米国防総省は、日本が要請している「F-35プログラム」への正式な開発パートナーとしての参加を拒否するだろうとDefense Newsが報じている。
参考:Japan wants to be an official F-35 partner. The Pentagon plans to say no.
今更、F-35プログラムの正式な開発パートナーへ参加を打診する日本
防衛省の鈴木整備計画局長は米国の国防総省に対してF-35プログラムの正式な開発パートナーに参加できる可能性や条件(責任と権利、コストの共有、承認プロセス等)について情報提供を求めており、この要請についてF-35ジョイント・プログラム・オフィス(JPO)の担当者は「F-35開発パートナーはシステム開発実証段階で開発に参加をした国に限られる」と日本参加の可能性をハッキリと否定した。
しかしF-35プログラム元高官によれば「開発パートナーの席はトルコが抜けて空席があり、日本は米国以外の国で最も多くのF-35を運用する国になった。開発パートナーの参加条件は国防総省が作ったもので究極的に言えば国防総省は参加条件を書き換える事ができる」と話している。
日本が要請しているF-35プログラムの正式な開発パートナーとはF-35開発に出資を行った国の地位のことで、日本にも出資の打診があったのが複数の国で開発され販売されるF-35は「武器輸出禁止三原則(当時は防衛装備移転三原則が閣議決定されていない時期)」に違反するとして参加を見送った。
因みにF-35プログラムの開発パートナーは開発費へ出資割合に応じてレベル1から3までに分類されている。
レベル1に分類されているのは開発費の10%に相当する25億ドル(約2,700億円)を負担した英国で米国以外で唯一、F-35の要求性能に関わることができ開発された技術にもアクセスで出来る。レベル2のイタリアは10億ドル(約1,080億円)を負担して米国以外では初となるFACO(最終組立・検査ライン)を誘致、8億ドル(約870億円)を負担したオランダと共にF-35を構成する部品の製造権を獲得。
レベル3のカナダ、トルコ、オーストラリア、ノルウェー、デンマークは1億ドル(約100億円)前後を負担して負担額に応じたF-35の部品製造権を獲得している。
F-35プログラムの開発パートナー国は米国に設置されたF-35ジョイント・プログラム・オフィス(JPO)に要員を常駐させて将来予定されているアップグレードについての検討や決定に関与でき、F-35についての情報についても直接アクセスすることが出来る。
日本は航空自衛隊のF-35Aが墜落した際、F-35の安全に関わる情報の入手が遅れたのはF-35プログラムの開発パートナー国でないため情報の開示手続きに時間が掛かったためで、このような事態を今後避けるためという意味とF-35のアップグレードプログラム「ブロック4」について関与したいという意思が働いた結果、F-35の開発パートナー国への参加要請をすることに繋がったのだろう。
日本はF-35Aを42機導入中だが追加で計105機(A型63機/B型42機)を導入することを発表、米国以外の国で最も多くのF-35を運用(147機)する最大の顧客だが、幾ら日本が大量のF-35を購入しても「顧客」から「開発パートナー国」に昇格することは難しい。
F-35プログラム元高官が指摘したようにS-400導入に踏み切ったトルコがF-35プログラムから正式に追放される見込みなので開発パートナー国の枠に1つ空きができるのは事実だが、システム開発実証段階で開発費を負担するというリスクを背負ってF-35の開発パートナーになった国からしてみれば日本の要求は身勝手に聞こえるはずだ。
F-35が完成し実用レベルに性能が安定した時期に追加購入をすることで最大規模のF-35運用国になった日本は開発パートナー国に共通する「開発リスク」を背負っていないため、もし参加を許可されるなら「開発リスクの共有」について相当高額な負担を迫られる可能性が高い。
もし開発パートナーに正式に参加しF-35のアップグレードプログラムに関与できるようになれば国産の空対空ミサイル(AAM-4Bや英国と共同開発中の新型空対空ミサイル等)をF-35に統合するよう「開発パートナーレベル」で要求出来るようになるためロッキード・マーティンも日本を無視できなくなるだろう。
ただよく考えなければならないのは、恐らく数千億円レベルのF-35の開発費を後から負担して今更開発パートナー国になったとしても恐らくアップグレードプログラム「ブロック4」の大枠は決定済みなため日本の要求が反映される可能性は少なく、日本が積極的に関与できるのは「ブロック4以降」になる可能性が高いという点だ。
さらにトルコの開発パートナーの地位を日本が引き継いでF-35の部品製造の権利を取得できたとしても、FACOを国内に誘致しておきながら最終組立・検査ラインを放棄して直輸入に切り替えたばかりなのに再び部品を作れと言い出せば国内の防衛産業企業は混乱するだけで、いっそF-3の開発や製造に専念してもらった方が良いのではないだろうか?
まぁ、どちらにせよ国防総省は条件を書き換える気は無く日本の要請を拒否すると報じられているので日本の「F-35プログラム」への正式な開発パートナーとして参加するのは無理そうだ。
※アイキャッチの出典:storm / stock.adobe.com
イギリス並みかそれ以上の開発費となると30機分以上のF-35を追加購入するのと同等ですが、日本独自開発のミサイルなどをF-35システムに統合できるのはメリットでしょう。
閉鎖・メンテナンス拠点化予定のFACOも今のまま残せて、部品製造ラインやメンテナンス拠点も拡充できるので雇用の観点でもメリットはありそうですが、LM社と米軍のみのアンタッチャブルゾーンがどれくらいあるかですね。
トランプのことだから100億ドルくらいふっかけそうですが
これまた韓国が発狂しそうなネタですなぁ。
レベル1の「技術移転も受けることが出来る」にウリナラも!となりそう
完全に後出しの今回は無理にしても、今後の参考にはなりますからね。長期的には必要な行動でしょう。
米国がF-35の共同開発に参加させてくれるなら
F-3の開発も米国との共同開発でも構わないと思うがね
米国がその意思がないならF-3の開発には英国をパートナーに選んで
ミサイルなどの誘導弾関係は米国離れを始めればいい
トルコの一件を耳にして、チャンスだなと思っていたら既に打診していたのですね。…最近の官僚さんは有能ですなぁ。
とは云え、記事を一読して再考してみれば、チャンスと呼ぶに値するものでは無いかもしれません。
F35シリーズに関してはトルコ生産分も米国生産、ミサイルも米国製、アップグレードも米国任せ、とアメリカファーストを徹底させて、余計な投資は抑え、貿易不均衡の緩和に貢献して貰い、大統領の御機嫌麗しゅうしていた方が上策かとも思います。
そして、開発予算や設備投資は国産F3とミーティア改に集中させます。…もう米国政府や企業の思惑や利害に振り回されるのは御免です。仮に世界最強ではなくとも、堅実な整備計画の基で自由に改良しながら末永く運用出来る機体が手中に在る事こそが戦力維持には大事です。ミーティア改にしても空対空、艦対空、地対空とファミリー化していけばBAeも喜んで協力するでしょうし、理想的な展開です。
せっかく断わってくれたのですから、我等は我が道を行きましょう。
F-35の日本への販売自体が開発国に先んじてねじ込めたりできた訳で
結局のとこ金次第でしょ
ここはゴリッと厚顔無恥に割り込んでもいいんじゃないかと思うけどね
この程度で恨み買うとか考えてたら国際関係とかやっていけないでしょ
F-35はまだまだこれから使うんだから将来見越して投資しとくのは悪くないと思うな
F-35ではレーダーFCSとエンジンですでに協力関係を築いているので問題ないでしょう。