米陸軍戦闘能力開発司令部(CCDC)は10日、1キル15万ドル以下を実現させる新しい地対空ミサイルの試射に成功したと明かした。
参考:CCDC Aviation & Missile Center
迎撃コストの逆ザヤ状態を解消する可能性を秘めた米陸軍の新しい地対空ミサイル
現在、世界中の軍隊が直面している問題は中高度を飛行する無人航空機(UAV)からの精密攻撃で、この種の攻撃は既存の防空システムでは対応が難しいという技術的ギャップと迎撃するための費用が課題となっており、今だに有効な対応策の実用化に至っていないのが現実だ。
もっとわかり易く説明すると精密誘導兵器を搭載して中高度を飛行するUAVの代表格と言えるトルコの「バイラクタルTB2」は短距離防空ミサイルに分類されるスティンガーや機関砲が届かない高度5,000m以上を飛行するため、この高度の防空を担当するパトリオットの射程から漏れた部隊にとって致命的な脅威となる。

出典:Bayhaluk / CC BY-SA 4.0 バイラクタルTB1
特にパトリオットは射点を移動することは出来ても、移動中に迎撃を行うことは不可能で戦線の移動が激しい戦いなれば前線の部隊を全てパトリオットで保護するのは難しく、ここに既存の防空システムの空白が生じるため中高度を飛行するUAVが脅威なのだが、日本のように拠点防衛に専念するなら防空システムの空白は発生しにくいのかもしれない。
しかし今度は迎撃コストが割りに合わないという問題に直面する。
中高度を飛行するUAVにはMQ-9リーパー(1,500万ドル~3,000万ドル)ような上級グレード、バイラクタルTB2(500万ドル以下)のような中間グレード、中国製UAVの翼竜シリーズや彩虹シリーズのように100万ドル前後の安価なグレードがあり最も遭遇する可能性が高いのはコストの安い順だ。
これを現時点で迎撃可能なのはパトリオットシステムなのだが、使用する迎撃弾「PAC-3MSE」のコストは300万ドル(約3.2億円)以上もする。特にトルコ製UAVや中国製UAVは海外市場で人気が高く売れれば売れるほど量産が進み製造コストが下がるため、現在の状況を放置すれば迎撃コストの逆ザヤ状態はますます悪化していくだろう。
. @CCDC_AvMC completes successful LowerAD flight test. LowerAD, @USArmy S&T project, is developing an affordable interceptor intended to fill capability gap between short range man-portable air defense systems & #Patriot high performance interceptors. @armyfutures #WeAreAvMC pic.twitter.com/9sBDDeOEnS
— CCDC Aviation & Missile Center (@CCDC_AvMC) November 9, 2020
この問題を解消するため米陸軍は現在、Low-Cost Extended Range Air Defense (LOWER-AD) と呼ばれる低コストの新型迎撃弾開発を進めており、スティンガー(有効射程5km/有効高射4km)よりも広範囲(有効射程25km以上/有効高射不明)をカバーすることが可能で固定翼機、回転翼機、巡航ミサイル、UAV、ロケット弾の迎撃を1キル15万ドル(約1,600万円)以下を実現させることを狙っている。
補足:UAVと迎撃コストの逆ザヤ状態についてはロシアも問題視しており、近距離防空システム「9K330トール」で使用する低コストな誘導ミサイルを開発中で、最近S-400に小型で低コストな迎撃弾を統合したというニュースも報じられいる。
要するに米陸軍戦闘能力開発司令部(CCDC)が発表した試射成功はLOWER-AD(プロトタイプ)のことで、低コストの地対空ミサイル開発が順調に進んでいることを伺わせるのだが、LOWER-ADについては謎が多く開発企業も開発スケジュールも伏せられており、このまま実用化させるのかも不明だ。
ただ米陸軍戦闘能力開発司令部は「LOWER-ADで開発された迎撃弾はパトリオットと近距離防空システムの間に生じている重大なギャップを埋めることができる」と主張しているため、研究目的ではなく実用化する方向で動いているのではないかだろうか?
日本の場合、国産地対空誘導弾のコストが不明なためUAVの迎撃コストが逆ザヤ状態になっているのか不明だが、国産防衛装備品の高コスト体質を考慮するとロシアや米国と同じ問題に直面しているのではないかと管理人は思っている。
※アイキャッチ画像の出典:米陸軍戦闘能力開発司令部
なんだが第二次大戦の高射砲+VT信管砲弾みたいなシステムを現代風にしたほうが早い気も?
防弾化されておらず、繊細なセンサー搭載のUAVが対象ならば、亜音速・10000m以下の高度なら直撃しなくても破片を散布する砲弾で通用する気がする。でも色々と難しいのかな・・・。
8.8cm FlaK を現代のレーダーその他システムに統合してみるとかね。
実用性とか実現性は置いておいてロマンはあふれてる。
03シィのミサイルは高高度を高マッハで飛ぶ目標を撃墜するためにロケットも誘導装置も高価になっている、1万m以下を500Kmで飛ぶ安価な目標に合わせて簡易化したミサイルを03式に随伴させるのが正解だろう。
或いは対空レーダーと10式のC4Iを連携させ車体と主砲を最大迎角でVT信管弾を撃てば数十キロ先まで撃範囲になる。
8.8cm FlaKなんかより国産の60口径10センチ砲と言う優れた兵器があったよ
秋月型に連装で積まれていた砲ね
ロマンならこれかな?ロシア152mm連装自走砲(2010年キャンセル)Russian 2S35 Coalition SV Self-Propelled Howitzerこいつを対空にも使えれば・・16rpmで何が出来る?
リンク
欲しい物の要件は高度10km以上を飛ぶ無人攻撃機を撃墜できる射程30kmクラスの安いミサイルだと思うから、高射砲程度では届かないのでは?
五式十五糎高射砲なら19km付近まで届いたらしいが、そのクラスの高射砲は車両で動かせるのか?
一番簡単な方法はMk-45両用砲のシステムを陸に上げることだろうけど
まさかオトマティック自走対空砲復活か!?
今更だけど米軍は基本的に空軍機・海軍機による圧倒的な制空権が常にあるから、この手の防空兵器はあんまり充実していなかったな。つか、する必要が無かった。
前に見たアフガン戦争の映画で、アメリカ兵が「空は我々のもの」みたいな事を言い、B-52呼んでタリバンを蹴散らしててスゲーと思った。
自衛隊は電場氏やレーザーの開発をしているし逆ザヤにはならないのでは?
同じ事は米軍も開発してるのに低コストの迎撃ミサイルを開発する意味を考えると、レーザーはまだ実用化に時間がかかる上、上空7000mを飛行する飛行物体を地上から迎撃するのは難しいのだろう。
電波妨害は対抗手段を開発しあうイタチごっこ状態なので100%の効果があるとは保証できない。
だから迎撃手段の多重化がキモなんじゃないのかな
ロシア「クラスハ4ならぬクラスハ5作るか」
バイラクタルを引き合いに出すってことは、それだけトルコのドローン兵器・戦術を評価していると同時にもうトルコが反米化してアメリカと対峙するコースも視野に入ってそう。
今のトルコはいつどの陣営に喧嘩を売るか分かったもんじゃないからなぁ
一応ナゴルノカラバフのケリが着いたし、次はシリアかギリシャか?
地震があったから、しばらく無理だと思う。
被害大きかったらしい。
確か震源地はギリシャ側の島だったが被害の大半はトルコ側で、周辺国からも昨今の狂犬ぶりのツケで実質ざまぁw扱い。
ナゴルノカラバフが停戦したのも要衝陥落&もうアルメニアに余力が無いのも本当だが、アゼルバイジャンの背後のトルコの地震被害もデカそう。
陸軍の歩兵機械化師団にとっては、このようなミサイルは望まれることだと思う。ドローンは戦争の仕方を確実に変化させているので、各兵器の費用対効果を再考するのは当然の流れかな。個人的に陸海空共に電磁パルス兵器などでドローンを無力化出来ないか、ドローンを操る術の衛生を排除する。陸軍は小隊単位で電波なりをジャミングできる装備を配置するとか、勝手な想像したけど
ドローンを戦力化している国とっては安価な兵器で、敵の兵力にダメージを与えのは確実なので、アメリカや自衛隊でも陸上の貧弱な歩兵部隊がターゲットになる前に
まだまだやれることは沢山あると思う。
これは、これは、
ホラエモンロケット?
ヘイトロケットマンはマスクを着けて餃子屋に謝罪汁!
15万ドルかぁ。バイラクタルTB2相手だと11式短SAM辺りが相当すると思うんだけど、弾体単価はどんなもんなんだろう?
そ低空の自爆徘徊型ドローンの方も対策しないと。実際アルメニアの防空陣地もコイツとバイラクタルのコンボで崩壊させられた。
陸自の対空戦闘式統制システムⅠ/Ⅱ/Ⅲ型は高空〜低空までの航空機、CM、対レーダーミサイルは勿論
低速のドローンや攻撃ヘリまで想定し山岳地帯での運用にも対応しているのでアルメニアのケースは当て嵌まらないかと。
今年の防衛予算に盛り込まれた携SAMベースでの基地防空用地対空誘導弾(改)と新近SAMの開発がまさにそれらの対策用。
自爆ドローンや超低空を飛来する巡航ミサイルに敵機が投下した爆弾などをCIWSやRAMのように迎撃するつもりらしい。
日本は03式SAM(改)で対CLMを含むエリア防空(射程50km)システムの配備を進めています。
米における試射では100%の命中率を達成したとされ、性能的に現状でバイラクタルTB2クラスUAVへの対処能力を持ちます。
ユニット単価はペィトリオットPAC-2システムの約半額程度らしいですが、ミサイル本体の調達単価ははっきりしません。
低価格攻撃型UAVへの迎撃装備として逆ザヤになるかは不明ですが、CLM撃墜も任務に含むことから、もとより目的優先でコスパ重視ではないと思われます。
後継装備はネットワークSAMとして研究開発が行われていますので、現時点ではUAV対処目的だけでコスパ優先に方針転換はしないのでは。
米のLOWER-ADが目論見通りの成功を収め、補完的な意味が認められれば導入が検討されるかもしれません。
大きな違いじゃないが記事の高射は→射高だと思う。
無人機は結局はネットで捕獲するか、無人機を体当たりさせるか、機銃で撃つのが低コストに見えるな。
>無人機を体当たりさせる
つまるところミサイルでは?
米軍も無人機に安価なミサイル大量に積んで飽和攻撃する時代になるのでしょうかね。
恐らくIM-SHORADのヘルファイアミサイルを将来これに換装する腹積りなんでしょうね。
迎撃は、無誘導砲弾か、レーザーにしないと割に合わなくなると思う。
ドローンや無人機の価格破壊がこれから起こるが、ミサイルの低価格化は追いつかないだろうから。
テクノロジーと経済性はつねに一体なんだと理解しないと軍備は語れないよ
いっそパトリオットを撃ちまくり、生産しまくりでコストを下げてはどうか
核戦争による電子パルス対策をやめて民生品を使用すればだいぶ安価になるとは思うんだが
イスラエルなんかはドローンといえども自国が核使うの前提でパルス対策してそうだな。
結局は対ドローン迎撃ドローンに落ち着きそう
日本はこれまで高出力のレーザー兵器を開発中ですが、来年から低高度のドローンを想定した近距離用レーザーを開発するとのこと
防衛装備庁はミサイルやドローンはレーザーで何とかしようと考えているのでしょうかね
迎撃対象が近距離てことは自爆型UAVやASMへの対処が前提になるてことです。
ただし走行中或いは停止直後の運用が出来なければ狭い範囲の拠点防空に用途が限られます。
遠距離からの攻撃能力を持つUAV本体を戦域から掃討しようとすれば、相応の射程を持つ中・長距離SAM等が必要になる理屈です。
近距離迎撃で自爆型UAVやASMに対処できれば良いなら、高精度の対空機関砲システムや短距離SAMでも有効なわけで、性能的に十分なら、インドが導入を再決定したK30にも意味があるてことになるかと。
K-30ではドローンが積んでいるミサイルの方が射程が長いから無力。
よく読んでコメを願います。
近距離で自爆UAVやASMを阻止するのが目的ならK30にも意味があるという主旨です。
しょうもない疑問なんだけどアクティブ防護システムを上空に向けてたら
自爆ドローンとかハードキルできたりするのかな
しょうもないことないよ、そういう技術的検討もとっくに始まってるはず
安価な兵器から高価な兵器を守るのは、それこそ魚雷から戦艦を守るために駆逐艦が生まれたのと同じだから
トップアタックミサイルに対応したシステムなら全方位に可能な理屈ですね。
ただし迎撃距離が極端に短いので周辺含め被害を完全に免れるかは疑問があります。
ドローンにスティンガー積めば良くね
簡単な方法があります。
ドローンを禁止してしまえばよい。
毒ガスは、非人道的という名目で唾棄すべき存在となっていますが、実際は、使用コストは安く、防御コストが高い、ので禁止とされたと聞きます。
同様に、ドローンは無差別破壊とPRし、唾棄すべき存在、禁止しようにもっていけば完了です。
明らかに標的を選択しているドローンをそんな名目で禁止できるなら、無誘導兵器は全面禁止だなw
その内、行動中の敵ドローンを監視して電波発信源に向かって一直線に特攻する対ドローン用自爆ドローンとか生まれそう。
対空ミサイルと対空型自爆ドローンの境目が分からないけど、コスト重視なら高亜音速対空戦闘自爆ドローンとかという方向もあるのじゃないだろうか。樹脂成形のドンガラにロケットモーターと操舵系、センサーと弾頭詰め込んで飛ばそう。
高価なEOセンサーなしのIIRセンサーと破片型弾頭搭載ドローンなら価格比較優位を取れそうな。