ウクライナ侵攻374日の戦況はクピャンスク方面、バフムート方面、アウディーイウカ方面で動きがあり、もうクレミンナ方面は膠着状態に近く目立った戦線の変化は観測されていない。
クピャンスク方面の戦況
クピャンスク方面はロシア軍がオスキル川東岸地域に足場を築くためドヴォリチネとフリャニキフカを制圧、現在はマシュティフカとシンキフカの周辺で両軍が交戦していると予想されているが、ロシア軍の前進はロシア側の情報源に基づいたもので視覚的に確認されているわけではない。
ただ、ウクライナ側の情報源も「前線が近づいてきたため当局はクピャンスク東岸地域に住む市民の部分的避難を開始した」と報告しており、ロシア側の「クピャンスクに向けてロシア軍部隊が前進している」という主張を裏付けているとも言えるが、まだ報告や視覚的な証拠が圧倒的に少ないので「大規模な攻勢」と呼べるものではないはずだ。
因みにクピャンスク方面に関するウクライナ軍参謀本部の発表も「クピャンスクに対する攻撃を撃退している」という大雑把な表現で、クピャンスク、ドヴォリチナ、ペトロパブリフカが砲撃を受けたとしか言及してない。
クレミンナ方面の戦況
クレミンナ方面はクレミンナからゼレベツ川の間の空間を巡って両軍がポジション争いを繰り広げているだけで、目立った戦線の変化は観測されていない。
ロシア側の情報源は「テルニーやトルスキーに向けてロシア軍が前進している」と主張しているが、これを裏付ける報告も視覚的な証拠もなく、ウクライナ軍参謀本部も毎日「ロシア軍によるリマン方面への攻撃は失敗に終わっている」という定型文を繰り返すだけだ。
同じようにウクライナ軍がクレミンナ解放のため前進しているという報告も特になく、盛んに「ウクライナ軍がクレミンナに向けて前進している」「クレミンナまであと数キロの地点にウクライナ軍が迫っている」と盛んに情報を発信していたルハンシク州のガイダイ知事も最近は何も言わなくなってしまった。
バフムート方面の戦況
バフムート方面はクロモヴェを越えたところに掛かる橋が破壊されたため、バフムートとチャシブ・ヤールを繋ぐ00506ルートによる効率的な車輌輸送が困難なり、恐らくイワニフスキーの裏に繋がる未舗装の農道ぽい道がバフムートにアクセスする最後のルートとなっている可能性が高い。
ウクライナ軍参謀本部は「オリホヴォ・ヴァシリフカ、フリホリフカ、ボダニフカ、イワニフスキー、ヴァシュキフカでロシア軍の攻撃を撃退した」と発表しており、バフムートに関しては「多数の攻撃を撃退した。敵は街を包囲する試みを続けている」と言及している。
クロモヴェ経由のアクセスはロシア軍が接近しすぎているため、橋破壊の有無に関わらず機能していなかった可能性があり、今後の焦点はイワニフスキーを守れるかどうかだろう。
アウディーイウカ方面の戦況
アウディーイウカ方面にも動きがあり、ウクライナ軍参謀本部が「アウディーイウカ、カムヤンカ、クラスノホリフカで攻撃を撃退した」と発表、特筆すべきはロシア側の情報源が言及していた「クラスノホリフカへの前進」がウクライナ軍側からも確認された点で、バフムートほど激しい戦闘ではないもののアウディーイウカの背後に回り込む試みは止まっていない。
アウディーイウカを包囲するには相当な戦力と時間を必要とするため、この地域の戦闘が激化するのはバフムートの戦いが終わってからになると思われる。
以上が、ウクライナ侵攻374日に観測された動きで個人的にはクピャンスク方面の戦況が気がかりだ。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
旧帝国軍はいたづらに包囲にこだわって負けがちだったが数さえ十分ならこんなに面倒なものはない。
>旧帝国軍はいたづらに包囲にこだわって負けがちだったが
どの作戦でしょう?
太平洋戦争の攻勢期で包囲に拘って負けたってありました?
フィリピンの残敵掃討戦の失敗?
まさか日露戦争の奉天会戦のことですか?
一応インパール作戦はそれにあたるかと。
まあ自分はネットの言説のようにインパール作戦の意図自体を否定するつもりは毛頭ありませんが。
クロモヴェを越えたところに掛かっていた橋は、9K720「イスカンデル」によって破壊されたみたいですね。
今後数日のうちに橋を修理するらしいです。
“Окупанти знищили міст, що з’єднує Бахмут і Часів Яр”
リンク
今回の戦争では橋がしばしば焦点になってるけど、91式戦車橋みたいなのはウ軍には無いの?
あっても使いずらいのでは?
破壊された橋の代わりとするなら出来る限り破壊された橋の側に架橋するべきですが、そうなるとロシア軍の攻撃範囲と言う事になりますし。
戦車橋はT72ベースのMTU72というのが開発されてます。
川を渡るのはソ連軍が先進的でして自衛隊の92式浮橋なんかはソ連軍が開発した浮き橋のパクリです。
ウクライナ軍は持ってると思います。
ロシアの場合、ウクライナ軍が都市部の要塞化を進めてるために都市の攻略で何度も辛酸舐めていて、大都市相手の場合は横や裏側に回り込んだり橋を落とすなりして補給を断って追い出すくらいしか攻略しようがないんだろうなと。
ソレダルでも結局町の両側に進出されたのが決め手なところあったぽいので。
昔ドイツがスターリングラードで味わったことを都市ごとに同じような目に味わわされているようなものだけど、最終的にどこまで戦力が保つのか…
バハムート近況はもう、、、。決着はついています。
チャシブ・ヤールは要塞化されたので、ここでワグネルの進撃を食い止める
つもりなのでしょう。ただウクライナ軍にとって大問題なのは、バハムート
北部全体の防衛ラインが崩壊していることなのですが。このままでは、
スリャビンスク・クラマトルスクの東部一帯が制圧されることになります。
クレミンナ・リマン方面は激しい戦闘が当面続き、クピャンスクのオスキル川
東岸はロシア軍がジワジワ侵蝕すると思います。
ウクライナが反撃できる地域は、ブーレダール・マウリンカ付近の抵抗と、
その西部オレホボ周辺でしょうか。この地域はウクライナ軍の最精鋭部隊が
残存しており、ロシアの攻勢を再三撃退しています。NATO各国で訓練を受けた
兵士がウクライナに戻ってくる春以降が、ここは決戦になるのでしょうね。
泥濘期に入ってきているのでほぼ全域で停滞する状況に陥るでしょうね
ロシア産原油の価格規制以降ロシア財政が急激に悪化しているのが気になるな
ウクライナを支援する陣営の経済力と比べるとロシア陣営の経済力は中国以外大したこと無いし
ロシア産原油やロシア債を買い支えられずにロシア債危機やルーブル危機から呆気ない幕切れになったりして
原油価格高騰で安いエネルギーが必要な中国やインドが買い上げている間は大丈夫では?
原油価格は一時に比べると大分下がってますよ
原油価格そのものが低迷してきており、その上、ロシア産の原油は中国やインドに3割引きで買い叩かれているので、いくら中国の購入量が増えていてもロシア財政は悪化するでしょうね。
原油もタダで掘れる訳ではなく、制裁でメンテナンスが難しくなってるロシアの原油採掘コストは上昇する一方なので、採算ラインも悪化してます。ちなみに2年ほど前に、ロシアのエネルギー庁が「このまま西側の技術を導入できず、新油田の開発が出来なければ、ロシア国内の油田の3分の2が赤字になる」と公表してました。
今後は、西側の代わりに中国がロシアの油田開発へ携わるようになるのでしょうね
資金については充分以上に出せるでしょうが、中国がリグの保守等の技術をどれだけ提供できるのか…
このまま、お互いが戦力の逐次投入になって、ロシア有利のまま膠着しそうな気がします。
どこかで急な攻勢というのは両国共に無理なのでは?
それこそ米英が直接空爆でもしないと、このまま進みそう。
ukrinform
>ウクライナのダニーロウ国家安全保障国防会議(NSDC)書記は2日、バフムートを巡る戦闘で、ロシア側はウクライナ防衛戦力の7倍兵力を失っていると発言した
ウクライナメディア発信だから
そのまま額面通り信じることはできない。
一部のウクライナ現地兵が死者が多すぎて
数えられないと言っているのだから
個人的にキルレシオ1:7が正しく集計された値とは思えないし
プロパガンダの為の欺瞞の可能性も十分にある。
ですが個人的に思うもう一つの可能性があります。
ウクライナ指導部はキルレシオ1:7を信じている可能性です。
そう考えるとゼレンスキー氏の発言やバフムト市街を
中々撤退しないことに符合します。
ウクライナ指導部の状況認識が戦況の良かった去年の11月までの
情報からUPDATEできていない可能性があると思います。
バフムト撤退しないことは
ロシアが意固地になっているからラッキーだと思い
お付き合いしているつもりなのかもしれません。
この仮説が正しいとすると
次に興味が出てくるのは
実際のキルレシオとキルレシオ1:7の差です。
実際のキルレシオが1:3以下だと
人口比から言って殴り合いの結果
最後に立っているのはロシアになってしまいます。
それに対し実際のキルレシオが1:5位ならウクライナの粘り勝ちの計算です。
仮定が正しいならば
どちらにせよ指導部の事実誤認なので
うれしくはないですが。
>ウクライナのダニーロウ国家安全保障国防会議(NSDC)書記は2日、バフムートを巡る戦闘で、ロシア側はウクライナ防衛戦力の7倍兵力を失っていると発言した
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