マッハ1.3以上の超音速飛行状態を維持した場合にF-35BとF-35Cで発生する特有の欠陥修正を断念して、マッハ1.2を超える超音速飛行を制限することになった。
参考:The Pentagon will have to live with limits on F-35’s supersonic flights
現実的な解決方法でF-35のステルスコーティングと水平尾翼の損傷問題に対処したと評価できる
国防総省のF35統合プログラムオフィス(JPO)は24日、海兵隊向けのF-35Bと海軍向けのF-35Cが超音速飛行を維持した場合に発生するステルスコーティングと水平尾翼の損傷問題について根本的な問題の修正を断念して、動作パラメーターの調整で対応することを明らかにした。
この問題は2011年にF-35Bがマッハ1.3でF-35Cがマッハ1.4でフラッターテストを行った際に初めて確認された現象で、F-35Bは水平尾翼と垂直尾翼の付け根付近のステルスコーティングに気泡が生じ、F-35Cは水平尾翼と垂直尾翼の構造が超音速飛行で生じる熱によって損傷を受けたことが確認され「カテゴリー1」の欠陥に分類されている。
さらに超音速飛行を持続すると機体後部に取り付けられたセンサー類のアンテナが熱によって影響を受けることも確認されているため、最終的にF35統合プログラムオフィス(JPO)は根本的な解決を諦め同機の超音速飛行の持続時間を制限(アフターバーナーを使用してマッハ1.2を超える超音速飛行時間を数秒に制限すると言う意味)することで問題の解消を図ることにしたという話しだ。
多くの軍事アナリスト達はF-35が超音速飛行の制限を受ければ足の早い敵機と交戦する際に不利だと主張しているが、ハドソン研究所の元海軍将校ブライアン・クラーク氏はF-35のパイロットから聴取した話を元に、超音速飛行が戦術に組み込まれているF-22とは異なりF-35の超音速飛行は「緊急脱出時にキャノピーを割る」程度のものでしかないので深刻な問題にならないと説明している。
要するにF-35にとってマッハ1.6で飛べる超音速飛行能力は性能の限界値を示すスペックに過ぎず、逆に超音速飛行を行えばF-35の特徴を全て台無しにしてしまうらしい。
例えばステルス優先のため増槽を基本的に携行しないF-35が長時間の超音速飛行を行えば機体内タンクの燃料をあっという間に消費することになり、熱を帯びた機体は敵の赤外線捜索追尾システム(IRST)に補足されやすくなるため折角のステルスが意味を無くしてしまうと指摘している。
逆に元海軍のパイロットは近接戦闘(ドッグファイト)時に影響が出ると証言している。
そもそもF-35の空中戦におけるコンセプトは敵機が接近してくる前に視界外戦闘で撃ち落とすことを基本としているが、これはベトナム戦争の教訓を今だに重要視する海軍航空隊にとって歓迎できるものではなく敵のミサイルを回避したり近接戦闘での機動に致命的な影響が出ると指摘している。
補足:ベトナム戦争の教訓というなら、海軍向けのF-35Cから固定武装の25mmガトリング砲が省略されていることの方が問題だと思う。
要するに実戦でマッハ1.2を超える超音速飛行が必要になった時、機体を欠陥から保護するためブザーが鳴っても何の救いにもならないと言いたいのだ。
正直、どちらの話が正解なのかは分からない。しかし今回の発表を否定的に受け取れば「F-35は超音速飛行が出来ない」と理解してしまうかもしれないが、実際にはアフターバーナーを使用してマッハ1.2を超える超音速飛行を数秒間に制限するだけなので超音速飛行が出来ないと言う意味ではない。
さらに付け加えるならF35統合プログラムオフィス(JPO)がこの問題の解決を放棄したのはF-35BとF-35Cで問題となった現象が極限状態の飛行テストで発生した事象で、その後に行われた複数回に再現テストで同じ事象が発生することはなかったため、再現性が異常に低い1度きりの問題の多額の資金を投じて新しいステルスコーティングの開発や構造強化を行うのは無闇にコストを上昇させるだけと判断したのだろう。
因みに、このような制限は現在使用されているF/A-18E/Fにも存在するため、今回の決定は現実的な判断だったと言えるのかもしれない。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Chief Mass Communication Specialist Shannon E. Renfroe
ネガティブキャンペーンに使われそうですな
半分の田んぼとかの人は大喜びしそう
半分の田んぼって何だろう?
畔・・・かな?
多分そう
>再現性が異常に低い1度きりの問題
あ~、これって不具合対策で一番厄介なやつですね。
再現出来ないので、不具合の真の要因にまで深掘りしたかの確証を得られない上﹙原因推定は推測止まり﹚、
仮に対策しても治ったか否かの判断もし難い。
>今回の決定は現実的な判断だったと言えるのかもしれない。
そこら辺の割り切りができる辺り、流石経験豊富な米軍さん、だと思います。
工業製品なので妥協の産物にならざるを得ないでしょうが、そこら辺の見極めが不適切だと単なる欠陥品になるので、経験不足だと躊躇しそうな問題です。
ベトナムの戦訓を問題にするなら近接戦闘ではもうステルスなんて意味ないんだから遠慮なくM1.2越えちゃっていいんでね?
格闘戦で超音速飛行する機会がどの程度あると思ってるのか知らんけど
回避行動の結果ステルスが剥げ敵ミサイルに狙われやすくなったら不味いのは事実
しかも影響がその後も残るなら後方での再整備の必要もあるから運用者が懸念を持つのは分かる
よくありません
仮に近接格闘から生き残ったとしてもレーダーに補足されて戦域離脱が不可能な戦闘機は現実的には米軍にとって無用です
A型では同様の事象は発生せず、特に対策もされないということか?
A型は超音速飛行を「しない」ので問題にならない
すればセンサー類は同じなので当然問題になるだろう
なんでやねん
> A型は超音速飛行を「しない」
そんな話、あったっけ?
「しない」と言い切った根拠はなに?
制限は、基本的にB型とC型が対象になってるけど、起きた不具合はB型とC型とで異なる模様。
恐らく、機体形状の微妙な相違で、機体への負荷の掛かり方や加熱具合が異なるのだと思います。
で、現状で制限対象にA型が入っていない様ですし、別途A型で類似不具合がでない限り、A型での制限は掛からないと思います。
あと、B型やC型でさえ不具合を再現出来ない様なので、そもそも論で対策は無理でしょう。
雑な想像で言えば「海上での使用が前提で塩害対策の必要なB/C型はその必要がないA型とは塗料が違う」とか、
「発着艦の負荷に耐えられる様に各部を強化して重量増えてるC型はその必要のない尾翼周りはその分軽量化してる」とかありそうですけど…。
F-35Bはステルスコーティング絡みの問題みたいですが、
F-35Cは「水平尾翼と垂直尾翼の構造」が熱損傷を受けた様なので、コーティングは余り関係無いと思います。
﹙コーティングに断熱材の機能が盛り込まれてたのなら別ですけど﹚
構造のダメージというF-35Cの固有問題は、F-35Cのみの差分との観点から、大型主翼が﹙水平尾翼や垂直尾翼に﹚悪さしている様に思えました。
仰っていた「軽量化の弊害」の線も、あるかもしれませんが。
アフターバーナーって安定した動作をするようになるまでに結構時間がかかるという、スイッチオンで急加速とはいかないらしい。
ABはドライの2~3倍の燃料を食うから燃費が極端に悪化するし同時にエンジンも過熱する、ドライ出力だけで短時間で音速突破が可能ならなくても構わない機能。
XF9-1はドライで11トン、ABで15トンだからドライ出力を13トンくらいまで上げることができればABは不要と思う。
ドライで13トンならF-15JのABの推力を超える。
試作機から出力は上がる一方と思ってる人が多いな
試作機から量産機に移行する過程で不具合や耐久性の足りない箇所の補強などで
量産型は出力が下がるのが普通だよ
他国のエンジン開発を見るとだいたいそう
「上げることができれば」と書いてるじゃないか
誰が上がる一方なんて言ってんねん
そうかな?
XF9-1はこれから出力が上がるはずだという意識を言外から感じるけどな
F-35は航空優勢確保したあとの主力、F-22はその露払いでドッグファイトと超音速巡航、戦術情報収集で役割が確定した感じですね。
先述のF-22近代化もF-35の超音速飛行への影響が無視できないという事情もありそうです。
F-35Cはもともと重量過多などの理由で超音速までの加速時間が延長されて燃料消費の問題もあったので、超音速飛行でこれ以上問題が増えても制限付けて回避、ということでしょう
米海軍しか運用しないC型だけど。
フォード級空母に艦載機がF-35Cだと不安要素が大きい。
つまり、スーパークルーズは、出来ないという事ですね。
記事はちゃんと全部読んだほうがいい
AB使用時の話だってちゃんと書いてあるよ
M1.0で超音速飛行なんですがそれは
さては〜にわかだな?笑
元々F35シリーズはスーパークルーズしない前提で、ロッキードども第五世代定義から、スーパークルーズを外してるよ。
どこ読んでる?スーパークルーズ能力は元々積むんだけど。頭飛んでらっしゃる?にわかさん
マルチパーパス機を諦めて用途別専用機にしたら?
戦闘機史を知らんのか?
マルチロール化は避けられず…専用機はないよ。
ここの人って、何も知らずにコメント書くんだな〜無知を晒して恥ずかしくないのかね?
F-35の話なんだから用途別、の意味が違うのでは?
「F/Aのマルチロール」はある程度不可避ですが、
「海陸統合」は(最初からそのつもりで作ると)要求過多で肥大化するか器用貧乏になるかのどちらかのケースがほとんどかと。
「艦載機の出来が良くて結果として陸上機にも採用された」ケースは割とあるけどね。
ATLAの中の人も、F-35との比較でNGFに対する懸念が述べられた時、
「F-35は、3機種の戦闘機を同時に開発した非常に複雑なプログラムなので、あれは例外」﹙意訳﹚、と回答した様ですね。
戦闘機を運用する3軍共通の機体を作れば諸々安く済むかも… と作ってみたらそうでもなく、次はそれぞれ自分達の要求仕様に合ったものを開発しよう… という路線になったはず…
F-22が性能向上するのでF-35はそれなりでよしと判断したと言うことなのかな?
F-22は空軍、F-35B/Cは海軍と海兵隊だから関係ないのでは?
ドッグファイト厨てまだいるの(笑)
武士の時代ですら、刀を握るのは鉄砲戦で破れてる末期状態だけだって知らないのか
近接戦闘でなくても、今後ゲームを変える可能性がある空対空超音速ミサイルから逃れるためには少しでもスピードが出た方がいいとは思う
ただ、本来ステルス機は見付からないor見付かっても撃たれないが前提だから、撃たれてる時点でステルスコーティング云々は無視して限界速度出してもいいような……
機体構造に損傷が出るC型さんはそもそも超音速ステルスマルチロール艦上戦闘機ってハンバーグカレーラーメンな発想が間違ってるから諦めてほしい
ステルスを勘違いしてるけど、探知距離が非ステルスより短いって話でしかなく、探知されないなんてことはあり得ないんだよ。
ステルスを対レーダーの万能魔法みたいに思ってる人が多いけど、そんなものじゃない。
ミサイルを撃たれるということは既に探知され、かつ、追尾又は照準モードで照射されて反射波を拾われている状況なのだから、いち早く加速してその領域から逃れないといけないということ。
つまり、ステルスでも非ステルスでも加速と速度はとても重要といえる。
有効射程に入ってるなら、もう遅い、湾岸戦争のmig-21同様有効射程ギリギリで反転するしか避ける術はない。
コーティングの気泡なんて塗料が同じなら他の型でも当然起こり得るし、B型でも一回しか起きてないんだからこれを「B固有の問題」と考えるのは無理があると思うんですよ。
なのに(別件で速度制限する話になったC型はさておき)A型の速度制限の話は全く出てこない。
だからAとBで塗料が違うんじゃね?(例えば塩害対策とかで→もしそうならCはBと同じかな)、という話です。
C型の尾翼については主翼原因説は確かにありそうですね。
何にせよ「やっぱAもM1.3キツいわ」って話にならない事を願います。
F-35AとF-35Bとでは機体形状が異なり熱分布が異なっても可笑しくないと思います。
ステルスコーティングに気泡が生じたのが「水平尾翼と垂直尾翼の付け根付近」と特定の場所のみで且つ、F-35Bでも現象が再現していない様なので、本当に微妙な違いで発生したのだと思います。
MRAAMは、ステルス機同士だと
①レーダーの探知距離が短くなる﹙ミサイルの終末誘導も含む﹚
②目標へのミサイルの誘導が遅れる
③目標を外し易くなる
といった流れで、従来よりも限定的な効果しか望めないと思います。
それ故、近接戦闘の頻度が上がるでしょう。
近接戦闘では、SRAAMの発展により、以前に比べたら機動性は要らないでしょうが、
位置関係で 当て易い・外れ易い は有るでしょうから、より有利な位置取りのための機動は、やはり必要とされるような気がします。
今までとは様相が異なるだろう、とも思いますが。
お互いミサイル撃って即離脱なのは変わらないのに近接戦闘が増えるとはどういう理屈…?
お互い認識した時には近接戦闘に近い領域の距離だった、が主なオチです。
カエルの人によると、空自でもそのような可能性を唱えている人がいるようです。
﹙SRAAMの重要性が増す、との文脈だったかな﹚
ちなみに、軍事研究2019年10月号だと、F-22がF-22相当のRCS目標を捉える最低探知距離は、約40kmとの事です。
近接戦闘の機会が増えるに、②③は不要たったかもしれませんが、
②③は、防衛装備庁の方で問題視し対応策も研究中の項目なので、つい記しました。