米国関連

2050年まで空を飛ぶB-52H、AESAレーダーへの換装作業が始まる

米空軍は30日「第307爆撃航空団のB-52はレーダー近代化の一環としてサン・アントニオにあるボーイングの施設に到着した。この機体の到着は大きな出来事で、我々が取り組んでいるB-52の近代化作業の中で重要な部分の始まりを告げるものだ」と発表した。

参考:U.S. Air Force kicks off Radar Modernization for B-52 Stratofortress fleet

管理人的には機内にUSBポートとLEDライトを新設する作業が一番気になっている

米空軍の爆撃機戦力はB-52H、B-1B、B-2Aで構成されているが、B-1BとB-2Aは開発中の新型のステルス爆撃機「B-21」で更新され、B-52HはP&W製TF33-P-3をロールス・ロイス製F130(BR700ベースのミリタリーバージョン)に換装して2050年まで現役に留まり、B-21と共に将来の爆撃機戦力を構成することが決まっている。

出典:Photo by 94th Airlift Wing

F130への換装プログラム(B-52 Commercial Engine Replacement Program=CERP)は現在、主翼へのエンジン搭載やコックピットの制御システムへの統合方法が開発中で、まだマイルストーンB(EMD移行の判断)にも達していないため、レーダーの近代化作業を先に進めるのかもしれない。

現行のB-52は1960年代の技術で開発されたAN/APQ-166を搭載しており、これをAN/APG-82ベースのAESAレーダーに換装する予定で、状況認識力、ナビゲーション能力、照準能力の大幅向上は勿論、今後追加する新機能もソフトウェアを修正するだけで実装できるようになり、将来の脅威に対する適応能力が高まると期待されているため「B-52の近代化作業の中で重要な部分の始まりを告げるもの」と表現しているのだろう。

出典:Rolls-Royce

因みにCERPのコストは当初予測よりも高価になる予定(今後5年間で2.2億ドルの追加資金を供給)で議会が警戒しており、マイルストーンBを通過すると正式なプログラム・ベースラインが確定し、CERPに供給される資金額が明確になるものの、ここからナン・マッカーディー条項の対象でプログラムコストの超過が25%以上になると「議会通知」や「説明責任」の義務し、50%以上になると議会はプログラムの中止を要求してくるため、マイルストーンBをしくじると非常にまずいことになる。

つまりマイルストーンBまでなら議会が煩くいってくることは少なく、F130への換装で目指していた30%の燃費向上も「20%程度」に下方修正されており、空軍は「燃費向上は契約上の重要な項目ではなく、最も重要なのは信頼性、メンテナンス性、統合の容易さだ」と主張して議会の追撃を振り切っているのが興味深い。

管理人的にはB-52HにUSBポートとLEDライトを新設する作業が一番気になっているのだが、、、続報がない。

関連記事:1960年代製造されたB-52HにUSBポートを新設? タブレットのバッテリー切れ問題解決へ
関連記事:米空軍、B-52Hの新型エンジンにロールス・ロイス製「F130」を採用すると発表
関連記事:2050年まで飛行可能に! 米空軍、爆撃機「B-52H」エンジン換装プログラム始動

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Zachary Wright

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コメント

    • Ard
    • 2023年 6月 02日

    その頃には最低機齢が87歳だったかな
    当然新しく開発したりB-21追加調達するより安いからこそなんだろうけど凄まじいよね…

    22
    • すえすえ
    • 2023年 6月 02日

    いやーほんとに
    長生きな機体だ

    いつまで飛ぶんだろう

    18
    • マサキ
    • 2023年 6月 02日

    B-52:俺達は
    M2ブローニング:生まれた時から
    C-130:そしてこれからも
    CH-47:完璧

    50
    • ななし
    • 2023年 6月 02日

    やっぱりボーイング
    100年飛んでも大丈夫!

    10
    • 567
    • 2023年 6月 02日

    俺とB-52、どちらが先にあの世に行くか勝手に勝負してたけど、
    俺の負けでした。

    46
      • よん
      • 2023年 6月 02日

      成仏してクレメンス

      58
    • shkk
    • 2023年 6月 02日

    USBポートは乗員が充電するために勝手に変な充電器を機内電源に取り付けられるのを防ぐためなの?と一瞬邪推しちゃった

    機内で仕事に使うタブレットとかがUSB電源のものが多いから取り付けるだけなんだろうけど

    2
    • TA
    • 2023年 6月 02日

    20世紀を代表する爆撃機なのだからB-20に改名してほしいw

    5
    • 2023年 6月 02日

    B-52の年間飛行時間って約380時間しかない。
    旅客機は年間飛行時間が4000〜4500 時間ぐらいなのでまぁ100年間保つのは当然だな。

    8
    • チェンバレン
    • 2023年 6月 02日

    新型機並みの高バイパス比エンジン搭載は諦めたけど、レーダーは豪華ですね
    隠密性ゼロの機体に状況認識能力もくそもない気はしますが….

    2
    • 戦略眼
    • 2023年 6月 02日

    AN/APG-82ベースのレーダーと空対空ミサイル積んだら、護衛機が要らないのではないかな。

      • チェンバレン
      • 2023年 6月 03日

      B-52のRCSがとんでもなく大きいので、いかに高性能レーダーといえど、さきに相手に捕捉され、攻撃を受けるリスクが高く、空対空戦闘は難しいかもしれません。

      1
        • バーナーキング
        • 2023年 6月 03日

        Su-27とかの高RCS機相手ならR37本体の射程の外でお互いに発見できそうだからLRAAMとかでアウトレンジできる可能性はあるんじゃないかな。コスパはさておき…

          • 名無し
          • 2023年 6月 04日

          ロシア系戦闘機は、インテークからエンジンが覗けるRCS的に不利な構成しているけど、
          インレットケーシング・ガイドベーン・スピナーにRAMを施し、エンジン前面部にレーダーブロッカー的な機能を付与する方向に進化しているみたい。
          Su27→Su35でRCSが数分の一に激減した様ですが、上記の効果も大きいでしょうね。

          レーダーブロッカーを別パーツではなく内蔵式にしているので、エンジン換装だけでRCSを軽減する可能性もありそう。
          ウクライナ侵攻で、そんな余力はロシアには無いでしょうが。

    • DEEPBLUE
    • 2023年 6月 03日

    >空軍は「燃費向上は契約上の重要な項目ではなく、最も重要なのは信頼性、メンテナンス性、統合の容易さだ」と主張して議会の追撃を振り切っているのが興味深い。

    どこぞの問題児にもその方針適用して欲しいですね・・・。既に稼働率低下してる最中に新型エンジンぶち込むとか

    2
    • daishi
    • 2023年 6月 03日

    今回のアップグレードでマイナーコードがB-52Jに変わる予定なので「JはJapanのJ」と勘違いしそうですよね。
    F-4Jはアメリカ海軍の機体ですし、三沢基地のF-16CJ/DJはアメリカ空軍の機体なので、アメリカ軍がJを自国の機体に割り当てることはあるのですが

    1
    • 58式素人
    • 2023年 6月 03日

    今のロシアがしている様に、自国領空から長射程ミサイルを撃つなら、
    爆撃機のRCSはあまり問題にならないのかな。逆に示威行為にはピッタリだったり。
    ただ積荷がミサイルだと、運ぶもののうち大部分が弾頭以外になってしまうから、
    ある意味不経済な気もします。
    そう考えると、B21などは、相手の支配空域に入ることが前提なのかな。
    見つからなければ、コスト的にずっと安いJDAMなどで同じ効果が得られるような。
    その辺りのソロバン勘定の結果かな、と思ったり。
    でも、ステルス技術をそんなに信頼しても良いのかな。
    目に見える以上、いずれは破られる技術とも思えるのだけど。

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