米CNNは20日、今週中にも発表されるウクライナ支援パッケージにはパトリオットシステムに加え「無誘導爆弾に精密誘導能力を追加するJDAMが含まれる」と報じて注目を集めている。
参考:US to send precision bomb kits and Patriot missiles in next Ukraine aid package, officials say
参考:Zelensky planning to visit Washington to address Congress
ゼレンスキー大統領が今週中に渡米してバイデン大統領と会談する計画(水曜日が有力視)があるとも報じられている
JDAMは航空機が使用する無誘導爆弾(Mk.82=500ポンド、Mk.83=1,000ポンド、Mk.84=2,000ポンド)に追加で取り付ける精密誘導キットのことで、これを搭載した戦闘機は最大28km先の地上目標を正確に攻撃することが出来るようになり、無誘導爆弾(2,000ドル~3,000ドル前後)とキット(約2.2万ドル)のコストが専用の精密誘導兵器よりも安価なため米軍以外でも広く採用されている。
JDAMとMk.80シリーズを組み合わせた精密誘導兵器をウクライナに提供して「これをMiG-29、Su-25、Su-27に統合して対地攻撃に活用する」こと想定していると思われるが、最大28kmという到達範囲は「投下する高度と速度」に依存するため低空飛行が強いられる前線空域でJDAMを使用しても28km先の目標を攻撃するのは難しく、ボーイングが国防総省に提案していたGLSDB(地上発射型小口径爆弾)は150km先の目標を攻撃できるため「到達範囲が限定的」なJDAMを提供することになったのかもしれない。
ウクライナ空軍はAGM-88HARMを運用できるものの本格的な敵防空網制圧ミッションを実行できる訳ではないので「敵防空システムを制圧して敵支配地域の奥深くにある拠点を航空戦力で叩く」という芸当は不可能に近く、JDAMを提供してもクリミア大橋を攻撃できない=ロシアが戦いをエスカレーションさせてくる可能性は低いという意味だ。
そもそもボーイングは「クラスター弾非活性化のため用済みになるM26弾のロケットモーター」と「アフガニスタン紛争で余ったSDB」を再利用してGLSDBを製造してはどうかと提案しているため、ウクライナにGLSDBを提供するとしても「時間がかかる」と言われており、パトリオットシステムのウクライナ供与についても政権内やNATO内の対立が報じられているので正式に発表されるまで何が起こるか分からない。
追記:ゼレンスキー大統領が今週中に訪米してバイデン大統領と会談する計画(水曜日が有力視)があると報じられているため、これが事実ならパトリオットシステムやJDAMが含まれるウクライナ支援パッケージをゼレンスキー大統領が訪米したタイミングで発表するのかもしれない。
関連記事:米国によるパトリオットシステムのウクライナ提供、効果は非常に限定的
関連記事:バイデン政権、兵站上の課題を抱えるパトリオットのウクライナ提供を決断か
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Akeem K. Campbell
最大到達距離が28kmとあるけれど、リリースする高度は幾つだろう。
仮にJDAM専門のMig29を選定し、実用上昇限度17500mでリリース
したら到達距離はどのくらいだろう。
28kmは、M31ロケット弾の射程の半分程度でしょう。
付属のストレーキを大型化できないのだろうか。
できれば、GLSDBが来るまでの間、代わりが出来れば良いのですが。
JDAMの派生で滑空翼をつけたJDAM-ERが約10年前に豪軍に採用されたけど、それで射程60〜70km程度。
2年前に記事になった、プラスで小型ジェットエンジンを付けたPowered-JDAMだと射程160kmとも370kmとも言われてるけど、どこも採用してなかった(2020年当時)から詳しくは分からず。
どこも採用してなかった後者はもちろん、米軍で採用されなかったERも余剰在庫なんてあるとは思えないですし、JDAMに長距離射程を求める考えはアメリカになかったみたいですね。
最近は安価な長距離武器を欲してるみたいなのでわかりませんが
そうすると、当面は、豪空軍からの供与頼みでしょうか。
滑空翼は固定翼でしょうから、ウクライナでも製造が出来そうな気がします。
いずれにせよ、M31より到達距離が小さいのは不味いかなと。
おそらく、無人機に統合する目処が立ったのでは?
小型でしょうが。
TB-2でもペイロード150kgだから最軽量のMk82(500ポンド=約230kg)を積めないのに小型UAVでは更に無理だぞ…。
JDAMのコストなら重迫撃砲や榴弾砲の破壊と運用要員の死傷でも十分ペイできるし、砲そのものが破壊されればそれはそれで兵站への負荷を強いることができるから、これらが目標になるのではないかと思う。
低高度から一気に上昇しつつのトス爆撃なら前線のウクライナ軍支配地域上から上記目標に届きそうだし。(投下後はそのままウクライナ支配地域の奥にとんずらすれば危険度も落ちる)
先日、ロシアのTu-95/22m3の基地を襲ったとされるのは、
Tu-123またはTu-141の改造型と目されていますね。
こういった無人機と統合できれば良いですね。無人爆撃機ですね。
例えばGPS/レーザー誘導のMk84(2000lb)を懸下して、
”あの橋” を落とす作戦を実行できると良いですね。
成功すれば、ウクライナ地上軍の大きな助けになります。
戦争の帰趨を左右にもすると思います。
たまたまタイミングよく退役が決定したA-10Cを供与すれば
エスカレーションを招く危険性が低く無改修でJDAMを運用出来る機材を提供出来そうですねぇ…
いくら米軍基地があってもいざとなればここまでではないにしろ欧米は日本への支援を渋る可能性をここから学ばないといけない。自分たちでどうにかなる、しかも電撃戦を耐え抜いた後の先進兵器に頼らない単純な砲火力など、低コストな武器の配分を考えるべき時が来ている。もちろん指揮システムや偵察システムは最先端であるべきだけど、それらと組み合わせる砲兵火力や歩兵火力はある程度陳腐化したものでもかなり役立つのはウクライナを見れば明白。結局、人間の戦いはある程度の火力差まで縮めればあとは情報戦でしかない。
いくら米軍基地があってもいざとなればここまでではないにしろ欧米は日本への支援を渋る可能性をここから学ばないといけない。自分たちでどうにかなる、しかも電撃戦を耐え抜いた後の先進兵器に頼らない単純な砲火力など、低コストな武器の配分を考えるべき時が来ている。もちろん指揮システムや偵察システムは最先端であるべきだけど、それらと組み合わせる砲兵火力や歩兵火力はある程度陳腐化したものでもかなり役立つのはウクライナを見れば明白。結局、人間の戦いはある程度の火力差まで縮めればあとは情報戦でしかない。
HARMを使用した話などでたまにウクライナ空軍の活躍を聞くが、ロシア軍の対空ミサイルもあって活動は低調じゃなかったのかな。
JDAMを供与しても使う機会があるのかなあ。
まあ渡すということは、それなりに使用機会があるということなのかしらん。
各国の東側兵器を買いあさってNATO改修してウクライナに供与する羽目になったりして。