ウクライナ戦況

ブダノフ中将、ウクライナは対空兵器搭載の無人水上艇を開発中と明かす

シルスキー総司令官は「占領者に対して空中でも非対称な対応をとる」「ロシア軍の航空機はさらに燃えることになるだろう」と言及して注目を集めたが、ウクライナ国防省情報総局のブダノフ中将は「無人水上艇に対空兵器を搭載する作業を行っている」と明かした。

参考:Знайти і потопити. Як дрони Буданова Magura нищать російські кораблі

我が国のエンジニアらは無人プラットフォームに対空兵器を搭載する作業を行っている

シルスキー総司令官は侵攻2周年を迎えた2月24日「我々はロシアの占領者に対して近い将来、空中でも非対称な対応をとることになると思う。ロシア軍の航空機はさらに燃えることになるだろう。そのために国の指導者はあらゆる手を尽くしている」と言及、具体的な内容に何も触れていないが「非対称な対応とは飛行中のロシア軍機に対する何か」と思われ、ウクライナ国防省情報総局(GUR)のブダノフ中将も興味深い言及を行っている。

Ukrainska Pravdaの取材に応じたブダノフ中将は無人水上艇=MAGURA V5について言及した中で「我が国のエンジニアらは無人プラットフォームに対空兵器を搭載する作業を行っている。私はエンジニアではないものの作業が非常に複雑であることを理解している。目標を検出し、目標を追尾し、目標を破壊する手段を小さなプラットフォームの中に詰め込まなければならない。これは技術的に簡単なことはではないが実現可能だ」と言及。

MAGURA V5の開発者も「対空兵器を航行中の無人プラットフォームで機能させるためスタビライザーの開発が進められている」「近い将来、無人プラットフォームには陸上、海上、空中の目標を攻撃するためのモジュールを搭載できるようになるだろう」と述べているため、MAGURA V5は「自爆型」から「米国のLRUSV、トルコのULAQやConstellation、韓国の海劍3のような武装可能なUSV」に進化するという意味だろう。

仮にMAGURA V5に類似した無人プラットフォームにMANPADSを搭載しても効果範囲は小さいが、黒海に面したクリミアやクラスノダールの沿岸にはロシア軍の航空基地があり、攻撃任務のためウクライナ領上空に向かう航空機も低空から侵入するため、この手の脅威が黒海に存在すると「ウクライナ領上空に向かうための飛行ルート」がアゾフ海上空やロシア領上空に限定され、これを的にする地対空ミサイルの迎撃作業が容易になるかもしれない。

因みにブダノフ中将は複数存在する自爆型USVについて「ウクライナ保安庁のSEA BABYはクリミア大橋など静止目標への自爆攻撃用、MAMAIはSEA BABYほど爆発物を搭載していないもののノヴォロシスクまで到達可能な航続距離を備え、ウクライナ国防省情報総局のMAGURA V5は移動目標(艦艇)を攻撃するためのハンターだ」と述べている。

SEA BABY、MAMAI、MAGURA V5の他にもUNITED24が調達した自爆型USV(恐らくSEA BABY、MAMAI、MAGURA V5の原点)も存在し、2023年に立ち上げた無人機や対ドーロン兵器の開発を促進するためのイニシアチブ「BRAVE1」は水中を徘徊型無人機=UUVも開発している。

Tolokaと命名されたUUVは全長2.5mのTLK150(最大作動距離100km/最大50kgの爆薬を搭載)、全長4m~6mのTLK400(最大作動距離1,200km/最大500kgの爆薬を搭載)、全長4m~12mのTLK1000(最大作動距離2,000km/最大5,000kgの爆薬を搭載)に分かれており、搭載された3Dスキャニングソナー、パッシブ・ソナー、カメラを使用して周辺海域をスキャンし自律的に目標を識別、GPSと慣性航法で航行し、最大3ヶ月間のスタンバイモードも搭載されているらしい。

出典:@BrennpunktUA

MAGURA V5の開発者も「無人プラットフォームは一時的に海中に隠れることが出来るようになって見つかりにくくなるだろう」と言及しているため、対空ミサイルを搭載したUUVが登場する可能性もある。

関連記事:ロシア軍機はさらに燃える、シルスキー総司令官が非対称な対応に言及
関連記事:ウクライナ国防省情報総局、黒海艦隊の大型揚陸艦をMAGURA V5で破壊
関連記事:ウクライナ軍、ドローンを使用して黒海艦隊の大型揚陸艦を撃沈か
関連記事:ウクライナ人ジャーナリスト、ミサイル艇破壊は無人水上艇による集団攻撃
関連記事:ウクライナ軍、無人水上艇で黒海艦隊のタランタル型コルベットを破壊
関連記事:ウクライナのダニロフ書記、もう1,500km離れた目標の攻撃に問題はない
関連記事:ウクライナ軍がノヴォロシスク基地を攻撃、ロシア海軍の大型揚陸艦が大破
関連記事:ウクライナ軍の自爆型USVはユーリー・イワノフに到達、ロシア側の主張を否定
関連記事:ウクライナが海中を徘徊する自爆型UUVを公開、自爆型USVの合理的進化
関連記事:ロシア領ノヴォロシースク港で爆発、ウクライナ軍が自爆型USVで攻撃か
関連記事:クリミアで発見された謎のUSV、ウクライナに提供された無人沿岸防衛艦?

 

※アイキャッチ画像の出典:СБУ

ドネツク西郊外、ロシア人はクラスノホリフカ市内での戦闘拡大を主張前のページ

圧倒的に安価なLancetの類似品、ロシアは2024年末までに数千機を生産次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    南ドネツクの戦い、ウクライナ軍がブラホダトネの解放に成功

    ウクライナ軍の第68独立猟兵旅団は11日「味方と協力してブラホダトネを…

  2. ウクライナ戦況

    ウクライナのダニロフ書記、前線の兵士に休息を与えるため追加動員が必要

    ゼレンスキー大統領が「45万人~50万人の追加動員」に言及して注目を集…

  3. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍の攻撃で再び損傷したアントノフスキー橋と水力発電所

    再びHIMARSによる攻撃を受けたアントノフスキー橋とノーバ・カホフカ…

  4. ウクライナ戦況

    駐米ロシア大使、クレムリンが戦争継続派と終結派に分裂していると漏らす

    ロシアのアントノフ駐米大使はクレムリン内部にウクライナとの戦いを終わら…

  5. ウクライナ戦況

    徘徊型弾薬対策、ウクライナ企業がランセット・キャッチャーの量産を開始

    ロシアは戦場で効果的な徘徊型弾薬「Lancet」の生産量を大幅に引き上…

  6. ウクライナ戦況

    ロシア軍支配下のゴルロフカで大爆発、ウクライナ軍がHIMARSで攻撃か

    ロシア軍支配下のドネツィク州ゴルロフカで大爆発が23日に確認されており…

コメント

    • 幽霊
    • 2024年 3月 05日

    現状黒海艦隊は身動き取れない状態ですし、無人水上艇がクリミア半島やロシア沿岸に押し寄せるくらいなら機雷を設置して海上封鎖をロシアは行うかもしれませんね。

    7
    • kitty
    • 2024年 3月 05日

    初出の時も思ったけど、BRAVE1の展示の会議室の机に直接ブツを置いたようなアジャイル感が、無人機業界の実態を表していたんだろうなあ。

    4
    •  
    • 2024年 3月 05日

    そういうシステムは出来はするだろうしロシア航空戦力の活動を制限出来るだろうけどなんか民間機やNATO機を撃ち落としそうだな
    今から米軍のAWACSかトルコの民間機を撃ち落としてロシアがやったとウクライナが騒ぐのを予言しておこう

    9
    • 24pwad
    • 2024年 3月 05日

    最終的に中国が開発中の無人イージス艦(JARI-USV-A)みたくなりそう。

    1
    • らっく
    • 2024年 3月 05日

    ロシアが貨物船のスクリューにロープを絡ませる水上ドローンを投入して来るのではないかと予想。

    1
    • kitty
    • 2024年 3月 05日

    エリア88で、地面に穴掘って、SAMを埋め込んで、自動で撃墜するなんてのをやってたけど、無人F-18なども、当時のSF的発想が次々現実に…。

    8
    • たむごん
    • 2024年 3月 05日

    これ凄いですが、他ドローンと同じ結末になりそうですね。

    海外に同種ドローンが拡散、日本にとっては脅威になりそうです。

    戦時中は、技術の進歩・ブレークスルーが、本当に早くなりますね。

    17
    • 胡瓜
    • 2024年 3月 05日

    コストが低くて飽和攻撃できるのが売りなドローンでこの対応ってサイズもコストも跳ね上がりそうで本末転倒なんじゃ…

    8
      • 理想はこの翼では届かない
      • 2024年 3月 05日

      水上自爆ドローンと違って、対空ミサイルのランチャーとなると安定性が求められるはずなので、どうにも絵に描いた餅に思えます
      対空ミサイルを安定して発射できるプラットフォームとなると、どう考えても小型挺と呼ぶには大きなサイズになるのでご指摘のとおりコストにも跳ね返ってしまうと思います

      7
      • のののの
      • 2024年 3月 06日

      使い捨てってわけでもないだろうし、目標が航空機なので費用対効果的には良いのではないかな。
      索敵をどうするのかが気になる。光学センサーだけでは心もとないし。レーダー積むのかな?

    • おに
    • 2024年 3月 05日

    ロシア軍に限らす従来の艦艇はAI自爆無人艇による攻撃など想定していないので
    ウクライナ軍がそれを使って成果を上げてますが
    日本の海上自衛隊や各国海軍は対AI自爆無人艇の兵装を開発し実戦配備するでしょう
    潜水型無人艇を開発配備できる日本が仮想敵国に対する最終的な抑止力かもしれない
     同様に従来の戦車,戦闘車両も自爆ドローンを想定してないシステム設計と戦術なの
    でロシア軍は大量の損害を出してるが、対ドローン戦に対応した戦車,戦闘車両が投入
    されれば中華コンポーネントの自爆ドローンでは強力なEMP攻撃などで破壊されてし
    まいウクライナ軍の非対称攻撃は破綻するでしょう

    4
    • 戦略眼
    • 2024年 3月 05日

    潜水艦に搭載すれば、対潜哨戒機への対抗手段になりますね。

    1
    • 梶原
    • 2024年 3月 05日

    緒戦ではウクライナがドローン戦を優位に進めていたがすぐにロシアに量産されて対応済。
    現代戦は国力差だと痛感する。

    11
    • とある帝國臣民
    • 2024年 3月 05日

    まだまだ黎明期の無人兵器は大戦中の航空機や戦車並の速度で次々に新兵器が開発、投入されるので見ていて面白い。

    11
    • 58式素人
    • 2024年 3月 05日

    思うのですが。ブダノフ中将は、海上での航空接近拒否をしようとしているのかな。
    陸上でと同じように、SAMを装備したUSVを使って。
    ロシアの水上艦艇はすでに接近拒否の状態に置いているとして。
    そして何ができるかと考えると、USVあるいはシースキミングSSM/ASMの
    自由通行?でしょうか。クリミア大橋を海上から狙っているのかな。
    他所の記事でクリミア大橋の落し方につ置いて書いたものを読みました。
    バンカーバスター爆弾か、終末レーザー誘導のSRBMと書いてありました。
    タウルスやストームシャドー/SCALP-EGでは、力不足としていました。
    再度、シーベイビーを突撃させるのか、あるいは古いSSM(例:SSN-3シャドック)
    を終末レーザー誘導に改造して命中させるか。この辺りでしょうか。
    シャドックの弾頭の炸薬は1tとされます。
    誘導は、供与されたAPKWSのものが使えそうな気がします。

    1
    • 名無し
    • 2024年 3月 05日

    軍人が兵器開発のPRを戦時中にするのは何というか、ヤバそうな感じがしますが大丈夫なんでしょうかね?

    開発費とかどうなってるんでしょうかね?

    1
    • 241
    • 2024年 3月 05日

    これもいろいろなタイプを考えているのかもしれませんね。近SAM型、短SAM型とか。
    アベンジャーのようなVSHORADシステムを搭載したUSVが近SAM型、IRIS-T SLSのようなSHORADシステムを小型・集約化して搭載した短SAM型という感じで。短SAM型はサイズが大きくなり露見しやすくなるのでUUVとしての機能を持たせるとか。そうなると調達価格もかなり上昇しそうですが実際に低空の戦闘機・ヘリを落とすことができ空軍の活動を制限できるならコストパフォーマンスはよさそう。半潜航または潜航状態でアゾフ海に入り隠密裏に展開、なんてことを考えてしまいますがこれはさすがに先走り過ぎか。

    • A29
    • 2024年 3月 05日

    MK15とSeaRAMを搭載したら恐ろしいな、主に誤射が
    余市の強化に必要な艦種だから続報が楽しみ

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  2. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP