未だに秘密のベールに包まれている、米空軍のB-2ステルス爆撃機。最近、B-2“スピリット”飛行中のコックピット内部を撮影した動画が、初めて公開された。
参考:Here’s how B-2 bomber pilots pull off grueling 33-hour flights
初飛行から30年という時間の経過を感じてしまう
この動画は、ダラスを拠点とする映画プロデューサー兼ラジオパーソナリティーの、ジェフ・ボルトンが撮影したものだ。
飛行中のB-2の勇姿から、空中給油機から給油を受けるシーン、B-2を操縦するパイロットとコックピット内部が映っている。もっとも驚きなのは、B-2のコックピット内部を映した動画に、操縦計器パネル類が遠慮なく映っている点だ。
ここまで映して良いのか?と思うほど、遠慮なく撮影し、一切のモザイク処理なしに動画で公開している。
肝心のB-2“スピリット”のコックピットを見た感想としては、いささか古めかしいと感じてしまった。1989年に初飛行したB-2は、すでに30年の歴史があって、最新のF-35ステルス戦闘機などのコックピットと比べると、改めて20世紀に設計された航空機という実感を感じる。
2人のパイロット正面には4つ多機能情報画面が配置され、左右のパイロットの間には、姿勢指示計や昇降計、傾斜計など基本情報を映し出す、大型の情報画面が設置されている。それ以外の空間には、これでもかと言うほどのアナログ式計器や、機械式のスイッチ類がびっしりと取り付けられているのが印象的だ。
気になったのは、B-2“スピリット”のコックピット正面のガラスに、非常に細かな網目状の何かが埋め込まれていること。これはF-22や、F-117のキャノピーに、金を蒸着コーティングすることでコックピット内部へのレーダー波の進入を防いでいるが、B-2では別の技術を用いているのかもしれない。
色々と書いたが、現在開発中のB-21が完成するまで、世界で一番、先進的な爆撃機のコックピットであることには変わりがないし、B-52のコックピットに比べれば十分未来的だ。
それなのに、米空軍はB-2とB-1を退役させ、B-21とB-52で爆撃機戦力を構成していくことを既に決定している。
もちろん、なぜB-52よりも、B-2を先に退役させるのか十分すぎるほど理由は知っているが、進化したテクノロジーのコストが退役を早めた原因だというのは、本当に皮肉な話だ。
今回、誕生から30年経って公開されたB-2飛行中のコックピット。
もう30年もすれば、スミソニアン博物館で退役したB-2が展示され、コックピット内部を見学できるようになるのかもしれない。
※アイキャッチ画像の出典:pixabay
この記事へのコメントはありません。