ザポリージャ方面についてウクライナ人が運営するDEEP STATEは30日「ウクライナ軍がロボーティネ周辺で大きく押し戻された」と報告、これが事実ならノヴォプロコピフカとベルベーヴの間でウクライナ軍は2.5km以上も押し戻されたことになる。
現状において「ロボーティネ周辺を維持しようとするウクライナ軍」は格好の攻撃対象でしかない
ザポリージャ方面のウクライナ軍は9月下旬「ベルベーヴ西郊外に設定された防衛ライン」を装甲車輌で突破したものの進展はなく、ノヴォプロコピフカ集落内への到達も一時的なもので終わったため両拠点は現在もロシア軍が支配し、ワシントン・ポスト紙も「休息を経て戻ってきた第47機械化旅団はアウディーイウカに移動したためザポリージャ戦線は凍結された」と指摘していたが、ノヴォプロコピフカとベルベーヴの間の防衛ラインまで下がっていたロシア軍が北に向けて前進したことを示す視覚的証拠が12月19日頃に登場。
Ⓐはグレーゾーンだった地域にロシア軍陣地が出来ていることを、ⒷⒸⒹはノヴォプロコピフカとベルベーヴの間の防衛ラインまで下がっていたロシア軍が北に向けて前進していることを示唆しており、この動きが一時的なものなのか、Ⓑ付近までロシア軍が定着しているのか不明なものの、一部の界隈では「ウクライナ軍がロボーティネ方向に下がっている」という噂が流れていた。
ウクライナ軍は反攻作戦の足場として確保したロボーティネ周辺で「コパニ方向」と「ベルベーヴ方向」に十分な広さを確保するのに失敗、横幅が約9kmしない突出部は正面だけでなく左右からもロシア軍の砲撃やドローンの攻撃を受けやすい状態で、このラインで反攻作戦の南下が停止してしまったため「突出部の保持は難しいものになるだろう」と予想されていたが、ウクライナ人が運営するDEEP STATEは30日に更新した戦況マップの中で「ウクライナ軍がロボーティネ周辺で大きく押し戻された」と報告。
DEEP STATEの報告が正しいならノヴォプロコピフカとベルベーヴの間でウクライナ軍は2.5km以上も押し戻されたことになり、トクマク方向に南下する力が残っていない現状において「ロボーティネ周辺を維持しようとするウクライナ軍」は格好の攻撃対象でしかない。
そのためウクライナ軍がロボーティネを手放しても不思議ではないものの、ここをロシア軍に奪回されれば「反攻作戦の失敗」がより明確になるため、ウクライナ軍は損失覚悟でロボーティネに戦力を置き続ける可能性も十分ありえる。
因みにDEEP STATEの報告を裏付ける視覚的証拠は見つかっておらず、この状況についてDEEP STATEは「もう少し詳しく說明する」と言っているので公開されれば追記する予定だ。
関連記事:侵攻663日目、ザポリージャやドネツク西郊外でもロシア軍の前進を確認
関連記事:ウクライナの反攻作戦はどうして失敗したのか、計画に生じた誤算と対立
※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
反抗作戦の成果ゼロになる瀬戸際
出るか、死守命令
この突出部で一体何万人のウクライナ兵が命を落としたのか想像するだけで恐ろしいですね。
日本メディアではロシア兵の死傷者数だけ熱心に報道していますが、ウクライナ兵の死傷者数については誰も触れないのが正に戦時の情報統制そのもので寒気を感じます。
仰る通りです。
マスメディア・ジャーナリストの仕事として見れば、プロパガンダを分かりやすくやりすぎて下手だなあと…
太平洋戦争で、商売のためにした報道の失敗・反省を、日本メディアは生かせていないですね。
マスコミ権力が、世論を歪めるようなやり方(情報統制)は、仰る通り批判的に考えています(個人として勝手に居酒屋ででも話せばいいのになあと)。
政府や防衛関係者がウクライナに不利な情報を出さないようにしてるのはそうだと思いますが
メディアが不正確な情報しか伝えられてないのは単に取材力と分析力が欠如してるだけだと思いますよ
日本の新聞やテレビは官庁への情報依存で国内のことにすらまともな取材力がなく国外はさらにお粗末な上に紛争地に関する記事では完全にフリーのジャーナリストと他国メディアの引用に依存してますからね
その上日本にはそもそも政府民間を問わずまともに軍事の知識のある人がほとんどいないんですからウクライナ政府や英国防省・ISWの大本営発表の垂れ流ししかできないのはある意味当然でしょう
仰る通り、シンプルに取材力が低いというのはありますね。
特捜部からの情報垂れ流しを見ても、本当に取材力が低いというのを痛感します…。
令和に、大本営発表の大勝利から敗北までを、見ている気持ちになります。
日本が、戦争当事国であれば、悲惨だったでしょうね。
ウクライナが自軍の損害公表しないのは、知られたら停戦派が増えるからでしょうしね。
確か欧米だかNATOだかがウクライナの損害言ったら、ウクライナから猛抗議あったような?
ありましたね。
情報公開すれば、停戦派が増えるというのは、冷静に考えれば変な話です。
ウクライナ軍が終始、圧倒的キルレになっている事が(1対10なんて話も蔓延してたような…)、前提だったんでしょうかね。
ISWは戦術的後退と表現してたけどどうなんだろ?
処刑される捕虜の動画が公開されたりしてたし潰走に近い状態だったのではないかな?
実際は壊走に近いでしょうね
ISWってアメリカの軍事セクターの
利権を守るための御用会議みたいなものですし
そのうち転進とか言い出すでしょう
ゼレンスキー大統領が、クリミア奪還の政治目標を掲げている限り、防御陣地構築は後回しになってきましたからね。
ウクライナが、前進して攻撃するために資源配分するのであれあば、防衛用の地雷原・資源配分は障害になるからです…。
ロシア軍の電子戦、Shipovnic-Aero(MKTK-1A Judoist)の射程が10kmである事を、管理人様が以前まとめられています。
ウクライナ軍が、突破域の幅拡大に失敗したことにより、両翼から砲撃を受けるだけでなく電子戦による圧力を常に受けるリスクも高まっています。
(2023年11月26日 ロシア軍のEW能力が効果を発揮、GPS誘導兵器は目標を外しドローンも制圧 航空万能論)
アゾフ海・黒海到達は、本当に厳しいですね…。
もう
・ともかく進軍するロシア
・ロシアへの戦果または民間人被害をアピールするウクライナ
で固定化されてきた気がします。
当初はやたら携帯電話を盗聴してロシアの士気の低さや残虐さをアピールしていましたが、
本当に勝ちたいなら盗聴できることなど明かさず、作戦、しかも日頃は傍受できていないと思わせておいてここ一番にのみ用いるべきものでしたよね・・・。
ウクライナの広報戦略が力尽きつつあり、残された道は欧州にもロシアにも都合の悪いパイプラインの完全破壊を交渉材料にすることくらいでしょうか。
電話の件については、こんなに長引くとは思っておらず、あと二三週間で終わるという気分だったからという気がしますよ。
突出部は放棄すべきだが、10万うしなってすすめたところ放棄はきっついな
現状のウクライナは冬戦争・継続戦争時のフィンランドと同様に、どうやってロシア軍を撃滅し領土を奪還するのかではなく「如何に少しでもマシな敗戦に持っていくことができるか」という段階ですからな
戦争継続だけでなく戦後のことも考えると南部戦線の突出部だけでなくアウディーイウカやバフムート周辺部も放棄して人員を温存しなければなりませんが、南部反攻もバフムート戦も現状のアウディーイウカも政治的要求で強硬に進められてきた以上は難しいでしょうね
とはいえウクライナがどのような戦後を迎えるにしろ、東部や南部を中心に滅茶苦茶に破壊し尽くされた都市や街にインフラ、半分近くにまで激減した人口と修復不可能なレベルにまで歪になった人口ピラミッド、とっくに崩壊しているものの他国からの援助によるゾンビ状態で生き永らえている経済、この期に及んでも続く底無しの汚職と政治腐敗に権力闘争、戦後復興を何とかしようにも未だリセッションの懸念が払拭できない世界経済や混迷の度合いを深める世界情勢と、戦時中の今よりもむしろ戦後の方が地獄になるというのがほぼ確定していますからなあ…
仰る通りですね。
日本企業が、フィリピン・ベトナムなどのASEANに投資し来たのは、(距離だけでなく)人口・人口動態も大きく影響しているんですよね。
ウクライナの内需を投資対象として考えれば、アフリカの途上国・紛争国家と比較される水準であり、人口面・輸送面でも劣後、ポーランドへの投資の方が近隣では有望になってしまいます。
安く買い叩かれる事はあるでしょうが、政府から何らかの保険がなければ、外資系企業の投資は難しいでしょうね。
現実的どう考えても占領された地域奪還は不可能になってますものね。
冬戦争みたいのソ連最初は舐めてたのや準備不足で大損害出して、立て直してからどんどん押し込むような事にロシアなってますし。
交渉で戦争終わらせなければ戦う力無くしてからじゃ、ただ相手の要求を受け入れるしかないだろうし。
まあ、もし交渉で終わらせれても冬戦争や継続戦争のフィンランドみたいに、ウクライナは更に厳しい条件を呑まされるでしょうけど。
ハリコフとオデッサ辺りの割譲と、NATOにEUへの非加盟は要求されそうな。
しかしそう考えたらウクライナの国民はともかく、政府や官僚からしたら今の戦争が続いた方が特なのでは?
戦時下って事で色々統制できるし、西側から支援って事で金や物が大量に入ってきますし。
そして横領やら汚職の不正する人にとっても、その方が都合良さそうで。
まさに本質なんですよね。
GDPだけ見れば、四国=ウクライナくらいの規模感です。
ウクライナの物価も考えれば、それはもう凄まじい大金が流れ込んでいまして…。
いつまでも喜捨を続けて貰える方が、得なわけです。
>しかしそう考えたらウクライナの国民はともかく、政府や官僚からしたら今の戦争が続いた方が特なのでは?
ウクライナの後退を伝える報道に触れた時、「戦術的後退だ」「迎撃体制を立て直しただけ」といった批評を加える方が散見される。
しかし、戦争とはもともと陣取りゲームであり、それは本拠地からどれだけ遠くまで補給線を確保できるか、とも換言できる。後退して本拠地に近づけばそれだけ戦いやすくなるなどということは、改めて言及するまでもない当たり前の現象であり、上のような言辞はウクライナ軍にとって不利な戦況を直視することの耐え難さから生じた一種の合理化、もっといえば逃避に過ぎないのではなかろうか?
この突出部のウクライナ軍は非常に劣勢ですが、ノヴォプロコピフカ〜ベルベーヴ間の後退はまあ戦術的撤退でしょう
ちょうど中間点を突破されていて両翼から包囲殲滅されかかっていました
大変なのはロボティネ西ですね
ほぼ唯一の補給線であるT0408に近接されてしまっていますし、戦闘効率はさらに悪化していっていることでしょう
さらに言えばT0408を境にしてそれ以東は谷底になっていますから、ここを奪還されるようであれば突出部に加えられるようになる観測砲撃の量は現在の比ではありません
反攻作戦当初もウクライナ軍は防御の薄さからこのT0408東の谷底を進軍経路として選んで機甲部隊を南下させましたが、ロシア軍の用意されたキルゾーンだったために大損害を被っています
まあ、まさにその通りで。
放棄するならとっくの昔に放棄すべきだったポイントですから,判断が遅いと言わざるを得ません。
結局のところ、「大反攻作戦で大勝利の夢」が最後まで足を引っ張り、無駄に10万人単位の将兵を死なせたことになりますね。
俗に「勝利は復讐する」とは言いますが。
緒戦の勝利が損切りを出来なくさせて壊滅的な敗北をもたらした、という点では非常に第二次世界大戦っぽい展開ですね。
歴史は何度でも繰り返す。
塹壕戦に砲撃戦、加えてたかが2kmの前進を2km以上もって表現されると増々第一次世界大戦ぽくなってきましたねえ
ウクライナ支援に私が否定的なのは、戦い方がアレなのでたとえ兵器があったとしてもそこまで効率は良くないのじゃないかなと・・・
自国を強化したほうがいいって結論になるのはしゃあないです
東部だけじゃなくて南部も崩壊寸前かもしくは崩壊したか。冬の間は膠着するだろうって観測されてたのもある意味楽観的だったんだろうねぇ…
こうなってくると、アメリカが支援するって決めない限りは欧州の支援程度では何の役にも立たないしロシアは恐らくプーチン再選と動員で更に戦力を強化してくるだろうし。
ウクライナの50万動員しないといけないっていうのも、反転攻勢だっつって10万以上の戦死者と数十万の負傷者出した結果だろうしな。
先日の記事にあったロシア側の生産能力を見誤っていたというのと合わせればウクライナが抵抗続けられなくなる日もそう遠くない感じはあるね。
これ本当に来年ロシアがキエフ入りしてもおかしくない状況になってきたな。
ああ、東部戦線に精鋭が大量に引き抜かれたニュースがここにつながる訳ですか
ロシアなら後ろに塹壕、要塞いくつも作成しているからこの機に突出部全部捨てて仕切り直しも聞きますが
そういう二線三線の備えがないウクライナでは気軽な撤退もできずかといって維持も死者が増えるだけと
それでも一度引いて立て直すべき状況ではあるのですが