インド太平洋関連

豪州、退役済みのF/A-18A/Bをウクライナに提供できないか検討中

Australian Financial Review(AFR)紙は「豪州、米国、ウクライナの3ヶ国はオーストラリア空軍から退役したF/A-18A/Bの供給について協議している」と報じているが、まだ決まったことは何もない付け加えている。

参考:Retired RAAF fighter jets could be sent to Ukraine

ウクライナにレガシーホーネットを提供するアイデアに米国は好意的

オーストラリア空軍はミラージュIIIを更新するためF/A-18A/Bを計75機(A型57機+B型18機)導入、2017年頃からF-35Aへの更新が始まり、2021年末に35年に及ぶレガシーホーネットの運用が停止され、25機は予備機やスペアパーツ取りとしてカナダに売却、46機は米国のRavn Aeroに売却すると2020年に発表、残りは国内の博物館等で展示される予定だった。

出典:Mehdi Nazarinia/GFDL 1.2

しかしRavn Aeroへの売却は2023年になっても実行に移されておらず、豪国防省は「現在もRavn Aeroへの売却契約は維持されている」と主張しているが、オーストラリア戦略政策研究所の研究員は「機体の状態が悪いためRavn Aeroが買収を躊躇しているのではないか」と指摘。

そこで「ゼレンスキー大統領が要求する西側戦闘機としてレガシーホーネットを送ってはどうか」とアイデアも浮上したものの、性能的に時代遅れでスペアパーツの確保も難しいと否定的な意見もあり、ウィリアムタウン空軍基地で保管されているレガシーホーネットの運命は「Ravn Aeroへの売却」か「廃棄処分」のどちらかだったのだが、Australian Financial Review(AFR)紙は「豪州、米国、ウクライナの3ヶ国はオーストラリア空軍から退役したF/A-18A/Bの供給について協議している」と報じている。

出典:President of Ukraine

この件に詳しい関係筋は「ウクライナにレガシーホーネットを提供するアイデアに米国は好意的で交渉が行われている」と明かしたが、まだ具体的な取引内容は何も決まっていないとも付け加えており、このアイデアが本当に実現するのかは流動的だ。

因みにレガシーホーネット向けのスペアパーツ生産はほぼ終了しており、仮に提供しても運用状態を維持するのに相当苦労するはずだ。

関連記事:キーウを訪問した豪首相、M113など1億ドルの装備をウクライナに提供
関連記事:祈りと武器を捧げるオーストラリア、ウクライナにブッシュマスターを提供
関連記事:オーストラリア、ウクライナに155mm榴弾砲と砲弾を提供すると発表

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo/Senior Airman Tyler Woodward

ロシア国防省、ウクライナ軍は南ドネツクでの攻撃で大きな損害を被った前のページ

ウクライナ軍、ノーバ・カホフカの水力発電所をロシア軍が爆発した次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    韓国空軍「F-35より優れ『極超音速飛行』が可能な第6世代機を開発」発言

    韓国空軍は、現在、導入が進められているステルス戦闘機F-35Aよりも、…

  2. インド太平洋関連

    タイ海軍、中国製潜水艦の調達をキャンセルしてフリゲート艦を発注予定

    Bangkok Post紙は「タイ政府は海軍が要請していた中国製エンジ…

  3. インド太平洋関連

    KAIがFA-50単座型への投資を正式発表、政府調達から輸出重視に転換

    韓国航空宇宙産業(KAI)は昨年1月「FA-50単座型を開発する」と予…

  4. インド太平洋関連

    タイ、潜水艦の仕様が守れないなら契約を破棄すると中国に警告

    中国が進めていたタイへの潜水艦輸出はドイツがディーゼルエンジンの輸出許…

  5. インド太平洋関連

    狙いは日中の空母、 韓国が開発中の超音速空対艦ミサイルは日本の「ASM-3改」に匹敵?

    韓国軍は周辺国の空母を無力化することができる超音速空対艦ミサイルの導入…

  6. インド太平洋関連

    F-35Bと小型空母・強襲揚陸艦の組合せが人気!オーストラリアのF-35B導入議論

    STOVL(短距離離陸・垂直着陸)タイプのF-35B実用化で、カタパル…

コメント

    • バーナーキング
    • 2023年 6月 06日

    とりあえず形保ってて足回りが動けば車で引っ張って動かせるだろうからデコイにはなりそうだけど。

      • 匿名さん
      • 2023年 6月 06日

      その場合、ウクライナまでどうやって運ぶのでしょうか。

      1
    •   
    • 2023年 6月 06日

    同じレガホでもC/D型ならともかくな
    ABは流石に運用してる国無さそ

    F16は中東での保有数が一番多いし、イラクのなんてほとんど稼働もしてないようだから、買い上げて供給したらいいんじゃないですかね

    9
      • samo
      • 2023年 6月 06日

      アメリカ海兵隊、スペイン空軍、カナダ空軍で運用しているよ。
      カナダ空軍機は、オーストラリア機とほぼ同一仕様で、通信関連はかなり強化されている。
      米海兵隊とスペイン空軍機はこれに更にレーダーが換装されている

      11
    • 2023年 6月 06日

    f 16だけで無くF/A18ですか。ウクライナは戦闘機不足ですので無いよりはあったほうがいいのかもしれませんがパイロットの育成も大変でしょうし管理人さんの言う通り旧式を渡しても運用出来るかも分かりませんね。一瞬日本も改修しないF15j-perはどうかと考えましたがそれこそ骨董品渡してもどうしろという状態になりますね

    3
      • samo
      • 2023年 6月 06日

      このF/A-18ABは、日本のF-15J改並の改修が施されているよ。
      しかもAIM-120D(供与するかどうかはおいておいて)も運用可能なので、一部においてはF-15J改をも上回っている

      17
    • samo
    • 2023年 6月 06日

    性能的に時代遅れといっても、アビオニクスにはかなり手が入っているお陰で、
    リンク16にも対応、AIM-120とのデータリンクもブロードバンド通信で、対電子戦強度も高い
    そこらのF-16より、よっぽど改修が施されているので、保守パーツの問題さえクリアすれば、相当な戦闘力を持つ。
    少なくとも、以前から話に上がっていたF-16AMと比べると能力はかなり高い
    ロシア側でこれに勝てる戦闘機となると、かなり限定されてくると思うが

    16
      • 月虹
      • 2023年 6月 06日

      「パイロットは操縦時間より各種コンピュータの操作時間の方が長い」と言われるほど1970年代当時の機体としては電子化が進んでいる(操縦席の中央に3つのマルチ・ファンクション・ディスプレイが設置されている)。またハードポイントが9つあり、イギリス供与のストームシャドーやドイツと協議中のタウルスなど重量のある誘導爆弾も改修すれば搭載できるので主として対地攻撃に従事しているSu-24およびMig-29の役割もできる戦闘機としてウクライナにとっては欲しい機体でしょう。

      8
        • 名無し
        • 2023年 6月 06日

        ハードポイント9箇所って、スパホじゃない?
        レガホは、翼下ハードポイントが4つしかなくて、全然ミサイルも爆弾も積めないって、米海軍がメチャクチャ怒ってたような。。。

        6
          • クローム
          • 2023年 6月 06日

          レガホのハードポイントは9箇所で会ってる。その内翼端2つは対空ミサイル専用で胴体側面2つは対空ミサイルとターゲティングポッドとの兼用なので増槽と対地兵器に使えるのは胴体下と翼下の4箇所。
          実運用では胴体下にターゲティングポッドと翼下2箇所に増槽を搭載して翼下2箇所に対地兵器を搭載するパターンがほとんどで、F-16も同様。

          14
    • ななし
    • 2023年 6月 06日

    各方面から引き合いがありすぎて提供しにくいF-16に対して、このホーネットならどこも欲しがるものじゃないから
    維持とか考えずこの戦争限定の使い捨て感覚で譲る分には…ってことか
    今までやってた東側戦闘機の供与にしても西側では今後いらないからって理由もあるし、戦闘機に関しては現状そういうものしか回せなさそうなのが厳しい

    しかしこの話にウクライナが一応乗ってくるあたり、余程軍からの戦闘機供与の突き上げが大きいのか
    それとも西側戦闘機供与の前例を作ってなんとか次の戦闘機に繋げたいのか
    …個人的にはホーネット好きだから、引退してたレガホおじいちゃん最後の勇姿なんてちょっと燃える話ではあるんだけどな!

    16
      • 台湾大好き
      • 2023年 6月 06日

      トッ○ガンの次回作に良いね。
      数多のSAMをくぐり抜けクリミア大橋への爆撃を成功させた主人公だが力尽きて閉鎖された露軍基地に不時着。そこには鹵獲されたF/A-18が!(嘘
       〜トムキャットの登場シーンには萌えた。

      6
    • ブルーピーコック
    • 2023年 6月 06日

    A/B型だとAN/APG-79ではなくAN/APG-73なのよね。
    でもスペイン空軍の機体ならタウルスが使えるはずだから、スペインの名前がこの話題に出てきたら供与はある・・・かもしれない。結局のところ、まずは自国の国防ありきだし。

    2
    • 匿名希望係
    • 2023年 6月 06日

    他のレガシーホーネット運用国からも退役機確保できるかもですしね。
    時間稼ぎが考えるならちょうど良いのでは?

    • 58式素人
    • 2023年 6月 06日

    提供可能なストームシャドウを撃ち切った後の対策なのでしょうね。
    今、話が出ているのは、ドイツのKEPD 350ですよね。
    きっと、Su24の損耗を補填するのと同時なのでしょう。
    オーストラリア空軍仕様のままではKEPD 350を撃てないでしょうから、
    きっと一部改装の上で渡すことになるのでしょう。
    渡す予定なのはA/B型の様ですから、最新F16と比べてレーダー性能
    などが劣っているのでしょうが、貰えるかどうかはさておき、
    AIM-120が撃てるようですから、ロシアに対する牽制にもなりますしね。

    • 朴秀
    • 2023年 6月 06日

    おーええやん
    少し古いとはいえ無いよりはずっといいし
    捨てる奴だから提供する豪州も懐が痛くない
    実現性は高そうだな

    4
    • ななし
    • 2023年 6月 06日

    次はいよいよ A-10 の番だな!

    • 戦略眼
    • 2023年 6月 06日

    ボーイングがちゃんと補修部品を確保していれば、良いものを。
    客が安心して使えない製品のメーカーなんか、誰も選ばない。
    ここでも、ボーイングの不手際が目立つな。

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  2. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  5. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
PAGE TOP