インドが露企業の支援を受けて開発を進めている極超音速ミサイル「BrahMos-II」について関係者が「BrahMos-IIにはジルコンの技術が組み込まれている可能性があり、この2つのミサイルは同じ性能を特性を持つことになる」を明かした。
参考:Hypersonic BrahMos-II Missile May Include Tech From Tsirkon Missile
既に極超音速ミサイルの技術は世界に拡散を始めたと思っておいたほうが良いのかもしれない
プーチン大統領が「年内配備」を発表した艦対艦ミサイル「ジルコン」は固体燃料ブースターで極超音速域まで加速、その後スクラムジェットに点火して最大到達速度はマッハ8~9(実用上の巡航速度マッハ5~6らしい)、最大到達距離は飛行コースによって変化するため約600km~1,000km+と言われており、主に水上艦艇に対する攻撃用として使用されるが陸上の目標攻撃に転用も可能らしい。
欧米の軍事アナリスト達はジルコンのことを「世界で最も非常識な兵器」と呼んでおり、その理由はジルコンのサイズが関係している。
極超音速ミサイルにはブースターロケットで極超音速滑空体(HGV)を打ち上げるタイプと、吸入空気式のスクラムジェットを使用した巡航ミサイル(HCM)タイプがあり、米海軍が実用化を進めているのは前者のHGVタイプでサイズが大きいためMK.41や原潜が採用している水中発射型のトマホーク発射装置には収まらず、艦艇側の物理的な改造=新型の発射装置が必要になるが、ロシアが開発したジルコンはHCMタイプなのでサイズが小さく既存の垂直発射装置からの運用が可能だ。
つまりジルコンの配備が始まればロシア海軍の物理的な改造なしに極超音速ミサイルを運用でき、米海軍はミサイル自体が完成しても艦艇や原潜の改造が必要になるため、艦艇への極超音速ミサイル配備で差がつくという意味なのだが、米軍もHCMタイプのテストには成功している。
ただ米国防高等研究計画局(DARPA)と空軍が開発している極超音速巡航ミサイルはHCMタイプのコンセプトモデルなので、実用タイプの配備は何時になるのか分かっていない。
ここから今回の本題で、インドはジルコン開発企業のマシノストロイェニヤと共同で極超音速ミサイル「BrahMos-II」の開発を進めており、ロシア側の関係者が「BrahMos-IIにはジルコンの技術が組み込まれている可能性があり、この2つのミサイルは同じ性能を特性を持つことになるだろう」を明かしたため注目を集めている。
まだBrahMos-IIの開発には時間がかかるため「世界で2番目となる極超音速巡航ミサイルの実用化」に漕ぎ着けられるかは不明だが、ジルコンなどの極超音速ミサイルはミサイル技術管理レジームの射程距離と重量に違反するため海外輸出が難しく、インドとロシアの共同開発方式による「極超音速ミサイルの現地製造」には中東諸国も注目しており、実際にアラブ首長連邦は「ロシアとキンジャールの技術的移転について交渉をおこなっている」と報じられている。
既に極超音速ミサイルの技術は世界に拡散を始めたと思っておいたほうが良いのかもしれない。
関連記事:米国、スクラムジェットを使用した極超音速巡航ミサイル「HAWC」の試射に初成功
関連記事:世界で最も非常識な兵器、ロシアが極超音速ミサイル「ジルコン」の大規模量産を開始
※アイキャッチ画像の出典:DARPA
トマホークがブースター込みで長さ6mちょい、直径が52cm、対してジルコンは全長9m、直径60cm、これは米軍の新型VLSの開発状況が気になるところです
ついでに、12式地対艦誘導弾能力向上型は全長9m以下、直径がなんと1m、しかも重量が1.8トン近くあるとか、国産VLSを開発するとなると米軍のMk41の後継と互換性がない可能性が高いと個人的には思う、そうなった場合韓国のように各種VLSの混載になる可能性が、それはそれで楽しみだけども
さらに将来大型・小型様々なVLS発射ミサイル・ドローンなどが開発される可能性を見据え、もしかしたら今後建造されるVLS搭載艦はVLS部分が交換可能なモジュール仕様になるかもしれませんね
12式地対艦誘導弾を艦載化するならば、VLSに収めないで90式艦隊艦誘導弾とハープーンのキャニスターの様に斜め掛けするのでは?
既存の艦にも積載する都合上、最小限の改造で済ませるつもりらしいし。
言っちゃなんだが現状の様な配置にするなら弾数減らすしか無いよ。
ただでさえ重心が高い所に積んでいるのに同じ4連装キャニスターとか流石に無いと思う。そうなると置き場所の確保にも難儀しそうだ。
システム重量が2倍くらいになるなら安易に外装式にしようなんて言えないだろう、重心もそうだが設置箇所の強度的な問題も絡んでくるんだし。
上のスペックを信じるならば、LRHWのようなキャニスターに収納されるだろうし、重量で搭載制限が付くとしたら、2発掛けとなるのが普通では?
イージスシステム搭載艦の発注を除けば、新規DD以上の艦艇発注が五年以上ないらしいし、艦載化が同時に開発する可能性もあるが、これをVLSに搭載可能な艦を作る場合、ズムウォルト級かバージニア級のような船になるぞ
その流れにするなら現状の半分で同様の結果出せるかの検証必要でしょうが。
迎撃能力上がっての対艦ミサイル高性能化の流れでしょ。それなら同数積むのが筋だろうし、単純に数が減れば減ったで攻撃回数の減少にしかならないんだから。
スクラムジェットエンジンは日本も観測ロケット等で研究しているけど
この手のエンジンは構造体に強い熱や圧力がかかるためなかなか開発が難しい
ロシアは伝統的にハードウェアが強く冶金技術はロケット開発等でアメリカよりも進んだ技術を持っているくらいなので
アメリカより先に実戦配備できたんだろうね
中国の空母艦隊に対抗するためにも日本も極超音速ミサイルがほしいところ
もう固定目標は生き残れないだろうな
イージスアショア(笑)中止も無理はない
その理屈で言うなら空中海中以外の物は全てオワコンになるが?
アショアに関しては現状想定していない物に対して対処能力無いなら意味が無いと訳が分からない流れがね。現状対応してないなら将来的に対応出来るのか否かも含めて論ずるべき。
ミサイル技術管理レジームの射程距離と重量に違反
↑というのどういうことなんでしょうか?
基本的に、輸出可能なミサイル(や無人機)の射程は300km以内って制限が有るんですよ
なのでイスカンデルやオーニクスにカリブルの輸出型の射程は、表向き300km以内に制限されていると
でも、共同開発による現地生産という形をとれば、その制限も回避できると
ミサイル技術管理レジーム
(MTCR:Missile Technology Control Regime,大量破壊兵器の運搬手段であるミサイル及び関連汎用品・技術の輸出管理体制)
リンク
>参加国
>35か国(アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、インド、アイルランド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、英国、米国)
>カテゴリーI
>搭載能力500キログラム以上かつ射程300キロメートル以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システム及びロケットの各段、再突入機、ロケット推進装置、誘導装置等のサブシステム。
>カテゴリーII
>射程300キロメートル以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システム及びそのようなシステムの開発に使用されうる資機材・技術が対象となる。ミサイル用途以外に使用され得る汎用品も多い。主な品目は以下のとおり。
>(i)推進薬、構造材料、ジェットエンジン、加速度計、ジャイロスコープ、発射支援装置、誘導関連機器等。
>(ii)搭載能力500キログラム未満であり、射程が300キロメートル以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システム及びそのシステムを構成するロケットの各段、ロケット推進装置。
>(iii)飛行距離にかかわらず、一定量の噴霧器を搭載可能な無人航空機(自動制御や目視外コントロールが可能なもの)。
外務省から引用