北米/南米関連

カナダ、NORAD近代化に今後20年間で4.2兆円以上を投資する

カナダのアナンド国防相は20日、NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)を含む国防システム全体の近代化に今後20年間で400億加ドル(約4.2兆円)以上を投資すると発表した。

参考:Defence minister cites Russian aggression as factor in $5B upgrade to continental defence
参考:Canada spending almost $5B to upgrade continental defence, Anand says

国の安全を守るための国防投資は「国内経済にも大きな利益をもたらす」と国民に訴えているのが欧米らしい

米国とカナダが共同運用するNORADは旧ソ連の大陸間弾道ミサイルや戦略爆撃機から北米を守るために設計されたシステムなので、潜水艦や北米地域外から発射される巡航ミサイル、音速の何倍ものスピードで接近してくる極超音速兵器などに対応しておらず、大規模な近代化も10年以上行われていないためシステムの陳腐化が進んでいる。

出典:Public Domain AN/FPS-120

この問題を解消するため米国とカナダはNORADを含む国防システム全体の近代化を決定、カナダは今後6年間で49億加ドル(約5,000億円)を投資する予定でアナンド国防相は「今後20年間の総投資額は400億加ドル(約4.2兆円)以上を超える」と明かしており、NORAD近代化にかかる費用の負担の割合は6対4らしい。

投資される資金の大半はNORADを構成する指揮管制システム、無線通信設備、衛星通信設備、レーダーシステムの更新に充てられるものの、一部の資金は短距離~長距離までの脅威と交戦可能でF-35Aと互換性のある新型空対空ミサイル(AIM-260?)の調達、空中給油機の追加調達、主要な航空基地の即応警戒能力の改善、訓練環境の近代化などにも投資される予定だが、現地メディアのCBCはアナンド国防相に「食料・エネルギーの高騰やインフレなどの問題に対処する中、大金をNORADに投資する必要性を国民にどう説明するのか?」と意地悪な質問をぶつけている。

出典:AnitaAnandMP

これに対してアナンド国防相は「ポイントは2つある。1つ目はNORADの近代化がカナダに何万人もの雇用と年間何十億ドルものGDP増加をもたらす点で、カナダ人は今回の投資から目に見える結果を得るだろう。2つ目は2月24日に世界の安全保障環境が変わってしまったという点で、ロシアのような侵略者に対応するためにはNORADをアップグレードする必要がある」と述べており、国の安全を守るための国防投資は「国内経済にも大きな利益をもたらす」と国民に訴えているのが欧米らしい部分だ。

因みに米国が進める弾道ミサイル防衛(BMD)についてアナンド国防相は「今後も不参加の立場を維持する」と述べている。

関連記事:カナダ空軍、約4,500億円を投じて切望していたUCAV部隊創設へ
関連記事:ボーイングがカナダ空軍の次期海上哨戒機にP-8Aを提案、日本参戦の可能性も

 

※アイキャッチ画像の出典:DoD photo by Staff Sgt. Emily Kenney, USAF

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コメント

    • 無無
    • 2022年 6月 21日

    ロシアにはこれが非常な脅威と映るんでしょうな、偉大なる祖国が危ない!

    笑うけど

    4
    • 匿名
    • 2022年 6月 21日

    欧米の特徴ですよね。
    自国の国防費を国内経済に還元する。日本も見習わなければいけない点です。

    20
      • hogehoge
      • 2022年 6月 21日

      日本の場合、基幹ネットワーク&システムは富士通で、端末はNEC、レーダーやその他パッケージは東芝と三菱電機ですかね。
      FMS導入以外の国産化率はそこそこあると思いますよ。まぁ海外製部品の使用も多いですが。

      どちらかというと問題は最近流行りの再投資(受注額の何%を国内投資に回す条項付き)案件がゼロなことじゃないかな。
      これは兵器産業の輸出解禁しないとなかなか難しいかもしれませんが。

      8
        • 匿名
        • 2022年 6月 21日

        むしろ自国企業に受注させるために特異な要求をしているとか買ってきた方が安いのにわざわざラ国しているとかよく言われていましたがね
        (というか今も言ってるのはいる)

        5
          • あお
          • 2022年 6月 21日

          でも、最後は数が力、というのを目の当たりにしてしまうと、2、3割高ならまだしも、桁違いに高いものをわざわざ自国開発する理由はあるのか、と。
          いざって時に融通してもらうにも、他国で使われているものを使った方が便利がいいのも事実。
          用途の特異性を見て調達方針を決めるとか、ライセンス生産や共同開発への参加など、やりようはいくらでもあると思います。

          2
            • バーナーキング
            • 2022年 6月 21日

            2倍か3倍、の間違いじゃないかな。
            2倍なら企業や税金通して国内に還元される分だけで元が取れちゃうし、加えて自国企業の技術向上・独自改修の自由・有事(災害や伝染病なども含む)の際の調達リスク低減まで考えれば3倍程度なら国産の方が断然お得だと思うけど。

            いざという時に融通…って西側規格の砲弾や米国製ミサイルは普通に使えるし、日本の陸戦重装備が足りなくなる様な状況は考え難い。
            標準もクソもない上にほぼ確実に各国でカスタムしてる艦艇の提供とかそれをアテにして他国と共通化…なんて考えるだけ無駄だし、戦闘機は日本のF-35が不足する様な状況で4.5世代機を融通されても仕方ないし、そんな事のために国防事情の違う国と機種を統一したら弊害の方が大きい。

            9
              • 名無し
              • 2022年 6月 21日

              買った時はよくてもF-15JSIみたいに改修でバカみたいな値段吹っ掛けられる事もあるし
              P-8なんか旅客機流用なのに新造のP-1より高かったりね
              しかも現状目玉のトライトン管制したりとかは出来なくて地上運用っていう

              2
            • 匿名
            • 2022年 6月 21日

            >でも、最後は数が力、というのを目の当たりにしてしまうと、2、3割高ならまだしも、桁違いに高いものをわざわざ自国開発する理由はあるのか、と。

            事業評価には元々そう言う観点があるでしょ
            単に見た人(そもそも見てないかも知れんが)が納得するかしないかだけの話で

            3
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