北米/南米関連

ブラジル陸軍の次期戦闘偵察車を巡る戦い、イヴェコのCentauroIIが勝利

ブラジル陸軍の次期戦闘偵察車を巡る戦いは予想どおりイヴェコがCentauroII、GD Land SystemsがLAV700AG、中国兵器工業集団がST-1BRで争われ、イヴェコが提案したCentauroIIが勝利を納めた。

参考:Brasil selecciona al Centauro II como su nuevo vehículo de combate sobre ruedas 8×8

LAV700AGやST-1BRを抑えてCentauroIIが勝利した要因は4つ

ブラジル陸軍はEE-9を更新するため6×6装輪装甲車「VBTP(伊イヴェコとの共同開発)」をベースに新たな戦闘偵察車の開発を2014年に開始、6×6を8×8に拡張して105mm砲を搭載した「VBTP-MR」のプロトタイプを2020年までに完成させる予定だったのだが、財政的な問題と現地企業が105mm砲搭載の砲塔開発に失敗したため海外からの調達に切り替えた。

出典:Exército Brasileiro / CC BY 2.0 ブラジル陸軍のEE-9

この入札には予想通りイヴェコがCentauroII、GD Land SystemsがLAV700AG、中国兵器工業集団がST-1BRを提案、最も前評判が高かったCentauroIIが勝利を納めてブラジル陸軍から98輌を受注、この契約に含まれるオプションをブラジル陸軍が全て行使すると最大227輌のCentauroIIを調達することになる。

因みにLAV700AGやST-1BRを抑えてCentauroIIが勝利した要因は4つあり、1つ目は既存のモデルの改良型ではなくブラジル陸軍に開発されたモデルある点、2つ目は120mm砲を搭載した唯一のモデルである点、3つ目はCentauroIIとブラジル陸軍が運用するGuarani6X6は28.5%の部品共通性を維持しているため運用・保守コストで有利な点、4つ目はCentauroIIの製造や保守でブラジル産業界の関与を高めるため砲塔の組み立てラインの現地移転を提案した点だ。

出典:Exército Brasileiro/CC BY 2.0 Guarani6X6

特に3と4の要因は既存インフラの活用とブラジル産業界への投資とみなされ、CentauroIIが勝利する重要な要因になったらしい。

関連記事:ブラジル陸軍の次期戦闘偵察車にイタリア、カナダ、中国が挑戦か
関連記事:野党議員の糾弾、なぜブラジル軍は国防予算でバイアグラを購入するのか?

 

※アイキャッチ画像の出典:Iveco

ズムウォルト級を見捨てない米海軍、新たなアップグレードのアイデアを募集前のページ

OBIGGS修正は期待外れ、F-35は今後も落雷や稲妻が発生する空域を飛べない次のページ

関連記事

  1. 北米/南米関連

    カナダがNASAMSを購入してウクライナに提供、但し製造に2年必要

    カナダのトルドー首相は「NASAMSを購入(約4億ドル)して提供する」…

  2. 北米/南米関連

    第5世代機に相応しい練習機は? カナダ空軍のCT-155は後継機なしで退役

    カナダ空軍はパイロット養成に使用していたCT-155(Hawk 115…

  3. 北米/南米関連

    カナダ空軍、約4,500億円を投じて切望していたUCAV部隊創設へ

    もはや保有していない国の方が少ない無人戦闘航空機(UCAV)導入にカナ…

  4. 北米/南米関連

    カナダ、NORAD近代化に今後20年間で4.2兆円以上を投資する

    カナダのアナンド国防相は20日、NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)を…

コメント

    • 戦略眼
    • 2022年 11月 27日

    我が国にもこの合理的な判断力があってくれればな。

    9
    • hogehoge
    • 2022年 11月 27日

    戦車の130mm化、IFVの120mm化という流れが来そうなので、16MCVも120mm版作りませんか。
    まぁそんなことよりAPSの搭載が先ですが、これも何時になりそうかなぁ・・・。

    6
      • Natto
      • 2022年 11月 27日

      LAHATってイスラエルの砲発射ミサイルも良いかも。
      とりあえず弾の改良は必要でしょうね。

    • 58式素人
    • 2022年 11月 27日

    前にも書いたのだけれども。
    一体、何を撃つつもりかな。
    隣国のベネズエラやペルーのT72かな。

    5
      • hiroさん
      • 2022年 11月 27日

      長年に渡る仮想敵国だったアルゼンチンとは宥和政策に転換したし、周辺国への軍事介入も止めたので具体的な想定は無いと思いますが、主力戦車がレオパルド1なので120㎜砲搭載戦闘車輌が欲しかったのかな。
      WW2でイタリアに派兵した国だし、PKOでも常連なので装備の近代化は必要だろうし、輸出も視野に入れているでしょう。

      13
      • 折口
      • 2022年 11月 27日

      ブラジルだと国内の犯罪組織や密輸集団、共産ゲリラなんかも入ってくるでしょうね。ガリンペイロ(ギャング化したダイヤモンド鉱夫)みたいな人らも地方では未だに根強いとかで、MBTより装輪戦車が尊ばれる背景はこの辺なんでしょう。

      4
    • 無印
    • 2022年 11月 27日

    ブラジルは昔オソリオって戦車開発できるぐらいの技術はあったのに、今は105mm砲搭載の砲塔も作れなくなったのか…
    担当した企業が違うんだと思うけど、継続って大切だね

    9
      • 台湾大好き
      • 2022年 11月 27日

      オソリオを開発したエンゲサ社は1990年代に倒産しちまってますよ。オソリオがどこにも採用されなくて開発資金が焦げついたせいです。

      13
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  5. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
PAGE TOP