インド太平洋関連

リチウムイオン電池搭載の潜水艦、フランスとインドネシアが契約交渉を開始

JANESは1日「Naval Groupの関係者がジャカルタに到着し、リチウムイオン電池搭載のスコルペヌ型潜水艦に関する契約交渉が始まった」と報じており、これはNaval Groupが昨年10月に発表した「Scorpene Evolved」のことだ。

参考:Indonesia begins contract negotiations for two Scorpene Evolved submarines

インドネシアはフランスから潜水艦とD-19をセットで導入する可能性が高く、中々興味深い導入例になるだろう

フランスとインドネシアは2022年2月「スコルペヌ型潜水艦の調達に関する合意文書(MOU)」に署名済みで、JANESは1日「Naval Groupの関係者がジャカルタに到着し、リチウムイオン電池搭載のスコルペヌ型潜水艦に関する契約交渉が始まった」と報じており、これはNaval Groupが昨年10月に発表した「Scorpene Evolved」のことだ。

出典:Palácio do Planalto/CC BY 2.0 DEED ブラジル海軍のスコルペヌ型潜水艦

Naval Groupはインドネシアへの提案(AIP機関搭載のスコルペヌ型潜水艦)を更新する形で「Scorpene Evolved」を発表、このバージョンには「AIP機関+リチウムイオン電池」と「リチウムイオン電池」が用意されており、前者はAIPグレードの水素や液体酸素などに関するインフラが必要になるため、Naval Groupは「AIP機関を扱った経験もインフラもないインドネシア海軍にとって後者の方が導入や運用上の負担が少ない」と説明している。

Evolvedのリチウムイオン電池バージョンは連続行動時間が最大80日間(内78日間は潜航状態)、航続距離も8,000海里以上で、鉛電池を搭載したバージョンよりもメンテナンスの手間が大幅に軽減され、耐用年数も40%ほど長く、Evolvedの戦闘管理システムにはイタリア製のBlack Shark、フランス製のF21、 エグゾセの水中発射バージョン、フランスが実用化済みのD-19(魚雷発射管から発射可能でISR、電子戦、対潜戦、機雷戦、スマート機雷、訓練といった用途に使用できる多機能UUV)が予め統合されているのが特徴だ。

インドネシア海軍の関係者は「将来的に海軍は潜水艦やUUVを含む水中プラットフォームを多数運用しなければならない」と述べているため、フランスから潜水艦とD-19をセットで導入する可能性が高く、中々興味深い導入例になるだろう。

因みに契約交渉の主な議論は「どうやって費用を賄うか」で、JANESは「仏政府と協議した上でNaval Groupは3つの融資先から資金を調達するよう提案している」「仏財務省からの直接融資と仏公的投資銀行の信用枠で契約に必要な85%の資金をカバーする」「残り15%の資金を民間金融機関から調達する」「資金調達先の確保と最初に支払いが確認された後に1隻目の建造が開始される」と報じており、このやり方はラファール導入と同じだ。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Alexander Cook AtlanticTrident21に参加中のラファール

恐らくフランスとインドネシアの契約は成立する可能性が高く、Scorpene Evolvedはフィリピン海軍にも提案されるだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Brazilian Navy/CC BY-SA 4.0 ブラジル海軍のスコルペヌ型潜水艦

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コメント

    • 58式素人
    • 2024年 3月 05日

    あちこちにリチウムイオン電池搭載潜水艦の話が上がってきましたが。
    リチウムイオン電池のメーカーも世界中に増えてきたのかな。

    6
      • kitty
      • 2024年 3月 05日

      たいげい型の電池は、ユアサ(GYT)製.
      イタリアのU212 NFS はFincantieri SIとFaist Electronicsの合弁会社であるPower4Future製
      ドイツとフランスはどこなんだろう。

      9
        • 58式素人
        • 2024年 3月 08日

        ご教授ありがとうございます。
        こうした話はあまり上がってこないですね。
        重要のことと思うのですが。

    • 123
    • 2024年 3月 05日

    フランスちゃん、契約破棄したオーストラリアの仮想敵国であるインドネシア売り込みに行ったのか。
    なんか裏でドス黒い感情が渦巻いてそうな案件だな、と考えてしまう。

    17
      • 西風
      • 2024年 3月 05日

      一昔前は死の商人と言えばフランスだったので、またかよカエル野郎…って程度では?

      15
      • 匿名希望係
      • 2024年 3月 05日

      キャンセル食らった理由が割と自業自得なんだけどね。>フランス

      5
    • ブルーピーコック
    • 2024年 3月 05日

    ドイツの209潜水艦からフランスのスコルペヌ潜水艦に転換するのか。
    こういう各国の兵器がゴチャゴチャした軍のパレードは見てみたいが、日程もさることながら海の向こうだからハードル高い。

    2
    • 774545
    • 2024年 3月 05日

    AIPとリチウムイオン電池の組み合わせは長期の潜航に長けているって認識でいいのかな?
    乗員側からしたらリチウムイオン電池一本打法のほうが運用が楽でいいと思うだろうけど

    1
      • 765
      • 2024年 3月 06日

      そうりゅう型なんかはスペース取る割には液体酸素が切れたら普通の潜水艦以下の性能になるので、現場からはあまり評判が良くないって聞きましたね

      3
    • おに
    • 2024年 3月 05日

    フランスは昔から政情不安定国、仮想敵国でも兵器を輸出して稼いできた
    ロシアにも2年前まで武器輸出してきた日本人には真似のできない国です

    日本は安全保障上アングロサクソン資源大国であるオーストラリア、カナダ
    と長期的な兵器輸出・整備でアメリカに準じた同盟関係構築が必要でしょう
    東南アジア諸国はいつ政変で親中共政権に変ってもおかしくないので不適格
    カナダは潜水艦の更新時期であり、オーストラリアは艦艇更新と原潜までの
    繋ぎの潜水艦が必要など日本にとって今が最後のチャンでしょう
    武器輸出禁止の撤廃と厳格なスパイ防止法などの法整備が必要なのです

    15
    • おに
    • 2024年 3月 05日

    フランスは昔から政情不安定国、仮想敵国でも兵器を輸出して稼いできた
    ロシアにも2年前まで武器輸出してきた日本人には真似のできない国です

    日本は安全保障上アングロサクソン資源大国であるオーストラリア、カナダ
    と長期的な兵器輸出・整備でアメリカに準じた同盟関係構築が必要でしょう
    東南アジア諸国はいつ政変で親中共政権に変ってもおかしくないので不適格
    カナダは潜水艦の更新時期であり、オーストラリアは艦艇更新と原潜までの
    繋ぎの潜水艦が必要など日本にとって今が最後のチャンでしょう
    武器輸出禁止の撤廃と厳格なスパイ防止法などの法整備が必要なのです

    2
    • し漏斗
    • 2024年 3月 06日

    リチウムイオン電池の連続行動時間が最大80日間(内78日間は潜航状態)という具体的な数値を初めて見た。
    ということはたいげい型も同程度なのかな? 待ち伏せ主体なら必要十分な気がするしAIP外したのも頷ける。

      • バーナーキング
      • 2024年 3月 06日

      連続行動時間ってのは燃料食料等無補給で行動できる時間ってだけで、その中で充電と潜航を繰り返す、潜航の内訳が78日なだけでは?
      19.5日×4か26日×3くらい?

        • 765
        • 2024年 3月 06日

        LIBのそうりゅう型について詳細に考察されている方がいらっしゃいましたね
        リンク
        この記事によると49日中、45.5日は潜航できるようです(作戦時間の7.1%が浮上時間)

        仮にそうりゅうが80日間活動すると考えると潜航可能な時間は74.5日なので、充電器やLIBがそうりゅう型よりも優れていたり潜航中の航行速度が遅ければありえないことも無いのかな?(IR2.5%はかなりすごいと思うけど)

          • バーナーキング
          • 2024年 3月 06日

          まさしく露頂充電と潜航の比率の話で、たいげい型の発電機に変えれば露頂率6%(連続)あるいは5%以下(最適)、って予想とそこまで減れば十分だろう、的な見解も述べられてますね。
          2.5%ってのは驚異的な数字ではありますが、まあ極端な話この数字を下げるだけならバッテリー分けて発電機を増やせば良い訳ですが、あんまりそこだけにこだわっても意味はないかと。
          大事なのは連続潜航時間と連続行動時間と合わせたトータルバランスが想定任務に適しているか、でしょう(残念ながらそこら辺はあんまり表に出ないでしょうが…)。

          1
    • 58式素人
    • 2024年 3月 07日

    インドネシアは、先日のロンボク海峡での潜水艦事故
    にはどの様に対応するのでしょう。
    水中波の影響で海面直下から深度800m超えまで
    短時間で引き込まれたのが原因と聞いているのだけど。
    ロンボク海峡はどうしても通過が必要な場所ですから、
    今後も同様の事態は考えられるのでは。
    最低限、水深800mの水圧に耐えられる耐圧殻が必要では。
    米海軍やオーストラリア辺りはどうしているのかな。

      • hiroさん
      • 2024年 3月 08日

      水深800mに耐えられる戦闘用潜水艦なんか世界中に無いでしょう。
      旧ソ連の原潜コムソモレツが水深1,027mの記録を持つが、チタン合金製の船殻の実験艦だし、演習中に事故で沈没している。
      現在運用中の潜水艦の最大潜航深度が500~600mと言われているので(それでもWW2時の3倍位)、フランスに求めても無理だろうし、海峡航路の研究で対応するしかないと思います。

      1
        • 58式素人
        • 2024年 3月 08日

        ”海峡航路の研究で対応するしかないと思います。”
        現状ではこれしかないのでしょうね。

    • an
    • 2024年 3月 08日

    本国ですら採用してないシステムって時点で不安ではあるけど、少なくとも今のオーストラリアよりはまともな潜水艦ができるな
    原子力潜水艦が手に入れば再逆転するけどさ。

    フランスはこういう所で節操がない。本邦の政治家はフランスに幻想を持ってるけど、はっきり言ってこういう国だぞフランスは

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