米国とオランダがアップグレードを施した90輌のT-72Bをウクライナに提供する話があったが、Military Africaは「T-72Bを提供したのはモロッコで年末までに計23輌が出荷される」と報じて注目を集めている。
参考:Morocco choose sides, supplies T-72B tanks to Ukraine
T-72Bをウクライナに提供することでモロッコは米国から何を得たのだろうか?
米国は総額4億ドルのウクライナへの安全保障支援を11月に発表、この中にはT-72Bをウクライナに提供するための費用が含まれており「90輌のT-72Bに光学センサー、通信装置、追加装甲を取り付ける費用を米国とオランダが半分づつ負担、チェコ企業が改修を行いウクライナに提供する」と説明していたが、改修を担当するExcalibur Army社は不要な装備の下取りも行っているため「同社の倉庫に眠っているT-72Bを改修してウクライナに提供する」と思っていたが、Military Africaは「T-72Bを提供したのはモロッコで年末までに最初の18輌が出荷される」と報じて注目を集めている。

出典:sukhoi
フランス支配から独立した北アフリカのモロッコとアルジェリアは政治体制の相違(立憲君主制と共和国制)、モロッコが領有権を主張する西サハラの独立を掲げたポリサリオ戦線へのアルジェリア支援、モロッコの西サハラ領有承認と引き換えにパレスチナと対立関係にあるイスラエルと国交樹立した問題など両国関係には幾つもの火種が転がっており、遂にアルジェリアは昨年8月「モロッコが敵対的な行動を続けている」と主張して国交断絶を発表した。
モロッコとアルジェリアの安全保障は欧米とロシアが後ろ盾になっており、米国製の装備品(M1A1SA×222輛/M1A2S×164輛、F-16C/D Block52×24機、V仕様のBlock72×25機、AH-64E×36機、MQ-9×4機など)を買い漁るモロッコに対抗してアルジェリアもロシアからSu-57を14機導入(時期未定)すると発表、モロッコは自国の戦力にはない第5世代戦闘機導入に動いたアルジェリアとバランスをとるためF-35A導入を希望している。

出典:U.S. Air Force photo by Brian G. Rhodes
ただモロッコは「ウクライナ侵攻に踏み切ったロシアに対する非難決議」の投票を棄権(アフリカ諸国の大半も棄権)して欧州の戦争と一定の距離を取っていたが、モロッコ陸軍の在庫には20年前にベラルーシから購入したT-72Bが100輌以上も眠っており、これに目をつけた米国が政治的な圧力をかけてモロッコに中立の立場を放棄させらしい。
Excalibur Army社は「あるアフリカの国から受注した120輛以上のT-72Bをアップグレードする仕事に当社は専念している」とMilitary Africに明かしており、米国とオランダが支出する9,000万ユーロの資金は改修費用ではなく改修されたT-72Bを90輛購入するための資金で、2023年も30輛をT-72B追加購入するオプションが行使されると報じられている。
モロッコは「F-35Aを売ってくれるよう米国を説得して欲しい」とイスラエルに要請したとも言われていたが、今回の件でモロッコは米国から何を得たのだろうか?
関連記事:機密と影響力のジレンマ、モロッコがF-35A導入のためイスラエルに米国説得を要請
関連記事:米国がウクライナへの戦車提供を発表、オランダと共同で改修したT-72Bを90輌提供
※アイキャッチ画像の出典:Ukrainian Military YouTube
まだ捻り出せる在庫があったか。良いねぇ。エイブラムスやレオパルトならもっと良いが。
在庫品のT-72でF-35Aの売却許可が出るなら、海老で鯛を釣るどころじゃないな!
しかし、良く金が続くな、モロッコは。
蛸以外に特産品はあったかな?
モロッコはリンが出ますね。
リンを産出する国は限られてて中国も産出しますが中国にリンを頼るわけにいかないので
モロッコは日本の食糧安全保障上実は重要な国ですね。
成る程、ありがとうございます。
日本は、下水等から肥料を回収しないといけませんね。
損耗率推定してるサイト見てるとロシア側の戦車も300~多くても600ぐらい
破壊され続けた挙げ句大量に鹵獲されたりでかなり在庫が心許なさそう
ここでウクライナに追加90輌は相当パワーバランスが傾くんじゃない?
Su-57とか今のロシアじゃ絶対量産無理だろうな。モロッコ的には仮想敵国の後ろ盾をボコボコにしたウクライナに感謝したい気持ちもあるんだろうね。
今まで中立だったのも、ロシアが強い前提だったんでしょうね
今のロシアの有様と、絶望的な将来を考えたらロシアとの距離感を難しく考えなくてよくなるだろうし
同じような国はかなり多そうだ
海外からの引き剥がし供与はポーランド製の72Mが多かったですが、近代化モデルの72Bが出てきてくれるのは良いですね。ロシアもまさか自分が過去に外貨獲得のためにばら撒いた戦車の客先から在庫を回収されるとは思っていまいな…。
戦車の話でやっぱり気になるの、PT-91はどこに…?って事ですよね。これだけ出て来ないとなるとずっと温存しているというよりむしろ機器トラブルや運用上の都合で出せないと判断されているのか、新規乗員の手配に時間がかかっているのか…。
T-72として計上されて損耗しているのでは?
Excalibur Armyが手掛ける改修車両は信頼度が高い
ラインが一段落したらロシアから鹵獲したけど使い難いボロ車両も送って戦力化出来るかもな
戦車や戦闘機、援軍は寄越さない西側の微妙な距離感…
戦場で見かける戦車はT72やT60で…
ソ連崩壊のゴタゴタを今やってるだけという指摘もありますね
今の支援状況は冷戦終結以降、冷戦時代に大量生産していたこと関係していて、冷戦時代の10%位の軍事装備で事足りる為、中古装備だらけになり、生産能力がほぼ失われていて、買うにも凄く高価であり、支援するにも弾薬類も含めて大した数は出来ない為、こんなことになってはいますが、支援する国が旧ワルシャワ条約機構の国々なので旧ソ連系装備の方が支援しやすく、逆に良いのでは?
参考、びっくり箱の本当の使い方とは‥
リンク
ただでさえエネルギー問題が切迫する中、モロッコに肩入れしすぎてアルジェリアとの摩擦に火をつけるわけにはいかんでしょうね。
F-16の近代化パッケージ一式とAEWの販売許可になったりして>モロッコ
そろそろM60の出番では?T72の在庫発掘は続きませんから2年、3年とこの状態が続くと否応無しにM60を活用せざるを得ないような気がする。
レオパルド1は西側運用のイメージも強く、ドイツ政府も許諾せず実現しないもののM60は世界中に転がってるレガシーで米国政府とてこれの活用を否定する根拠も無い。
鹵獲では間に合わず枯渇が見込まれるウクライナ側運用戦車の代替と言えば世界中から徴収したM60以外想像ができない。あとは遅かれ早かれの話ではないのか。だったら早いとこ機種転換の準備したほうが得策と思うが実は水面下でとかあるのだろうか。
代わりに播く戦車が無いのでしょう。
そこで例のMPF(アスコッド系中戦車)です。これの特別待遇での有償供与を確約する。納期は5年後にはなるがM60運用国の場合は稼働率が低く、整備待ちの個体が絶対的に多い。それらを米国国内で整備を請け負う形で引き取るならば、納期が5年後だろうが大きな問題になるとは思えない。
要はドンガラです。T72にしろ20年保管状態でもドンガラに意味がある。これが欲しさにお宝探しな訳です。M60にしろ米国整備で再戦力化ならドンガラで足る。しかし米国国内でそれはもう無い。しかしM60が現用の国にはわりとありふれる。
そもそも今M60運用の国は他の手段が無いだけの場合も多々ある。本音では新型装輪装甲のほうが適当だがM60を使い続けてるような所もあるでしょう。交渉次第では代替手段は何でもあり得る。必ずしも戦車の交換に戦車が必要とは限りません。
MPF、単純に軽くて地形を選ばないし800馬力ディーゼルなので燃費もよく、輸送も楽でICBTでも運用できるように維持整備性にもかなり気を使っているそうので、ベストセラーになりそうな気がしますね。
あれは米軍仕様ですけど汎用品で要求下げるならフィリピンのサブラ軽戦車でも良いと思います。砲塔はCMIでもエルビットでも恐らくはオートメララのでも構わず、いずれもアスコッド系車体での105戦車砲の運用です。
第三世界ではT80をビートする仕様が根底にある西側MBTがそもそも高コスト過ぎで性能も過ぎる。重量問題もある。旧ソ戦車は基本的に軽いです。だから中露製が売れる。
しかしウクライナ戦争です。ロシア離れは戦車市場でも進むでしょう。中国製は販路拡大が確実です。しかし西側商材もIFVベースに輸出用砲塔を組み合わせる中軽戦車なら勝機はある。
特にアクティブ防護機能は中国製ではいまだ商材として確率してません。後に製品化されても信頼性は別問題です。またその頃にはブランドバリューが根付いてるはずです。輸出用の付加装甲も同じです。スペック上はでも実性能では先発の西側製品に及ぶはずがない。
軽量ニーズにAPSは相性が良い。また第3世界の正規軍の相手はまずは国内ゲリラです。戦車ではない。となればです。
MPFは車高と全長の削減に加えてトランスミッションの変更、MBTよりはLOSはだいぶ短くとも砲塔正面にはがっつり複合装甲が付与される、将来的には米国製の新エンジンへの換装予定など、大分性能重視で作られていますけど、とにかく金がない第三国向けは完全な既製品の組み合わせで十分かもですね。
それでももはや生存性に期待できないM60やT-55よりも大分マシでしょうし。
なんだか、全世界的に、T72の回収合戦が起こりそうな予想(?)。
ロシアも戦車が足りないだろうし、部品はなくてもお金はありそうだし。
西側の古い戦車(基本装甲の厚いもの:M60/センチュリオン)も
争奪の対象になるのでしょうか。
今回は米国が先手を打ったのかな。
確かにモロッコがアメリカにT-72戦車を売ったように、逆にロシアにT-72戦車を売る国があってもおかしくないですし、すでに戦車をロシアに売ってる国があってもおかしくありません。
中国、インド、北朝鮮といったロシアに友好的な国々は、だいたい旧・ソ連系の戦車も保有していますし、旧式になって余剰になっているのも多いでしょう。天然ガスなどと物々交換ということもあり得ます。
中国の戦車で旧ソ連系となると59式戦車まで遡らないといけませんので、ロシアに売れる戦車は殆ど無いと思います。
インドはロシアにT-90の改修を依頼したら、そのままウクライナへ投入されたとの情報がありますね。
いやでも59式でさえも近代化改修したのをアフリカに輸出しているので、ロシアが買わないとは限りません。
アフリカなどでは、整備や修理が簡単なT-54戦車、あるいは59式戦車の方がかえって実用的という話もあります。本格的な戦車戦では不利でも、歩兵の支援などでは59式の性能でも十分なのかもしれません。
外国からわざわざ輸入するなら先に自国にあるモスボールの解凍するでしょ
旧式戦車を世界中が求める事態になるとはね。。。
今持ってる国はタナボタでウハウハやいね
わざわざアフリカから旧式を引き上げて改修して使う位なら
普通にレオパルドなりなんなりを渡した方がコスパ良さそうやけど
政治的な駆け引きがあるならまぁ仕方が無いのかな
レオパルド2にしても、オーバーホールして短期間に引き渡す能力が
ドイツになさそうなんですよね
アメリカのM1系とかは戦車需要で、求めてる国が多そうな上に、
あれを前線で維持するのが大変だし
結果、現状最適最短なのが、旧ソ連になってそうな感じがします
T-72の在庫が枯渇したら次はM-55Sのように、105mm砲と新しいFCSを備えたT-55の近代化版が候補に上がりそうですね。
エジプトのRamsesⅡは数百両レベルで在庫がありそうですし、サーマルと新しいERA、可能であればM900のようなAPFSDSがあれば恐らく十分有用。
リンク
ウクライナ軍はすでにスロベニアのM-55Sを輸入して使っているという話もあります。
しかしそうすると今度はロシア軍の方も59式の近代化改修型のようなのを反米国家から輸入して使うかもしれません。
最終的には両軍の主力戦車がT-54や、T-55の近代化改修型になってしまうというような状況も予想できます。
どこかで見た125mm用の砲弾が入手しにくいという話は解決したのでしょうか?
しかしモロッコ軍の装備は中々凄いですね。
日本も90式戦車改を供与して、ハリコフ(ハルキウ)で、「90式はブリキ缶だぜ」って言われてみたいものです…。
旧式だけどなんやかんやで永く使われる
連邦ザクみたいで草