米メディア「Breaking Defense」は2日、ラフェエルの発表した新型ミサイル「SEA BREAKER/シーブレーカー」が米海軍の沿海域戦闘艦と無人水上艦の主要武器システムに提供されると報じて注目を集めている。
参考:Israelis To Offer US Long-Range Naval Strike Missile: Sea Breaker
シーブレーカーはハープーンに競り勝ち採用されたNSMよりも性能が良く圧倒的に調達コストが安い
ラフェエルが発表した新型ミサイル「SEA BREAKER/シーブレーカー」はシースキミングや地上追従飛行に対応、300km離れた目標に対する正確な奇襲攻撃を実行することができ「フリゲート艦サイズの艦艇ならシーブレーカー1発で無力化することが出来る」と説明して多くの注目を関心を集めているのだが、米メディア「Breaking Defense」はシーブレーカーの性能や展望についてイスラエルの防衛関係者に取材を行っている。
匿名を条件に取材に応じた複数の防衛関係者の話を要約すると「シーブレーカー」は米海軍が使用している類似したミサイルより性能が優れており、この違いを生んでいるのは「AIと他の技術の組み合わせ」だと主張してシーブレーカーは目標が静止していても回避しようとしても優れた効果を発揮するらしい。
さらにシーブレーカーを構成する技術は新規開発ではなく「既存の兵器に組み込まれ実戦で実証されたものを流用している」ため類似した性能の劣るミサイルと比較すると価格が圧倒的に安価で、ラフェエルは米国のレイセオンやロッキード・マーティンと共同で米海軍向けにシーブレーカーを供給するための話し合いが水面下で進んでいるらしくBreaking Defenseは「ラフェエルと米国のパートナーは恐らく米海軍の沿海域戦闘艦(LCS)と開発中の無人水上艦(SUV)の主要武器システムにシーブレーカーを提供するつもりなのだろう」と結論付けた。

出典:U.S. Navy photo by Chief Mass Communication Specialist Shannon Renfroe/Released
もう少し具体的に説明するとシーブレーカーと他のミサイルの違いを生んでいる「AIと他の技術の組み合わせ」とはラフェエル独自の実証済み技術(AIを使用したディープラーニングとビッグデータベースによるシーンマッチング技術)によって自律的に目標を認識して捕捉する能力のことを指しており、米海軍が使用している類似したミサイルとは沿海域戦闘艦のフリーダム級やインディペンデンス級の固定武装に採用されたコングスベルグ製の対艦/対地ミサイル「NSM」のことを指している。
つまりシーブレーカーは米海軍が長年使用してきたハープーンに競り勝ち採用されたNSMよりも「性能が優れて圧倒的に調達コストが安い」という意味で、米海軍だけではなく欧州やアジアにも採用国が広がっているNSMの市場を奪う対抗馬として開発された可能性が高い。

出典:U.S. Navy graphic/Released 米海軍が発表した次期フリゲート艦「FFG(X)」の完成予想イメージ
今のところNSMが米海軍の無人水上艦(SUV)に採用されるという話を聞いたことがないが、米海軍が20隻調達する予定のコンステレーション級フリゲートの対艦ミサイルや米海兵隊の地上発射型対艦ミサイルにNSM採用が見込まれており、カナダ、ポーランド、ドイツ、マレーシア、ルーマニアが導入済みまたは導入決定済みでウクライナやインドも採用を検討するなどNSMはハープーンに代わって急速に海外市場での地位を高めている。
ラフェエル最高経営責任者のヨハヴ・ハレバン氏も「既存の技術を流用して開発したシーブレーカーは単価の引き下げに成功したので多くの国から関心を集めることになると確信している」と発言しており、すでに幾つかの潜在的な顧客に対してシーブレーカー導入を提案していることも明かしているためコングスベルグにしてみれば超強力な対抗が出てきたことになる。

出典:Rafael SEA BREAKER
果たしてNSMよりも「性能が優れて圧倒的に調達コストが安い」と報じられているシーブレーカーの実力は如何ほどのものだろうか?
因みに米海軍のNSM調達コストは219万ドル/約2.8億円(2020年度実績)なので、最大射程300km離れた目標への異なる方角からの同着攻撃や複数の目標に対する同着攻撃に対応して「フリゲート艦サイズの艦艇なら1発で無力化することが出来る」というシーブレーカーの調達コストは2.8億円以下ということになる。
関連記事:イスラエル、GNSS拒否環境下でも作動する新型ミサイル「SEA BREAKER」を発表
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※アイキャッチ画像の出典:Rafael SEA BREAKER
陸はともかくイスラエルの海軍って話きいたことないけど、そんなに進んでるものなの?
軍がというより、イスラエルは軍事技術に関連するハイテク産業が非常に強い。
そしてスタートアップ企業への支援が手厚い等、ハイテク産業が育つ政策基盤がある。
それに加えて常に厳しい安全保障環境「国土が狭く一部でも占領されたら国家滅亡に直結するとか」に置かれている為、技術の優位性で常に周辺諸国の10年〜20年は進んでいないと生き残れないという事情もありますからね。
それからビジネスにおいては失敗を一切恐れない起業家精神も関係してるから日本もこういう所を見習うべきです。
海軍はあの通り小規模だが、イスラエルのミサイル開発能力がどんどん高まってるのは国家的な情報技術への取り組みの成果と見て良いのでは。
対空、対艦艇を問わず、開発の肝になるのは推進部や弾頭よりもソフトウェアやセンサーだから
イスラエル海軍は実を言うと、第二次大戦後に本格的な海戦をやった数少ない海軍だぞ
第三次中東戦争までは余り活躍しなかったが、同戦争終結直後の1967年10月に駆逐艦エイラートをエジプト海軍のミサイル艇からの対艦ミサイル攻撃で撃沈されてからは、ミサイル艇の充実に力を注いて国産の艦対艦ミサイル「ガブリエル」も開発
1973年の第四次中東戦争では整備成ったミサイル艇部隊でエジプト海軍のミサイル艇部隊相手にラタキア沖・ダミエッタ沖海戦を戦い、完勝している
そんなイスラエル海軍は、潜水艦と一部の水上戦闘艦を除いた艦艇を国産しているし、搭載する対艦ミサイルや艦対空ミサイルは輸出した実績もある実力者だぞ
フォークランドを勝ち抜いたロイヤルネイビーが後ろで笑っとるよ
しょせんは沿岸海軍レベルのチャンピオンだって
もちろん弱くはないが大洋を語る資格はない
大洋が問題な話だっけ?
しょせん日本とは条件が違いすぎって話でしょ
土俵が違うのに比較するほうが無理
そんな事を言っていると、マジでイスラエル海軍に笑われるよ?
特に、1973年のラタキア沖海戦は沿岸部での海上戦闘とは言え「史上初めて艦対艦ミサイルを装備した艦船同士の海戦」であると同時に「対艦ミサイルを用いた戦闘においては電子戦が重要である事を世界に知らしめた」と言う二点で、現代海軍史を語る上では非常に重要な海戦なんだけど?
また、1967年のエイラート撃沈事件も西側海軍に対艦ミサイルの恐ろしさを認識させ、米海軍は電子戦装備やCIWS・シースパロー等の個艦防御兵装の充実を急いだ程の大事件だったのに、ロイアルネイビーはその十五年後にエイラート撃沈と同じ事をやらかしたんだけど…フォークランド紛争時の駆逐艦シェフィールドの撃沈、知ってる?
後、大洋での本格的な海戦は第二次世界大戦以降行われていないのも忘れないでね?(フォークランド紛争ではアルゼンチン側の艦隊行動が殆ど行われていない為、規模的に大洋での本格的な海戦とは言い難い)
いわば軽量級のチャンピオンだし
そこまで
本来は「イスラエル海軍って、進んでるものなの?」と書き込んだ方への回答なので、軽量級チャンピオンだとは一切書いていないのですが……
そんなに詳しいんなら、何故アルゼンチン艦隊が外洋に出れなかったかはご存知でしょう?
それ、フォークランド紛争の序盤にアルゼンチン海軍が空母ベインティシンコ・デ・マヨを中心とする第79任務部隊を英海軍機動部隊に差し向けて迎撃しようとした事を指していると思うけど…肝心の空母が元々機関不調だった為に「無風状態でフル装備のA-4スカイホーク攻撃機を発艦出来ない」と言うヘッポコだったからねえ
しかも、この当時英海軍側はベインティシンコ・デ・マヨを捕捉出来ていなかったものの、同じ任務部隊に居た巡洋艦ヘネラル・ベルグラーノが英原潜コンカラーにあっさり撃沈された事を考えると、あのままアルゼンチン側が戦闘を続けていれば英原潜に空母を仕留められてもおかしく無かった
それもあって、アルゼンチン海軍はヘネラル・ベルグラーノを撃沈されてからは紛争中外洋へは出ていない…こんな回答で良いかな?
いやいやいや、イスラエルはその程度っことで
世界で最初にエジプトにミサイルやられて、なおかつその後にPLOからもミサイルでボカ沈喰らってるだろ、何を学習したのやら
痛み分けだよ
>世界で最初にエジプトでミサイルやられて
イスラエルがその後の第四次中東戦争でしっかりやり返しているのは、上の方で書きましたが?
>なおかつその後にPLOからもミサイルでボカ沈喰らってるだろ
ググった所、2006年7月14日にサール5型コルベットの3番艦「ハニト」がレバノン沖で行動中、ヒズボラが発射したイラン製C-802地対艦ミサイルを被弾して4名の水兵が戦死していますが、「ハニト」は30日以内に艦隊に復帰したそうです
尚、PLOがミサイルでイスラエルの艦船あるいは船舶を撃沈した事実は確認出来ませんでした
イスラエルのミサイルコルベットは、スエズ運河が使用出来ない条件で、地中海の自国の海軍基地があるハイファから南アフリカの希望峰を回って紅海からチラン海峡の自国の港のあるエイラートまで航行が可能だよ。もちろん補給を受けながらの話ではある。
進んでるかどうか、と大洋海軍かどうか、は別問題でしょ。
イスラエルが大洋海軍持つ必要なんか無いんだし。
国情に合わない無駄な装備を持つ軍隊なんて
仮に強くても金食い虫の国賊でしかないよ。
そんな当たり前の事が理解出来ないのが日本の一部のミリオタだからまともに相手せん方がええ
所詮スペック並べてこっちの方が強い!デカい!みたいな事でしか兵器を語れねーんだから
そこで「『日本の』一部のミリオタ」っつー
逃げ道付きの印象操作じみた主語使われると
感じ悪いけどな。
「『一部の』ミリオタ」で良いだろーよ。
隣国なんかミリオタやメディアどころか
政府や軍まで一緖になって
本気でそんな馬鹿騒ぎやってるんだから
それに比べりゃ日本のミリオタなんかマシな方だ。
程度の低いミリオタを論ずるのに政府や軍の馬鹿騒ぎ云々は全く関係ねーわな
ましてやそれをもってどっちこっちのがマシとかまるで頓珍漢
イスラエル海軍が現代戦に精通しているかどうかの話をしているのに明後日の方向から所詮沿岸海軍だから大洋を語る資格は無いとか的外れな事言ってる奴と変わらんよ
その通りだね。
つまり「日本の」の一言は不要。
国力に見合った海軍をあざ笑うほど英国海軍って愚かだっけ?
ハープーンが終焉を迎えるのか。
時代の変化を感じるねぇ。
イスラエルの国産対艦ミサイルが注目されるのは、1973年の第4次中東戦争でシリア、エジプト両海軍の旧ソ連製ミサイル艇を見事に仕留めたガブリエルMk1対艦ミサイル以来じゃないですね。
このガブリエルMk1もイスラエルの独自開発で、後に台湾に技術提供されて雄風I型として国産化されました。
話を元に戻しますが、もしSEA BREAKERで、F-35のウェポンベイに搭載可能且つ射程も延長されたタイプが開発されていたら、今度はMSNの発展型のJSMの強力なライバルになるかもしれませんね。
突然のMSNで台無しである
つーか安い!安い!!を売りにしてるミサイルですら2.8億円?
つい20年前まで1億円のハープーン高い高い言ってただろ
世界経済は成長してんだなぁ
30年停滞してるとドンドン物買えなくなってくわ
世界経済が成長していると言うよりも、世界的にインフレが進んだ結果と言った方が良いんだが…その点、日本は停滞していた分デフレのおかげで物価は抑えられてきた一面も有るんだけど(尚、近年はコロナ禍の影響等も有って食料品を中心とした輸入原料関連の物価が)
世界がインフレで物価高、日本は収入も物価も停滞、だが円高にはならない…円で海外のものを買う能力は相対的にどんどん落ちるから防衛関係には辛くなっていくかもなぁ
その影響で、世界経済に占める日本の割合が急低下しているのだっけ?
でもまあ、円高になったら輸出もダメになるので、円安になっているだけ日本は未だマシって側面もある
いやいや、輸入はアップアップだよ。
兵器も食料も石油も。
ああ、それは既に上の方で「尚、近年はコロナ禍の影響等も有って食料品を中心とした輸入原料関連の物価が」とツッコんで置いた
アメリカですら、ズムウォルト3隻で終わってる。
世界経済とあまり関係ない。
考えが逆。
冷戦時のハープーンより、ハイテクかつ需要が少ないから低価格下できない。
好景気で成長したから高価になったのではない。
大量に売れないから、一人から多く取るしかない時代になった
技術的には信用できるのですが
イスラエルは中国とも取引がある国ですからその辺がイマイチ信用が置けないんですよね…
アメリカの最高待遇同盟国なのに?
もう因縁レベルだよそれ
イスラエルはナゴルノで猛威を振るったハロップの原型であるハーピィを中共に売ってる
そんなに昔の話じゃない
アメリカからの待遇の良し悪しが
日本からの信頼に値するかどうかに
何の関係があるのか、と。
時々。アメリカからも突っ込まれて、担当者がクビを切られてる。
アメリカもアメリカで、スパイに潜入されてるが。
アメリカとイスラエルは互いに時々、スパイを逮捕してる。
J10の疑惑もありますからね…
技術的に見れば、SEA BREAKER クラスのミサイルに搭載できるサイズと価格で
「AIを使用したディープラーニングとビッグデータベースによるシーンマッチング技術で自律的に目標を認識して捕捉する能力を実証済」てことが重要と思います。
この小型システムを搭載する航空機等は、索敵範囲に存在する物体を即時かつ高確率に《現場で》識別できることになります。
つまり既存のデータリンク等に手を加えることなく、より詳細な情報収集が可能な索敵システムを構築できると考察します。
このような識別システムは各国で開発されており実用化もされているようですが、比較的小型のミサイルに搭載可能なレベルではどうなんでしょう。
今後とも小型化低価格化の方向に開発が進められるでしょうし、将来の応用拡大が予測される技術分野です。
NSMより、安価と謳う理由も気になる。
同じような性能なら、同じような値段で売っても良いはず。
どっかしら、短所でもあるのか。