米海兵隊は全ての戦車大隊廃止や航空戦力調達の削減を含む大規模な部隊再編計画「Force Design 2030」を今年3月に発表したばかりが、すでに海兵隊の戦車大隊からM1A1エイブラムスの退役が始まっている。
参考:A farewell to armor: Marine Corps shuts down tank units, hauls away M1A1s
すでに始まっている海兵隊からのM1A1エイブラムス退役、F-35Bの調達削減も避けられない状況に
米海兵隊は今年3月、2030年までの10年間で主力戦車M1A1を装備する戦車大隊の全廃、歩兵大隊を3個大隊削減、砲兵大隊を16個大隊削減、水陸両用車中隊を2個中隊削減、F-35を装備する飛行中隊の定数を16機から10機に削減、MV-22とCH-53Eを装備する飛行中隊を各1個飛行中隊廃止、AH-1Zを装備する2個飛行中隊廃止、調達を予定していたF-35B/CとCH-53Kの調達を各130機分キャンセル、総兵力の7%にあたる約1万2,000人の兵士を削減する部隊編成計画「Force Design 2030」を発表した。
このような方針の大転換は、冷戦終結後に訪れた「テロとの戦い」で海兵隊が内陸部の戦いに進出したのを再び海や沿岸の戦いに戻すという意味で、不要な装備を大胆に手放し「海での戦い」に特化しようとしてるのだが、ここまで大胆な部隊編成計画が本当に実行されるのか怪しいと思っている方も少なくないだろう。
かく言う管理人もその一人だった訳だが、海兵隊の第1戦車大隊はすでにM1A1エイブラムスを手放し終え、第2戦車大隊は保有している全てのM1A1エイブラムスを倉庫に移動させはじめて部隊閉鎖のための荷造りを始めており、戦車大隊に所属していた兵士は専門技能を活かすため陸軍に転属するか、兵科を変更して海兵隊に残るか、それとも早期退役を選択するかを選ぶことが出来るらしい。
この辺りの変わり身の早さは流石といったところだが、米軍全体から主力戦車が消えるわけではない。
海兵隊総司令官のデビッド・バーカー大将は「戦車を使用した戦闘能力は長い歴史を持っているが、国が海兵隊に要求する将来の戦いにおいては不適切な装備だと結論づける十分な証拠がある」と話したが、地上戦から戦車が消えることはなく「今後も陸軍によって戦車や装甲戦力が提供され続けるだろう」と述べている。
しかし海兵隊から戦車大隊が廃止されることには変わりがなく、すでにM1A1エイブラムスが倉庫行きになっている事実を考えると「Force Design 2030」で示された大規模な部隊改変は本当に実行されるのだと改めて思い知らされた。
今のところ海兵隊が発注するF-35BやF-35Cについて「本当に削減が行われるのか?」確たる情報は入ってきていないが、戦車大隊の廃止状況を見る限り削減が実行される確率が高く、そうなるとF-35Bの調達価格に大きな影響を及ぼす可能性が非常に高いと言わざるを得ない。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Patrick King
そこまでアメリカってお金なかったっけ?
金が足りないから軍縮するんじゃなくて、中東での陸戦部隊から、インド太平洋で対艦ミサイル等を使い中共海軍を阻止する部隊に方針転換するんだって…
予算の問題じゃない。
離島防衛とかMD部隊を増設するから単純に即応性と対中を意識した部隊改変デス。
記事に書かれてあるとうり、対テロ戦争を想定した非対称戦闘から大国同士の戦力対象な正面戦闘へと方針を転換したととれる。
非対称戦闘に特化した海兵隊自体が縮小されて他の指揮系統に編入される。このまま維持していても金だけが浪費され肥大化した近代組織になるから、金がある今のちに再編しようと考えるのは必然。世界情勢次第で縮小範囲が増減するだろう。
予算の問題ではなく米海兵隊の方針転換だってこのブログで散々やってきたわけだが・・・
ひとつレンタルしてくれ
弾は要らんから
ディーゼルエンジンの車両は数多あれどガスタービンで走る車両なんてそうないですからね。
走行シーンだけでも生で見たい気持ちでいっぱい。
台湾の軍事演習とか観光で見れないかしら?
島嶼防衛主体のミサイル軍を目指す以上F-35も前線でのセンサーノード用途向けに少数で十分でしょうね。
そうだね。最終的に無人のステルス偵察機や偵察衛星に取って代わられると思う。問題はそれが2030年よりも先か後かの違いでしかない。
本気で、対艦ミサイル部隊になるつもりなんだな。
F-35Bは、減らさないで欲しい。
クロスデッキに引く手あまたです。
広い意味でRrestructuringだよね
あっちは企業も軍もやるとなったら早いよね
陸軍は従来のままなのかな?
YouTubeで元陸自将官、用田和仁さんの動画を見て、あ〜なるほどこのことかと思った。
結局海兵隊本来?の仕事に専念するってことか
AH-1Z、中古で格安で我が国に売って欲しいですね。
2個飛行隊ならちょうどいいかも?
攻撃ヘリ役に立つのん? 立つならアリかもしれないけど。無人樹と一番代替しやすい、される兵種な気がする
海兵隊が戦車や火砲壊滅させ兵士も大幅削減しても攻撃ヘリは大部分を残す程には役立つよ
この先AHがドローンに取って換わられるとは言われてるけど確実とは言えないしでも陸自としてもAH-1Sが日々退役していって自前のCAS能力無くなるのは避けたいからせめてAH-1Zと言わずともAH-1Wの中古で出来れば10年くらい時間稼ぎはして欲しいよね
なるほどそういう考え方事情もあるのか。カトンボ並みにホイホイ落とされるからあんま使いたい兵器という印象ないんですやね攻撃ヘリ。
アメリカ級3番艦どうすんのよ?
海兵隊がウェルドックほしいっていうから追加したのに、もういらんやん
大丈夫だ、先日改修工事中に炎上したボノム・リシャールをそのまま退役させれば、帳尻は合う(暗黒笑顔)
ミサイル部隊の即時展開とかに使えるんじゃない?
海兵隊の戦車部隊をそのまま陸軍に編入するのかと思ったら戦車は倉庫行きなのか・・
中古のM1を割安で買いたい国とか結構ありそうだな
台湾の売却分になるのでは?
次期アップグレード時にリストアされますよ。
M1専用のリストア施設すらあるくらいですから。
あそこの雇用もどう吸収するんだろ。とんでもなく大規模なのに。とりまポーランドとかにも出してあげて欲しいけど予算的にキツいかな。
ガスタービンエンジンのM1の燃費はディーゼルエンジンの戦車に比べてすこぶる悪いし燃料も別に用意しないといけないからポーランドだと厳しいんじゃ無いかな?
その作業の映像見ると砂漠の砂の厄介さがわかるね
ブレードが傷だらけになったりしててさ
将官や佐官級ポストがだいぶ減ると思うが、反発はないのでしょうか?自衛隊もそうだけど軍隊はポスト減少を極度に嫌がる傾向があるのだけど、それを跳ね除けて(納得させて)改革を実行するのはお見事。この手の改革が積極的にできる米軍とまともな議論をする米議会が羨ましい。
海兵隊は自己革新できる組織って何かの本で読んだがまさに今がその時だな
この知的機動力は見習いたいね
3月ごろの記事にありましたが、これですよね↓
リンク
米軍は本気で対中シフトなんだなぁ。
ここまで海兵隊を作り直すところを見てしまうと、アメリカの決断と本気を感じる。
硫黄島の上陸作戦成功のときに、海軍長官が「海兵隊も500年は安泰だな」と言ったそうで。
迅速にある程度独立して動ける組織ってのは、あったほうがいいんだろうな。
議会が新造戦車を認めないから既存車輌の「改修」で戦車を進化させて来た。
倉庫行きのMIA1もいずれは改修されて現場復帰か輸出に回されるのだろう。
MBTは各国も保有台数は減らしているから倉庫行きのM1の行き先が簡単には決まらないだろうが。
四方を海に囲まれた我が日本国。
地続きのEU~中東~東アジア諸国の感じる戦車のニーズ。
当方的には理解出来ず、取り敢えずの今々。
戦車が役立った事の無い日本に生まれて良かったです。
将校の反発うんぬんってあるけど、今までの海兵隊って
政治的な都合で陸軍出せないから海兵隊使っとけ、ぐらいな無茶ぶりが多かったし、本来の形へと戻るのは大歓迎なんじゃないかな?
その無茶振りをくぐり抜けて叩き上げたオッサンの経験値がいきなり全くの無価値になるんですよ…
陸自は宇都宮の地対艦ミサイル連隊を廃止してたけど、この流れどうすんだろ。