米国関連

ボーイングがF-15Eに対するアップグレードを開始、EPAWSS統合へ

ボーイングはF-15E搭載の「AN/ALQ-135D」をF-15EX搭載の「EPAWSS」へ換装する作業を開始したと21日に発表したが、EPAWSSへのアップグレードは217機→43機に削減された。

参考:Boeing Integrates Eagle Passive Active Warning and Survivability System onto U.S. Air Force F-15s

米空軍は全てF-15Eに対するEPAWSS搭載を見送った可能性が高く、EPAWSSの恩恵を受けられるのは43機のみ

従来の電子妨害システムは予めセットアップされた脅威にしか対応できないが、英BAEが開発した統合型電子妨害システム「Eagle Passive Active Warning and Survivability System=EPAWSS」は検出された未知の信号を機上で解析、その結果に基づきデジタル無線周波数メモリ(DRFM)やデジタル周波数技術ジェネレーターを駆使して敵に誤った情報を与え、脅威から自機を保護することが出来るAIと機械学習を応用したコグニティブタイプの統合型電子妨害システムだ。

デジタルステルスとも呼ばれる技術は第5世代機で出遅れた欧州を中心に開発が行われており、演習でF-15EXを検証した米空軍は「EPAWSSの能力は脅威から自機を保護するだけでなく、目標に接近する味方のF-35Aを支援することができ、当該機はAN/APG-81やAN/ASQ-239の能力を一切使用する必要がなかった」と高い評価を与えて注目を集めていたが、ボーイングは米空軍がF-15Eが搭載するのノースロップ・グラマン製「AN/ALQ-135D」をEPAWSSに換装する開始したと発表した。

ただ米空軍は保有する全てF-15E(217機)にEPAWSSを搭載する計画だったのだが、ボーイングは43機分の換装作業しか受注していないためEPAWSSへのアップグレードは大きく後退したと噂されている。

出典:Photo by Tech. Sgt. Jeffery Foster

恐らくF-15Eの平均機歳は29年以上なので「運用維持費の上昇(製造から15年経過すると機体のメンテナンスコストが毎年3%~7%づつ上昇)」と「性能の陳腐化」の問題のため、全てのF-15Eに対するEPAWSS換装(1機辺りの換装コストは1,570万ドル=約21億円)を見送ったのかもしれない。

因みに防衛省整備計画局長は国会答弁(2021年4月)で「F-15Jの改修機に採用予定だったAN/ALQ-239は部品が枯渇しているためEPAWSSに切り替えて調達することを検討中」と述べていたが、特に続報がないので「部品枯渇の対策経費を支払ってAN/ALQ-239を調達するのか」「EPAWSS調達に切り替えることが出来たのか」はよく分かっておらず、米国務省も「日本に対するEPAWSS売却の可能性の承認及び議会への通知」を発表していないのでAN/ALQ-239調達が維持されているのだろう。

追記:スペイン国防省が「ウクライナへのレオパルド2A4提供を発表した」と情報自体がフェイクだとの指摘があったので、当該記事を非公開にしました。

関連記事:次世代の統合型電子妨害システム「EPAWSS」を搭載するF-15EXが見せた新たな可能性
関連記事:防衛省、F-15J改修に電子戦装置とレーダーの部品枯渇対策経費が必要と認める

 

※アイキャッチ画像の出典:Photo by Staff Sgt. Taylor Drzazgowski

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コメント

    • 通りすがり
    • 2022年 7月 22日

    これってAAM-4Bのシーカーの変調みたいなのを無効化しちゃうって理解で良いのかな?
    だとしたらJNAAM君は、誕生前に既にアドバンテージ無くなっちゃうのね…

    英国は昔から暗号強いから、その延長だと考えるとBAEが開発ってのには納得感あるな
    テンペストに載っけるんだろうし、F3にも導入するのかね

    4
      • 原点にして頂点
      • 2022年 7月 22日

      EPAWSSはEWなのでMAWSとは関係ないから、AAM-4Bのシーカーの特殊な変調によるMAWSの無効化などを、無力化するわけではないと思います。
      役割が違いますから。

      ついでに指摘すると、JNAAMのシーカーの特徴は

      ・低RCS目標(ステルス目標)に対処するための様々な新技術の搭載。

      ・GaNのTRモジュール適用など、新技術の適用による探知性能の強化。

      ・AESAの適用。

      ・小型・高出力化の実現。

      ・目標検出能力の向上。

      ・クラッタ対処能力の向上。

      ・予測型目標検出処理による探知距離延伸。

      ・予測型誘導制御則による、誘導経路最適化。

      ・その他諸々の新技術。

      などが挙げられます。

      とまあ、かなり雑にまとめると、JNAAMのシーカーは「ステルス機絶対殺すマン」となるように設計されてるんで、アドバンテージが無くなることはないです。

      23
        • 通りすがり
        • 2022年 7月 22日

        正直、良くは分かんなかったけど
        少なくともAAM-4BやJNAAMのシーカーは以前有効そうなのは良かった

        2
        • RM
        • 2022年 7月 22日

        既存ステルス機に対しては有効なのでしょうが、デジタルステルスに対する有効性・優位性はまだ分からないのでは…

        2
      • ナイトアウル
      • 2022年 7月 22日

      変調した物を探知してそこにダミーデータ送っても、更に変調されているので効果があるのかは気になる。所詮ミサイル何で何処かに限界あるから特定のパターン見付けられて対応はされそうではある。

       仮にレーダーが駄目なら光学なり赤外線なり複合シーカー作られるだけじゃないかな。対レーダーに対して無敵なら少なくともこんな数にはならないんじゃないだろうか。

    • ラルフ
    • 2022年 7月 22日

    これでまたF-15JSIの改修に影響出て予算増えたり納入どんどん遅れたら洒落にならんぞ…最悪F-35か次期戦闘機でF-15全部入れ替えるしかないか

    4
      • hogehoge
      • 2022年 7月 22日

      JSI改修の価格高騰もですが、計画遅延の方が致命的ですね。
      これ全機改修終了するのって一体何時になるんでしょうか。未だ見通しすら出てきてませんし。

      9
      • あばばばば
      • 2022年 7月 22日

      pre-mispの交代はF-35ABで置き換えが既成で、次期戦闘機登場でF-2の置き換えを行うのは既成ですし、misp機も次期戦闘機で置き換えのほうが……。
      ただ次期戦闘機も十数年後に生産を始めても、年数機しか調達できないでしょうし、電子戦能力向上・レーダー更新・スタンドオフミサイルの搭載・ミサイル搭載数増加を諦めてでも、機体寿命の延長と計器デジタル化(ドライバーの乗り換えをスムーズする為)は死守するべきでしょう。

        • samo
        • 2022年 7月 22日

        とはいっても、F-15JMsipの置き換えを開始できるのは、F-2のあとになってしまうため、20年以上先の話になります。
        置き換えを完了できるのは30年はかかるでしょう。
        それまで、現在のF-15JMSIPの性能的な寿命が持つわけがないため、一定程度以上の改修は必須でしょう。

        F-15Eにしても、EPAWSSへの更新こそ縮小されているにしても、
        AN/APG-82(V)1やセントラルコンピューター等の換装は続けられ、AIM-120Dへの対応を急いでいる。
        あくまでもEPAWSSへの更新が縮小しただけで、近代化改修そのものをとりやめたわけではないし、必要性が否定されているでもない。

        11
      • samo
      • 2022年 7月 22日

      EPAWSSへの更新が見送られただけで、F-15Eの近代化改修は進められています。
      記事にある通り、日本F-15JはEPAWSSではなくDEWSでの更新が維持されているのであれば、尚更影響は少ないのでは?

      5
    • tarota
    • 2022年 7月 22日

    スマホみたいに修理するより適時新品に変える方が安上がりなんだろうか

    1
      • 名無しさん
      • 2022年 7月 23日

      メンテする為の設備や部品をずっと維持しないといけないので、「それなら新しいの作った方がええんちゃうか?」ってなるのがアメリカ式ですね。

      • hihi
      • 2022年 7月 23日

      近代化改修機の再改修はEPAWSSに変更されたと思って間違いないでしょう。各航空誌でもEPAWSSに変更された話が掲載されていましたから。議会の承認待ちなんじゃないんですか。

      1
    • ポン
    • 2022年 7月 22日

    米軍、無人機の開発も順調そうだし、ミサイルキャリアーとしてのF-15がどれだけ有用なんだろうぬ

    1
      • samo
      • 2022年 7月 22日

      たしかに、F-15Eは搭載量自慢だし、無人機と連携できるから、今後は更にキャリアー機として能力が高まる…って触れ込みは正しい。

      けれど無人機を使うなら、それこそ単一の航空機の搭載量の多さが利点になり辛くなって、アドバンテージとはいえなくなってくる。
      そもそも、キャリアー機がほしいならB-21でいいんじゃないの?になりそう

      F-15EXの評価、というかメッキ?がどんどん剥がれて言っている。
      もっとも、これは前から皆が指摘していたことばかりなんだけども

      8
        • tarota
        • 2022年 7月 22日

        第五世代戦闘機相手に戦うのは厳しいけど高速で飛んで長距離ミサイルぶっ放して帰るみたいな運用なら向いてると思う

        • 原点にして頂点
        • 2022年 7月 22日

        >そもそも、キャリアー機がほしいならB-21でいいんじゃないの?

        敵機を捕捉するにはB-21に搭載された火器管制レーダーを使用しなければならず、自ら電波を出すということはステルス性を損なうことにも繋がるため、あまり褒められた話ではないと思いますよ。
        B-21は戦闘機の比ではないくらいに高価ですので、B-21の最大の強み(=ステルス性)を殺すような超高リスクな任務には投入されないと思います。

        >無人機と連携できるから

        F-15Eでは無人機との連携は不可能ですし、無人機との連携能力を付与される予定もないですね。
        F-15EXであっても、現時点では無人機との連携能力は持ちません。
        ただF-15EXに関して、近い将来無人機を運用する能力が付与される可能性があると報じられています。
        つまり、無人機との連携能力は現時点では持ちませんが、「将来」に付与される「可能性」はあります。

        1
          • samo
          • 2022年 7月 23日

          >火器管制レーダーを使用しなければならず
          大昔のセミアクティブミサイルじゃあるまいし、そんなもの別に必須じゃないですよ
          今のAWACS支援下でのミサイルは、位置情報をAWACSからの指令をもらい、その座標に向かって、アクティブホーミングによるミサイル攻撃です。
          発射母機の火器管制レーダーなんてつかってないですね

          >F-15EXであっても、現時点では無人機との連携能力は持ちません
          ボーイング側は構想に入ってますよ。
          ロイヤルウィングマンのF-15EXとのプロモーション活動やってますね

          2
            • バーナーキング
            • 2022年 7月 25日

            > 現時点では

            に対して「構想に入ってます」ってのは反論になるんでしょうか…

            • 原点にして頂点
            • 2022年 7月 25日

            返信が来ていたことに気づかず、返信が遅れました。
            失礼ながら、大きな誤解をされているかと。

            >大昔のセミアクティブミサイルじゃあるまいし、そんなもの別に必須じゃないですよ

            いいえ、最新のミサイルであっても重要です。

            現時点でのミサイルは「ミサイルが発射されてからミサイル搭載シーカーが目標を捕らえる(Lock-on)まで」の初期~中間段階の誘導では、慣性誘導と指令誘導が併用されることが多いです。

            上記の誘導方式を用いる代表的な例として、日本のAAM-4シリーズやアメリカのAIM-120シリーズなどがあります。

            指令誘導とは、移動する目標を母機などのレーダーなどで追尾し、ミサイルに進行方向の指令を送って、最終的にミサイル搭載シーカーが目標を検知するところまでミサイルを誘導させる方法です。

            つまり、初期から中間誘導は発射母機からの指令誘導が必要ですので、母機の火器管制レーダーで目標を捕捉する必要があります。

            >今のAWACS支援下でのミサイルは、位置情報をAWACSからの指令をもらい、その座標に向かって、アクティブホーミングによるミサイル攻撃です。

            これも間違いです。

            現時点での最新式のミサイルであっても、ミサイルの誘導をAWACSへ委託することはできません。

            そして前述した通り、アクティブ・レーダー・ホーミングへと切り替わるまでは誘導が必要です。

            ついでに指摘すると、アメリカのAIM-120などをはじめとする多くのミサイルは、指令送信波は火器管制レーダー波に重畳させるため、この観点からも火器管制レーダーの使用は必須です。

            日本が開発したAAM-4シリーズは、指令送信波を火器管制レーダー波に重畳させないため、指令誘導のためには火器管制レーダーは使用しませんけどね。

            >発射母機の火器管制レーダーなんてつかってないですね

            上記の通り、使ってますね。

            なお、日本が開発中の次期戦闘機では話が変わります。

            日本の次期戦闘機では、センサーとシューターの分離なども実現します。

            >ボーイング側は構想に入ってますよ。

            つまりは現時点で実現していませんよね。

          • samo
          • 2022年 7月 24日

          F-15EXのチーミングについてはこちらがソースになります。
          ボーイングはF-15EXとF/A-18EFをチーミング母機とする考えです。
          デタラメ書かないようにお願いします。

          リンク

          1
            • 原点にして頂点
            • 2022年 7月 26日

            ですからそのソース記事にもF-15EXに無人機と連携する能力が現時点で備わっているとは一言も書かれていませんよね。

            そのソース記事に書いてあるのは、

            >Boeing [BA] believes its F-15EX could carry and employ drones from conformal tech bays that would take the place of conformal fuel tanks on the plane.

            ボーイング社 [BA] は、同社の F-15EX が、機体のコンフォーマル燃料タンクの代わりとなるコンフォーマル・テック・ベイから、ドローンを搭載して使用することができると考えています。

            ということだけです。

            つまりは「現時点ではF-15EXは無人機との連携能力を持ちません。」という内容のコメントを否定するものではないです。

            そのソース記事の要点は「あくまでボーイング社は上記のように考えてるよ」のただ一つだけです。

            前のコメントでは

            >ただF-15EXに関して、近い将来無人機を運用する能力が付与される可能性があると報じられています。
            つまり、無人機との連携能力は現時点では持ちませんが、「将来」に付与される「可能性」はあります。

            と述べましたが、これはソース記事の内容に反するものではありませんよね。

    • 干物
    • 2022年 7月 22日

    延命を含む改修費はF-15EXを一機削減するだけで2、3機分は確保できそうですけどね…

    1
    • 名無し
    • 2022年 7月 23日

    結局F-15JSIに載せる予定のDEWSとこのEPAWSSって何が違うのかよく分からない

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