アラブ首長国連邦を代表する防衛産業企業「EDGE」はドバイ航空ショーの初日に新しい無人航空機(UAV)/無人戦闘機(UCAV)を複数発表して注目を集めている。
参考:Emirati conglomerate unveils two drones and a weapons system
航空ショーの初日に無人航空機の発表をぶつけたのは「世界的に航空機装備の注目がUAVやUCAVに集まっている」という証拠なのだろう
1981年に始まったドバイ航空ショー(アラブ首長国連邦)は米国、欧州、ロシアといった国が中東諸国に航空機や防衛装備品を販売するための見本市として機能していたが、近年は中東系の防衛産業企業が独自に開発した防衛装備品を数多く出展して海外の航空関係者や防衛関係者からも大きな注目を集めている。
特に海外からの輸入に依存した防衛装備品の供給を国内製造に切り替えたいアラブ首長国連邦は2019年に25社を超える国内企業を合併させる形で防衛産業企業「EDGE」を創設、このEDGEは最新の年間売上ランキングで中東企業として初めてTOP25(ストックホルム国際平和研究所の発表によると22位)に食い込んでおり、売上高で英国の大手防衛産業企業のロールス・ロイスを上回っているほどだ。
補足:日本最大の防衛産業企業である三菱重工はストックホルム国際平和研究所が発表した前年のランキングで25位に食い込んでいたものの、最新のランキングではTOP25から後退している
このEDGEが開幕したドバイ航空ショーの初日に垂直離着陸(VTOL)と精密誘導兵器の搭載に対応した小型の無人航空機「QX-4(最大離陸重量20kg/滞空時間40分)」の後継機としてQX-5、遠隔操作を必要としない物資運搬用のQX-6、さらに中小規模の脅威を破壊するのに適した費用対高価が高い精密誘導キッド「Rash2-H」などを発表して海外メディアが関心を寄せている。
QX-4の発展型に相当するQX-5は最大25kgまでの追加ISR機器や武器を搭載することが可能で滞空時間は16時間に拡張されており、戦場や国境の情報収集・監視・偵察任務や交戦を伴う軍事作戦に適したVTOLタイプの固定翼を備えたUAVだとEDGEは説明、新型のQX-6は人間による遠隔操作を必要としない自律飛行が可能なVTOLタイプの大型ドローンで最大150kgまでの物資を運搬(航続距離は不明だが滞空時間は4時間らしい)することが出来るらしい。
ただしQX-5もQX-6もUAE軍の要求要件に基づき開発されているため現時点で海外の顧客に輸出する計画はなく、量産機の引き渡しは2023年第1四半期になるとEDGEは主張している。
さらにRash2-Hは安価な無誘導爆弾を精密誘導兵器に変換するRashシリーズの最新キッドで、展開すると約1m幅の主翼とGPS/INS+レーザー誘導装置が一体化したキッドに迫撃砲弾(大きさは不明)をセットすると簡易の精密誘導兵器に生まれ代わり、高度1,500mで投下すれば最大到達距離は4.5kmだが高度6,000mで投下すれば最大到達距離は18.2kmまで延長され、砲弾を含むRash2-Hの重量は14.5kgなので無人戦闘機(UCAV)での使用も想定しているのだろう。
管理人的に非常に興味を引かれたのはEDGEの子会社がドバイ航空ショーに出展したISR任務や攻撃任務に使用できると主張する小型のHunter UAVシリーズやReach-Sで、離陸重量が47kgのHunter10は装甲車輌や砲兵車輌で運用され最大10kgまでISR機器や武器を搭載でき、離陸重量が16kgのHunter5はチューブランチャー方式で運用され最大5kgまでISR機器や武器を搭載でき、両機とも電気推進方式を採用しているためエンジンを搭載するタイプのUAVと比較して赤外線センサーに見つかりにくい特性を備えている。
Reach-SはトルコのバイラクタルTB2をひと回り小さくしたような無人戦闘機(UCAV)で、搭載エンジンもTB2が採用(現在は国産モデルに変更)していたRotax912を選択しているため主要スペック(離陸重量400kg/ペイロード120kg/見通し通信距離約200km)も似ており、完全にTB2と海外市場で競合する製品だ。
恐らく2日目以降も新しい装備品が発表されると思うが、航空ショーの初日に無人航空機の発表をぶつけたのは「世界的に航空機装備の注目がUAVやUCAVに集まっている」という証拠なのだろう。
余談だが今年2月に首都アブダビで開催中の防衛展示会「IDEX」で発表したUAE初の防空ミサイル「SkyKnight」の主要な開発が完了したとEDGEは発表しており、今後このミサイルは自国向けとは別にドイツのラインメタルへ供給され、拠点防空に特化した防空システム「Oerlikon SkyNex」に統合される予定だ。
関連記事:売上高でロールス・ロイスを抜いた中東の防衛産業企業、軍用無人航空機「QXシリーズ」を発表
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関連記事:ラインメタル、トラック搭載のエリコン・リボルバーガンMk3で小型ドローンを無力化
※アイキャッチ画像の出典:EDGE
日本の話題としては、C2が派遣されてます。
一言も触れないとは思わなんだ。
それだけドバイ航空ショーで存在感がないって事だろ。
A400Mも似たような扱いか。
なにか動きがないと「展示しました」で終わっちゃう話やからね。
日本がドローン兵器開発をしているというというのは全く聞かないな
研究ぐらいはしているだろうから
すこしでもいいから公表してほしいぞ
フジなんとかかんとかってメーカーが作ってなかった?
多分3000kmの長距離を30時間飛べるてやつだと思う。 2021年末までに開発予定で、安価と国産を売りに、防衛省などに売り込むていうやつらしい ちなみにフジ・インバックてところが作ってる
なんか文章に変な空白が
製品化しても利益が望めない分野では研究開発すらしてないと思うが・・
日本では民主体ではこの分野は育たないだろう
日本にもベンチャーで無人機を手がける企業はあるが、積極的に軍事用途に手を
出そうとはしていない、理由は色々とある
軍事用途を全面に出したら日本では投資家が集まらない、資金が集まらなければ
製品を作れない、例え出来ても自衛隊向けだけでは国内需要などたかがしれてる
利益を出すには世界市場に出さないといけない、それには国の強力な後押しは
不可欠だが、安価な無人兵器を欲しがる国は地域紛争を抱えた国が大半だ、
そんな国への輸出を後押しするコンセンサスはこの国に全く無い
かといって、販売国や地域を限定したら到底売れない、輸出実績などは作れない
そもそも無人兵器に限らず、官民共に武器輸出に対する忌避意識は未だに根強い
のだ、軍事需要など攻めても、この国では商売になどならんと思われて当然だ
かといって防衛省向けだけではとてもこれ単独では商売は成り立たない、トルコ
やUAEとは環境が違い過ぎるのだ
では、ベンチャー系ではなく国が研究資金を助成して既存の民間大手メーカーに
やらせるのはどうか?、こっちもダメだ
それらの企業は車、家電、通信機器、産業機械、医療機器、精密電子機器etc
様々な民生分野で世界最先端を競っていて、ライバル企業と切磋琢磨していて
多額の投資をせねばならないのに、なんでわざわざニッチな軍事用途に企業イメージ
を悪くしてまで手を出さねばならないのか。
そして利益を出す為に世界市場を相手にとなると上記と同じ問題が立ちはだかるのだ
トルコやUAEにはそんな軍事アレルギーな国家体質はそもそも無いし、民生分野が
遅れているから、企業イメージが悪くなって民生部門に悪影響が出るなんて気遣い
も不要だ
彼等が今から車や家電や通信機器などの民生分野に投資したところで世界に
太刀打ちが出来ないからこそ、外貨稼ぎと先端分野を育てる為にもライバルの
少ないニッチな軍事分野を攻めて来ていて、一時の成功を収めつつあるだけだ
(それも、いずれ後発の力のある先進国企業に追い抜かれるだろうが)
日本とは国が置かれている環境が全く違うのだ
だから何も変わらなくていいってのは違うけどね。
国の体質や環境の違いを説いているだけで、それが変わらなくて良いと言ってる訳じゃないが
ただ、そうおいそれと変えられるものではないのも確かだと思うがね
防衛省の球形飛行体、結局どうなったんだろう?
活躍したのかな?
日本もテラ・ラボやACSLに100億程ぶっ込んで欲しい
一度くらいは航空ショーに行ってみたいですね
まぁ、買えないですけど…
いや、買える人いるの?
石油王?
納税者なら見る権利があると言ってみる
エアタトゥーとか一度は行ってみたいですよね
C2に一言も触れないとは思わなんだ。
ここだけでも無いが、最近のミリタリー記事の半分以上が無人兵器関連になっている感
ナゴルノ・カラバフ紛争で注目を浴びてから一気にそうなった気が
実際熱い話題だからな
概念やら研究発表だけじゃなくて導入決定とかコンペやってるニュースも多いのがその裏付けと言ってもいいと思う