米国の上院軍事委員会が承認した2022年度の国防権限法は再び空軍のA-10退役を阻止して注目を集めている。
参考:Senate policy bill rejects Air Force request to send some A-10s in the boneyard
上院は一体いつまで空軍にA-10を保持させる気なのだろうか?
2022年度の国防予算を審議していた米国の上院軍事委員会は最終的にバイデン政権が提示した7,150億ドルの予算案を拒否、253億ドル/約2.8兆円を追加した7,403億ドル/81.6兆円の国防予算案(国防権限法:毎年の国防予算の大枠を決める法律)を圧倒的多数で承認したのだが、この中には空軍が求めていたレガシープラットフォーム(単純に「古い」という意味ではなく大国間の争いに適さない装備品という意味合いが強い)の整理に対する回答も含まれている。
米空軍は大国間の争いに役立つB-21の調達や次期戦闘機の開発に資金を回すため2022年度にF-15C/D×48機、F-16C/D×47機、A-10×42機、KC-130×18機、KC-10×14機、E-8×4機、RQ-4×20機(ブロック40のみ維持)、C-130H×13機を処分して資金を解放したいと議会に提案していたのだが上院軍事委員会は「A-10の処分を禁止する」と国防権限法に盛り込んでおり、空軍は「主翼の交換やアビオニクスの更新など大掛かりなアップグレードを処分予定だったA-10に施すのは多くの費用が必要になる」と困惑気味だ。
空軍で将来計画の立案や各プログラム分析・評価を担当するデビッド・ナホム中将は「現在の規模のままA-10を維持すると2021年度~2022年度にかけて引き渡される91機のF-35Aを十分に整備するエンジニアが不足する事態に陥る」と警告しており、資金を投じてエンジニアを新規に雇用することも出来るが「彼らが直ぐに経験豊富なエンジニアとして活躍できる訳ではない」と付け加えた。
さらに上院軍事委員会はKC-130×18機、KC-10×12機を退役させることを認めたが、空軍がKC-46Aと次世代の空中給油機KC-Zのギャップを埋めるため調達を検討しているブリッジタンカー(KC-Y)について「KC-46Aのリモートビジョンシステムが完全に稼働するまで調達を禁止する」と国防権限法に盛り込んでいる。
ブリッジタンカーは非開発で調達を予定しているためKC-46AとA330MRTTの争いになるのがほぼ確定しており空軍はブリッジタンカープログラムを早期に開始したいのだが、KC-46Aの不具合は最速でも2023年以降にならないと解消されないため現状のままプログラムを開始すれば著しくA330MRTTが有利なので上院軍事委員会は「KC-46Aの不具合が解消するまでブリッジタンカープログラムを延期しろ」と言っているに等しい。
但し上院が承認した国防権限法の中でF-15C/D、F-16C/D、E-8、RQ-4の処分、MQ-9の調達打ち切りを制限するような言及はないため、こちらは空軍の要求を認めていると解釈することも出来るが詳細は不明だ。
近接航空支援に特化したA-10は確かに優れた航空機かもしれないが海上の戦いが主戦場となる中国との争いにA-10が役立つ可能性は低く、空軍は保有するA-10×281機を最終的に218機まで減らすことを目標にしているだけで「A-10を全機退役させる」とは一言も言っていないのに上院がA-10の一部退役を認めないのは流石に理解に苦しむ。
上院は一体いつまで空軍にA-10を保持させる気なのだろうか?
因みに上院軍事委員会が承認した国防権限法は本会議の採決も終わっておらず、下院軍事委員会が策定する国防権限法との兼ね合いがあるので上記の内容は「確定事項」ではない。
関連記事:バイデン政権の予算案を上院が拒否、新たに7,403億ドルに増額された国防予算を承認
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air National Guard photo by Munnaf Joarder
対中戦に限らず、A-10が活躍/運用できる戦場のお膳立ては現状難しいですもんね。
要は航空優勢を得て一方的にぶん殴れる環境ですから、A-10が優れた兵器であっても使い途がない。
最近の非正規戦は防空兵器単体の性能が上がったせいで防空網といえない密度でも排除はなかなか厳しいと思います。
陸軍からの支援要請を受けて目的を達成するというデータだけでみれば
他のマルチロール戦闘機などでもこなせているから空軍としてはデータを根拠に退役させたい
いくら頑丈といってもパイロットを危険に晒す機体などいらない
その一方で安全な高空からの精密誘導では得られない
危険なところで一緒に戦ってくれるというデータに出ない陸軍の士気高揚効果がA-10にはある
議会や陸軍はそこを重要だと思ってるから退役させたくない
陸軍も近接航空支援を行うAH-64を前線で運用するのが難しくなるから無人機との連携と長射程ミサイルの組み合わせで後方運用する構想なのに、空軍のA-10だけ直上支援しろというのは無理筋だろ
なんというか、アメリカ人らしくもない非合理的な判断だな
あちらも色々と縛られるものが多いようで、民主国家は軍事に関しては苦労が多いね
アメリカ人が合理的思考などというのが幻想
当然アメリカ議会も合理的判断よりも、非合理的判断が多い
失敗しまくって改善すらできてない時点の、LCS大増産を決めたのも議会
アメリカ議会の軍事関係判断は非合理な事が多いぞ(LCSなんて地元への利益誘導のためだし
A-10維持はどこかに利益があるんだろうか
ボーイングが製造整備してるなら分かりやすいんだけれど、
A-10のメーカーは既に解散してたよね?
A-10の知的財産権はロッキード・マーティン、GAU-8はジェネラル・ダイナミクスが保有している「らしい」のですが、英語版ウィキペディアには情報がないですね。
一応、近代化改修のLM契約はあったので機体設計とか必要な情報は共有されているみたいですが、主翼交換はボーイングが受注してたりしますから、混沌としてますね
リンク
そもそも、アメリカ人が合理的だと言うのが幻想
マスコミ・ネットなどで捏造されたアメリカ人像
アメリカ全体でみれば非合理な人が多いからね、それだから議会も非合理優先になる
合理性というもんは一般論として存在するもんでなく、ある目標に到達するまでの最短距離計画に過ぎませんから。
議会は非合理なのでなく、軍とはまた別の目標を含ませたいんですよ
それを明言しないのは、口にするとまずい内容だから。
議会は中国との海での争いよりも、中東やロシアとの陸地での覇権を競いたいのかも知れない
違うよ、外国と戦う前に国内の各利権同士が戦っているんだよ
それこそまさしく「軍とはまた別の口にするとまずい目標」ですよねぇ。
↑コメはなぜ「中東やロシアとの陸地での覇権」なんてトリッキーな発想に至ったのか。
こんな粗大ごみ早く退役させて予算と人材を他に回せば良いのに
退役させてもCASで有能な機体となるとA-10以上のものは結局できないだろうし、何も中国だけを相手にしてるわけじゃないから存置って判断なんでしょう。引き続き中東方面に出張っていくときには使うだろうし。中東、ウクライナ、中国の三正面で戦う可能性がある国って本当に大変。
記事にも書かれてるけど空軍の言う通り削減でいいじゃん
PSAMで即死のAHとは違い飛行コスト高すぎるFBとも違うジャンル・・・リーパーでガンシップ仕立てたら?
一度は拒否したけど、やっぱり陸軍の予算でやるべきなのでは
もともとA-X計画(後のA-10)は陸軍が立案して、完成後も自前で維持する予定だったんだけど、
陸軍に固定翼機(連絡機など一部例外は除く)は認めない!と空軍が割り込んで奪い去ったものだったりする。
ある意味、空軍の自業自得。個人的には半世紀前の自分らの決定を恨むんだなーと思ってしまう。
>やっぱり陸軍の予算でやるべきなのでは
A-10の運用予算って、陸軍が出してまっせ。
陸軍がかつて固定翼機を手放したとき、陸軍が予算出すから、空軍は陸軍が満足する近接支援を行え。という手打ちになっている。
なんで、予算出してる陸軍的には、空軍に近接支援にしか使えない機種を運用させて専属させたいし、空軍は多用途機に置き換えて、近接支援がないときには自分ところのお仕事に使いたい。
普通だったら運用してる組織の勝手で機種とか決められるけど、A-10は陸軍がカネ出してるから、引退話が出ては消えるし、議会でも陸軍が支持層な議員が核になって、今回のような議会が空軍を止める、みたいな不思議な話が出るって寸法。
空軍的にも、多用途機に置き換えはしたいが、あんまり強引にやって、それで陸軍がヘソ曲げて、じゃあ空軍に予算渡すのやめて、そのカネで自走砲と対地ロケット作るわ、とか言われると、空軍的には予算減って困るから、あんまり邪険にも扱えない。
A-10は名機だからとか、機体性能的にA-10にしか出来ない事があるから、とかじゃなくて、近接支援しか出来ない子であることに意味があるという話。
なぁに、B52よりは役に立つ。
陸軍種からすると「呼んだら絶対来てくれる攻撃機」が常に戦域に居てほしいんだよな。
F16にせよF35にせよCAS「も」できるけどSEADやCAPも出来るから、戦域に展開中の機体が全部航空作戦に駆り出されてて地上部隊がCASを要請してもすぐには来れない、来てもショボいなどなど怖い事態が起こるんじゃないかと想定しているんだ。
特に展開戦力が限定されるMEUやアフガニスタン派遣軍みたいな最低限度の戦力で構成された部隊は(彼らのような少数部隊こそCASを頻繁に必要とするのに)航空支援の機会も限られる。まぁ海兵隊は航空機自前だけど…
つまり、高強度環境でも生存性を持つ攻撃機があればいいんだけど、ステルス化で防空網をすり抜けたところで攻撃するときにはどっちみち重要目標に接敵しなきゃいけないし、高射砲でも食らったら結局墜ちる訳でまぁ厳しいよねというのがこの論争の根本
ガチガチに拠点固められて立て籠もられたり思わぬところから奇襲かけられたりするイレギュラーな状況だと地上軍だけで制圧するのはどうしても限度があるからな
やっぱり優秀ではあるけれどA-10は200機ぐらい残せば十分。
これからA-10の需要が増えることはないだろうし、退役分は他の機で代替可能。
議会は「削減」と「廃止」の違いを理解できないのかな?
こうなると陸軍がA-10を運用したら良いんじゃない。
空軍はお荷物を手放せて陸軍は近接航空支援機を手に入れられるwin-winでは?
いや近接支援以外に使えない航空機を外注(空軍)している方が楽に決まってるじゃないですか。運用予算以外の維持・整備員の教育と雇用おまけにその保険や社会保障は空軍に押し付けられるんだから。Win-Winじゃなくて陸軍が得してるんだよ。
アメリカ人はA-10が好きすぎだろ
退役させたく無い1番の理由は今現在A-10の保守を行なっているメーカーがボーイングだからでは?
最近主翼貼り直したのはノースロップグラマンだよ
議会の詳しい言い分を聞いてみたい
原語のニュースサイトか議事録には出てんのかね
30mm砲を積んだ無人機を開発して陸軍にあげるのが一番無難では
30mmガトリング砲を積む無人機は流石に無理と思うが。
A-10を無人機化すれば?
いっそのことA-10を使い捨ての無人機として活用すればいいんじゃないんですかね?
中国が旧式のJ-7にやっているみたいに。
空軍としては、貴重なパイロット1名を陸軍のために危険に晒すのはイヤっていうのが本音だろう
やっぱ無人機じゃないかな、こういう用途にこれからの時代は
A-10は、対中・対ロ戦には使えないかもしれないが、対メキシコ・対キューバや内戦では
依然として強力な攻撃兵器といえる。
そんなん州兵リーパーでええんやん
リーパーは廃止やん
また、対テロ戦が起こらないと限らないし
無人機として利用すればいいのでは?
A-10マニアが居るんだな
アメリカでも
日本の場合は不審船などを監視、攻撃できるA-10みたいな機体が欲しいね。
航続距離が長くて、低速で低空飛行出来て、生存率の高い、ってP1やん!
P1の重武装型(30㎜ガトリングポット、側面12.7㎜機銃、小型対艦ミサイル搭載)求む!
攻撃する必要はないので、海保で導入予定のシーガーディアンでいいです。
実際の所どんなシーンでの運用考えているんだろう、最近よほど歩兵携行対空ミサイル持っていないと分かっていない限りは30mmの出番は無いように感じるが。それだとミサイル搭載メインで遠距離攻撃する無人有人航空機と何が違うのって話になる。議会もどんな風な運用したいか、空軍はA-10の実際の運用状態とか出してどうするか話してくれないといまいちゴールが見えないな。
A-10も機体アップグレードするだけではなく、時代に即した運用するとか言っているからロイヤルウィングマンとかAH-64EみたいにUAV管制するとか色々するんじゃないかな。
>P1の重武装型(30㎜ガトリングポット、側面12.7㎜機銃、小型対艦ミサイル搭載)求む!
全然要らない、機関銃使うって時点で歩兵携行型の対空ミサイルの射程に入る事確実なのに高価で鈍重な機体に何させるのか。おまけに30mmガンポッドはGPU-5/Aの事を言ってるのかA-10に積んでいるGAU-8/Aをわざわざガンポッド化するのかも分からない。前者ですら取り付け部の強度不足で弾道がぶれるとか、速度が速い機体だと補正の時間取れないとか、A-10と同じで反動のせいで操縦にも影響出るって問題だらけだった、後者ならもう話にならない本体重量や射撃に伴う反動どれ位か分かっているのかと。