インド太平洋関連

第4.5世代戦闘機最強はF-21?Su-35?印空軍の多用途戦闘機調達を巡って米欧露が激突

輸出可能なほぼ全て(中国製を除く)の第4.5世代戦闘機が名乗りを挙げているインド空軍の多用途戦闘機調達プログラムは、単発機と双発機の両方が提案されるこのコンペティションを公平に進めるため要件や仕様を策定中だと話している。

参考:IAF ensuring level-playing field for single, twin engine fighter jets in USD 20 billion deal

2兆1,000億円もの大型案件を勝ち取るのは米国か?欧州か?それともロシアか?

インド空軍はロシア製の戦闘機「MiG-21FL フィッシュベッド」の更新用途と退役した可変翼戦闘機「MiG-23」の発展型である戦闘爆撃機「MiG-27ML フロッガー」の穴を埋めるるため、新たに114機の多用途戦闘機(MRCA:マルチロール機)を調達するプロジェクトを推進中で多くの国がこのプロジェクトに興味をし名乗りを挙げている。

米国のロッキード・マーティンはF-16C/D Block70(通称V仕様)をベースにしたF-21を提案、さらに昨年9月にはインド南部にある工場からサウスカロライナ州グリーンビルにあるF-16の製造工場へ主翼を供給することを発表、将来的にF-16の製造自体をインドへ移転(第三国への輸出も可能)することも提案するなど魅力的な提案を行っている。

画像:ロッキード・マーティンが公開したYouTube動画のスクリーンショット F-21

ロッキード・マーティンの宣伝文句によればF-21には第5世代戦闘機F-22AやF-35から派生した「革新的なテクノロジー」が採用されているらしい。これはF-35に搭載されているレーダー「AN/APG-81」に使用された技術を流用して開発された「AN/APG-83 SABR(F-16Vに搭載)」のことを指しているのか、全く別の技術(例えば電子・光学式照準システムのEOTS等)がF-21に採用されるのかは不明だ。

因みに、インド向けのF-16が新しくF-21と命名されたのは宿敵パキスタンが既にF-16を導入しているため=同じ名前の戦闘機を使いたくないというインド側に配慮した結果らしい。

ボーイングはインド海軍のMiG-29K更新用に提案しているF/A-18E/Fをインド空軍にも提案中で空海軍が同一機種を採用することでライフルサイクルコストを削減できることを主張していたが、これだけでは弱いと感じたのか今年2月、米空軍が採用した戦闘機F-15EXもインド空軍のプロジェクトに提案することを発表した。

出典:ボーイング F-15EX

他にもフランスは戦闘機「ラファール」を、スウェーデンのサーブは戦闘機「グリペン」を、欧州のエアバスは戦闘機「タイフーン」を、ロシアは戦闘機「MiG-35」と「Su-35」を提案しており、インド空軍の多用途戦闘機調達プログラムは販売可能な第4.5世代戦闘機が全て参加する「最強決定戦」の様相を呈していると言っても過言ではないが、今回のコンペティションでは機体の性能以外の部分、インドが進める「MAKE IN INDIA」政策に従って採用される戦闘機は機体製造の85%をインドで行わなければならないので、どれだけ現地生産の部分で魅力的な提案が出来るか、もっと踏み込んで言えば「どれだけ広範囲な技術移転を認めるか」が勝負の鍵になるだろう。

そういった意味で見るとロッキード・マーティンの提案は他社や他国を出し抜いた内容であり、これが今後の基準になる可能性が高い。要するに現地生産の条件でロッキード・マーティンの提案内容以下なら提案しても採用の可能性が低く、参加するなら少なくともロッキード・マーティンと同等かこれを上回る提案でなければ参加する意味がない。

出典:public domain ロシア空軍のSU-35

ここまでの話だと仮に採用されても旨味が少なく見えるかもしれないが、インドは114機の多用途戦闘機調達プログラムはライフルサイクルコスト(機体調達費用から退役までに要求される機体維持の費用を含めた総費用のこと)まで含めると200億ドル(2兆1,000億円)をこえると試算しており、通常ライフルサイクルコストは機体価格の2倍から2.5倍と言われているためインドが114機調達する機体の費用は100億ドル(約1兆円)以下に過ぎす導入から時間が経過すれば能力のアップグレード需要も見込める。

要するに、現地生産でインド側に大盤振る舞いをしても採用さえ勝ち取れば十分利益を確保することができるという計算だ。

インド空軍は単発機と双発機の両方が提案されるこのコンペティションを公平に進めるため要件や仕様を策定中で、これが決定すれば直ぐにでも正式な機種選定作業に取り掛かる予定だ。これまでの採用実績から考えればロシアや欧州が有利だが、今回は米国も本気なので非常に熱い戦いが展開されると予想される。

 

※アイキャッチ画像の出典:ロッキード・マーティンが公開したYouTube動画のスクリーンショット F-21

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 4月 08日

    名前変更って地味だけど重要よね
    ロシアの戦闘機も殆どSu-27のマイチェンだけど
    新しいナンバーを与える戦術が顧客にウケてるみたいだし

      • 匿名
      • 2020年 4月 08日

      >新しいナンバーを与える戦術が顧客にウケてるみたいだし

      T-80の技術をフィードバックしてT-72の最新型を作ろう→湾岸戦争で輸出型のT-72がぼろ負けしてT-72の評判ガタ落ち→T-72の名前を付けずにT-90爆誕。

    • 匿名
    • 2020年 4月 08日

    もしF-2の生産ラインがまだ生きてたらしたら、次世代機までの繋ぎにF-16V相当のF-2改みたいのが登場してたんかな

      • 匿名
      • 2020年 4月 08日

      >F-2の生産ラインがまだ生きてたら

      史実と異なり、F-4EJ改の後継にF-2性能向上型が選ばれたら、って事だよね。
      その分F-35の導入がPre-MSIP機の後継まで遅れるけど、損得はどうなるのかな?

      仮にF-2で試された事を全部盛りだと
      J/AAQ-2・JDAM・J/APG-2・AAM-4は最初から適用、
      AAM5・JHMCS・LJDAM・AN/AAQ-33・リンク16・AMCの導入が前倒し、
      スマートボムラック・3次元高精度方探システム・先進統合センサシステムなどが試験レベルではなく量産機にも導入、
      といった感じになるのかな。
      F-16V相当か、部分的には勝る機体になるかも。

      LM提案のF-2 Super Kaiでは、F110-GE-132への換装もあったけと、
      個人的には換装ナシの方が空自っぽい気がする。
      コンフォーマル・フューエル・タンクも、見た目が嫌いだから、出来たら避けて欲しい。

    • 匿名
    • 2020年 4月 08日

    これから要件仕様を策定、その後直ぐに選定作業を行うと言う事だが。印度時空の中でどれだけ速やかに行えるのか?
    決定した頃にはタイフーン、F15EX辺りの製造ラインは跡形もなく消えていそう…。

    • 匿名
    • 2020年 4月 09日

    全種類を一堂に集めて性能評価を行ったら楽しそう。
    特に空戦は見ものですね。

      • 匿名
      • 2020年 4月 09日

      フィンランドがやってる 
      HX Challenge  2020年1月  7日間 防空、空対空戦闘、空対空偵察、監視、地上攻撃の評価
      ユーロファイター、ラファール、グリペン、F/A-18E/F、F-35
      目的は現有のF/A-18C/Dの後継機「HX」選び  
      ヨウツベに動画がある

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