだ。
ましてや英国等のNATO諸国の出る幕は2040年には無い。軍事的対応では2049年までに破綻をきたす事を認識すべきである。
台湾が2049年までに中国人民解放軍に占領されない最良の方法は北京政府が台湾本島制圧作戦を実行する前に中国本土が民主化される事である。その事に気付くべきだが英国政府やアメリカ政府や日本政府のみならず台湾の台北政府も軍事的防衛しか念頭にない。愚かな事である。中国本土が台湾制圧作戦実行前に民主化される可能性は低いかもしれないが、限りなくゼロに近い2040年に軍事的に阻止できる可能性よりは可能性が高いはずだ。習近平引退後の中国本土民主化にかける方が現実的だという事に気付くべきだ。
ともかく今は英国政府はNATOによる台湾防衛に言及するよりウクライナ支援に専念すべきで、プーチンの核の脅しに屈してウクライナに自走砲AS-90支援を諦めるようではNATOによる台湾軍事支援を語るのはお笑いでしかない。