ボーイングは9月18日、米空軍向け「F-15EX」の最新動画をSNS上にアップし公開した。
ボーイングのF-15生産ラインの命運は米空軍に握っている
現在、米空軍はF-15の最新型「F-15EX」を2020年から5年間で、80機程度を調達する計画を持っており、2020年度の予算要求案に、8機のF-15EX導入費用(初期導入に関連する費用も含む)として、9億8600万ドル(約1,066億円)を要求していたが、最近、米議会上院の国防歳出小委員会は、この要求額を承認した。
あとは下院が予算支出を承認さえすれば、米空軍のF-15EX調達は現実のものになるが、下院には「F-35調達数を増やせ」と要求する下院議員99人による超党派グループが待ち受けているので、まだ安心は出来ない。
F-15EXを製造するボーイングは9月18日、同社のSNSに米空軍向け「F-15EX」の最新動画をアップし、次世代の技術(世界最速のコンピュター、(デジタル)フライ・バイ・ワイヤー制御、最先端の電子レーダー)をF-15EXは備えていることを示した。
World’s fastest computer ✔
Fly-by-wire controls ✔
Leading edge electronic radar ✔#F15EX brings next-gen tech to the @USAirForce fleet. #ASC19 pic.twitter.com/BJhY66KwRF— Boeing Defense (@BoeingDefense) September 17, 2019
これまでのボーイングの主張をまとめると、F-15EXは以下のような特徴を持っている。
F-15EXは、米空軍が抱える問題を解決するための「費用対効果が高く、すでに準備が完了している解決案」で、F-15EXは最大で29,500ポンド(約13.3t)の兵器を搭載し、空対空兵器を搭載できる12のハードポイントと、空対地兵器を搭載できる15のハードポイントで構成されている。
搭載された電子装置は、あらゆる脅威からF-15EXを保護し、敵の最新統合型防空システムに対抗することが可能で、最新のツインエンジンによって、比類のないスピードと加速力を提供でき、より迅速に目標へ到達することが出来る。
補足:最近、ゼネラル・エレクトリック社は同社のエンジン「F110-129」が、デジタル・フライ・バイ・ワイヤー制御のF-15EXに完璧に適合するとアピールし、サウジアラビア向けのF-15Sや、カタール向けのF-15QAに採用された実績を強調し、台湾向けのF-16Vにも「F110」が採用されていると付け加えた。
コックピットにはリアルタイムの戦場情報が表示され、パイロットの作業負荷を軽減し、意思決定のスピードをアップを助けるため、1秒あたり870億回の命令処理能力を持った世界最速のミッションコンピュータを搭載する予定だ。
そして米空軍は年間24機の戦闘機を「追加購入」する必要があり、F-15EXはこの追加購入を、最も迅速に、かつ手頃な価格で満たす「唯一の方法」であるとボーイングは説明している。
ここまで猛アピールされると、押し売り感からくる拒否感を突き抜け、もはや清々しとさえ感じてしまうのは管理人だけだろうか?
ボーイングは、2,000機以上の量産が確定している「統合打撃戦闘機計画」で、ロッキード・マーティンが提案した「X-35(のちのF-35の原型)」に敗れたため、ボーイングの戦闘機部門はF-15やF/A-18E/Fの生産に頼るしか無く、特にF-15は、中東地域からの受注分を生産してしまえば、もはや生産ラインの維持は難しく、米空軍がF-15EXを導入するかどうかに「命運」が掛かっているとも言える。
もしF-15の生産ラインが閉鎖された場合、最悪、ボーイングは戦闘機部門を売却する可能性があるため、米空軍もF-15EX導入に頭を悩ませているだろう。
※アイキャッチ画像の出典:ボーイング
ラインが閉じるとボーイングの戦闘機生産の再開は難しいだろう。
設備自体は買えば何とかなるだろうが、一度人や組織がバラバラになってノウハウが失われると小さい所で一々つまづいて現実味が失われる。人の技術も日々使ってないと数年で使い物にならなくなるし製造業は大変だ
再開の芽を残したいなら規模は小さくても良いから維持したいわな
結局、競争開発の負の側面が煮詰まってこびりついて出てきているという……
あれほど有ったアメリカ航空機メーカーも、もう数えるほどしか残っていない有り様で……
BoeingはF-16生産してはいない
Lockheed Martin の間違いでは…
A-10の主翼換装はしたが…
数の出るF-16とF-35持ってるロッキード・マーティンと比べて、ボーイングは高価で輸出許可の降りにくいF-15E系とE/A-18G、艦載機で空軍には不要な装備の多いF/A-18とアメリカ本国に依存する部分が大きいですからね。
アメリカ依存の戦略爆撃機はロックウェルから引き継いだB-1もB-21に持って行かれB-52の延命措置くらいしか仕事がないし、輸送機もC-17の製造ライン閉鎖でボーイングの軍用機はT-7A練習機と旅客機改造型しか残らない状況です。
T-7AはF-35が続く限り需要がありそうですが、戦闘機メーカーが1社しか残らないのはアメリカ軍としても避けたい状況ですが、次世代機の主契約を空軍と海軍で異なるメーカーにするのも出来レースでよろしくないでしょう
しかし、F-15EXの需要が80機程度ならば、初年度8機以後年24機製造で4年しかライン維持できない計算
それこそ我が国のF-3計画に土下座してでも滑り込んで技術者に仕事を与えないと、もう遠からずボーイングから戦闘機開発能力が失われるのは決定的では?
>T-7AはF-35が続く限り需要がありそう
アメリカ軍は、古い兵器をこれでもかと延命改修して使い続けるのが大好き(かは兎も角、現象としては間違いない。前任のT-38もそう)なので、最初の大量製造が終わったら後は細々とした延命維持の仕事しか残らないのでは?
>次世代機の主契約を空軍と海軍で異なるメーカーにする
国策で戦闘機開発メーカーを2社維持するつもりなら、各軍1機種しか採用しないのであれば絶対的に必要な政策かと
センチュリーシリーズよろしく、短期間に多種類の戦闘機を開発して採用のであれば其処までする必要は無いかもしれないですけど(それでも1社が全機種独占するのは不可としなければならない)
しばらくはT-38練習機から複座型のF-16やF-15、F-15E系で訓練してF-35シミュレータでF-35に機種転換でしょうが、F-35のFMS契約にT-7Aを混ぜ込んで認可する大技は考えられそうです。
F-35は全て単座なので、F-16複座型をV型に改修しない国では複座のグラスコックピット、FBW、サイドスティックの練習機であるT-7Aのニーズはありそうです。
湾岸戦争、イラク、ISISと近年の実戦は対地攻撃ばかりで、対空兵器の沈黙は2日ほどで終わります。そんななか、F15EXの3分の1も兵器を搭載せず移動能力が低いF35を使うのは無駄でしょう。F15EXで有ればF35が空港に4回近く戻る間にずっと爆撃し続けられます。速度も遥かに速いので更に作戦時間も短くなります。
燃費も作戦時間も短いのですから、同じ発着回数をもとにした単純な運用経費を元に語るのは間違いです。
湾岸戦争、イラク、ISISと近年の実戦は対地攻撃ばかりで、対空兵器の沈黙は2日ほどで終わります。そんななか、F15EXの3分の1も兵器を搭載せず移動能力が低いF35を使うのは無駄でしょう。F15EXで有ればF35が空港に4回近く戻る間にずっと爆撃し続けられます。速度も遥かに速いので更に作戦時間も短くなります。
燃費も作戦時間も短いのですから、同じ発着回数をもとにした単純な運用経費を元に語るのは間違いです。
自衛隊用に、近代改修よりも、こっちの方が良いのではないかと思ってしまう。