露メディアは「ロシア下院議会がナチス犯罪者の捕虜交換を禁じる法案について18日に検討を行う」と報じており、アゾフスタル製鉄所からのウクライナ軍退去は何の確約もない「降伏」という見方が強い。
参考:Госдума рассмотрит проект, запрещающий обмен нацистских преступников
参考:Другой формулы спасения военных из “Азовстали”, чем нынешняя, не может быть – МОУ
降伏した捕虜の取り扱いについて交渉を進めていたが食料が尽き、負傷の状態が限界に達したため見切り発車で「降伏」を選択した可能性が高い
ウクライナ軍参謀本部は16日「マリウポリを防衛する部隊は司令部が要求した全ての任務を達成した。各部隊の指揮官に兵士の命を救うよう命じた」と発表、重傷者56人がノボアゾフスク(ロシア軍占領下)にある病院に移送され、211人の兵士がオレニフカ(ロシア軍占領下)に移動「捕虜交換手続きを経てウクライナ軍支配地域に戻る予定だ」と説明しているが、どうやらアゾフスタル製鉄所から退去は「何の確約もない降伏」という見方が強い。
ウクライナ国防省は17日「彼らは司令部が要求した全ての任務を達成したが我々にアゾフスタルの封鎖を解く力はない。現在の方法でしか彼らを救出する方法がなかった。これしか方法がなかったんだ。現在兵士の救出作戦を進めている最中で全員を救い出すまで取り組みは続けられる」と述べており、露メディアは「ロシア下院議会がナチス犯罪者の捕虜交換を禁じる法案(アゾフ連隊の兵士は死刑が妥当だと法案を提出した議員は主張)について18日に検討を行う」と報じている。
アゾフスタルで降伏したアゾフ連隊、第36旅団、第12特務旅団、国境警備隊、領土防衛軍の兵士(露メディアは265人が降伏したと報じている)の内、最低でもアゾフ連隊に所属する兵士は捕虜交換を拒否してドネツィクに設置されるナチス犯罪者を裁く法廷に連行、ロシア人や民間人に対する数々の血なまぐさい犯罪を犯した者を裁きにかけるというプーチン大統領の宣言を実行するつもりなのだろう。
つまり予想されたアゾフ連隊への不利益を回避する取り組み=降伏した捕虜の取り扱いについてウクライナはロシアと交渉を進めていたが食料が尽き、負傷の状態が限界に達したため見切り発車で「降伏」を選択した可能性が高い。
勿論、無意味に餓死するよりも生き残るチャンスがある降伏は正しい選択だが、超人的な戦いを続けた兵士達を政府も現地メディアも戦意高揚のため「英雄」として祭り上げてしまい「彼らを救出するため政府は動いている」と国民に説明してきた手前、捕虜交換の確約なしに降伏したと発表すれば「政府が英雄を見捨てた」と映るため「各部隊の指揮官に兵士の命を救うよう命じた」という曖昧な表現に終始しているのだろう。
ただ捕虜になった第36旅団のバラニューク司令官は「政府や軍が偽りの約束で抵抗を強いたため命令を無視してマリウポリからの脱出を試みた」と露メディアに告白、ウクライナ軍は「マリウポリから勝手に逃亡した臆病者」と非難するハメに陥っており、超人的な戦いの裏には表面化していない各兵士の葛藤や不満が渦巻いている可能性が高く、英雄的なマリウポリでの抵抗がウクライナ政府への非難に変貌しなければ良いのだが、、、
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※アイキャッチ画像の出典:Маріупольська міська рада
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北方領土を返すつもりがないから領土の譲渡を禁じる法律作ったり
ロシアはこういう事を平気でやりますよね
日本政府がウクライナ支援に積極的な理由の一つに
誠実な対応を全くしないロシアに対する恨みがあるのかもしれません
遊覧船沈没事故で亡くなられた方のリュック返還拒否も日本人にとってマイナスイメージです
きっとロシアではリュックを返すのを禁止する法律でもあるのでしょう
リュックの件は拒否じゃなくて、まだ返事がきてないだけでしょ。そもそも拒否するぐらいなら最初から連絡する理由なんかないんだからさ。
ロシアのこれまでの行動を見るに、嫌がらせのために連絡したと見るのが自然ではないでしょうか。
遺留品がある事を伝えた上で返還要求は無視することで日本人(遺族)を苦しめるのが目的かと。
ちなみに6時間前のニュースで返還が発表されてる、日本領事館に運ばれたようだ
このままだと全員死亡するのが確実で、それよりは捕虜交換されることに望みをかけたということでしょう。
捕虜交換に応じず虐待などすればロシアに非難が向くでしょうし、以後ウクライナ兵は追い詰められても降伏せず戦い抜くのでロシア軍としては厄介になります。
ロシア兵士の母の会の方のインタビューを見ましたが、捕虜交換を進めて欲しいと訴えていました。それが望みの綱でしょうし、捕虜交換を妨げるようなことをするとその方面からも批判されそうです。
降伏後の捕虜の取り扱いが心配されますね。
とは言えロシアにせよDPRにせよ、捕虜を古めかしい見世物裁判にかけたり
スピード判決で大量処刑などやってしまったら、プロパガンダ的にも
逆効果ではないですかね?
>「各部隊の指揮官に兵士の命を救うよう命じた」という曖昧な表現
まあ実質上、降伏許可を出す形で体裁を整えたわけではあります。
ただ、ウクライナ政府が、ここまででやるべき事をやらなかったというような
非難に価するのかと言うと、状況と推移から言って酷かなとも感じます。
プーチンはウクライナを「ネオナチ国家」だと言っているから、むしろ公開処刑にしないとプロパガンダが成立しない。温情を与えて「プーチン万歳」と言わせる案もあるけど、アゾフの戦士たちが応じるとも思えないし。
ウクライナ政府としてはどうしようもないのが本音でしょう。プーチンもそれを見越してこれ見よがしに、もはやハーグ陸戦条約を正面から破るような法律を建てたんです。それでゼレンスキー政権に批判が集まればクレムリンの独裁者にとってこれほどうれしいことはない。
プーチンの真の敵は民主主義だからね。
ハーグ陸戦条約に「捕虜の交換」を定めた記述はありません。ロシアの新法律は条約違反とは見なされません。この場を借りて訂正し、謝罪します。
ふつう、勝っている側は捕虜に虐待などしない、唯一の例外がロシア、勝ち負けに関わりなく捕虜を奴隷と見なす
こうして国際的に民度の低さをさらけ出していく
ロシアとしては捕虜が帰ってきて、余計な発言をされるとプロパガンダ的にマイナスだから帰ってきてほしくない?
まるで戦陣訓
生きて虜囚の辱しめを得ず
要するに敗け戦は隠したいから戦死してくれの意味
大日本帝国の人間軽視の伝統をロシアが継承してくれてるね
戦後にこそ兵士の母の会の怒りが爆発するだろう
この場合、ロシアが継承したのはロシアの成り立ち的に、捕虜になるのは恥と教育して、冬戦争が終わり捕虜交換で帰ってきた捕虜をシベリア送りにしたソ連では?
兵士の安全が保証されて降伏指示が出たんじゃなく、降伏以外どうしようもなくなったのか
まあ見捨てたと言えば見捨てたことになるけど、国民の非難は司令部よりはロシア軍に向かうんじゃないかな
こうなると、ロシア側がウクライナ側を騙した可能性すら有り得ると思います。
そもそもロシアは旧ソ連時代から捕虜を虐待するのは御家芸なので、散々ナチス呼ばわりしたアゾフ連隊の兵士を今更捕虜交換するとは思えず、さりとて自力での攻略も困難だったので、捕虜交換やアゾフ連隊等のウクライナ軍部隊の保護と言う『嘘』をウクライナ側に提示して降伏させた可能性が有ります。
只、ロシア側が不利になりつつある情勢下でこれをやると、ロシア側がウクライナからの撤退を強いられた後、国際社会から「戦争犯罪」として非難されるのは確実なので、ロシア側にとっては悪手なのですが…もうそんな冷静さは失われているみたいですけど。
WW2ではウクライナ出身の兵士も相当数最前線に送り込まれてるんだから、ソ連時代の残虐行為の話を持ち出してロシアを貶すのは違うと思うんだ
ナチス犯罪者→プーチン
よって、大統領閣下、あなたを逮捕します。FSB
と言いますか、兵士が降伏したら安全を保障するのが当たり前なんですよ…!!
ロシアの言い分を通すなら、逆らうウクライナ人はみんなナチスなので、丸ごと虐殺してOKにしかならないですよね。
ISWは、ロシアは条件付き降伏に同意したのではないかと言ってますね。最近の失敗を取り繕うためにロシアとしてもメリットがあるので。
それに対してロシアのSNSでは「テロリストと交渉するのか」といった非難の声が上がっている。この法案というのも政府ではなく議員が出そうとしてるもので、そうした民意を反映しているのでしょう。
ロシア政府としては扱いが難しいところでしょうが、「捕虜交換で兵士の母親がこんなに喜んでるよ!」という方向のプロパガンダでおさめてもらえないでしょうか。
>ロシア人や民間人に対する数々の血なまぐさい犯罪を犯した者を裁きにかけるというプーチン大統領の宣言を実行するつもりなのだろう。
この部分を抜き出すと、プーチン自身を裁きにかける必要性が