英国のTimes紙は30日、セベロドネツクやルハーンシク州を巡る戦いには「プーチン大統領とゼレンスキー大統領の政治的立場が懸かっている」と指摘している。
参考:Fight for Ukrainian stronghold comes down to a battle of wills
ウクライナの運命に興味津々で眺める我々に「次はあなたの番だ」と言われたような気がしてならない
ロシアはウクライナ侵攻前にドネツク人民共和国(ドネツィク州)とルガンスク人民共和国(ルハーンシク州)の独立を承認した手前、両州の行政区分を完全に制圧=解放する必要があり、全戦力を投入して攻撃しているセベロドネツク制圧で躓けばプーチン大統領の政治的面子は丸つぶれになる。
ウクライナにとってもセベロドネツク一帯を失うと「ドンバス解放の半分をロシアが達成する」という政治的な側面と「スラビャンスクまで無防備な地域が広がる」という軍事的な側面からダメージを受け、ロシアとの戦争に勝てるかもしれないと信じ始めた西側諸国にもショックを与えるため「ゼレンスキーはルハーンシク州から撤退を安易に決断出来ない」とTimes紙は指摘しており、ここでの戦いは「両国の指導者にとって意地に張り合いになる」と予想しているのが興味深い。
つまりセベロドネツクやルハーンシク州を巡る戦いは今後の戦争の流れを左右する可能性が高く、ロシア軍が押し切れば兵士や国民が初戦の失敗で失った自信を取り戻して西側諸国の結束にも亀裂が発生するが、ウクライナ軍が守りきれれば「ロシア軍に勝てるかもしれない」という認識が確信に変わってロシア人に残された自信は完全に打ち砕くことが出来るという意味だ。
但し、戦いの戦火に巻き込まれた地域の住民はプーチン大統領とゼレンスキー大統領の政治的立場が懸かった戦いに意見が分かれている。
セベロドネツクの補給ルート上に位置するソレダールで配給の列に並んだ子連れの母親は「誰が国を動かすかなんてどうでもいい、安心して暮らせる平和が欲しいだけ」と訴えており、別の高齢者は「連中が我々をどう扱うかはよく知っているので(譲歩を伴うような)取引に応じられない」と述べるなど意見は様々だが、この戦いの結果がどうであれ街を離れる気はないという住民は「どうせロシア人が勝つのだからウクライナ人が戦っても無意味だ」と吐き捨てているのが印象的だ。
ただこの住民は「我々が倒れれば次は欧州の番だ=ロシアの野望はウクライナで止まらないという意味」と付け加えており、ウクライナの運命に興味津々で眺める我々に「次はあなたの番だ」と言われたような気がしてならない。
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※アイキャッチ画像の出典:93-тя ОМБр Холодний Яр
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ロシアの蛮行が許容されるなら第2第3のウクライナが出てきても何ら不思議ではないもんな
そういう意味でもウクライナにはなんとか持ちこたえてほしいけど現実はなかなか厳しそう…
日本もこれからどうロシアと付き合っていくか考えないといけませんね。
確かに、セベロドネツクを巡る攻防は宇・露双方にとって重大な局面ではあるでしょう。
しかしそもそもドンバス攻勢はキーウ・ハルキウの二正面で挫折したロシアが「下げたハードル」であること。
仮にセベロドネツクが陥ちたとしても記事が指摘する通り「ロシアの目的達成度はまだ半分に留まる」こと。
そして、国際社会の対宇支援と対露制裁が止まらない限り「時間はウクライナの味方である」こと。
これらを忘れないようにしたいものです。
緒戦時のような「最弱ロシア軍伝説」のようにむやみに侮るのは良くないが、過度に悲観的になるのもいただけない。
ロシアは長期的には必敗です。国際社会が妙な妥協さえしなければ。
同感です。
個人的に、この戦争は双方が何らかの大ミスをしない限り長期戦(もしかすると10年以上)になると思っていますので、幾ら現時点でセベロドネツクやルハーンシク州を巡る戦いが重要とは言え「プーチン大統領とゼレンスキー大統領の政治的立場が懸かっている」等と、まるでWW2独ソ戦のスターリングラード攻防戦を連想させる様な英Times紙の論調には不自然さを感じます。
もしかすると、これも情報戦の一環なのか、それともTimes紙の背後に何らかの勢力(露の関係者か、露との早期講和を願う連中等)が絡んでいるのかと勘繰られてもおかしくないと思います。
仏·独·伊といったNATO主要国であってもロシアとの経済関係を正常化したい勢力を考えると、ウクライナに不利であっても停戦に持ち込みたいプレッシャーをゼレンスキー大統領が感じていてもおかしくない。
陰謀論的な憶測はどうかと思うけど。
陰謀論だけなら未だしも、ここへ来てトルコのエルドアン大統領がフィンランドとスウェーデンのNATO加盟を拒否しつつ、プーチンとゼレンスキー両大統領の電話会談を個別にセッティングしようと画策しているんですよね。
そう言えばロシアの「ハイブリッド戦争」は戦争だけで無くあらゆる場が戦いの舞台ですから、陰謀論とは関係無く外交・経済・報道等のあらゆる動きが戦場だと見做した方が良いかも知れません。
戦争は、外交の一部だからね。
私も同感です。
本来であれば河の対岸で防衛に不利な都市なので、早々に撤退してもおかしくなかった場所です。
それをあたかも天王山であるかのように喧伝するのは、「早期に戦争を終わらせて欲しい」という勢力
(EUなのかロシアなのか、その両方なのか)に忖度したような主張だと思いますね。
最初に電撃的にキエフを掌握することに失敗した時点でロシアの勝ちは無いんですよね。あとはこのままずっと続くのか、どこかでロシアが耐えられなくなるのかの違いです。ウクライナ人が戦うという限りは続きます。局地戦の結果で一喜一憂するものでもないでしょう。
>ロシアは長期的には必敗です。国際社会が妙な妥協さえしなければ。
そうあって欲しいんですが、ここが寧ろ不安ですね。西側にどこまでの覚悟があるか。
話のスケールが一気にショボくなりますが、過去に朝鮮総連本部の建物が差し押さえになる騒動がありましたよね。
誰がどうみても差し押さえれて解体されると思っていたら、ウルトラCで助けが入り、残っています。
このように、寝技というものはあるもので、長期的には絶対勝てる筈のものも相手が寝技で徹底的に粘ってくる場合、まさかの展開があるわけです。
また、情勢が変わる事でまさかの破滅的結末から救われるパターンもあります。反米で突き進んで国の経済が詰んだ筈のベネズエラがウクライナで資源ひっ迫が始まったことでアメリカとの間に雪解け説が出てきています。
このように、長期にわたる時間というのは不利な方が寝技で色々な勝負をかけていったり、別の国際情勢の変化で、国際社会が妙な妥協をする為の隙間が出る不利な面もありますので、
西側は長期的に続く情勢になっても「今の情勢で長期化した場合に期待される結末」に甘えず、ロシアを意図的に破滅させる事を目的として意図的な経済破壊活動を続けて行って欲しいですね。
次は我々の番というコメントは、間違いなく真でしょうね。
もしかしたらヨーロッパが先かもしれないし、あるいは東アジアは北朝鮮に代わりに暴れさせるのかもしれない。
いずれにしても、戦争がロシア勝利で終われば中国が堂々と最新の部品を供給し、より近代化されより危険度が上がったロシア軍が世界に牙を向くわけだ。
それに対し欧米や日本は難しい対応迫られていると。あまりにも平和が長すぎて軍備が全く整っていないため、ウクライナへの支援も難しいが、ここでロシアを倒さないと危険度が跳ね上がる。
本当どうしたもんかなあ。
日本も韓国に対抗し砲弾を送るべきです
意味不明。
韓国の方が軍事比率高いの知らんの?
韓国に対する認識が歪んでる人が多いですが
曲がりなりにも韓国は「休戦中」の国であって、
戦うための装備は日本より充実させておくのが当然でしょう。
戦争がロシアの勝利に終われば中国は台湾に侵攻する確率が高く、日韓台は運命共同体です。権威主義陣営の侵略を防ぐために日韓がウクライナに砲弾を送るべきです。意味不明ですか?
なぜ韓国に対抗しなくちゃいけないのだろう?
対ロシアと反韓国をごちゃまぜにしていませんか?
なぜ、この話の流れで韓国に砲弾を送る必要がある?
過去、小銃弾を借りた時に政治問題になっていたので、平時では断ると思いますよ。
なんか横流しされてウクライナに対して使われそうでなあ
遠く離れたヨーロッパの出来事とはいえロシアが成功したら中国が同じことするので日本も無関係ではないですね
この戦争がロシアの勝利に終われば間違いなく中国にとっても成功体験になるからな
ウクライナが戦い続けられるのは世界中の注目と支援があるからですが正直いつ飽きられてもおかしくありません。コロナとの戦いは1500万人の死者を出しましたがやはり飽きられて諦められています。ウクライナの民間人の犠牲は4000人ですが中国による台湾侵攻は艦船や航空機主体の戦争となるためウクライナ以上に「犠牲が少なく」なることが予想され飽きられてしまう危険は大変高いといえます。やはり日本はロシアに宣戦を布告し極東に第二戦線を開いてでもロシアの勝利を絶対に阻止する必要があるのではないでしょうか
プーチンにとってセベロドネツクは政治的に重要でロシア兵の死体の山を築いても手に入れたい要衝ですが、ゼレンスキー大統領やウクライナにとっての重要性は少し低いでしょう。ウクライナ側として注意すべきは、ロシアがロシア兵の死体の山を築く覚悟の場合には陥落が時間の問題のセベロドネツクだけでなく、ドネツ川対岸のリシチャンシクの補給路が危険に晒されている事で、冷静に合理的に計算し計画的撤退も準備すべきでしょう。撤退時には、マッカーサー流に「I shall return」でもターミネーター(シュワルツェネッガー)流に「I ‘ll be back」とかの名言を英語版とウクライナ語版でyoutube投稿して撤退すれば良いと思いますね。そうすれば政治的ダメージは回避できます。
現代のスターリングラードになっちゃったのか