NATOユーロファイター・トーネード管理機関(NETMA)は、第4.5世代機のユーロファイター・タイフーンは、パリ航空ショーで披露された第6世代戦闘機のレベルまで、機体の能力を向上させることを目指していると話した。
参考:Eurofighter launches long-term enhancement programme
欧州は、輸出のためにユーロファイター・タイフーンへの投資を続ける
NATOユーロファイター・トーネード管理機関は、パリ航空ショーでユーロファイター・タイフーンのアップグレードを支えるため、6010万ドル(約64億円)の研究契約を結んだと発表した。
ユーロファイター・タイフーンのマーケティング責任者は、この研究契約締結について「素晴らしい航空機であるタイフーンを、今後も維持・強化していくという自信や意思の現れで、開発を正しい方向へ導く」と話した。
契約を結んだ具体的な契約内容は、ユーロジェット「EJ200」の推力・耐久性向上、燃費改善、パイロットが着用する「ヘルメットディスプレイ能力強化」、コックピットに搭載される「新しい大型ディスプレイ」、高速データネットワークの強化、ターゲットデータの共有管理、ミッションシステムの改善が含まれる。
特に、高速データネットワークの強化は、将来の無人機制御において非常に重要になると考えられている。
また、レオナルドS.p.Aが提供するPraetorian DASS(防衛支援サブシステム)のアップグレードは、ユーロファイター・タイフーンに「デジタルステルス」技術を提供することになる。
補足:Praetorian DASSとは、電波妨害装置、ミサイル接近警報システム、レーザー警報受信機、フレア・チャフディスペンサー、ダミーデコイなどを統合した、航空機防衛支援のための総合的なパッケージのこと
デジタルステルスとは、形状制御技術を用いてレーダー観測に対する低観測性(レーダーに映りにくくする)を追究した「ステルス」とは対極の考え方で、レーダー観測に対して位置や速度の誤認信号を積極的に発信し、正確な情報が得られにくくするというものだ。
Praetorian DASSのアップグレードで特徴的なのは、再プログラムが可能なデジタルRFメモリデコイの採用で、未知の脅威への対応力が向上すると説明している。
このような取り組みは、現在進行中のアクティブ・フェーズドアレイ・レーダー「キャプターE」の能力向上に対する取り組みの一部で、この新型レーダーを搭載したタイフーンを初めて受け取るのはクウェート空軍だ。
問題は、タイフーンの開発国である英国、ドイツ、イタリア、スペインが、新しいこれらの能力を自国のタイフーンに採用するのかどうかは、現在のところ何も決まっていない。
結局、これは「タイフーンを、今後も維持・強化していくという自信や意思の現れ」などではなく、欧州は、輸出のためだけにユーロファイター・タイフーンへの投資を続けるというのが正しいのかもしれない。
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