ウクライナ戦況

予見されていた攻勢、ロシア軍がロボーティネ方面で防衛ラインを突破

ウクライナ軍は「ロシア軍がロボーティネにアウディーイウカ方面を上回る戦力を集結させている」と警告していたが、この攻勢が18日に始まり、ウクライナ人が運営するDEEP STATEは「ベルベーヴ南西の防衛ラインが突破された」「予備戦力の投入が必要」と報告している。

参考:РФ стянула на Ореховское направление войск больше, чем на Авдеевское, планируют наступление – ОСУВ “Таврия”
参考:Мапу оновлено!
参考:Ореховский участок: наступление ВС РФ обстановка по состоянию на 21.00 18 февраля 2024 года

DEEP STATEは「予備戦力を投入しないと不味い状況になるかもしれない」と警告

タブリア作戦軍のリホワ報道官は15日「ロシア軍がロボーティネ方面に戦力を集中させてきた」「この集団の兵力規模はアウディーイウカ方面のロシア軍を上回っている」「敵はロボーティネを襲撃して成功を収めたいと考えているようだ」と警告、ロシア人らもアウディーイウカ陥落直後に「ロボーティネでロシア軍の攻勢が始まった」と主張していたが、ようやく現地の状況が見えてきた。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

ウクライナ人が運営するDEEP STATEは18日「ロシア軍が17日から積極的にロボーティネ方向の陣地を攻撃している」「ロシア軍はロボーティネ集落内に侵入しようとしており、集落の南側にある陣地で戦闘が続いている」「ロシア軍はベルベーヴ南西の防衛ラインを突破した」「ウクライナ軍は状況を安定化させるための作業を進めている」「予備戦力を投入しないと不味い状況になるかもしれない」「この事は両軍とも認識している」と報告。

ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARも「ロシア軍はドネツクに関心が集中している状況を利用してロボーティネ方面の攻勢を開始した」「ロシア軍はロボーティネ近郊で1km前進して昨年夏に奪われた陣地を奪還した」「ベルベーヴ方向でも最低3つの森林ゾーン(位置不明)を占領することに成功した」「敵は反撃を試みたが全て撃退された」「コパニ方向の状況は良く分かっていない」「敵の映像を見る限りロシア軍は歩兵を伴った数両のBMPで攻撃を開始したものの成功したなった」と報告。

視覚的にもロシア軍の無人機がロボーティネ近郊のウクライナ軍陣地=を攻撃する様子、ロシア軍がロボーティネ近郊のウクライナ軍陣地=を装甲車輌で襲撃する様子、ウクライナ軍がロボーティネ近郊の陣地=に取り付いたロシア軍兵士を攻撃する様子、ウクライナ軍がコパニ北西=を進むロシア軍の装甲車輌をFPVドローンで攻撃する様子が登場したが、DEEP STATEやRYBARが言及したベルベーヴ方向については視覚的な裏付けがない。

ロシア軍はノボプロコピフカとベルベーヴの間の前線を以前から押し上げていたので、DEEP STATEが言及する方向への突破は荒唐無稽な話ではなく、シルスキー総司令官が言及した「防御的戦い」に移行するならロボーティネ方向の突出部を整理すべきだろう。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

追記:DEEP STATEは「バフムート方面でロシア軍がイワニフスキー方向に前進した」と報告。

関連記事:ウクライナ軍、アウディーイウカ西郊外の集落に新たな防衛ラインを設定か
関連記事:ザポリージャの戦い、ロシア軍がロボーティネ周辺で2km以上も前進か

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

ウクライナ軍、アウディーイウカ西郊外の集落に新たな防衛ラインを設定か前のページ

ロシア軍、アウディーイウカで投降した負傷者を殺害して動画を撮影か次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍がウズロヴォイを解放、ロシア軍は1960年代製の装備を移送中

    ウクライナ軍はクピャンスク西岸地区を越えてオスキル川の対岸に足場を築き…

  2. ウクライナ戦況

    アウディーイウカ方面の戦い、ベルディチに対するロシア軍の攻撃は失敗

    RYBARは「ベルディチ、トネネキー、オルリフカ占領」を主張したものの…

  3. ウクライナ戦況

    ウクライナ侵攻374日の戦況、クピャンスク、バフムート、アウディーイウカで動き

    ウクライナ侵攻374日の戦況はクピャンスク方面、バフムート方面、アウデ…

  4. ウクライナ戦況

    ウクライナとロシアの政治的立場が懸かったセベロドネツクの戦い

    英国のTimes紙は30日、セベロドネツクやルハーンシク州を巡る戦いに…

  5. ウクライナ戦況

    シルスキー総司令官、アウディーイウカとクピャンスクに予備戦力を投入

    シルスキー総司令官はウメロフ国防相と共にアウディーイウカとクピャンスク…

コメント

    • ある日本国民
    • 2024年 2月 19日

    昨年、大きな犠牲をはらって確保したロボーティネ突出部を失う可能性が高く、アウディーイウカ陥落と並んで、ウクライナ国内外に悪影響を与えそうです。

    20
    • 正論
    • 2024年 2月 19日

    ウクライナは突出部使って攻めるでもなく
    守り固めるでもなく
    なんの手当でもせず半年遊んでたのか

    22
      • 2024年 2月 19日

      ロボティネからレオ2、M2旅団がアウディーウカに抜かれたので敵のうごきを監視する程度の戦力しか前線には無いように思える。
      このままだとロボティネ方面も一気に瓦解して管理人は継続的な飽和攻撃により敗走してしまうかも?

      22
    • 名無し
    • 2024年 2月 19日

    ロシア軍としては泥濘期が来る前に突出部を潰して、泥濘期明けにオレホボを攻略しその後ザポリージャを伺いたいといったところでしょうかね

    というか南部反攻が始まった際、トクマクは無理でも南部戦線全体で第一防衛線にて止まる形になるのかと思っていましたが、まさか前哨陣地の段階であそこまでボコボコにされた上にロボティネのごく一部以外は第一防衛線の遥か手前で失速して膠着してしまう体たらくになるとは想像もしませんでしたな

    23
    • 愛国戦線
    • 2024年 2月 19日

    結局去年6月からの反攻とやらで領地の何%を回復したのか?

    7
      • 名無し
      • 2024年 2月 19日

      270平方キロメートルですね。

      8
        • コスパ最悪
        • 2024年 2月 19日

        アメリカの支援だけで16兆円使って
        東京23区の半分くらいの面積を奪還した計算

        ちなみに先日、アウディイウカで撤退で
        1日に32平方キロメートル失った模様

        19
    • 名無し
    • 2024年 2月 19日

    陽動じゃなかったのか
    てっきりアウディーカで追撃すると思ってた

    突出部維持しても損害増えるだけだし放棄すべきだが、10万もの死傷者だしてやっと奪ったところを放棄する損切りの決断は政治的にも難しい。

    満州放棄出来なかったしね

    13
      • ras
      • 2024年 2月 19日

      既にアウデイーフカに予備投入されてますし、予備が枯渇してる状況を利用した薄い陣地の突破でしょう。
      アウデイーフカから引き剥がせたらそれはそれでで、未だ十分なロシア軍戦力は残ってます。

      10
    • 58式素人
    • 2024年 2月 19日

    戦力と弾薬備蓄が回復するまでは最低限度の対応なのでしょうか。
    広い場所に出て、ロシアが得意(?)の機甲戦に出てきたら、
    地雷/ミサイル/ドローンと最小限のクラスター砲弾で対応する形で。
    キルゾーンは広目に設定するのではないでしょうか。

    4
      • kame
      • 2024年 2月 19日

       理想は仰っているような戦術じゃないかと思います。問題はどこまで砲弾などの余裕があるかでしょうね。東部同様に、こちらでも火力差で粉砕されたら、後方の防御陣地まで一気に侵攻されるでしょうし。

      17
    • 歴史と貧困
    • 2024年 2月 19日

    兵力不足が相変わらず厳しいですね。他の方のコメントでもありましたが、既にアウディーイウカへロボティネの主力が引き抜かれている以上、こちらに予備兵力はない。

    ロボディネに増援しようとすれば、アウディーイウカ西方への追撃を許す。
    アウディーイウカ西方の防衛ライン構築を急ぐなら、ロボティネ方面は諦めざるを得ない。

    もし、両方を守ろうとして部隊の移動を繰り返すなんてことになったら、二兎を追う者は一兎をも得ずにしかならない。

    14
    • たむごん
    • 2024年 2月 19日

    分かりやすい突出部でしたからね。

    横に突破部を拡げる(兵力が足りない)、防衛線を固める(資材が足りない)、撤退する(政治的にできない)、基本の3択どれも中途半端に感じています。

    なんとなく現状維持になっていれば、ウクライナ軍のロボティネ防衛部隊は、厳しい戦いになるかもしれないですね…

    2
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP