米国関連

米海軍、水上艦艇にカミカゼドローンを用いたスウォーム攻撃が可能だと実証

米海軍は有人艦隊と無人技術を統合(有人・無人チーミング)することで可能になるシナリオの有効性を実際に検証するため大規模な演習「Unmanned Integrated Battle Problem 21」を先週実施したのだが、この演習結果について米海軍が興味深い言及を行っている。

参考:Navy’s Unmanned Systems Battle Problem Features All-Domain Sensing

思っていたよりも米海軍の有人・無人チーミング実用化は間近に迫っているのかもしれない

米太平洋艦隊のロバート・ゴーシャー少将と第3艦隊空母打撃部隊のジェームス・エイケン少将は今月26日、マスコミの取材に対して「アーレイ・バーク級駆逐艦のジョン・フィンは水平線下の目標(空中目標なのか水上目標なのは不明)に対してSM-6を命中させることに成功した」と明かしたが、注目すべきはジョン・フィンが自身のAN/SPY-1Dで捕捉することが出来ない目標の位置情報をどのように取得したかだ。

米海軍とオーストラリア海軍が導入している艦対空ミサイル「SM-6BlockIA(RIM-174 Standard ERAM)」の最大交戦距離は240km(海上自衛隊が使用するSM-2MRBlockIIIは150km程度)と言われておりAIM-120AMRAAMのアクティブシーカーを搭載しているため終末誘導が不要で、協調的エンゲージメント機能を使用すればイルミネーターの電波が届かない水平線/地平線下に位置する目標と「リモート交戦(EOR)」を行うことが可能なのだが流石に目標の位置が不明のまま発射することは出来ない。

出典:U.S. Navy photo by Chief Petty Officer Benjamin Forman

特にアーレイ・バーク級駆逐艦が搭載するAN/SPY-1Dは水平線もしくは地平線の下に隠れる目標を検出することは出来ないので、SM-6の最大交戦距離を活かすならE-2Dなどに搭載されたセンサーが収集した情報と中間誘導が必要になるのだが、今回の演習で実際に検証されたシナリオでは有人艦隊+無人航空機+宇宙配備センサーを組み合わせた方式でSM-6を目標に命中させたらしい。

しかも目標捕捉→SM-6発射→中間誘導→命中という一連の流れの過程でアクティブセンサーを一度も使用しなかったと両提督が明かしており、目標の検出や追跡は無人機に搭載された電子戦支援装置(いわゆる敵が発する電波を元に位置を割り出す方法)と宇宙配備センサーによって行われ収集したデータをジョン・フィンに提供したと言っている。

出典:U.S. Navy photo by Boatswain’s Mate Seaman Clark Lappert

これが事実ならアーレイ・バーク級駆逐艦はAN/SPY-1Dを使用する必要がないので自身の位置を晒す必要がなく、E-2Dなどの航空機支援がなくてもSM-6の最大交戦距離を活かした戦いが可能になるという意味だ。

さらに興味深いのは前方海域に展開した無人水上艦(USV)が電子戦支援装置によって敵水上艦の位置を取得、この情報を元にカミカゼドローンと呼ばれる徘徊型UAVを複数発射して目標にスウォーム攻撃をしかけたシナリオを実行したと明かしている点で、徘徊型UAVをどのように戦場まで運搬したのか不明だが米海軍は原潜のデコイ発射装置を利用して小型UAVを射出可能なため無人水上艦+原潜(演習にロサンゼルス級原潜のハンプトンが参加している)+UAVを組み合わせた攻撃シナリオを試したのかもしれない。

出典:U.S. Navy photo by Construction Mechanic 2nd Class Michael Schutt

因みに米太平洋艦隊のゴーシャー少将は「競争が激しい太平洋の環境下において今回の演習結果は非常に望ましく、無人技術を使用することで人命を失うリスクを軽減できたり敵の位置を検出できる範囲を拡張することができる」と述べている。

米海軍は今回紹介した以外にも有人艦隊と無人技術を統合した幾つもの戦闘シナリオを今回の演習で試しており、思っていたよりも有人・無人チーミングの実用化は間近に迫っているのかもしれない。

関連記事:スウォーム化された無人艦による変革、米海軍が取り組む有人艦隊と無人技術の統合とは?
関連記事:潜水艦と無人機の連携、米海軍が原潜で使用する水中発射型UAVを120機導入
関連記事:米国防総省、極超音速滑空体を使用して開発中の艦対空ミサイル「SM-6 BlockIB」をテスト

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Chief Mass Communication Specialist Shannon Renfroe 演習に参加した無人艦艇「シー・ハンター」

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 4月 29日

    パッシブ探知のみで遠距離の目標に攻撃を仕掛けられるというのがいい
    ステルスを存分に発揮できる

    11
    • 匿名
    • 2021年 4月 29日

    あらま…
    中国との海上決戦で使い物にならないから自衛隊はこの手の分野に消極的だったんだっけ?
    艦隊戦でもドローンが大きな存在感を与えるとなると困ってしまいますね
    またまたアメリカからシステム購入することになるのかなぁ…

    2
      •   
      • 2021年 4月 29日

      自衛隊では電子妨害で無人機を無力化できると教えてるようだし時代遅れ感が半端ない
      戦前に、レーダーは闇夜の灯台だとしてレーダー開発が遅れた事を彷彿とさせる

      10
      • 匿名
      • 2021年 4月 29日

      USVとUUVの運用開発にはUAVよりも積極的な印象があるけどなぁ。
      研究開発の資料はいくらでも見つかるし。
      まあどっちかってーと興味は水中にある感じだけど。

      7
      • 匿名
      • 2021年 4月 29日

      自衛隊も制式化されてる偵察用UAVで似たような試験(初歩の初歩)してるよ。ただ、強風でUAVが帰ってこなかった時から、どう考えてるか不明。

      1
    • 匿名
    • 2021年 4月 29日

    まや型もSM-6を導入予定だっけ
    こっちは最大射程をどう引き出すんだろう

    3
    • 匿名
    • 2021年 4月 29日

    とりあえずは早期警戒機との連携しか無いよな、PL15の的にされないといいんだが

    5
    • 匿名
    • 2021年 4月 29日

    方向性としては次世代戦闘機(第五世代戦闘機)と随伴型無人機ロイヤルウイングマンの組み合わせによる運用構想に近いよね
    母艦(母機)が位置を晒しながらレーダーをフルに輻射してアクティブ探知する事なく探知、攻撃が可能というわけだから

    2
    • 匿名
    • 2021年 4月 29日

    センサーとシューター機能を分離運用するアメリカらしいやり方。海域や空域を絶えず監視して初動を制すのに足る情報を得る。いつもの様に金がかかってる。

    • 匿名
    • 2021年 4月 29日

    最小のリスクで一方的に火力を投射できるとは素晴らしい
    将来的には空でも陸でもこの手の戦術が広まっていくんだろうな
    日本もこういうシステムを整備できるといいが、時間も金もかかりそうだなぁ

    3
    • 匿名
    • 2021年 4月 29日

    米海軍「ええっ!?俺たちがカミカゼやるんですかあ!!」

    • 匿名
    • 2021年 4月 30日

    ドローンを侮る人よ、あんたはとっくに化石だよ
    真珠湾の前にも戦艦万能がいたけどな

    2
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