インド太平洋関連

シンガポール、超音速飛行に対応した無人航空機「アロー」の初飛行を来年実施か

シンガポールに拠点をおくKelley Aerospaceは今月3日、超音速で飛行が可能な無人航空機「アロー」の詳細を発表して注目を集めている。

参考:Singapore’s Kelley Aerospace sets sights on supersonic UAV and business jet markets
参考:Максимальная скорость полёта в два Маха: проект сверхзвукового ударного беспилотника Arrow реализуется в Сингапуре
参考:Singapore to Test Supersonic Attack Drone to Escort Manned Aircraft in Jan 2022

恐らく100機の予約発注を行いアロー開発をバックアップしているのはシンガポール国防省?

Kelley Aerospaceは航空産業分野で使用される炭素繊維製部品の設計や製造、ビジネスジェット等のカスタム作業、民間航空機の整備や修理を得意とする企業だが独自に無人航空機の開発も手掛けており、Black Eagle(滞空時間57時間)と呼ばれるUAVは250機以上の受注を獲得済みでシンガポールに同機の最終組立ラインを建設する計画を進めているらしい。

出典:Kelley Aerospace Black Eagle

つまりKelley Aerospaceは単独で有人航空機を開発した経験はないものの「無人航空機開発や販売では一定の成功を収めている」という意味で、同社は今後需要が高まると予想される有人戦闘機とのエア・チーミングに対応した無人戦闘機「アロー」開発計画を今年2月に発表、同社のCEOは「偵察・監視、空対空戦闘、空対地戦闘、敵防空網に対する囮役などとして使用できるアローの能力に顧客が興味を示し、すでに100機の予約発注(アロー開発のためのローンチカスタマー国か組織が存在することを示唆している)を獲得している」と明かしていた。

この無人航空機「アロー」はロシアが開発しているステルス無人攻撃機「S-70オホートニク」よりも小さいものの現行のUAVよりは大型(全長14m×全幅9m/最大離陸重量16.8トン)で、マッハ2.0~2.1で飛行することができ4,000km以上の航続距離を備えならが調達コストはたったの900万ドル~1,600万ドル(推定)と言われており、米空軍研究所が開発したXQ-58Aと同じ「アトゥリビュータブル・エアクラフト(経済的に損耗にも耐えられる航空機)」を目指している可能性がある。

出典:Kelley Aerospace Arrow

ここからが今回の本題なのだがKelley Aerospaceは今月3日、フルスケールのアローを現在製造中で幾つかの海外メディアが「2022年1月に飛行テストが実施される」と報じている点だ。

今年2月に計画を発表して直ぐにフルスケールモデルの飛行テストを行うというのは「性急すぎる」と感じるかもしれないが、Kelley Aerospaceは9年前の2012年にアローの開発を始めていたと報じられており、これが事実なら同社のアロー開発はロシアのオホートニク開発と同時期(計画発表自体は2009年だが開発に着手したのは2012年)にスタートしていたという意味で非常に興味深い。

出典:Kelley Aerospace Arrow

恐らく100機の予約発注を行いアロー開発をバックアップしているのはシンガポール国防省(アロー開発自体がシンガポール国防省の要請で開始されたという説もある)の可能性が高く、海外市場に伝統的な供給国が存在しないエア・チーミング対応の無人戦闘機需要を狙い欧米露も新興国も競うように開発を進めているのだろう。

国名 機種もしくはプログラム名 実用化時期など
米空軍 スカイボーグ 不明
米空軍 B-21の随伴機 不明
米空軍研究所 OBSSプログラム 不明
米海軍 F/A-XXの構成要素 不明
米国防高等研究計画局
LongShot 不明
英空軍 ランカ 2030年までに実用化予定
英海軍 ビクセン 2030年までに実用化予定
欧州 FCASの構成要素 不明
日本 F-Xの構成要素 2035年頃に実用化
豪州 ロイヤル・ウィングマン 不明
ロシア S-70オホートニク 2024年に量産機引き渡し
中国 FH-97 不明
インド Warrior 2024年頃にプロトタイプが初飛行予定
インド Ghatak 不明
トルコ MIUS 2023年にプロトタイプが初飛行予定
ブラジル 名称不明 不明
韓国 K-UCAV 2030年代の実用化
ウクライナ ACE ONE 不明
シンガポール アロー 2022年にプロトタイプが初飛行?

恐らく管理人が把握していないエア・チーミング対応の無人戦闘機開発計画は他にもあると思われるが、果たしてどれだけの数が実用化に辿りつくのだろうか?

今日・明日で仕事納めだという方も多いと思いますので一先ず1年間お仕事ご苦労さまでした。今年も本業の隙間をやり繰りして1年間更新を続けられたことに自身も驚いていますが、新型コロナの影響で年始年末も特に外出予定がないので今年も酒を飲みながらダラダラと更新を行うかもしれません。

どちらにしても航空万能論GFを覗いてくれた多くの方に感謝を、そして良いお年を!

 

※アイキャッチ画像の出典:Kelley Aerospace Arrow

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コメント

    • 折口
    • 2021年 12月 28日

    こちらこそ一年お疲れさまでした。楽しく拝読させて頂きました。

    50
    • seawolf
    • 2021年 12月 28日

    管理人さん
    一年間貴重な情報を有難う御座いました!
    無理せずゆっくりお過ごし下さいませ。
    そして良いお年を!

    46
    • F-774
    • 2021年 12月 28日

    後ろ前逆だとすごく不気味でかっこいいのにw

    8
    • どうなの
    • 2021年 12月 28日

    管理人さん、1年間お疲れ様&ありがとう。不穏な空気の来年になりそうですが、平和を祈りつつ頑張って下さいね。
    エア・チーミング対応の無人戦闘機開発なら日本でも炭素繊維の東レとか巻き込んで独自にやれそうな気もするのですが。
    監視に特化すれば需要もありそうだと思う。

    19
    • 新・にわかミリオタ
    • 2021年 12月 28日

    >どちらにしても航空万能論GFを覗いてくれた多くの方に感謝を、そして良いお年を!

    本当にお疲れさまでした。
    毎日、興味深い軍事の話題を提供し続けていただき、感謝の言葉もありません。
    管理人さんも読者の皆様も、良いお年をお迎えください。

    22
    • たか
    • 2021年 12月 28日

    毎日更新ありがとうございました。
    航空機、軍事に興味があるので毎日見てます。
    来年も宜しくお願いいたします。
    良いお年を〜

    18
    • 無無
    • 2021年 12月 28日

    シンガポールがこのような高性能機を。
    これからは過去の実績にとらわれない技術の進展が世界各地で始まるのかも知れない
    来年も引き続いて、日本人の目を醒まさせる熱い記事を願います

    7
    • かえる
    • 2021年 12月 28日

    たくさんの興味深い記事ありがとうございました

    でも今までのパターンからすると締めっぽいこと言っておきながらあまり変わらぬペースで更新されるんじゃないですかねえ(にやにや

    8
    • 匿名
    • 2021年 12月 28日

    1年間お疲れ様でした

    4
    • 7C
    • 2021年 12月 28日

    今年も1年間、お疲れさまでした
    色々な情報を知る機会を提供してくれて感謝しています
    今後も目が離せない情報が沢山出てくると思いますが記事を楽しみにしています

    6
    • ネコ歩き
    • 2021年 12月 28日

    今年一年お疲れさまでした。
    日頃接し難い世界の軍事情報記事を紹介していただいて、認識を新たにする機会を得られ毎回感謝です。
    今回のアローは私的に初見でしたが、管理人さん同様にどれだけ実用化にたどりつけるか興味ありますね。
    良いお年を。

    7
    • くわい
    • 2021年 12月 28日

    毎回とても勉強になる記事を読むのを楽しみにしています。今年1年本当にありがとうございました。また来年もよろしくお願い致します。

    6
    • ブルーピーコック
    • 2021年 12月 28日

    管理人さん、今年もありがとうございました。来年もよろしくおねがいします

    これだけ開発国と計画が多いと、次はどの国が無人機製造にエントリーするのか気になるな。

    4
    • TT
    • 2021年 12月 28日

    ご苦労様でございます。よいお年をお迎えください。

    3
    • 下R上LYBXA
    • 2021年 12月 29日

    なんだろう、見た目すごいのっぺりしていてなかなか個性的ですなこの無人航空機は。
    空気抵抗やステルス的に有利な形状なんですかね。
    まあ見てる側からしたら色々なデザインの機体が登場してくれた方が眼福ではありますが。

    さて、管理人さん一年間お疲れ様でした。
    毎日楽しみに読ませていただきました、とても感謝しております。
    来年は世界情勢もここのコメ欄もできるだけ荒れないでほしいですね。
    では管理人さん&読者の皆様良いお年を!

    2
    • 匿匿名
    • 2021年 12月 29日

    お疲れ様でした

    来年も良質な記事をお願いします

    3
    • 和泉堺
    • 2021年 12月 29日

    >どちらにしても航空万能論GFを覗いてくれた多くの方に感謝を、そして良いお年を!

    色々楽しかったですよ。
    来年も記事を楽しみにしてます。よいお歳を!

    3
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