インド太平洋関連

1,700輌の需要を巡る戦い、インド陸軍の次期主力戦車調達プログラムに露仏が挑戦

インド陸軍が2030年までに1,700輌調達を予定している次期主力戦車のプラットホーム「FRCV」についてロシアはアルマータベースの共同開発を提案、フランスはルクレールを提案すると報じられている。

参考:After Rafales & Nuclear Subs, France Likely To Offer Its ‘Killer Machine’ — Leclerc Main Battle Tanks To Indian Army

現時点でFRCVに挑戦を表明しているはロシアとフランスのみ、1,700輌という特大の需要を考えるRFIを受け取った国が全て手を挙げても不思議でない

インド陸軍は次期主力戦車のプラットホームとなるFRCV(Future Ready Combat Vehicle)調達に関するRFI(情報提供依頼書)を昨年6月に発行、2030年までに1,700輌のFRCV導入を計画している。

インド陸軍が発行したRFIによるとFRCVに求められる要件は高地から砂漠まであらゆる地形での運用能力、AIやネットワークを応用した戦闘への対応、UAVの脅威に対応するシステムの搭載、対戦車ミサイルやHEAT弾による攻撃から車輌を保護するための間接防御システム(ハードキルとソフトキルへの対応)、主砲弾の自動装填システム、車内からの360度パノラマビューを実現するビジュアルシステム、モジュラー設計による戦闘車輌のファミリー化などを挙げており、車輌重量は45~50トンだと言及しているが主砲の口径については記載がなく多彩な弾薬や対戦車ミサイルを発射可能とだけ書かれている。

出典:Prime Minister’s Office / GODL-India 国産戦車のアージュン

このRFIは国内企業ではなく海外企業に直接送付されており、インド陸軍のRFIを受け取ったのは米国、英国、ロシア、フランス、ドイツ、イタリア、イスラエル、ウクライナ、セルビア、韓国、トルコの企業(+インド国防省傘下の防衛研究開発機構)で回答期限は昨年9月中旬に設定されているため、当該国はインド陸軍のRFIに応じるかどうかを既に返答済みだと考えていい。

現時点でFRCVに挑戦を表明しているは2ヶ国だけでロシアの連邦軍事技術協力サービス(FSMTC)は次世代装甲車輌の共通プラットフォーム「アルマータ」を活用して新型戦車の共同開発を提案していると報じられており、フランス政府はネクスターのインドでの取り組みを支持すると議会で明かし「FRCVをネクスターが受注すればインドにもルクレールの生産ラインが設けられ、今後のアップグレード開発にかかる費用をインドと共有することができる」と言及している。

参考:India Gets Offer to Develop Armored Vehicle Based on Russia’s Armata

出典:Vitaly V. Kuzmin / CC BY-SA 4.0 共通プラットフォーム「アルマータ」を活用したロシアの次世代主力戦車T-14

因みにフランスの提案はルクレール(最新のXLR規格だと噂されている)をそのまま提案するのか、インド陸軍の要件を満たす派生型を開発して提案するのか言及されておらず、FRCV挑戦に手を挙げる国がどこまで増えるのかについても注目したいが、1,700輌という特大の需要を考えるとインドの為だけに新規開発を行っても十分成立しそうなのでRFIを受け取った国が全て手を挙げても不思議でない。

関連記事:2030年までに1,700輌を調達、インド陸軍が次期主力戦車に関するRFIを11ヶ国に送付

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Pfc. Michael Ybarra

韓国が今後も武器輸出を拡大させるための課題、自国が要求する固有要件の精査と妥協前のページ

米メディア、何故これほど多くの国が韓国のK9を購入するのか?次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    中国封じ込め戦略にも影響を及ぼすS-400導入問題、米国がインドに制裁発動か

    米国の「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」は敵対者の力を削ぐど…

  2. インド太平洋関連

    韓国最大野党の代表、公の場で韓国独自の核武装に言及して波紋

    韓国の野党「国民の力」で代表を務める金鍾仁(キム・ジョンイン)氏が核武…

  3. インド太平洋関連

    今後5年間で約27兆円を投資、韓国が発表した国防中期計画の中身|後編

    韓国国防部は10日、今後5年間の防衛力整備の方針をまとめた「2021〜…

  4. インド太平洋関連

    インド、総額6,810億円を投じて国産戦闘機「テジャスMK.1」を83機導入

    インドのモディ首相が議長を務める内閣国防委員会(CCS)は13日、国産…

  5. インド太平洋関連

    英空母を参考か? 韓国海軍、概念設計に基づいた軽空母のCGを初公開

    韓国海軍が概念設計に基づいた軽空母のコンピューターグラフックを初めて公…

コメント

    • 雉猫
    • 2022年 1月 05日

    日本の戦車は、日本国土と専守防衛に特化してるから世界じゃ通用しないと言わてるけれども、90、10見てると日本国土が起伏に富んでて、あらゆる環境が揃い過ぎてるから、世界でも通用しそうに感じる。

    10
      • news
      • 2022年 1月 05日

      >世界でも通用しそうに感じる。

      実際の戦闘だけを見れば通用するかもしれませんね。
      しかしそれと同時に、他国にとって費用対効果が優れているとは言えないでしょうが。

      19
        • 雉猫
        • 2022年 1月 05日

        費用対効果は悪そうですよね。
        やはり日本の戦車じゃ特殊過ぎますね。

        3
      • 2022年 1月 05日

      ない
      ない
      ありません
      日本ヨーロッパと違って数百キロ単位の平野なんてないだろ
      レオ2もM1もそういう地域での機動戦を前提としてるんだから話が違うわ
      正面から戦う前提の欧米MBTとこそこそ隠れて待ち伏せする10式とだと違い過ぎる

      4
        • 雉猫
        • 2022年 1月 05日

        >日本ヨーロッパと違って数百キロ単位の平野なんてないだろ

        確かに。
        日本の戦術戦略にもそんなの無いでしょうから、日本の戦車じゃ思想からしてダメですね。

        2
        • 匿名
        • 2022年 1月 05日

        ???
        インドの要求に数百キロ単位の平野の機動戦が入ってんの?
        どう読んでも運用は欧米よりは日本寄りの極地戦の想定で要求してるように思うんですが

        25
        • TT
        • 2022年 1月 05日

        そんなに変わりはしませんよ。
        正面に複合装甲を備えて攻撃に耐え、120mm滑腔砲を直射する兵器って根本は一緒です。
        10式に機動戦が出来ないわけが無いし、誤差の範疇でしか無いです。

        19
        • zyake
        • 2022年 1月 06日

        コンセプトからしてまったく違う。
        10式は日本国内で使う分には戦略/戦術機動性は高く、少ない砲弾や燃料の搭載量、乗員に割り当てられたスペースの少なさは問題にならず、装甲も重量効率だけ考えればいい。
        リンク

        一方でヨーロッパの平原を押し寄せてくるソ連戦車の大群と戦うM1は乗員数と乗員一人あたりのスペース、砲弾の搭載量はより多くなければならない。
        開示された資料から装甲も車体は重量効率の良いタンデム式のセラミック装甲だけれども、砲塔は長期戦のために複数弾が当たっても能力を維持できるが重量効率が低い劣化ウランを利用したことが判明しているし、そもそも砲塔の特殊装甲の防護範囲がずっと広い。

        1
      • 下R上LYBXA
      • 2022年 1月 05日

      んーまず陸自の戦車が砂漠で戦えるかどうかが気になりますね。
      74式でイスラエル軍の武官にダメ出しされたエピソードがありますが、その辺は防塵フィルター等の砂漠戦に対応した装備を別途開発する必要があるかもしれません。
      あとはAPSを装備できるだけの拡張性があるかどうかとかが気になりますね。

      6
        • 西風
        • 2022年 1月 06日

        ヤキマの演習場で水の中走ってるみたいな砂塵巻き上げながら砂丘走行する10式の動画見たことあるぞ
        長期間の任務に耐えられるかは分らんが砂漠で戦えるかどうかってんなら出来ると思う

        6
    • 2022年 1月 05日

    大量の戦車だが、西と北、どこで運用する気なんだろ?
    イメージだが、中国との国境線はあんまり戦車運用に向かない気がするがり

    3
      • あばばばば
      • 2022年 1月 05日

      パキスタン国境、ラージャスターン州は広大な砂漠が広がっているし、そもそもアルプス沿い以外は起伏が少ないぞ。

        • 2022年 1月 05日

        じゃあやっぱり運用のメインは西になるのか。

    • hiroさん
    • 2022年 1月 05日

    セルビアって戦車開発能力があるんですね。
    初めて知りました。勉強不足かな?

    2
      • 2022年 1月 05日

      割と老舗だぞセルビアの戦車開発
      なにせもとは旧ユーゴスラビア連邦一員で122㎜砲シャーマンとかを開発したりしてた国だし
      T-72ベースにそれ系列の戦車を自分で弄って改造してる

      10
        • hiroさん
        • 2022年 1月 06日

        T-72MをベースとしたM-84があることは知っているんだけど第3世代戦車だし、インドが今更旧世代を要求はしないので、ゼロベースで開発する能力があるかという意味なんだけどね。

        1
    • 名無し
    • 2022年 1月 05日

    45〜50tと言いながら求めてる事はハッピーセットな気がする

    3
      • 無無
      • 2022年 1月 05日

      戦車の重量は、鉄道輸送や道路、跳梁の強度で制限受けるから。インドなりの国土事情があるのでしょう。
      こちらが90式が北海道専用、10式がそれ以外の配備というのも同様。
      わがままハッピーセットを要求できるくらい買い手のインドの立場は強いよ

      8
    • 334
    • 2022年 1月 05日

    ロシアに金掴ませるとロクなことにならんからフランスに頑張って欲しいわ

    5
    • 匿名
    • 2022年 1月 05日

    1700両かあ
    決して増えない戦車定数の中でこのまま日本の戦車技術を腐らせていくよりかは
    この辺が捨て所と割り切って全技術提供して共同開発に持ち込めれば
    日本国内の戦車産業も数十年食いつなげる規模の商戦ではあるな
    日本のメーカー自身がどう生き残り戦略考えてるかにもよるけど

    12
    • 折口
    • 2022年 1月 05日

    インド軍の作戦地域の半分を占める高温多雨の熱帯や乾燥気候への対処に関してルクレールは世界で最も優秀な部類に入るでしょうし、その点は良い選択ですよね。性能的な部分についてはロシアのT-14に対して半世代遅れ感はありますが、レオパルト2やエイブラムス同様継続的なアップデートが実施されているモデルをベースにカスタム仕様の新規生産を提案するでしょうからそこまで問題にならないかもしれませんね。
    現用兵器との互換性うんぬんに関してインド軍は究極の例外ですから何がどう影響するか全く分かりませんが、一度傷ついたフランスの自尊心がかかった案件だけにさぞ強い営業攻勢をかけているんでしょうね。東西武器商人対決、低みの見物で注目です。

    1
    • ブルーピーコック
    • 2022年 1月 05日

    主砲発射型のミサイルってフランスにあったっけか。細かい部分はともかく、主砲周りはロシアベースになるだろうな。しかしわざわざ高地に対応させると書くあたり、中国との衝突時に続々と部隊を集める相手を見て思う所があったんだろうな

    2
    • おわふ
    • 2022年 1月 05日

    10式は車体規模はバッチリでしょうけど、対UAVや間接防御システムはサッパリですね。
    日本の特殊な事情というより、実戦考えてない様なところがありますね。
    昔から防御軽視や人員軽視が目立つ。
    エアコンくらい装甲車両全てに付けてやって。

    10
    • ヴェルダン
    • 2022年 1月 05日

    レオパルト2Aカスタムさんは参戦しないとですか?
    シリーズ生産数8000両越え、北欧の寒冷地帯から中欧の大平原、山岳地帯に関してもアフガンにカナダ軍が持ってったので一応の実績あり。
    ただ、要求仕様の50トンは軽く超えちゃうのと、今更モジュラー規格で派生型とかはイメージしづらいですが…

      • TT
      • 2022年 1月 05日

      ファミリー化って要求が入ってるので、正直アルマータプラットフォームの指名のように思える。

      6
    • ザコ
    • 2022年 1月 06日

    条件見る限り実質ロシア指名で他は当て馬に見えるね。現状ロシアのT-90使ってるってのもあるし。
    ところでせっかく自国開発したアージュンはどうするんだ。

    2
      • 匿名
      • 2022年 1月 06日

      インフラ的に重量制限が明白だからレオやM1は出番ないだろうな
      ルクレルは低姿勢砲塔で最初から軽量化志向で適合するし他に売れるあても無ければこれほどの量産効果を得られる商機もないから破格の条件ぶちこむんだろうなと
      一方でアルマタはパワートレーンがちょっとあれでインド国内で内製化できるような代物かも怪しい上に国産の他のAFVで転用できるような話にもまたならないから案外そこがネックになりそうな気がする
      本来なら無人砲塔の是非がハードル高いはずだけどそこは案外スルーされて既存アージェン魔改造につながるパワートレーンの内製化が最大焦点になりそうな気はする

      1
        • 半分の防衛費の国から
        • 2022年 1月 06日

        アルマータシリーズのエンジンは元々TD5エンジンと1970年代に比較されて、当時はガスタービンと対抗エンジンのTD5が採用されたそうなので、Ⅴ6が上下に合体した✕12エンジンは気難しそうですが、意外とインドのタタ辺りでも作れるかも知れません、ロシアとインドは軍事的に仲が良いので総力を挙げて技術移転しそう。
        参考
        リンク
        日本がやる気ならクワッドの事もあるしインド専用戦車提案して良いと思います、生産はインドで行う事が条件でしょうし、インドの現地法人でやれば問題なさそうですよ。

        1
      • 名無し三等兵
      • 2022年 1月 06日

      要求内容を見るに、かれこれ30年もかけて戦力化した第3世代相当の国産アージュンでは
      不満って事でしょう、あれの能力向上型のMk-IIの調達計画も進んではいるけど。
      インドが欲しいのは第3世代戦車ではなく、その先の3.5世代か第4世代の戦車が欲しいって
      感じなので、そうなるとわざわざ”モジュラー設計による戦闘車輌のファミリー化”の条件が
      入ってるあたり露の「アルマータ」が本命って感じはしますね

      1
    • 名無し
    • 2022年 1月 07日

    ウチは招待状すら送られなかったのね
    残念

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 日本関連

    リチウムイオン電池採用艦!日本のそうりゅう型潜水艦11番艦「おうりゅう」就役に世…
  2. インド太平洋関連

    日米からのオファーがない? 韓国空軍、日本のF-35整備拠点利用を否定
  3. 欧州関連

    再掲載|導入自体が間違い?タイフーンを導入したオーストリアの後悔
  4. 欧州関連

    再掲載|英海軍の闇、原潜用原子炉の欠陥と退役済み原潜の処分費用
  5. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
PAGE TOP