米国のロッキード・マーティンは最近、極超音速兵器開発プログラム「AGM-183A Air Launched Rapid Response Weapon(空中発射高速応答兵器:ARRW)」の公式なCGイメージを公開したと報じられている。
参考:Lockheed Martin releases image of its super fast weapon
極超音速兵器AGM-183A ARRWの鮮明な公式CGイメージが公開される
米空軍とロッキード・マーティンが開発を進めている極超音速兵器開発プログラム「AGM-183A ARRW」は、昨年の6月に爆撃機B-52の主翼パイロンに取り付けられ飛行テストを行った際、その姿を初めて公に晒すことになったがブースター本体が非常に小さく映っていただけなので詳細についてはよく分からなかった。
特に「AGM-183A ARRW」はブースター本体の弾頭部分に極超音速で滑空する「飛翔体」を隠しているため、一体どの様な形状をしているのか謎であった部分だ。
Behold, the AGM-183A Air-launched Rapid Response Weapon (ARRW), the most advanced hypersonic boost-glide missile in development.
Lockheed Martin just released the image, which I’m calling the most useful official rendering of a boost-glide system yet released by anyone. pic.twitter.com/DRIpDDSGhZ
— Steve Trimble (@TheDEWLine) February 28, 2020
ただロッキード・マーティンが今回公開したCGイメージには、この疑問を完全に解決した仕上がりで、爆撃機B-52から空中発射されたAGM-183A ARRWは大気圏を突破し宇宙空間に侵入したあと、ブースター本体の先端に取り付けられたペイロードフェアリングを分離し「飛翔体」を露出させる様子を表現している。
宇宙空間で分離された飛翔体本体は最大で「マッハ20」まで加速するらしいが、射程距離などについては一切明かされていない。
本来、米空軍は「AGM-183A ARRW」とは別に空中発射型の極超音速巡航ミサイル「Hypersonic Conventional Strike Weapon(HCSW)」も開発していたが、2021会計年度予算からHCSWの開発予算が削除されており、米空軍は「HCSW」の開発を中止して極超音速兵器の開発を「AGM-183A ARRW」1本に絞った格好だ。
極超音速巡航ミサイル「HCSW」の開発中止は技術的なトラブルではなく、単純に予算上の問題(要するに金が無い)で中止されたと言われている。
このまま開発が順調に進めば2022年までに「AGM-183A ARRW」は初期運用能力を獲得する予定で、米国や米軍にとって初の実用型極超音速兵器となるはずだ。そしてロシアや中国に先行されギャップが生じていた極超音速兵器分野における反撃の第一歩になるはずだ。
最近、米空軍は「B-1Bランサー」や「A-10サンダーボルトII」など計7機種の退役を発表したり、偵察機「U-2ドラゴンレディ」を2025年までに退役させるのではないかと噂されるなど暗い話題が続いていただけに、久々に明るいニュースに触れた気がする。
関連記事:米空軍、正式に「B-1Bランサー」や「A-10サンダーボルトII」など7機種の退役計画を発表
関連記事:航空戦力の整理を始めた米空軍、2025年に高高度偵察機「U-2」を退役させる?
※アイキャッチ画像の出典:ロッキード・マーティン 極超音速兵器開発プログラム AGM-183A Air Launched Rapid Response Weapon(空中発射高速応答兵器:ARRW)
飛翔体部分小さ
それともブースター部分がデカイ?
本体がトマホークぐらいの割に弾頭部分?が小さすぎて使い勝手が悪そう。中露の極超音速兵器も実用性は未知数ですけど通常戦力では米軍に対抗できない分、力を入れているだろうし中東やアフリカで実戦投入されないかなあ…
いや、記事中でAGM-183Aの飛翔体は最大マッハ20まで加速すると言うから、それが本当だとすれば着弾時の衝撃波で目標を吹っ飛ばせるので、“飛翔体(弾頭部)に炸薬は必要ない”のかも知れない。
30年以上前、日本SF小説の最高峰の一作「戦闘妖精雪風」(神林 長平/著)を読んだ時に、主人公の敵が超高速ミサイルで前線基地を吹き飛ばす描写があって、その中に「あれだけのスピードなら炸薬など必要ないな。衝撃波でみんな吹き飛ばされた」と言う主人公の台詞があったけれど、それが遂に現実になるのかな……
>「あれだけのスピードなら炸薬など必要ないな。衝撃波でみんな吹き飛ばされた」
うわぁ懐かしい。よく練られた小説でしたよね。続編も面白かった。
SFマガジンで続編が連載中なので、そちらも是非
元々は中露の対抗というよりトマホーク遅すぎ、敵が逃亡問題だった気がするが、今はinfも脱退したし、早く良いミサイルが出来ると良いですね。
移動目標も打撃でき戦争を短期間で終わらせるのが理想
対戦車弾は割りと早めにHEATやHESHみたいなCEPからAPDS系のKEPへ移行してるけど、今後は飛行機や艦船、地上目標に対してもより純粋なKEPがしようされるのかな
飛行機やらは破片効果で墜ちるから弾体そのものの直撃は狙わないはずだけど……それとも飛翔体が爆発すんのかね
日本では、シーバスター弾頭の研究が行われています。
リンク
LOAST復活しないかな。
直射じゃなくて、前線歩兵のマーキングで後背からミサイルをデリバリーしたらだめか、なんて夢想したものです。
てっきりキンジャールの様な短距離弾道弾の流用かと思いきやしっかり滑空弾頭なんですね。
大昔に大コケした、GAM-87 Skyboltの焼き直しだろ?
で?
この手の物の最終誘導はどうなっているのですかね。
いよいよアメリカさんも他国にお付き合いよく中二病か。
役に立つ兵器の増えたことを明るいニュースと呼ぶことに、人類としては暗い課題が減らないと言う現実をも忘れないで欲しい
パワーバランス理論そのものが不要な状態こそ、本来の望ましい未来なんだから