米国関連

ウクライナが待ち望む防空システム、NASAMSを扱うための訓練を開始か

米Politicoの記者は「ウクライナ軍の兵士はNASAMSを扱うための訓練をすでに受けている」と明かして注目を集めており、ウクライナに防空システムを提供する準備が着々と進んでいる。

参考:Украинские военные уже осваивают системы ПВО NASAMS – СМИ

ロシア軍による民間人を標的にした攻撃が増加しており、一刻も早いNASAMSの配備が望まれる状況だ

まもなくバイデン政権が発表するウクライナ支援パッケージには「中・長距離をカバーするNASAMSシステム」が含まれていると報じられているが、Politicoの記者は「ウクライナ軍の兵士はNASAMSを扱うための訓練をすでに受けている」と明かして注目を集めている。

移動式防空システムのNASAMSは「AIM-120の地上発射バージョン」として開発されたが、第三世代のNASAMSは専用に開発されたAIM-120の射程延長版「AMRAAM-ER(AIM-120C-8のシーカーとノルウェー企業のナーモが新規に開発したロケットモーターを組み合わたもの)」を使用でき、交戦距離はAIM-120C-7に比べて50%以上(地上発射からの推定交戦距離は60km以上)拡張されている。

さらに第三世代のNASAMSランチャーはAMRAAM-ERに加えAIM-9XやIRIS-Tといった特性の異なる空対空ミサイルを混載運用することも可能なり、非常に柔軟性の高いマルチミサイルランチャー化しているのが特徴(これとは別にAN/MPQ-64やGhostEyeといったレーダーが必要になる)だ。

出典:Raytheon NASAMSランチャー

まだNASAMSのウクライナ提供は正式発表されていないが、Politicoの記者の主張が正しいならNASAMSの提供に向けて水面下で着々と準備が進んでいるのだろう。

因みにロシア軍は26日に巡航ミサイルでキーウのアパートを攻撃して複数の民間人が死傷、27日にはポルタヴァ州クレメンチュグにある大型商業施設を攻撃して20人以上の死者と60人以上の負傷者が発生するなど、民間人を標的にした攻撃が増加しており、一刻も早いNASAMSの配備が望まれる状況だ。

関連記事:バイデン政権、ドイツに続き西側製防空システムをウクライナに提供か

 

※アイキャッチ画像の出典:Soldatnytt/CC BY 2.0 NASAMSランチャー

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コメント

    • すえすえ
    • 2022年 6月 29日

    はやくあからさまに民間を狙っている攻撃を防げるようになってほしいものだ。

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