インド太平洋関連

KAIがFA-50単座型への投資を正式発表、政府調達から輸出重視に転換

韓国航空宇宙産業(KAI)は昨年1月「FA-50単座型を開発する」と予告していたが、8日「未来航空機とFA-50単座型の開発に計908億6,000万ウォンを投資する」「FA-50単座型は作戦半径が拡大され多目的任務の能力も強化される」と発表した。

参考:카이, 미래비행체-FA-50 단좌형 개발에 908억 투자

今回の投資発表で「FA-50単座型開発」は実現に向けて動き出すことになる

韓国航空宇宙産業(KAI)は昨年1月、防衛産業界の関係者やメディアを招待して「Global KAI 2050 Beyond Aerospace」を披露、この中で「米国市場を重視する」「政府調達への依存を減らして海外輸出に重点を置く」と明確に打ち出し、海外市場向けのFA-50単座型=F-50、米軍向けにTF-50を開発して「高等戦術訓練機」「戦術的代替航空機」「ゴスホーク後継機」をロッキード・マーティンと共同で取りに行くと宣言していたが、KAIは8日「未来航空機とFA-50単座型の開発に計908億6,000万ウォンを投資する」と発表した。

出典:KAI 한국항공우주산업

未来航空機とは電動式の垂直離着陸機=eVTOLのことで、KAIは「今回の投資を皮切りに基盤技術の開発から実用化に向けた本格開発に移行する」「2031年までに国内と米連邦航空局の型式証明を取得して国内外の市場に進出を予定」「今回の投資=533億ウォンは2024年~2025年までの開発作業をカバーするもので2028年までの総投資額は1,500億ウォンと予想」「この事業を通じて韓国標準のeVTOLを実用化し民需・軍需の双方で事業化する」と説明。

FA-50単座型については「これまで輸出された138機は複座型で運用国を中心に単座型に対する需要が確認されている」「多目的戦闘機に対する世界的需要へ先制的に対応するため355億6,000万ウォンを投資する」「FA-50単座型は対空・対地任務の作戦半径が拡大され、多目的任務の能力も強化され、多様なオプションを用意することで潜在的な顧客のニーズを満たしていく」と説明したが、開発に対する総投資額や開発スケジュールについては言及していない。

出典:KAI 한국항공우주산업 FA-50GF

但し、FA-50単座型と同クラスの需要を450機を予測し「300機以上の受注を確保して50%以上のシェア確保が達成できる」と見込んでいるが、Aviacionline Defensaで編集長を務めるのガストン・デュボア氏は「まだ世界中で運用されているMiG-21、F-5、A-37、A-4、アルファジェット、L-39といった旧式機はF-50に800機~1,000機の潜在的な市場を生み出すかもしれない」と指摘しているため、FA-50の単座型と複座型の需要は更に拡大する可能性を秘めている。

どちらにしても今回の投資発表で「FA-50単座型開発」は実現に向けて動き出すことになり、実用化された暁には面白い存在になるだろう。

関連記事:韓国航空宇宙産業、発注が相次ぐT-50/FA-50の生産ラインを2倍に増強
関連記事:韓国航空宇宙産業、米国市場へのオールインとF-50開発を正式に発表

 

※アイキャッチ画像の出典:KAI 한국항공우주산업 FA-50GF

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コメント

    • nachteule
    • 2024年 3月 09日

     需要があるにしても過去に米国や英国の許可が出ずに輸出頓挫した状況を考えるにこのクラスの機体が欲しくて関係国が横槍を入れない国って多くないような気がする。縛りがある中でどこまで売り込めるんだろうか?

     開発遅延無しでもう2年位早ければポーランドがこっちに乗り換えそうな気はするな。
     

    2
      • shkk
      • 2024年 3月 09日

      アルゼンチンに輸出できなかった問題はあの国がフォークランド紛争でドンパチやったせいだから…

      とはいえ中国製戦闘機がそういう市場を席巻しだしたら
      FA-50の承認もおりやすくなるんじゃないのかな?と思わないでもない

      6
    • ななし
    • 2024年 3月 09日

    F-16Vが欲しいけど高価で手が出ないという国にとって魅力的な選択肢に見えるだろうね
    韓国製兵器は顧客の要望に沿って柔軟にカスタマイズするから購入国の条件に合わせることができるし
    この辺のユーザー本位な姿勢は見習うべきだとおもう
    サムスンかLGか忘れたが、インドで冷蔵庫売るときに鍵付きの冷蔵庫を売ってシェアを確保したという話を思い出した

    27
      • Whiskey Dick
      • 2024年 3月 09日

      先進国でも有事の際、高等練習機を実戦に投入することで戦力の向上を安く行いたい、平時のスクランブル任務に大型双発機やステルス機など運用コストが高い機体を消耗させたくないというニーズがあるので、「超音速で飛行出来てAAMを2発以上積める」FA50は丁度良い機材です。中等練習機がそろそろ寿命を迎える国では更新機材の第一候補になるでしょう。

      6
        • ぱぱシャリ
        • 2024年 3月 15日

        日本も日々アラートで高価な戦闘機を飛ばさずに、こういう機体を国境警備隊として配備して飛ばせばいいのに。

        1
    • MiG-21
    • 2024年 3月 09日

    複座型FA-50の輸出に関してエンジンその他を供給しているアメリカの横槍が無かった気がしますので、
    欧州の貧乏なバルカン半島諸国が購入できる機体になるかもしれませんね。
    (複座型が売れていない時点で買えないのでしょうが)

    1
    • AAA
    • 2024年 3月 09日

    21世紀のF-5になれるかな

    13
      • 朴秀
      • 2024年 3月 10日

      今はF-5相当の機体が無いですからね

      F-35は簡単に売れないですし
      F-16ですら高根の花になっちゃいましたし
      グリペンもE型で長所(安価)を捨て去りましたしで

      6
    • daishi
    • 2024年 3月 09日

    T-38練習機から単座の軽戦闘機F-5が生まれたように、T-50からF/A-50も単座が出るんですね。
    F/A-50の後席を燃料タンクに置き換えてアビオニクスのアップデートも行うようですが、練習機とセットで提案できるのは旧型機の置き換えにも強みだと思います

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