米国関連

レア映像!中東での実戦任務に「ビーストモード」状態のF-35Aが出撃

アラブ首長国連邦に配備された米空軍のF-35Aが、ビーストモードと呼ばれる、機外兵装満載の姿で抑止任務に出撃している様相を収めた映像が公開された。

参考:WATCH: F-35 Reportedly Stationed in UAE Takes Off With Full Payload

ビーストモード状態で実任務につくF-35A

ユタ州、ヒル空軍基地所属の第388戦闘航空団、第419戦闘航空団から中東、アラブ首長国連邦へ派遣されているF-35Aが、胴体内兵器倉(ウェポンベイ)だけでなく、主翼下に3ヶ所、左右計6ヶ所のハードポインに兵器を搭載した、通称「ビーストモード」と呼ばれる形態で、北東アフリカからトルコまでの地域における抑止任務へ出撃して行く様子の動画が公開された。

ビーストモードと呼ばれる完全武装形態は、機外ハードポインに搭載した兵器がレーダー反射面積を増やし、F-35が持つステルス性能を著しく低下させるため「戦争が始まってから3日目」と呼ばれる事に対し、ウェポンベイのみに兵装を限定した状態を「戦争初日」と呼ばれている。

動画に登場する米空軍のF-35A主翼下ハードポインには、外側に短距離空対空ミサイル「AIM-9X」(左右計2発)、内側2ヶ所にGBU-12“PavewayIV”レーザー誘導爆弾(左右計4発)を搭載し、ウェポンベイ内側扉裏側にAIM-120 AMRAAMを搭載してることまでが動画で確認できるが、ウェポンベイ内部天井に、何が搭載されているのかまでは確認出来なかった。

恐らく、2,000ポンド爆弾のJDAMが搭載してあるのだろう。

F-35Aは最大約2万ポンド程度までの兵器を搭載可能で、今回、ビーストモード状態に設定されたF-35Aには、合計6発の精密誘導爆弾と、4発の空対空ミサイルを搭載し約7000ポンド程度の兵器を携行している。

そのため搭載量には、まだまだ余裕があるように見える。

出典:public domain LAU-88

1つのハードポイントに複数の兵器を搭載できる、連装または三連装ランチャーを搭載すれば、さらに多く兵器が搭載できるだろうが、現在使用されているソフトウェアの「ブロック3F」では、運用できる兵器に制限(500ポンド~2000ポンド誘導爆弾か、空対空ミサイルのみ)があるので、最大兵器搭載量の2万ポンドまで兵器を搭載するのは、現時点では事実上不可能。

今後、導入される「ブロック4」になれば、核兵器B61や、小型の巡航ミサイル、空対地ミサイル、ウェポンベイに搭載できるAIM-120 AMRAAMを6発(現行最大4発)まで引き上げる事が可能な「Sidekick」の採用など、現行の「ブロック3F」よりも、運用可能な兵器の種類が増えるので、搭載兵器の組わせも多彩になり、約2万ポンドの兵器搭載量が活かせるようになる。

どちらにせよ、ビーストモード状態のF-35Aを撮影した今回の動画は非常に珍しく、ビーストモード状態で実任務につくこと自体が珍しい(恐らく初?)。

一つだけ、どうしても気になるのは、F-35Aに取り付けられたパイロンだ。

主翼下に、ピッタリとパイロンが取り付けられている訳ではなく、主翼下に設置されたパイロンと主翼面の間には結構な隙間があり、太いビスのようなもので固定されているだけで、パイロン自体の作りも安っぽく見えてしまう。

Attribution: Hunini / CC BY-SA 4.0 P-1のハードポイントに取り付けられたパイロン

第4世代機などの胴体・主翼下等に設置してあるパイロンと比べると、あまりにも簡易過ぎて、「臨時に設置しただけ」感が、ヒシヒシと伝わってくる。

 

※アイキャッチ画像の引用先:YouTube / Gung Ho Vids

イタリア海軍の苦難!F-35Bが調達ストップで空母「カヴール」が存続の危機前のページ

ポーランド、旧ソ連製戦闘機の更新用に32機のF-35A導入を決定!日本も105機のF-35を追加導入へ次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    批判に晒されるF-35、同機の調達維持を要求する書簡に132人の米下院議員が署名

    130人を超える米下院議員がF-35プログラムへの継続した資金供給を求…

  2. 米国関連

    米海軍、海兵隊沿岸連隊を輸送する新型揚陸艦を30隻調達予定

    米海軍と米海兵隊は大規模な部隊再編計画「Force Design 20…

  3. 米国関連

    米空軍トップがE-7導入へ前向きな発言、但し本命はレーダー衛星を活用した分散型ネットワーク

    E-7導入に否定的だった米空軍のブラウン参謀総長が今月20日に開幕した…

  4. 米国関連

    米下院、日本、ドイツ、インド、韓国をファイブアイズに加える可能性を示唆する法案を審理中

    米下院に提出された法案はファイブアイズを拡張して日本、ドイツ、インド、…

  5. 米国関連

    建造費も維持費も足りない? 米海軍、予算不足で「310隻体制」に規模縮小か

    中国の急速な海軍力拡充に対抗するため、トランプ大統領は米海軍の保有艦艇…

  6. 米国関連

    米企業、小型衛星を無動力で宇宙に打ち上げる加速器のデモンストレーションに成功

    小型衛星を無動力で宇宙に打ち上げることに挑戦している米国のSpinLa…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 5月 28日

    そりゃ、恒常的に使うもんじゃ無いんだから容易に撤去出来なきゃアカンでしょ
    そもそも外部兵装付ける自体がイレギュラーなんだから

    1
    • 匿名
    • 2019年 5月 28日

    前々から思ってたが、スクランブル待機させる(ことがあるなら)空自のF-35は常にビーストモードでよさげだよな

    • 匿名
    • 2019年 5月 29日

    わざわざ高価なステルス塗料とか使ってるのにこれじゃ
    そりゃまF-15EXでいいかって話になるわな…
    ステルス機の能力フルに使って戦わなきゃならない敵ってのがほぼいないんだからなぁ

    • 匿名
    • 2020年 9月 05日

    隙間があるのは主翼下面のステルス塗装を傷つけないよう、わざとクリアランスを取ってるんでしょうね。機体から突き出したビスに固定することで、機体それ自体とパイロンを接触させないで済みますから。

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  2. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  3. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  4. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  5. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
PAGE TOP