インド太平洋関連

M1A2Tだけでは足りない台湾、来年からM60A3のアップグレードを開始

台湾は2023年から「保有するM60A3のエンジン換装を開始する」と報じられており、新エンジンの出力は1,000馬力を超えるため走行性能や不整地の踏破性能が向上するらしい。

参考:獨家》M60A3戰車明年起全面「換心」 動支72.45億外購新式引擎

M1A2で全ての戦車を更新できないため、台湾は引き続きCM-11とM60A3を運用しなければならない運命

台湾は老朽した主力戦車「CM-11(車体はM60、砲塔はM48、火器管制システムはM1A1)」の一部を更新するためM1A2売却を米国に打診、最終的に約20億ドルでM1A2Tを108輌調達することで交渉は決着したが、これだけで台湾陸軍の戦車ニーズを満たすことは出来ず、M60A3TTSのアップグレードを2023年から開始すると報じられている。

出典:Photo by Sgt. Nathan Franco, Fort Irwin Operations Group

立法院に提出された2023年度の国防予算案によれば、陸軍は2028年末までに保有するM60A3のエンジンと変速機を換装する予定で、新エンジンの出力は1,000馬力を超えるため走行性能や不整地の踏破性能が向上するらしい。

さらに搭載アビオニクスのアップグレードも予定されているため「M60A3の運用寿命は大幅に延長される」と陸軍は主張しているものの、研究されていた主砲の換装(105mm砲→120mm砲)については「まだ評価が完了していない」と述べて明言を避けている。

出典:Xuan Shisheng/CC BY-SA 3.0 CM-11

恐らく台湾は「CM-11(450輌)やM60A3(460輌)を全てM1A2で更新したい」というのが本音だが、米国は中国との極端な関係悪化を危惧しているので1,000輌近いM1A2Tの売却には難色を示す可能性が高く、引き続きCM-11とM60A3を運用しなければならない運命だ。

関連記事:台湾が進める戦車「M1エイブラムス」の受け入れ準備、維持に必要な技術移転も要請
関連記事:日中韓の戦車と比較? 台湾が導入するM1A2Tが最強

 

※アイキャッチ画像の出典:玄史生/CC BY-SA 3.0

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コメント

    • ああああ
    • 2022年 9月 05日

    いっそのこと台湾は独自の戦車を開発したほうが
    良かったのでは?
    侵略軍に対戦車戦闘を強いるなら
    パットン充分なのかもしれないけど

    2
      • samo
      • 2022年 9月 05日

      言うのは簡単なんですけどね…

      30
      • hogehoge
      • 2022年 9月 05日

      先日台湾は国産戦闘機開発計画を”時間がない(中国の台湾進攻には間に合わない)”という理由でキャンセルしました。
      戦車も戦闘機同様に難易度の高い兵器で、1からの開発は時間が必要です。

      今、台湾に求められるのは2~3年ほどで用意できる即戦力で、
      パットンは十分とは思っていないはずですが、他に選択肢がないのだと思われます。

      (本当は、日本が本格的に74式戦車や10式戦車を輸出するという選択ができれば良いのですが。)

      31
    • K
    • 2022年 9月 05日

    う〜ん・・・台湾の技術力なら戦車ぐらい自力で作れそうなんだけどなぁ・・・
    戦車ってそんなに開発が難しい代物なんですかね?

    2
      • たいやき
      • 2022年 9月 05日

      台湾は半導体やPCは得意だけど、自動車産業はあまり発展していない印象
      (自動車メーカーは海外ブランドの現地法人みたいなのがほとんどのようですし)
      結構ハードル高いんじゃないでしょうか。

      24
      • ボリス
      • 2022年 9月 05日

      まずはサンプルを一つお願い致します!

      2
      • 名無し
      • 2022年 9月 05日

      いうほど簡単ならトルコくんもアルタイ手こずってないんじゃないですかね……。

      22
      • TA
      • 2022年 9月 05日

      エンジンとそれに耐えられるトランスミッション(機械)
      主砲(冶金)、装甲(素材)にFCS(光学、半導体)
      まだまだあるかもしれないが完全に技術のデパートです
      本当にありがとうございました

      20
        • 台灣大好き
        • 2022年 9月 06日

        スターリンが言っていた「戦車の上にデパートを作る」とはこういう事だったのですね!100年先を見据える同士の慧眼に脱帽です!!(違

        7
      • 2022年 9月 05日

      有事の際台湾戦車の相手は、主に水陸両用の軽戦車や空挺戦車といった軽装甲だし、M60でも一応足りるのかな
      仮に制空権や制海権取られ中国側のMBTの本格上陸を許すような段階ではそもそも敗北が確定だろうと、主力戦車の更新や開発に熱心では無く、ここら辺南西シフトから戦車の数減らした日本の事情と似てる気がする。

      M1戦車は重量とインフラの問題で、台湾の国土で柔軟に使用できる場所は限られてるが、防衛戦から陣地奪還の反転攻勢の際の切り札として一定量の保有は望んでると

      3
      • hoge
      • 2022年 9月 05日

      糞難しいというか、米ソですら開発に失敗した戦車の屍の山が築かれている。
      「革新的な戦車」は大体失敗していて、今使っている戦車も紆余曲折あって何とか完成したものばかりで、それですら採用当初は不具合塗れで何十年もかけて信頼性や性能を改善して安心して使えるようになっている。

      8
    • 迷子の無人機
    • 2022年 9月 05日

    たしかパットンの台車にエイブラムスの砲塔載っけたやつなかったっけ?あれやりゃいいんじゃないかと思ってしまう今日この頃。

    1
      • NATTO
      • 2022年 9月 05日

      レオパルド2の砲塔もつけれます。
      多分、T55なんかのソビエト系もつけられます。
      パットン系は砲塔リングの車体側に余裕がある設計なので輪っかを咬まして調整すれば大丈夫。

      1
      • 半分の防衛費の国から
      • 2022年 9月 05日

      即応出来ないと不味いので、レオナルドM60A3アップグレードソリューションかレイセオンM60A3耐用年数延長プログラム(SLEP)辺りかイスラエルのサブラシリーズか、どれもデジタル火器管制および照準システムと120mm滑空砲に換装するアップグレードでT-72辺りは敵じゃない状態には出来ますよ、形はジェネラル・ダイナミクス M60-2000 または 120Sの砲塔M1A1HA派生型がダントツですけど。

      参考
      M60タンク耐用年数延長プログラム(SLEP)
      リンク

      レオナルドM60A3アップグレードソリューション
      リンク

      イスラエル、サブラ(マガフ輸出版)
      リンク

      M60-2000 主力戦車
      リンク

      11
    • samo
    • 2022年 9月 05日

    M60もまだまだ現役の戦車なんで、そこまで時代遅れ感はないですけどね。
    運用国も多いんで、緊急的な調達はし易い。

    ただまあ、最新戦車を調達するのは、特に対中となるときついものがある。
    M1はもう少し積み増せるだろうけれども、レオパルド2やK-2はドイツや韓国が中国に配慮して売ってくれない可能性が高い。
    これは日本含めてそう。
    主だった戦車、というか武器開発能力のある国は、総じて中国の影響を強くうける

    7
      • NATTO
      • 2022年 9月 05日

      弾も新しい物を積めば威力もカバーできるんでしょう。
      砲発射ミサイルのLAHATとかイスラエルが近代化するグッズをあれこれ開発してると思います。

      2
    • 伸縮性のあるボクサー型のスパッツに近い装甲車
    • 2022年 9月 05日

    んにゃぴ…あんだけ中国と近いと陸海空どれに一番予算割いていいものかこれもうわかんねえなあ

    やっぱり1にミサイル2に航空機、3、4が軍艦 、5に戦車って感じかな?

    まぁ一番は人件費と福利厚生費だとは思うんだけど

    8
    • NATTO
    • 2022年 9月 05日

    さすがに現代さんも台湾には行かないのかな?

    2
    • 月虹
    • 2022年 9月 05日

    >新エンジンの出力は1,000馬力を超える

    台湾の運用方針からおそらくディーゼルエンジンになると思われるが中国からの圧力により台湾に戦車用エンジンを供給できるのはおそらくアメリカのみだろう。M60A3のエンジンは米・コンチネンタル社製AVDS-1790-2Aで出力は750馬力。イスラエルはこのエンジンを基に高出力化したAVDS-1790-5A(908馬力)をマガフやサブラ、ショットに搭載している。メルカバMKⅢでは更に出力を増強したAVDS-1790-9AR(1200馬力)を搭載しているので既存のエンジンをベースに再設計できれば1000馬力クラスのエンジンを作ることは可能な模様。

    メルカバMKⅣの様にアメリカのジェネラル・ダイナミクス・ランドシステムズ(現L-3 CPS)社が生産する1500馬力のGD883(独・MTU社のMT883のライセンス生産)に換装できればよいのだがドイツが知的財産権を盾に台湾への供給を認めない可能性もあり、台湾のM60A3の改修がどうなるか注目している。

    8
    • 鼻毛
    • 2022年 9月 05日

    どこも戦車不足ですしM60シリーズ再生が難しくないなら米軍の在庫をウクライナやNATO方面の数合わせに送るなんてこともあるかもしれませんね

      • hoge
      • 2022年 9月 06日

      T-72と比べて非常にデカイ、装甲が圧倒的に薄い、足が遅いと三重苦なので、T-72があるならばT-72を送るべきですけど、もう在庫がなければ仕方がなくM60を送るというのはありかもしれませんね。
      (M60A3 TTSならばサーマル付きだし、ERAも付けられるはず)

      3
    • AX-5
    • 2022年 9月 05日

    まあ台湾の戦車はZTD-05に勝てれば…いやM60じゃ105mmのAPFSDSに耐えられそうにないわ
    M1早く来てくれ

    2
    • ブルーピーコック
    • 2022年 9月 05日

    イスラエルに頼んでM60をマガフというかトルコのサブラMk2と同仕様に改造できんもんか。

    3
    • ダヴ
    • 2022年 9月 05日

    日本もそうだが戦車が活躍してる頃には滅亡だからな台湾
    別の装備に予算回すのは賢明

    4
      • けい2020
      • 2022年 9月 06日

      日本は憲法9条+専守防衛厳守だから、侵略受けたら99.9%本土決戦ですよ?
      侵略軍の揚陸部隊が攻撃的行動取らなければ、現状では攻撃できないのが日本

      5
    • 無印
    • 2022年 9月 05日

    M1A2Tに対抗するために、中国がどんな戦車を開発してくるかに興味が出てきた…
    改修してるとはいえ99式から結構経ったから、そろそろ中国も新型戦車が出て来るのでは
    周辺国にはあまり良い話ではないですが

    2
    • 折口
    • 2022年 9月 05日

    中華民国軍の演習とか見ていると、今の時代でも砂浜に塹壕掘って戦車や沿岸砲を並べて水際阻止やろうとしているんですよね。国民向けのアピールというのも当然あるんでしょうけど、戦車に限らず台湾は自国の軍の装備をどう使ってどう戦うつもりなんだろうという部分が気になります。

    6
      • wasser
      • 2022年 9月 06日

      中華民国国軍の場合は水際作戦をする以外に選択肢がないというのが実態かと。
      台湾の国土は主要都市の全てが海岸から50km以内と近くに存在するため、内陸に引き込んで戦争を続行するだけの縦深が存在しない。また山岳部に引き込んだ場合は生産拠点が後方に存在せず、(米軍が介入しない限り)PLANに海上輸送路を遮断されるため長期間の交戦はなし得ない。なので水際阻止する他に選択肢がない。

      また第二次世界大戦末期の(航空優勢・制海権ナニソレな)某帝国軍と異なり、PLAの弾道・巡航ミサイルによる初撃さえ掻い潜れればSAM、SSMと戦闘機によるお出迎えができるため、なんとか水際阻止できる。といいなぁ…

      5
    • ななし
    • 2022年 9月 06日

    …戦車よりも。機雷システムや潜水艦を揃えて上陸部隊の洋上殲滅をした方が良いのじゃないのか?島の守備の陸軍は土壇場の要だろうけど。

      • きっど
      • 2022年 9月 06日

      機雷は兎も角、潜水艦は台湾海峡が浅すぎて運用困難かと。半分の水域の水深が50m以内とか
      それに台湾も潜水艦を自国建造を開始しているとはいえ、戦闘機や戦車同様に他国は中国の顔色を窺って売却しませんし(だからこそ台湾は独自建造せざるを得なかった)

      2
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