ロシア軍がウクライナで使用する徘徊型弾薬が効果を証明しているという数値が登場しており、Oryxは「Lancet-3とKUB-BLAを使用してウクライナ軍の装備を99も破壊・損傷しているのが視覚的に確認された」と報告している。
参考:Hit Or Miss: The Russian Loitering Munition Kill List
参考:Documenting Ukrainian Equipment Losses During The 2022 Russian Invasion Of Ukraine
前線の低空域で攻撃ヘリの代わり使用される徘徊型弾薬
2019年に露ZALA(カラシニコフ・コンサーン傘下)が発表した「Lancet」は徘徊型弾薬「KUB-BLA」を発展させたもので、大型のLancet-3(最大重量12kg/弾頭重量3kg/滞空性能40分/航続距離40km)は米国製のSwitchblade600(22.7kg)と比べれば小型な部類だが、ロシア軍はLancet-3の攻撃効果を高めた能力拡張型をウクライナで使用し始めている。
この新しいLancet-3はIzdeliye51(従来の基本型はIzdeliye52)と命名され、弾頭重量が増しているため装甲車輌に対する破壊力が向上(推定値:最大重量14kg以上/弾頭重量5kg/滞空性能60分/航続距離70km)しており、ロシア軍は前線の低空域で攻撃ヘリの代わりに徘徊型弾薬の使用量を増やしているらしい。
Oryxは「ロシア軍がLancetとKUB-BLAを使用してウクライナ軍の戦車×11輌、装甲戦闘車輌×9輌、榴弾砲×21門、自走砲×20輌、多連装ロケットシステム×4輌、地対空ミサイル×7基、レーダー×11基、通信機器×2基、各種支援車輌×11輌、艦艇×3隻を破壊・損傷させた」と報告している。
Another strike by Russian kamikaze drone from Lancet-series, in this case against Ukrainian tank pic.twitter.com/7PKYhQy7aV
— Yuri Lyamin (@imp_navigator) November 13, 2022
New footages of use the upgraded version of Russian “Lancet-3” kamikaze drone against Ukrainian forces.
This version has been tested in Syria for the first time since at least the 2020 and features a large front X-shaped wing, a larger warhead etc (https://t.co/NtUQnUt4By). pic.twitter.com/MNGLMolzO4— Yuri Lyamin (@imp_navigator) October 13, 2022
Another strike by Russian upgraded version of the Lancet-3 kamikaze drone against Ukrainian 155mm M777 howitzer. pic.twitter.com/vn0tpf8abG
— Yuri Lyamin (@imp_navigator) December 17, 2022
#Ukraine: A Ukrainian CAESAR 155mm self-propelled howitzer was damaged by a Russian Lancet loitering munition in the vicinity of Maksymivka, #Donetsk Oblast. pic.twitter.com/RsifF6oXIE
— 🇺🇦 Ukraine Weapons Tracker (@UAWeapons) November 16, 2022
#Ukraine: A Ukrainian PRV-16ML height-finder radar was destroyed by a Lancet loitering munition.
The PRV-16ML is a Lithuanian modernization of a Soviet PRV-16 with updated electronics & a new MAZ chassis. This radar was not known to be in service with the Ukrainian army before. pic.twitter.com/Xw78K5Ev3F
— 🇺🇦 Ukraine Weapons Tracker (@UAWeapons) December 15, 2022
#Ukraine: A Ukrainian Gyurza-M class armored gunboat was damaged by a Russian Lancet loitering munition. pic.twitter.com/GqZ6rQmYCh
— 🇺🇦 Ukraine Weapons Tracker (@UAWeapons) November 4, 2022
同時に42回の攻撃失敗(内38回は目標を外したかメタルネットで防がれ内4回は囮を攻撃)も記録されており、ロシア軍のS-300ランチャーとレーダーを1基づつ破壊(フレンドリーファイヤー)しているのが興味深い。
因みにLancetとKUB-BLAは西側諸国が提供したM777×15門、FH-70×2門、M109×7輌、KRAB×3輌、Caesar×1輌、RM-70××1輌を破壊・損傷させている。
ロシア軍が破壊・損傷させた西側提供の砲兵装備(LancetとKUB-BLAの戦果を含む) | ||
M777 | 152門提供 | 破壊31門+損傷10門 |
FH-70 | 提供数不明 | 破壊1門+損傷1門 |
M109 | 74輌提供 | 破壊6輌+損傷3輌 |
KRAB | 18輌提供+52輌購入 | 破壊7輌+損傷2輌 |
PzH2000 | 22輌提供+イタリア提供分 | 損傷1輌 |
Zuzana2 | 8輌提供+16輌を追加提供予定 | 破壊1輌 |
Caesar | 18輌提供+31輌を追加提供予定 | 破壊1輌 |
DANA | 26輌購入 | 損傷2輌 |
M777は152門中41門が攻撃を受けているので、展開や撤収に時間がかかる牽引式は自走式に比べて戦場での生存性が劣るのだろう。
関連記事:ウクライナ、メタルネットによる保護装備で徘徊型弾薬の攻撃を防げる
※アイキャッチ画像の出典:ZALA AERO Lancet
ドローンは現代戦では通用しませんよ
ここ数年コールドスリープでもされていたんですか?
戦闘ヘリを廃止して無人機に置き換えるという防衛省の方針の是非が試されている。
プロペラ推進ということは、標的を発見出来なかったら
戻ってきて燃料補給して再利用できるのかな?
お財布に優しい弾薬として人気が出てきそう。
ロシア軍にしてはかなりリアリティのある戦果が公表されたように見えます。
M777に関してはアメリカ軍のように制空権を完全に支配できる軍隊でなければ
機動性の低さが致命的なんでしょうね。
M777は
戦略的機動力は高いけど
戦術的機動力は低いからな
安全じゃない所では戦術的機動力が重要になる
記事の内容と少し違うのだけれども。
Lancet-3の外観は、64式MATを縦に2つ並べたような形をしていますね。
64式MATは飛行速度85km/hと遅かったけれど、
これをプロペラ推進に変えて徘徊機能を付けたら、今でも通用するかな(笑)。
ランセット以外でカエサルに損害なしというのも19式を調達中の陸自には興味深い
19式ね~
後ろのキャビンの人は目的地に着く頃には体痛くなるだろうな若い陸士可哀想…~その内腰痛になる。
しかもそれが19式の影響とは認められないだろうな~
せめてそこを改良して欲しい。
「弾薬(Munition)」に分類される武器類は使い捨てと思って間違いないです。
当該兵器は敵が存在すると確認あるいは見込まれる地域で使用するのが前提ですから、万一航続時間内に目標を補足できない場合には適当に目標選定して突入させるか自爆させるか動力切れで墜落することになるかと。
安全な着陸ができる仕様じゃないと回収は危険でしょう。Lancet はそういう構造ではないようです。
ロシアでも戦闘ヘリのパイロットの使い捨てには耐えられないんですね。
財務省「ほーん…せや!」
財務省、数さえ揃えれば今回は結構あってるぞ。
財務省「既達予算の範囲でね。」
防衛省「修繕費削るか。」
ヘリの置き換えだからヘリと同じ数しか買わせないとかのオチがついたり。
《ロシア軍のS-300ランチャーとレーダーを1基づつ破壊(フレンドリーファイヤー)しているのが興味深い》
ソビエトロシアではロシア軍がウクライナを援護するとか何とか。
しかしシュート&スクートのできるカエサルや、それなりに防護機能のあるM109などの装軌式自走砲でこうなると、自衛手段か援護のための手段が必要になりそうだな。牽引砲は自走化する手段は無いもんかね。
昔のドイツの突撃砲は、護衛の歩兵を乗せて動いていたそうだけれども。
同じように護衛を付ければよいのかなと思います。
歩兵に加えて、ゲパルトとまではいかなくても、
IRのセンサーとMANPADSと軽機関銃を一緒にした砲塔を持ったものを、
同行させるかまたは指揮車/弾薬車にその砲塔を載せてはと思います。
これからは、護衛は必ず必要かなと思います。もちろん、自走砲化しても。
WW2のドイツの突撃砲は砲兵科に所属して、歩兵直掩兵器だから歩兵と行動を共にしていたし、戦車も歩兵の移動のために乗せていたけどね。
ウクライナに関しては、防空戦力の同伴は理想だけど、そんな装備も人的資源も有るのだろうか?
歩兵随伴だけでは徘徊型爆薬には対抗できないし。
まだ実現はしていないようですが。
米国が供与予定のVAMPIREが一つの解答になるように思います。
IRセンサーとハイドラ70ベースのミサイルを装備しています。
これを随伴歩兵に捜査してもらい、周囲の警戒(対地/対空)に
あたってもらうとよいのではと思います。
やはりM777のような前線で機動力に劣る牽引砲、は徘徊型弾薬の格好のターゲット。重砲の自走化と最低限の装甲化が急がれる。
牽引砲でもM777はヘリボン火砲なのでこれ以上にはならない。これを失うのは事実上空挺火砲の使い方を間違ってるとしか言えない。
自走でも装軌装甲だと行動距離的にわりとやられる傾向がある。方や装輪車載式はランセット相手でも残存性が高い。
少なくとも火砲は装輪装甲化が大正解で間違いなく耐弾しながらも撃ち続ける装軌装甲化という考えは今後は難しいだろう。対象脅威がDPICMから事実上の対戦車弾薬に引き上げられるとなればこれに耐弾するとはもはやならない。
HX3トラック(19式のはHX2)はデジタルステルスを搭載するらしいので、そういう機能がどれだけ効果を発揮してくれるでしょうかね。
なんかドローンのシルエットに既視感がある。カンブリア紀の生物のこんな感じの生物がいそう。
ところで、滞空時間が40分、航続距離が40kmと短いようだが、どうやって戦地へデリバリーすればよいか?
戦闘ヘリのスタブウィングに搭載して、ランチするのが一番手間がかからないのではないか(本末転倒)
M777は数が多いから被害数が多くなるのもあるだろう
ヘリでまとまった数を一度に撤収させるのは難しいし
ヘリが接近できないくらい敵の防空能力が上がると苦しいな
劣勢状態なら不利になる兵器といえるかも
映像を見る限りやっぱ運動エネルギーや爆薬量的に戦車の正面装甲にはダメージを与えるのは難しいみたいだな
兵士は死亡させなくても負傷させるだけで・・・ってのと同じ理屈が兵器にも適用される時代になったのかも。
戦車の表面についてる電子機器の修理費だけでドローンより高くなりそうだし。
その理屈は従来からありますね。
機銃や小銃の集中射で外部視察装置や照準装置を損傷させる可能性もあるわけで、有効な対戦車兵器を持っていなくとも運が良ければ撃退できるかもしれません。
逃げることを含め他に手段が無ければ撃破不可能を承知で撃つことは昔からあって、一概に愚かで無駄な行為とも言えません。
修理可能な損害でも一時的に敵戦力を削ぐ効果はあります。
ロシアの兵器も流石に『無尽蔵』なわけはなく、
こんなハイブリッド兵器が爆誕。
(2M-3海上対空砲を装備したMT-LB)
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兵器に機能美を求めるのは間違っているとわかっていても、
私の目にはものすごく不格好に見えるんですが。。。