低コストの無人戦闘機(UCAV)XQ-58Aを開発した米クラフトは最近、米空軍研究所(AFRL)が主導するOBSSプログラム向けに新型の無人プラットフォームを発表した。
参考:This Is Our First Look At Kratos’ Shadowy New Drone Design For The U.S. Air Force
参考:Swarms of attritable UAS can create the ISR picture the Air Force wants
クラフトが提供する無人プラットフォームは低コストかつ低リスクで消耗型UAVと再使型UAVの両方が提供する効果を同時に得られる
本題に入る前に米軍が進めている無人戦闘機=単独で作動するタイプではなく有人機と無人機のエア・チーミングに対応したUCAV(以降これを便宜上UCAVと呼称)開発について整理しておく。
管理人も全てを把握している訳ではないが米軍(国防総省)の進めているUCAV開発は米空軍(USAF)主導、米空軍研究所(AFRL)主導、国防高等研究計画局(DARPA)主導に分かれており、この複数の計画が同時進行で進めているものの完全に別々の計画として独立しているという訳でもなく、互いの計画は技術的な部分でリンクしている場合もあるため部外者からすると非常にわかりにくい。
米空軍(USAF)が主導するUCAV開発計画は有人戦闘機に随伴可能な無人ステルス戦闘機を開発するSkyborg/スカイボーグ・プログラムで、事前に説明された計画通りスケジュールが進んでいるのなら2021年7月以降に複数のプロトタイプ(ボーイング、ゼネラル・アトミックス、クラトス)と有人戦闘機によるエア・チーミングの実証テストが実施されているはずなのだが、今のところ全く情報がないのでスカイボーグ・プログラムの進捗については謎だ。
米空軍研究所(AFRL)が主導するUCAV開発計画はXQ-58Aの誕生に繋がった低コスト攻撃機実証機(Low Cost Attritable Strike Demonstrator/LCAS)プログラムだが、AFRLはLCASは別に新たなOff-Board Sensing Station/OBSSプログラムを立ち上げゼネラル・アトミックスとクラトスに開発契約を与えており、このプログラムで追求されるUCAVの開発要素は拡張性、モジュール性、調達性の3つで今の所これ以上の情報は公開されていない。
国防高等研究計画局(DARPA)が主導するUCAV開発計画は複数の空対空ミサイルを運搬可能で航空機から空中発射可能なUCAVを開発するLongShotプログラムで、ジェネラル・アトミックス、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンの3社に予備設計作業を行うための契約を今年2月に授与、各社がLongShotプログラムに対応したUCAVのイメージを発表しているもののDARPA発表のイメージとは掛け離れたものばかりで今後どのように進捗していくのか良くわからない。
この他にもケンドール空軍長官が最近「B-21に随伴可能な無人機の開発を来年度の予算に計上したい、この無人機は護衛機や攻撃機といった概念とは異なるものになる」と謎めいた発言を行っており、海軍も独自に有人戦闘機に随伴可能な無人ステルス戦闘機の開発構想(空母航空団の無人機と有人機の比率を最終的に60%-40%に持って行きたいらしい)を海軍作戦部長の下で航空部門を担当するハリス少将が言及するなど正確に幾つのUCAV開発計画が米軍(国防総省)全体で進んでいるのか恐らく誰にも分からないのではないだろうか?
ここからが今回の本題だが、クラフトは米空軍研究所(AFRL)が主導するOBSSプログラム向けに新型の無人プラットフォームを発表して注目を集めており、個人的にはゼネラル・アトミックスのアヴェンジャーによく似たデザインでXQ-58Aの面影はほぼ残っていないと感じている。
クラフトの担当者は新型の無人プラットフォームのことを「アトゥリビュータブル・エアクラフト(attritable aircraft)」と表現しており、このような消耗を前提としながら帰還・再使用の可能性もある無人プラットフォームは既存の消耗型UAVや再使型UAVとは異なる価値を米軍に提供すると述べているのが興味深い。
消耗型UAVは片道切符なので帰還への期待値は初めから0だが、再使型UAVは帰還することを前提に設計されているため高価で高度なセンサーが搭載されており出撃した機体の内1機でも損耗するとガッカリすることになるのに対し、消耗を前提としながら帰還・再使用の期待も見込める無人プラットフォームは安価で簡易なセンサーを採用しているため仮に損耗しても許容することが可能で、スウォーム運用された機体が収集したデータを1つに統合すれば高価で高度なセンサーが収集するデータ価値に引けを取らないと主張。
さらに攻撃するための兵器も分散運搬できるためクラフトが提供する無人プラットフォームは「低コストかつ低リスクで消耗型UAVと再使型UAVの両方が提供する効果を同時に得られる」と述べている。
まぁ消耗を前提としながら帰還・再使用の可能性もある無人プラットフォームという概念自体が実戦でどの程度役に立つのか実証されていないので「クラフトの主張は話半分と解釈しておくのが無難」だと思うが、米軍の無人機開発量は他国を圧倒しているため流石の一言に尽きる。
恐らく米軍が関与している全ての無人機開発計画を数えようとすれば両手足の指では足りないだろうし、逐次発表される新しい無人機のプロトタイプやイメージが「どのプログラムに該当してどんなコンセプトだったのか」を思い出すのに自分が書いた過去記事を読み返さなければならないのはココだけの秘密だ。
そう言えば米空軍は第5世代戦闘機の訓練効率を高めるためステルス・アドバーサリー・ドローンと呼ばれる無人航空機「レッド・ミディアム/Red Medium」も開発中だった、、、もう数が多すぎ
関連記事:爆速で完成する米空軍の無人戦闘機、プロトタイプ引き渡しは5ヶ月以内
関連記事:これは無人戦闘機?ノースロップ・グラマンが空中発射型UAV「LongShot」案を公表
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※アイキャッチ画像の出典:KRATOS
今はカンブリア大爆発状態だけど、そのうち使用方法が決まれば形もこなれてどこのハードも大差がなくなってくるだろう(相当年月かかるだろうけど)。
最終的にはAIの優劣で勝負つきそう
まさに無人機ラッシュだけど、かつてのセンチュリーシリーズ達の様に気分が
萌えないのは何故なんだろう
燃えないから
今の無人機ラッシュは、眺めていても、なんか無味乾燥って奴で飛行機好きの魂に火が付かない
昔のセンチュリーシリーズの様なワクワク感が起きない
家電品のラインナップを見ている様だ
管理人さんも把握できない数になってきてるの素直に草なんだ
こう言う体制が中国に付け入る隙を与えてる気もしないでもない。
個人的にはV-batを制式化してくれ。
どうせ高高度の随伴UAVはスカイボーグだろうし、偵察機はグロホの最新バージョンだろうから。
どうせ国家予算を腐敗企業の利益に変換するためだけのプロジェクトでしょ?w
気が付けば全く無用なゴミが出来上がってて、企業が儲かり幹部と株主がふざけたボーナス受け取っておわり
まー企業に儲けさせるためだったら、粗大ごみでもある意味戦略目標を達成できるかw
批判は簡単。で?
将来、無人機が実戦配備されるようになってもアメリカは機体は売ってくれてもAIは提供しないかも。
まだ将来的な無人機運用の戦場の想定が難しいんだよね。
歩兵/艦艇/陸上車両/航空機随伴のカウンター無人機対応手段が、どの程度実用化されるか、有効性があるのか…そのカウンターを見越した無人機にどの程度の能力付加が正解なのか…
今のところカウンター手段として、小型ミサイル型/電磁波照射型/機銃による対空弾幕型…かな?
日本には、
めっち安くて、
九州から与那国の間を偵察、ターゲティングして、を往復出来る。
無人機が欲しいね~
それそれ。
ちっこい無人機が順番に飛び回って常時監視。
んで情報量を圧倒的に増やすことで、危機の度合いを定量化できるようにして、
スクランブルや海警出動の回数を減らしたい。
いまのスクランブル回数は、安保的にも外交的にも財政的にもなにもプラスになってない。
小さいと、搭載できるセンサーが大きく制限されるわけでして
航続距離というか滞空時間もね
なんで、そこそこでかいやつを長時間飛び回らせた方が良い
是非、国産して欲しいね。
そのくらいの技術はあるでしょう?
タシット・ブルーにちょっと似てて笑った。
でもまぁ機動性や最高速度を重視しないなら第一世代のステルス機に寄ってきても不思議はないよな
どうでもいいけど社名クラフトじゃなくてクラトスでは。