ウクライナ戦況

ウクライナ侵攻以降に引渡されたTB2は50機、7月にも新たに到着予定

ウクライナのレズニコフ国防相は28日、ロシア軍による侵攻以降に配備されたTB2の数が50機に達したと明かして注目を集めている。

参考:Резников рассказал о “масштабных планах” по приобретению “Байракторов”

たった3ヶ月間で50機ものTB2をウクライナに供給できるBAYKARの製造能力に驚かされる

ウクライナはトルコ製UCAV「バイラクタルTB2」を12機(空軍6機+海軍6機)導入、自国での運用結果やナゴルノ・カラバフ紛争での活躍もあり計52機(空軍向け48機+海軍向け4機)を追加発注、ロシア軍の侵攻前に追加発注分の3機が引き渡さと言われており、ウクライナ軍は2月24日時点で計15機のTB2を保有していたことになる。

出典:Ministry of Defence of Ukraine / CC BY 4.0

BAYKARは2月24日以降もTB2の引き渡しを継続していることが確認されていたが、レズニコフ国防相は「ロシア軍による侵攻以降に配備されたTB2の数が50機に達した」と28日に明かしており、ウクライナは侵攻前に発注していた以上のTB2(追加発注分の残数49機+リトアニア提供分の1機?)を受け取っていたことになるため非常に興味深い。

さらにレズニコフ国防相は「7月中に追加のTB2が幾つか届く予定で、BAYKARと数十機の追加購入について交渉を行なっている」とも述べており、たった3ヶ月間で50機ものTB2をウクライナに供給できるBAYKARの製造能力に驚かされるばかりだ。

BAYKARはモロッコ、ポーランド、イラク、エチオピア、キルギス、ニジェール向けのバックオーダーも抱えている中でウクライナ軍の需要に対応しており、恐らく他社製のUCAVでは対応不可能な数だろう。

出典:BAYKAR リトアニアに引き渡されるTB2

因みにBAYKARはリトアニア人とウクライナ人がTB2を購入するため集めた資金を受け取らず、無償で計4機のTB2をウクライナに提供すると発表している。

関連記事:ロシア軍にとって凶報、追加発注分のバイラクタルTB2がウクライナに到着
関連記事:BAYKARがTB2を無償提供、ウクライナ人が集めた2,000万ドルは他の支援に
関連記事:BAYKARがウクライナ向けTB2を無償提供、寄付金は人道支援に使って

 

※アイキャッチ画像の出典:President.gov.ua / CC BY 4.0

米国、ウクライナが年内に反攻に必要な戦力を準備できる可能性は低い前のページ

ウクライナが待ち望む防空システム、NASAMSを扱うための訓練を開始か次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    中国製ドローンへの依存、ウクライナはMavicの生産量の60%を購入

    ウクライナのシュミハル首相は「400億フリヴニャ(約1,640億円)も…

  2. ウクライナ戦況

    ロシア人の残忍で粘り強い戦術は健在、ウクライナ人は戦いに疲れ果てている

    CNNは最前線で戦うウクライナ兵士への取材に基づき「ロシア人の残忍で粘…

  3. ウクライナ戦況

    スロバキア、9月以降にMiG-29をウクライナに引き渡す可能性が高い

    スロバキアのナド国防相は「MiG-29がウクライナに引き渡されたという…

  4. ウクライナ戦況

    ロシア軍は準備した全戦力をウクライナに投入、今後は消耗戦になる可能性

    国際戦略研究所は「ウクライナでの戦いはロシア軍が手持ちの予備をほとんど…

  5. ウクライナ戦況

    マリウポリで最後の瞬間を待つ第36旅団、抵抗の代償を忘れず勝利してくれ

    マリウポリを防衛するウクライナの第36独立海軍歩兵旅団は12日、偽物で…

  6. ウクライナ戦況

    ウクライナ国防省情報総局、黒海艦隊のセルゲイ・コトフをMAGURA V5で撃沈

    ウクライナ国防省情報総局は5日「GUR特殊部隊のグループ13が黒海艦隊…

コメント

    • ido
    • 2022年 6月 28日

    TB2は今何機撃墜されて何機補充できたかが気になる。しかしTB2の製造は簡単なのかな?

    5
      • G
      • 2022年 6月 29日

      特別な仕様がなく、性能も突出したところはなく生産難易度が高い部分は無さそうなので、ミドルクラスの無人機としては生産性やコスパは良い機体かと
      ただステルスやジャマー・フレアなどといった防御機構はなく、搭載可能火力は少なく、索敵範囲も限定的なため、初期のような突出した敵部隊相手ならともかく、防空を含めた陣地構成をしつつ侵攻してくるロシア軍相手ではこの先どこまで活躍できるか少なからず怪しいところはありますが

      9
    • たかさん
    • 2022年 6月 28日

    戦いは数だし、いざと言う時に使える兵器だよ兄貴!!

    15
    • 2022年 6月 29日

    ドローンばかりに目がいくけど、トルコってNATO最大規模の陸軍国なんだよな?
    陸上装備は提供しないのかな?

    1
    • すえすえ
    • 2022年 6月 29日

    やっぱ無人機には使いつぶせる安さが求められるのだろうか

    2
      • 匿名
      • 2022年 6月 30日

      かつてのティルピッツや大和・武蔵の如く、「高価格高機能機は結局温存され続けてタンスの肥やしになるのがオチ」という現実

      第5世代戦闘機なんかも同じ道を辿りそうな気がヒシヒシとするので、結局某元海自三佐氏の言う「ステルス機買うよりJF-17を買うべき」は正しかった…???(ナイナイ)

      1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  4. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  5. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
PAGE TOP