米海軍にとって最後の通常動力式空母「キティホーク」は解体処分という究極の運命を受け入れるため今月15日に出港、アメリカ大陸最南端のマゼラン海峡を経由してメキシコ湾に面したテキサス州へ向かう2万5,000kmの旅路に乗り出した。
解体業者の施設に到着するのは早くても4月以降で、実際に解体作業に入っても数万トンの船体が完全に姿を消すのは数年先の話
米海軍は2007年と2009年に通常動力式の空母ジョン・F・ケネディ(CV-67)と空母キティホーク(CV-63)を退役させモスボール状態で保管していたが、両艦のスクラップ処分が決定してテキサス州の解体業者に計2セント/約2.2円で売却することに合意したものの問題は空母キティホークが保管されている場所だ。
大西洋に面したペンシルバニア州のフィラデルフィア海軍造船所に係留している空母ジョン・F・ケネディはまだしも、太平洋に面したワシントン州のピュージェット・サウンド海軍造船所に係留されている空母キティホークはパナマ運河を通行できないためアメリカ大陸最南端のマゼラン海峡を経由してメキシコ湾まで曳航する必要があり、解体業者は「キティホークを解体施設に曳航するだけで2ヶ月半~4ヶ月半ほどかかる」と語っていたが、曳航準備が整ったキティホークは「今月15日にピュージェット・サウンド海軍造船所から出港した」と海軍が明かしている。
ワシントン州のピュージェット・サウンド海軍造船所からマゼラン海峡を経由でメキシコ湾に面したテキサス州へ向かうには2万5,000kmの旅路を踏破する必要があり、解体業者の施設に到着するのは早くても4月以降になる可能性が高いが、実際に解体作業に入っても数万トンの船体が完全に姿を消すのは数年先(エンタープライズの解体には数百人の作業員で5年かかると言われている)のことだ。

出典:Quillc / CC BY-SA 4.0 ピュージェット・サウンド海軍造船所に係留されている空母キティホーク
出発当日の港にはピュージェット・サウンド海軍造船所や同艦の関係者が多く集まり、再び戻ってくることはない空母キティホークの勇姿を見送ったと報じられている。
因みに空母キティホークと空母ジョン・F・ケネディのスクラップ作業は今後に控えている原子力空母の廃艦費用節約への布石である可能性が高い。
米海軍は退役した空母のスクラップ作業をワシントン州にあるピュージェット・サウンド海軍造船所で実施するつもりだったが、2017年に退役した原子力空母エンタープライズのスクラップ費用は15億ドル/約1,600億円以上になると見積もられており、これを何とか削減するため米海軍は最近になって民間の解体業者活用を提案して幾つかの候補を挙げていたが空母キティホークと空母ジョン・F・ケネディの解体作業を請け負った業者は正しく候補に挙げられていた解体業者だ。

出典:public domain ニミッツ級空母8番艦「ハリー・S・トルーマン」
つまり米海軍は今後40年間で次々と退役(1番艦ニミッツは2025年退役予定)してくるニミッツ級空母10隻を解体しなければならず、1隻につき15億ドル以上も必要なら全てを解体するため150億ドル/約1.7兆円以上も費用が必要になるためエンタープライズ解体を民間業者で試す準備として空母キティホークと空母ジョン・F・ケネディをテキサスの業者に2セント/約2.2円で売却(業者は解体で発生した金属を売却して利益を確保する予定)したのだろう。
本当に2セント/約2.2円(曳航作業に向けて船体に付着した海洋生物の除去作業は海軍が行うため正確な処分費用は2セントでは収まっていない)で空母キティホークと空母ジョン・F・ケネディの解体作業が成立するならエンタープライズの解体(原子炉区画撤去の船体)も民間企業に任せ、これをパスすればニミッツ級空母の解体を海軍造船所ではなく民間企業に任せ浮いた予算を他に回したいと考えているに違いない。
関連記事:米海軍、退役済みの空母キティホークと空母ジョン・F・ケネディを約2円で売却
※アイキャッチ画像の出典:Public Domain USS Kitty Hawk
内装をそのままに海に浮かぶレストランに改築したら面白そう
VIP席は操舵室なんてどうでしょう?
左弦に魚雷確認!!(^ω^≡^ω<ギャアアアアアアア
特等席は艦橋のフライトデッキコントロール(艦載機配置決めのための空母の甲板を模したテーブルがある)では?
で皿がそれぞれ歴代の艦載機を模したデザインになってて食べ終わったら配置決めして遊べる。艦載機が足りなければ追加注文。
あるいは飛行甲板先端の席で料理が滑走シャトルで届くとか。
レストラン区画くらいでは有り余る広さがある、艦内ホテルにプラス、
艦内をサバゲー施設とし、かつ甲坂には退役したファントムやらイントルーダーを探して載せねばなるまい、それで軍コス撮影の聖地ともなる
いじれるもんはいじり倒すに限る
日本を守ってくれた偉大な空母に∠(`・ω・´)
> 内装をそのままに海に浮かぶレストランに改築したら面白そう
そういってロシアからスクラップとして購入しといて、大改造で空母に仕立てた国あったなw
購入元はウクライナじゃない?
空母と関係ないけど、イギリスのティー・クリッパーは貿易風を追風に東西へ航海するので横帆主体、アメリカのホーン・クリッパーは横風を受けて南北に航海してホーン岬経由で東西海岸を結ぶので縦帆主体ですね。帆船で2万5千キロを航海するためか、米クリッパーは英クリッパーに比べて軽量で帆も大きく高速性に勝っていたとか。アメリカス・カップで常勝する素地はその辺にあったのか。
最速の蒸気機関車はイギリスのマラードの202km/hと言われてるけど、アメリカには200km/h越えの蒸機はざらにあったそうで、最速の帆船もカティ・サークでは無くアメリカにあったのかも知れない。
民間業者だと解体して金属を売って利益を上げられるのに、
海軍造船所で解体すると15億ドルも掛かる(金属の売却益は???)のは、
一体何が違うんでしょうか。
トルコの解体業者の記事見てると、民間船の解体すらかなり危険作業のようで、三万トンの客船バラして利益が数億円
構造的にはるかに複雑な上に鉄板も厚く硬い、おそらく年代的に使用されてるアスベストのような危険物質の除去、そしてカタパルトや核格納庫の構造など機密に属する箇所の情報保全など、
手間と金のかかる理由をいろいろ予想しちゃうw
手間と金が掛かるのは分かりますが、何故民間だと利益を上げられて
海軍だとコストになるのか、その違いが分からないという話です。
民間の人件費が安過ぎるのでしょうかね?
危険物質や複雑な構造などあるのならなおさら、素材や構造や適切な分解処置法を知っていて
専用機材も充実している(?)であろう海軍の方が、解体に有利だと思うのですが・・・。
記事の書き方からそうとも読めちゃうけど、
エンプラの解体に15億ドルかかるだけで、キティホークの解体に同額かかるとは書いてないんだなこれが。。
ちなみに、エンプラは原子力空母なので原子力艦再利用プログラムに沿って解体されるので費用が嵩むし、
放射線を帯びた鉄剤が意外と多くて売れる部材も思ったよりも多くなく、
鉄の売却益も得にくいのでカネがかかるんだろうと思う。
ただ、キティホークの解体を民間委託したほうが安上がりになる明確な理由は調べたけどよくわからなかった。
そっか、エンプラとキティホの話がごっちゃになってました。有難うございます。
あと、そんなに処分に困るなら重要区画と部品類だけ取り外した後、
標的艦にして沈めるんじゃダメなの?と思ったりもしますね。
(まぁそんな事は当然に考慮された結果の、民間売却なんでしょうけど…)
オリスカニーを漁礁として沈めたときに、アスベストやら何やらの撤去で1200万ドルも掛かって懲りてるのでもうやらないんじゃないかな・・・
特にキティはオリスカニーの2倍の大きさだから、費用ももっと掛かるでしょうし。
海軍で解体して金属類を業者で売った場合とはどんだけ差が出るんだろうな
日本には売ってくれなかったね。
(買う気もないか)
前澤さんに頼んで買ってもらうのは・・・ダメ?
中国なら高く買い取ってくれそう