インド太平洋関連

シンガポール航空ショー、米海兵隊が地面効果翼機AirFish-8に関心を示す

ST Engineeringはシンガポール航空ショーに地面効果翼機「AirFish」を出展、同社はBreaking Defenseの取材に「米海兵隊とAirFish-8について協議している」と明かし、海外市場向けに開発した歩兵戦闘車「Terrex S5」も披露した。

参考:ST Engineering unveils infantry fighting vehicle, cites Marine interest in ground effect craft

シンガポール航空ショーで存在感を示すST Engineering、米海兵隊が地面効果翼機に関心

AirFishは2004年に設立されたシンガポールのベンチャー企業「WigetWorks」が開発したもので、同社は2023年「AirFishを商業化するためST Engineeringと合弁事業を開始した」と発表、最新モデルのAirFish-8は「乗員2名+乗客6名~8名」か「最大1,000kgの貨物」を標準的な船よりも3倍早いスピード(最大速度106ノット/巡航速度80ノット/航続距離300海里)で運搬することができ、ST Engineeringはトルコの民間企業=EURASIA MOBILITY SOLUTIONSと10機調達(オプション行使で+10機)で合意。

米Breaking Defenseの取材に応じたST Engineeringのレオン・タン氏は「米海兵隊が我々と10人乗りモデル(AirFish-8)について協議している」「シンガポール軍関係者も出展ブースを訪れた」と明かし、この話を複数のディフェンスメディアが報じて注目を集めている。

米海兵隊はForce Design 2030に基づいて戦車大隊を全廃、歩兵大隊、砲兵大隊、水陸両用車中隊も削減、代わりに対艦ミサイルや対空ミサイルを装備する少人数編成の沿岸連隊を新設し、点在する島々を拠点に中国海軍の西太平洋海域進出を阻止する構えで、海軍と海兵隊は状況に応じて沿岸連隊を島々に送り込む手段を検討中だ。

出典:米議会調査局 新しい揚陸艦艇のイメージ図

島々に沿岸連隊を送り込む手段の筆頭は小型揚陸艇(海軍は30隻調達を希望)だが、もっと小規模な戦力や物資の輸送に水陸両用艇(MC-130JやUS-2)の活用が検討されており、海兵隊がAirFish-8に関心を示しているのも「その流れ」に関連している可能性が高い。

さらにST Engineeringは海外市場向けに開発した歩兵戦闘車「Terrex S5」も公開、もはや対応するのが当然になってきた「無人車輌とのチーミング」が可能で、360度を見渡せる高解像度カメラも搭載し、Terrex S5には「30mm機関砲を備えた無人砲塔」「対戦車ミサイル」「迫撃砲」「105mm/120mm砲」を搭載するバージョンと「指揮車輌」が存在する。

これに加えて水陸両用バージョンも提供予定で、Terrex S5もシンガポール航空ショーで注目を集めているらしい。

関連記事:シンガポール航空ショー、フィリピンとインドネシアがUH-2に関心を示す
関連記事:米海軍、海兵隊沿岸連隊を輸送する新型揚陸艦を30隻調達予定

 

※アイキャッチ画像の出典:ST Engineering

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コメント

    • 無印
    • 2024年 2月 23日

    Terrex S5、360度見渡す高感度カメラがあるのに、サイドミラーは残るんですね

    1
      • ido
      • 2024年 2月 23日

      素人考えですが法律の問題ではないかと思います。シンガポールの法律がどうなってるかは知りませんが

      6
    • 58式素人
    • 2024年 2月 23日

    An-225ムリーヤは載貨重250tだけれど。
    仮にこの積載量をWIGで実現したらどんな形になるのでしょう。
    最大高度を翼下30m、最大飛行速度を300km/hくらいとして。
    実例はないと思いますが。

    1
      • ななし
      • 2024年 2月 23日

      地面効果じゃありませんがエアクッションを利用した小笠原テクノスーパーライナーというのがありましてね
      コンテナ40個(210トン)積めて、時速が約70キロ出せる船でしたが、燃料代がシャレにならんという事でろくに使われず解体されました。
      米軍も興味を示してたのですがRORO船じゃないので使い物にならんという事で終わりました。

      6
        • 58式素人
        • 2024年 2月 23日

        高速船はいくつか試みられていますが、
        一番成功しているのはウエービピアサー船型では、と思います。
        米海軍のスウィフトとか、海自のなっちゃんワールドとかですね。
        それでも、速度は40kt(74km/h)くらいですね。
        フネはこのあたりが一つの限界に思えます。

        3
    • kame
    • 2024年 2月 23日

     動画の地面効果翼機は面白いですね。近未来系の映画で出てくる感じで、特殊部隊が高速で揚陸する目的で検討してるんでしょうが、これが主流になれば防衛側としても対応策を考える必要が出てきそうです。

    3
      • 名無し三等兵
      • 2024年 2月 23日

      地面効果翼機
      計画が浮かんでは消えていきますが、海上船舶との接触問題がクリア出来ない限り実用化は無理だと思います

      1
    • 素人
    • 2024年 2月 23日

    エクラノプラン!エクラノプランじゃないか!

    22
      • ウルフ
      • 2024年 2月 23日

      完全に時代が逆行してる。発想は完全に冷戦時代のエクノプラン

      1
    • Artillery
    • 2024年 2月 23日

    地面効果翼機って男のコだよな

    2
    • abc
    • 2024年 2月 23日

    晴天はともかく荒れても飛べるのかは心配だ

    8
    • がつ
    • 2024年 2月 24日

    昔、日本の自衛隊もアメンボにそっくりな水中翼船を開発してたの知ってる?

      • 元ねじ屋
      • 2024年 2月 24日

      米ペガサス級に刺激されたと言われたアレですか?

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