ロシアのボストーク設計局は「Lancetに類似したScalpelを2024年末までに数千機が生産する」「一部の能力はLancetに劣る」「弾頭を除く調達コストは30万ルーブル=約3,200ドル」と明かし、圧倒的に安価な調達コストによって「Scalpelの価値は正当化される」と主張した。
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現時点でのレートで30万ルーブルは約3,200ドルなので、Scalpelの調達コストはLancetの1/10以下ということになる
露国営メディアは昨年「ボストーク設計局が開発した徘徊型弾薬のテストが行われている」と報じていたが、ボストーク設計局はScalpelと命名された徘徊型弾薬について「既にウクライナで使用されている」「改良されたカタパルトはコンパクトになって発射にかかる時間が1/3になった」「量産が開始され2024年末までに数千機のScalpelが生産される」と明かした。
Scalpelの外観やスペック(最大重量10.5kg/弾頭重量5kg/巡航速度120km/航続距離40km)はLancetに類似しているものの、ボストーク設計局は「両者のカメラ性能やターゲティングシステムには違いがあり、Lancetの方が無線チャンネルの干渉に耐性がある」と述べて「一部の能力でScalpelはLancetに劣る」と認めているが、Scalpelの調達コストは30万ルーブル(弾頭を除く)に過ぎないため「圧倒的に安価な調達コストによって(Lancetに劣る部分があっても)Scalpelの価値は正当化される」と主張しているのが興味深い。
ZALAが開発したLancetは2つの基本バージョン(Lancet-3/最大重量12kg、弾頭重量3kg、巡航速度80~110km/h、最高速度300km/h、滞空性能40分、航続距離40~70km、Lancet-1/最大重量5kg、弾頭重量1kg、滞空性能30分、航続距離40km)に加え、能力を向上させたIzdeliye51やIzdeliye52、主翼を折りたたみ式に変更してチューブランチャーに収めたIzdeliye53なども登場しているが、どんどん改良が続けてられているため現行バージョンのスペックは良く分かっていない。
米シンクタンクの新アメリカ安全保障センターはLancetの調達コストを「3.5万ドル」と推定しており、現在のレートで30万ルーブルは約3,200ドルなので、Scalpelの調達コストはLancetの1/10以下ということになる。
因みにロシア軍関係者は戦場で使用したScalpelについて「使用した操縦者から概ね好意的な評価を得ている」「Scalpelの制御システムは扱いやすく急降下で狙いを定めるの容易だ」「機体やカタパルトがシンプルな点にも注目が集まっている」と明かし、量産タイプのScalpelには10倍~30倍のズーム機能を備えたカメラが搭載されるらしい。
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※アイキャッチ画像の出典:Александр Ходаковский
なにかバルサ材どころか、安い合板ででも、できていそうな内部構造ですね。
こういう思い切りができるのがロシアの強いところ。
画像にある製作現場は周囲の状況と架台から見て木工所ぽいですね。
長期保管を前提にしない間に合わせの低コスト使い捨て兵器ならば有りだと思います。
よく見ると、4枚2セット=8枚ある翼は、全部同じ形なんですね。生産が1種類。左右の違いすら無い。テキトーに8枚詰んで出荷しても間違いが起きないし、ロシア人がウォッカ飲んでへべれけに酔っ払っていても組み立てに失敗しない。1枚2枚がちょっと曲がってても、飛行には大きく問題が出ない。
さすがAK47の母国ですね、ここまで割り切れるのはもはや強さです。
む、よく見ると後部の翼はラダー付きか。
まあ当たり前ですね、ちゃんとみないと間違える😅
FPVドローンとランセットの隙間を埋めるような存在になるんだろうか
見逃してはならないところが「弾頭重量が大幅に増えている」ところですね。
Lancetが1キロと3キロのところ、これは5キロに増量されています。弾頭5キロだと、だいたい152ミリ砲弾級といえます。すなわち、簡易なコンクリート程度の構築物なら破壊できる性能があるということになり。
この先の陣地戦や都市での攻防戦で、敵歩兵が立て篭もる拠点や建物ごと破壊するのに最適だ、ということでしょう。
ビジネス的に言えばスキマを狙ったというより、新市場にアクセス出来る商品と呼んだ方がいいでしょう。
152mm 榴弾砲の弾頭は 40 kg 以上あるようで、これでは運べません。ペイロードの 5kg だと運べるのは弾頭内の炸薬だけです。
ご存知の通り、弾頭、爆弾は外殻で爆発の圧力を高めるところに意味があるので炸薬だけ持って行っても大した威力は無いかと。
とにかく全てがチャチで安っぽい・・・すなわち,生産が容易で高度な技術が不要ということです。
それが強さとなるのが戦争なんですね。
おそらくカメラ部分は高価な光学式のカメラレンズではなく、携帯電話や市販ドローンのカメラを転用してますね。それで十分だという割り切りでしょう。通信もジャミングに弱いそうですが、既存ドローンのモジュールを使ってるからでしょう。
すなわち、これは本質的には「FPVドローンの中身をLancetのガワに載せただけのもの」だと言えますね。
ロシアのドローンはどんどん増えていくのに、皆様の髪の毛はどんどん減っていく・・・
質より量
始めましょうスカルプケア
ロシア軍も毛根もスカルプEGで殲滅だ
何のまだ終わらんよ。
卵の成分を抽出したNBC兵器(FUSA)を投入します。
スカルプelは使用した薄毛者から概ね好意的な評価を得ている
兵器として、極めて優秀ですね。
速度も、対車両が一番速い想定ですから(対固定目標、対人ならさらに遅い)、いい意味で割り切った印象を受けます。
カメラも、光学ズーム+デジタルズームなのでしょう。
1個100円くらいのを使うのでしょうね。
>巡航速度120km
>量産タイプのScalpelには10倍~30倍のズーム機能を備えたカメラが搭載されるらしい。
Lancetの最大の強みはOrlan-10との連携なので、その機能がオミットされていないなら諸元が多少劣っても問題ないのでしょう
それにしても想定の1/10以下とは…必要は発明の母とか戦争は技術革新を生み出すとか言いますが、まさかこれほどとは
ここまで安価になってくると高性能&高額なMBTなどは使いにくくなりますね。
そこそこの性能で量産できるレベルの物を多数揃える方が正解になりそうです。
そうなるとロシア(旧ソ連)の考え方の方が先を見ていたのかもしれません。
開戦初期のモシンナガン引っ張り出したのを馬鹿にするのも多かったが(もちろん馬鹿にするべきところもあるが)、結局のところ投射量がものを言う戦場になって仕舞えば、性能は最低限に柔軟に動かさはかつ補充が滞らない十分以上の数を揃えられるかにかかってくるので、極論銃弾と砲弾をある程度目的のところに飛ばせるものなら十分で、これをいかに運用するかにかかってくる。ハイテク兵器は確かに脅威だがそれだけで戦争の勝敗はきまらないし、狙われる歩兵個人からしたら弾丸や砲弾の質で被害が変わるわけでもない。
おそらく急降下前提で横への移動が弱い分弾頭を大型化とは考えましたね
使い捨てなんで耐久性に凝る必要もそもそも無いわけで
ジャマーかけても15榴の至近弾ってことですか、
ソフトスキン、対人、道路、失敗前提の嫌がらせそして偵察百年経っても腐りませんね。
そういう意味では,実はこれ誘導砲弾クラスノポールの上位互換兵器と呼べる存在ですね。前線での兵士の最終誘導が不要で、40キロ先まで届く152ミリ精密誘導砲弾と考えると凄まじいコスパの良さと言えます。てか、もはや普通の155ミリ砲弾より安いのではと・・・
会戦前の段階で2100$、開戦後は8400$以上、圧倒的なコスパ
ただこいつの立ち位置は低速、長射程の対人、対物、対戦車ミサイルの立ち位置な気がするのでそちらと比較の方が良いかも
ジャベリンのお値段が一組59万3203$、ミサイル一発が17万5203$
対戦車、対車両として考えると射手の安全性その他では上位互換な気がする
流石に上位互換は言い過ぎでしょう、即応性を考えたら榴弾の選択肢しかない。普通の榴弾なら40kmを2分以内で弾着するがこいつは20分掛けてようやくです。
クラスノポールの最終誘導ならレーザー誘導出来る何かであれば良いですし別に兵士じゃなくても良いでしょう。おまけに無線誘導が絶対に出来る保証も無いんですから誘導に関してもかなり優れているわけでも無い。
着弾に時間が掛かる代わりに投射後の状況の変化に即応できますからね。
あるいは20分間複数の敵を牽制した上で本命に突入なんて事もできる訳です。
まあ良くも悪くも別の兵器であり、上位互換ではない、というのはその通りですね。
1発50万の誘導ミサイルとか戦後に相当悪さする予感
制裁の腹いせに相当ばら撒かれるんじゃないかコレ
戦争が終わったら、これらのドローンが輸出品として売られ、案外市場をリードする予感。最適解にどんどん近付いてる感じ。
世界中でドローンテロが起きそうですね
ドローン規制してる先進国なんて日本ぐらいでは
ランセットもバカ売れすると思われているのにさらに安いのか
中東アフリカで猛威を振るいそうだ
何がタチが悪いって、安いくせに性能が悪いわけではないものが出てきているところ。実戦の中でロシアウクライナ問わずブラッシュアップされてきている。こうなってくると高コスト兵器はここぞ以外では使いづらい。航空機のHi-Loミックスの極端なものを各分野で検討する流れになるはず。初期の電撃戦や重要な局面で高コストの兵器で流れを作り、低コスト兵器で掃討や維持を行うのが一番リーズナブルに思える。
西側でもGoogle創業者のエリック・シュミットさんがWhite Storkという会社を立ち上げてAI搭載の安価な自爆ドローンの開発に乗り出してますね。
こっちは一台400ドルを目指してるとか。
GoogleにはAIのソフトウェアのノウハウだけじゃなくてAIに特化した物とか複数の機能を集約したオリジナルの半導体を作る技術もある。
汎用品の組み合わせで安く上げるロシアとはまた別のアプローチを取ると思うのでそっちも注目してます。
これがすぐ使われ影響がでそうなウクライナ戦争の話がそんなに出てないのが興味深い感じがする。もう終わったみたいな印象だわ。
こんな命中率も威力も価格も必要十分な質の悪い兵器投入されたら対抗手段が限られる場所にあるウクライナ保有の車両や防御拠点をどこまで維持出来るんだろうか?
ウクライナが3Dプリンターとか使って大量のドローン量産すごいとか言ってた奴らはどう思っているんだろう。