米海軍は昨年、アーレイ・バーク級駆逐艦「オスカー・オースチン」がオーバーホール中に火災を起こし損傷したが、今度はワスプ級強襲揚陸艦「イオー・ジマ」で火災が発生し損傷したと報じられている。
参考:11 sailors hurt in fire on USS Iwo Jima in Mayport
不幸が続く米海軍、今度は強襲揚陸艦「イオー・ジマ」が火災で予定外の損傷か?
11月14日午前4時頃、フロリダ州にあるメイポート海軍基地でオーバーホールを受けていたワスプ級強襲揚陸艦の7番艦「イオー・ジマ(4万530トン)」で火災が発生、同艦の乗組員はもちろん、同基地に停泊していたアーレイ・バーク級駆逐艦「ザ・サリヴァンズ」の乗組員、地元のジャクソンビル消防署からの応援によって火災は消火されたという。
11 Sailors hurt after a fire on board the USS Iwo Jima. @ActionNewsJax is asking questions about safety TONIGHT at 5pm on CBS47/FOX30 with @TenikkaANjax @BachmanANjax @LorenaANjax pic.twitter.com/CFfMmtEjJw
— Pascale Head (@PascaleHead) November 15, 2019
去年の11月には、ノーフォーク海軍基地でオーバーホールを受けていたアーレイ・バーク級駆逐艦「オスカー・オースチン」で火災が発生、船の電気系統が壊滅的なダメージを受け2022年初頭までドックから離れる事が出来なくなった。
強襲揚陸艦「イオー・ジマ」が火災で受けた損傷の程度は今の所不明だが、少なくとも追加の作業が発生したのは間違いなく、損傷具合が大きければ駆逐艦「オスカー・オースチン」のように予定が大幅に遅れる可能性があり、このような追加のメンテナンスは、現在の米海軍にとっては致命的な影響を及ぼす可能性がある。
米海軍は現在、艦艇のメンテナンスについて膨大な量のバックオーダーを抱えており、予定通りに艦艇を修理し再び海へ戻すことが困難になっていると言う。

出典:public domain アーレイ・バーク級駆逐艦「オスカー・オースチン」
これは海軍が持つ艦船修理廠や、民間の造船業界が提供できるメンテナンス能力が限られている(追いついていない)ためで、昨年、メンテナンスを受けた約7割の米海軍駆逐艦は、スケジュール通り港を離れる事が出来なかった。
米海軍の艦艇の平均年齢は上昇し、定期的なメンテナンスに要求される作業量が増え、老朽化した艦艇はトラブルを起こしやすく、想定以上のメンテナンス要求がドックを圧迫しているという意味だ。
今年の8月末には、深刻な艦内電力システムのトラブルで急遽、空母「ハリー・S・トルーマン(10万3,800トン)」に対するメンテナンス要求が発生し、3ヶ月後、ようやく問題を解決することができたが、米国で空母のメンテナンスが行えるのはニューポートニューズ造船所しかなく、この予定外のメンテナンスは他の空母のメンテナンスに影響を及ぼす可能性がある。
もし今回の火災で強襲揚陸艦「イオー・ジマ」のメンテナンス期間が大幅に伸びれば、米海軍や海兵隊にとっては非常に困ったことになるだろう。
※アイキャッチ画像の出典:public domain ワスプ級強襲揚陸艦「イオー・ジマ」
要は、冷戦終結後の軍縮で艦艇のメンテナンス能力を削減したツケに加えてオバマ政権頃の政策で海軍艦艇の行動日数を延長した影響が加わり、それにトランプ政権下での軍拡が止めとなった結果、トラブルが顕在化した訳ね。
こうしてみると「平和になったから軍縮」と言う政策は、長い目で見れば安全保障政策上、むしろ悪手であると証明する形になった気がするね。
米海軍の滞ってるドック作業を日本の企業が受注したりできないんだろうか?
クロスドックってのかな?
海自の艦船のほぼ全てがガスタービン駆動になったので、蒸気ボイラー駆動のイオージマをメンテできるドックは限られるでしょうね。
同じワスプ級でも、ガスタービン駆動のマキン・アイランドなら同サイズのいずも型を建造したジャパンマリンユナイテッドのドックは使えるかもしれませんが、設計・改装情報の共有ができないと無理でしょうし、人員派遣するにしてもアメリカ側の人が足りない、という状況になるでしょう