米国関連

ボーイング、F/A-18E/F BlockⅢのプロトタイプが初飛行に成功

ボーイングは6月4日、完成したF/A-18E/F BlockⅢのプロトタイプによる初飛行を実施して無事成功したと明らかにした。

参考:Block III Super Hornet conducts maiden sortie

新型のスーパーホーネットが初飛行に成功、次は海軍パイロットによる空母適合テスト

今回初飛行を行ったF/A-18E/F BlockⅢはBlockⅡと比較して機体寿命の延長(計9,000時間+)、コンフォーマル・フューエル・タンクの追加、IRST(赤外線捜索追尾システム)を組み込んだ増槽や推力向上型のF414-GE-EPE(26,400ポンド)の採用、コックピットディスプレーや大容量のデータを送受信を可能にするためネットワーク機能の追加、LO塗装による低認識性の向上などが盛り込まれた新型のスーパーホーネットだ。

既にF/A-18E/F BlockⅡの調達は終了しているため、米海軍は2021年から2024年までにBlockⅢを最大78機(E型61機+F型17機)調達すること計画しているが、BlockⅢ調達を打ち切って予算を次世代戦闘機「F/A-XX」開発プログラムに回す案も検討中なのでBlockⅢが置かれた状況は非常に流動的だと言える。

出典:U.S. Navy photo by Chief Mass Communication Specialist Shannon E. Renfroe

一方で米海軍は次世代戦闘機「F/A-XX」を新規に開発するだけの予算的余裕が無いのでF/A-XXはF-35Cをベースにした改良機になるだろうという主張もあり、そうなると海軍航空隊の戦力構成はF-35CベースのF/A-XXが半分、残り半分はF-35Cもしくは改良を重ねたF/A-18E/Fとなるため引き続きF/A-18E/Fの調達や能力向上を続けなければならないという説まで登場した。

果たしてF/A-18E/Fに未来があるのか、それともレガシーホーネット登場から数えて計42年の歴史に幕を下ろすことになるのか今の所は不明だが、ボーイングはF/A-18E/F BlockⅢのプロトタイプを数週間以内に米海軍へ引き渡すと発表しており、同機は米海軍のパイロットによって空母適合テストが行われる予定だ。

間違っても、ここでコケる事がないことを祈っている。

関連記事:新規開発?F-35Cの改良機?米海軍が選択を迫られる次世代戦闘機の行方

 

※アイキャッチ画像の出典:ボーイングが公開したYouTube動画のスクリーンショット

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 6月 12日

    海軍におけるF-35Cの位置付けは、どういうものなのだろう。
    要らないのかな。

      • 匿名
      • 2020年 6月 12日

      ちゃんと記事を読みましょう

        • 匿名
        • 2020年 6月 12日

        こういう使い方をするという記事が無いからね。
        何となく、F-35改Cで空母は一杯になるが、運用はどうなるのだろか?

    • 匿名
    • 2020年 6月 12日

    F14みたいな大型制空双発機が欲しいんじゃね

    • 匿名
    • 2020年 6月 12日

    F-111Bの時ほどではないにせよ

    “3軍統合開発なんてとてつもない悪夢だった”

    というのが正直なところじゃないか?
    自分だけでやるより、早くできたわけでもやすくなったわけでも
    使いやすく(艦載機として)なったわけでもないのだから

      • 匿名
      • 2020年 6月 12日

      結局Cってアメリカ以外採用国ありましたっけ?

        • 匿名
        • 2020年 6月 12日

        今のところ、無し。

        • 匿名
        • 2020年 6月 12日

        航続力が欲しいオーストラリアが一時期C型を検討したらしいけど結局A型になったそうな。
        自由陣営でCTOL空母持ってる国がアメリカとフランスしかないし、余程特殊な事情でC型じゃないと困るってのでなければ売れる要素皆無ですな。

          • 匿名
          • 2020年 6月 13日

          メーカも自国にしか需要が無い艦載機は作りたがらないのでは。F-18の頃はまだ双発機に対する信頼性みたいなものがあったが。米海軍は独自に機体が欲しいようだけど、もう派生型でいくしかないかも。

          • 匿名
          • 2020年 6月 13日

          改めてF-35AとF-35Cのスペックを比較したのだけど

          • 匿名
          • 2020年 6月 13日

          F-35AとF-35Cのスペックを改めて比較してみました。

          空虚重量や機内燃料重量でF-35Cが大きく勝るのに、ペイロードや最大離陸重量は同じですか。
          実用上差は出にくいかもしれませんが、燃料を除く搭載量の上限で見劣りしそう。
          あと発揮する機会は少ないかもしれませんが、荷重制限もF-35Cが劣ると。
          機内燃料重量で差がある割に、行動半径の差が乏しいのは疑問ですが。

          CTOL空母での運用を除外すると、スペック面でF-35Cのメリットは無さそうですね。

    • 匿名
    • 2020年 6月 12日

    エンジン推力を20%向上させたF414-GE-EPE搭載は大きな進歩と思います。
    F-35Cとの役割分担はどうなるか興味があります。
    F-35Cのセンサーで得た情報を後続僚機へ伝送し、F/A-18E/Fを後方のミサイルキャリアとして活用する方向性であれば、BlockⅢの改修(エンジン出力向上、データリンクの近代化)は理にかなっていると思います。

      • 匿名
      • 2020年 6月 12日

      >エンジン推力を20%向上させたF414-GE-EPE搭載は大きな進歩と思います。

      直径約1mで147 kNのXF9-1に比べて、直径約0.9mで120kNのF414-GE-EPE。
      単位面積あたりの出力は概ね同等ですね。
      これもハイパワー・スリム・エンジンと呼んで良いような気がします。

        • 匿名
        • 2020年 6月 12日

        EPEは日本カーボンの炭化ケイ素繊維であるハイニカロンつかってるから近いレベルになるわね。
        スネクマもハイニカロン使えるのでフランスはFCASのエンジン開発でドイツと揉めるくらい強気だった。
        日本は戦略物資を囲い込むシステムが対米において無いと言っていいのがなんとも・・。

          • 匿名
          • 2020年 6月 13日

          >日本は戦略物資を囲い込むシステムが対米において無いと言っていいのがなんとも・・。

          日本は(兵器グレードの)戦略物資を持っているのに本当勿体ないですね。

          次世代戦闘機用エンジンはほぼアメリカ/イギリス/フランス/ロシアが独占することになると見ています。中でも西側製のエンジンは日本製の素材が無いと作れないとなったら、アメリカと同様、敵対国に戦闘機を売れない契約といった戦略も取れると推察します。
          それには他の追随を許さない技術があることと、発言力が重要になるかと。

    • 匿名
    • 2020年 6月 12日

    「タリバン相手にステルス機はいらねー」じゃないの?>存在意義
    空軍だって似たことをいってF-15EX推してる勢力がいるわけで
    正規戦だって中露のなんちゃってステルスなデカブツ相手にはひけをとらんでしょう

    • 匿名
    • 2020年 6月 12日

    要撃空爆何でもござれの元祖マルチロール機スパホの集大成。

    どうせなら米海軍だけで無く破格の安さで海外に売りまくって同じ系列のエンジンを使う何年か後に登場する某自称第5世代戦闘機の市場を根こそぎ刈り取って欲しい。

    2
    • 匿名
    • 2020年 6月 12日

    F-17はクリーンなスタイルだったがF7A-18になってからはごてごてと厚化粧のお局様みたいなF/Aになってしまった気がする。
    空力が悪くなってそれをパワーで無理やり飛ばすから加速も燃費も悪いが、今のアメリカ海軍にとって唯一使える双発機だからこれを使い続けるしかないのがかなしいところ。
    F-35Cなんて作らずに双発の艦載機を設計していたら、今よりはるかにマシな状況になっていただろう。
    今となってはF/A-XX開発のための予算や設計能力が足りなくなってきている、タイミングって大事だね。

    1
      • 匿名
      • 2020年 6月 12日

      要望を統合して各国で分散投資すれば規模の経済で安くもなるとかいう皮算用。
      みごとに裏目に出ましたねえ。

      1
    • 匿名
    • 2020年 6月 12日

    アメリカは分裂が始まったからもう軍拡してる余裕なんかない
    アメリカの誇る軍産複合体ももうオシマイ
    EUも自己同着した白人的倫理観と難民の群れで沈んで浮かび上がれない

    今後は世界の武器工場として中国と韓国の地位が一層高まっていくだろうね

      • 匿名
      • 2020年 6月 12日

      AESSレーダーや戦車のパワーパックも自国で作れない国が世界の武器工場を自称w

      世界の武器の下請け工場にもなれまいに。

      1
        • 匿名
        • 2020年 6月 12日

        訂正、AESAレーダーでした。

        1
        • 匿名
        • 2020年 6月 12日

        世界に誇る黒豹くんがあるから……。

    • 匿名
    • 2020年 6月 12日

    この緑っぽいのがLO塗装でしょうか?
    何かこう、野暮ったい感じで、ちょっと。
    もっといい感じの無いのですかね?

      • 匿名
      • 2020年 6月 13日

      この迷彩ダクトテープ貼ってるみたいで格好良くはないですねw

      • 匿名
      • 2020年 6月 13日

      緑っぽいのは仮の塗装だよ。工場で組み立てている時は仮の塗装がされていて、納入先に引き渡す時に塗装するはず
      本塗装ではレドームや翼前部にあるグレーの色になるはず

        • 匿名
        • 2020年 6月 16日

        ありがとうございます。
        養生テープみたいな色、仮塗装だったのですか。
        ホッとしました。

    • 匿名
    • 2020年 6月 13日

    なんかボーイングはマグドネルダグラスの末期に似てきたな。民間機部門がこけ、軍用機も旅客機改造ではない、それも完全新造なんてはるか昔。
     こうして実機ができて初飛行している分だけまだマシだが。

    1
    • 匿名
    • 2020年 6月 13日

    対中対峙が本格化している環境下で、
    リターナビリティーという点から観ると、
    ステルス性こそないも、スパホ・ブロック3は、
    窮状ボーイングを応援する意思を示すことも併せて、
    値段が安く、よい買い物だと思う。

    1
    • 匿名
    • 2020年 6月 13日

    IRST使い捨てなん?

    1
      • 匿名
      • 2020年 6月 15日

      最近は増槽はほぼ投棄しないそうです

        • 匿名
        • 2020年 6月 16日

        気が付いたらそんな感じですが、何時からなのかな?

    • 匿名
    • 2020年 6月 14日

    改良を重ねタイフーンやラファールと比較しても遜色無いスペック。

    このままフェードアウトしてしまうには惜しいけど何処かの国が採用する可能性は無いのだろうか?

    1
    • 匿名
    • 2020年 6月 16日

    今更ですが、F/A-18はブレンデッドウィングボディを未採用ですよね。
    第4世代機や第4.5世代機で、同様にブレンデッドウィングボディを採り入れていない戦闘機って、他に在るでしょうか?

    • 匿名
    • 2021年 2月 20日

    F/A-18H/Iでええんとちゃう

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